2013-06-27

お部屋2517/しばき隊の「暴力性」 1—-行政警察活動の根拠を作る

前回取り上げた久保憲司の言葉の中に「警察、機動隊はぼくたちのためにやってくれている」という言葉がありました。Facebookでは、これに批判するコメントをしてきた全共闘世代がいます。全員無視していたら、自ら消したようですけど。

私だって、「これは書きすぎだろ」と思わないではない。しかし、今この時点におけるこの発言を私は批判しないし、クボケンが何を考えてこれを書いたのかは十分理解できます。

彼は30日の新大久保包囲で、一人も逮捕者を出したくない。そのためには、警察を敵にする必要はなく、敵にしたら負けです。武器をもち、逮捕もできる警察に勝てるわけがない。

警察に行き過ぎがあれば文句は言う。しかし、「警察を動かす」「警察を働かせる」「警察を使う」という考え方に基いているしばき隊にとって、警察は味方ではないにせよ、敵でもない。使えるところは使えばよい。

公安警察はまた別の思惑があるとして、警備警察は危険を事前に回避し、騒ぎを収めたいだけ。それを踏まえてしばき隊は動き出し、「お散歩」を阻止することに成功しました。

この辺のことはメルマガで詳細に解説をしてきましたし、Facebookでもチラホラ書いていたのですが、最近興味を抱いた人たちは、その経緯をちいとも理解せずに、「しばき隊は暴力的だ」との批判をなおやっています。

この間の「言論しばき VOL.2」の休憩中に、「しばき隊はなぜ暴力的イメージを打ち出しす必要があったのか」の解説をしました。この時はIWJの中継を止めてもらったのですけど、野間易通が「その話、どっかに書いておいてよ」というので、改めて書いておきますか。もう隠しておく必要はないですしね。

以下の話はあくまで、しばき隊の近くにいながらもしばき隊ではない私の理解ですので、この通りかどうかは知らんです。

まずこの地図をご覧ください。


より大きな地図で しばき隊戦略図 新大久保編 を表示

線があちこち曲がってますが、黄色い目印が大久保公園。ここがデモの集合地点で、青い線がデモコース。赤い目印が到着地点の柏木公園。新大久保を通るレイシストデモはいずれもこのコースです。

淡赤の斜線部分が新大久保です。地名は百人町ですが、駅名から新大久保と呼ばれていて、ここに韓国系の店が集中しています。とくにKポペン(Kポップファン)向けのグッズを販売している店、女性用のコリアン美容品を販売している店はこの地域にあります。その南側の歌舞伎町にも韓国系の店が多数ありますし、東側の大久保にもありますが、新大久保のコリアンタウンと言えば、もっぱらこの地域のことであり、とくに駅寄りの地域のことです。

山手線より東側の大久保側はタイ料理、インド料理、中華料理の店も多く、その中に韓国料理店が点在している印象です。また、牛丼屋、ラーメン屋、回転寿司、ファミレスなどのチェーン店も多くて、新大久保駅を挟んで商店会も違います。やはりコリアンタウンは東側になりましょう。

さらに新大久保の北東には広大な戸山公園があり、そこにヘビがいます。どうでもいい情報でした。

これまでレイシストたちは、柏木公園で解散したあと、「お散歩」と称し、新大久保に乗り込んで「殺せ」コールを叫びながら練り歩き、店員に罵声を浴びせるなどの行為をやってきました。明らかに集団示威行為であり、公安条例違反です。また、迷惑防止条例や脅迫罪にも該当しましょうが、なぜか警察はこれを放置。左翼だったら、プラカードを持って歩くだけでも逮捕されかねないのに。

この「お散歩」を阻止することを目的として、「レイシストをしばき隊」が結成されます。前史がありますが、本格始動はこの1月のことです。

呼びかけ人の野間易通は、過去に「お散歩」阻止を試みた経験から、少人数で止めることは難しく、下手をすると、こちら側が逮捕されかねないことを学習していました。

そこで野間易通が考えたのは「警察を使う」ということでした。

以下は警察法です。

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警察の責務は犯罪を捜査し、犯人を逮捕するだけでなく、犯罪を予防し、公共の安全、秩序を維持しなければならない。これに基いて大雑把に分けると、警察の仕事は司法警察活動行政警察活動のふたつの柱からなります。両者の境界は必ずしも明確ではありませんが、交通事故の処理は司法警察活動、交通整理は行政警察活動と言ってよいかと思います。スピード違反は違法行為の取締という意味では司法警察活動ですが、それ自体が事故防止のための規則ととらえれば行政警察活動の意味合いも含まれていましょう。

本来「お散歩」は司法警察活動として取り締まるべきものです。違法行為ですから。それをやらないのであれば、行政警察活動をやらせようと。「よっしゃ、このまま放置したら、大変なことになることを警察にわからしたろ」と野間易通は飼い猫に呟いたのでありました。あそこんちは猫がいっぱいいます。

平和的で、穏やかで、良識のありそうな人たちでは警察を動かすことは簡単ではない。それでは陳情、お願いの類にしかならない。チンピラ、不良、はぐれもん、愚連隊、暴走族、ギャングが集まって、「お散歩」に対峙するとなればイヤでも危険回避のために警察は動く。血で血を洗う暴力抗争にでもなれば警察の責任を問われましょう。

そのためには、「反レイシズム協議会」「差別をやめよう市民連合」「差別に反対する母と子の会」ではダメなのです。一触即発の暴力集団が登場する必要がある。「レイシストをしばき隊」でなければならなかったのであります。偏差値が低い粗暴な集団に見せかけて、実のところ、綿密な計算によって生まれたのがしばき隊でありました。(続きます)
 
 
追記:この続きを一気に出す予定だったのですが、ちょうとメルマガの更新作業とダブってしまっている上に、土曜日もカウンターで半日潰してしまいました。本日30日のカウンターに来ていただければ、続きを話すってことで。来られない人には月曜日以降続きを出します。