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はじめてのGoogleブック検索【グレート・ギャツビー編】

Googleブック検索というものがあるのは、ご存知だと思います。
でも、使ったことがある人は少ないのではないでしょうか。
私自身、これまでは「試しただけ」で、特に何に使うということはありませんでした。
「Iwamatsu Ryo」と入れて、「おお岩松さんは海外でも紹介されているんだな」と馬鹿なことを思ったりしただけです。

ところが昨日、スコット・フィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』(村上春樹訳)の中の「ともあれ、それはただの私事にすぎない」(私事に圏点)という台詞は、原文でどう書かれているかを調べるように頼まれ、初めて明確な目的を持って使ってみて、「これは、もっと使ってみないと駄目なのでは?」と感じました。
今回やったのは「ある言葉が、特定の本のどこに出てくるのか」という基本的な使い方ですが、いくつか発見があったので、「どのように使ったのか」を記録しておきます。

まず、スタート地点は、「村上春樹訳の現物は手元にある」「『ともあれ、それはただの私事にすぎない』という台詞が、訳書のどこに出てくるのかわかっている(ちなみに274ページ)」「原書はない」というところでした。

現物が手元にあり、探したい台詞の場所がわかっていたのは、重要です。
現物がなければ、買うか、借りるか、立ち読みするか、Googleブック検索で調べる必要があります。
また、台詞の場所がわからなければ、気合いで探すか、誰かがページ数とともに引用してブログを書いてくれていることを祈って検索するか、Googleブック検索で調べる必要があります。
が、村上春樹の『グレート・ギャツビー』は、検索の対象になっていません。

この手間を省けたので、今回は5分で探せました。
手順は、
1.台詞の近くの、本の中にあまり出てこないであろう固有名詞を選ぶ
2.選んだ固有名詞を英語でどう綴るか調べる
3.Googleブック検索で原書を検索し、さらに、選んだ固有名詞を検索する
4.発見
です。以下、もう少し具体的に書きます。

1.台詞の近くの、本の中にあまり出てこないであろう固有名詞を選ぶ
「ともあれ、それはただの私事にすぎない」という台詞を英語でなんと書くのかを考えるのは、私には無理です。訳し方も、いろいろあるでしょう。なので、探したい文の近くにある、訳し方がひとつに決まる地名や人名などの固有名詞を検索するのがよいのではないか、と思いました。今回は、台詞の4行後に「ルイヴィル」という地名があったので、それに決定。
このとき、さらに近くにある、訳が想像できる言葉を見ておくといいと思います。今回は「トム」「デイジー」「新婚旅行」にしました。

2.選んだ固有名詞を英語でどう綴るか調べる
これは、「ルイヴィル」をググるだけです。「Louisville」でした。

3.Googleブック検索で原書を検索し、さらに、選んだ固有名詞を検索する
Googleブック検索で「Great Gatsby」を検索すると866件ヒットして、上位に原書が出てきます。下のほうを活用できれば面白いのだと思いますが、今回は最上位の原書だけ。とりあえず一番上に出てきた本をクリック。さらに「Louisville」を検索すると、10件ヒット。この中から「トム」「デイジー」「新婚旅行」が近くにある箇所を探しました。すると、121ページが該当箇所だとわかります。

4.発見
ところが、この本の121ページはプレビューの対象になっていません。ご丁寧に「この書籍を購入」というリンクがあり、Googleブック検索の対象になっている原書がこの1冊だけだったら、買っていたかも。
今回は別の「The Great Gatsby」があったので、そちらで「Louisville」を検索。今度は7件ヒット。さっきの本が3件多いのは、IntroductionやChronologyの部分にも「Louisville」が出てくるから、のようです。
2冊目の「The Great Gatsby」だと97ページが該当箇所で、5行上の’In any case,’ he said, ‘it was just personal.’が<「ともあれ、それはただの私事にすぎない」と彼は言った。>の原文だとわかりました。

以上で検索は終わりです。

その後ほかの箇所もいじっていたら、「この書籍に登場する場所」「よく使われている語句」などを見ることができる「書籍の概要」というページがあることを知りました。たとえば「The Great Gatsby」に登場する場所『風俗見聞録』によく使われている語句
面白いです。やっぱり、馬鹿な感想しか出てきません。
というわけで、はじめてのGoogleブック検索【グレート・ギャツビー編】はここまで。
また何かに使ったら、書き継ぎます。

追記(2009/11/19)

宣伝のことをすっかり忘れていましたが、「ともあれ、それはただの私事にすぎない」という台詞、それから『グレート・ギャツビー』について調べたのは、劇作家の岩松了さんからの依頼です。

『グレート・ギャツビー』に想を得た「マレーヒルの幻影」(作・演出/岩松了)が、12月5日(土)から、下北沢の本多劇場で公演されます。

時は1929年大恐慌前夜。NYで再会した日本人の男と女の人生を描く──。

この『マレーヒルの幻影』は〈恋をする〉ではなく、〈恋をつくろうとする〉ドラマだと自分では思っている。若い頃無条件に始まったはずの恋を、あらためて諸々の条件のもとに〈つくり直さなければならなかった男女のその困難の物語〉と言えばいいだろうか。(戯曲『マレーヒルの幻影』著者あとがきより)

公演の戯曲は12月11日発売予定。本多劇場では先行販売を行ないます。

また、「ともあれ、それはただの私事にすぎない」という台詞については、9月に刊行した『溜息に似た言葉』の中で、詳しく取り上げられています。『グレート・ギャツビー』、『溜息に似た言葉』を合わせて読むと、舞台『マレーヒルの幻影』が、より楽しめるのでは!

公演情報『マレーヒルの幻影』

●2009年12月5日(土)〜27日(日)東京:本多劇場
●2010年1月9日(土)大阪:シアター・ドラマシティ
作・演出/岩松了
出演/麻生久美子、ARATA、三宅弘城、荒川良々、市川実和子、松重 豊

チケットの予約方法など、詳細は森崎事務所へ。

twitterdeアンケート「Googleブック検索って使ってる人いますか?」

twitterを使ってアンケートをしてみました。

みなさんに質問! Googleブック検索って使ってる人いますか?
このつぶやきを呼んだ人、もしよければアンケートにお答えを。
よく使う/たまに使う/試しただけ/使ったことない、
で選択してもらえませんか。タグつけて。#q_gbs

回答数=29人
回答が集まった時間=約1日(逆に言えば1日たったら回答が止まった)
よく使う=1人
たまに使う=4人
試しただけ=14人
使ったことない=5人
他に、初めて知った、原書の確認につかう、といった回答もありました。

ご協力感謝。

うむ、ジャパニーズブックダムの夢をみてるんですけど、
このアンケートだと、実は必要がない、と解釈するのか?
いえいえ、やっぱり、それなりに日本語の本を網羅してないと、
よく使われるようにならない、ってことなんでしょうね。

http://twitter.com/#search?q=%23q_gbs でそれぞれの回答が読めます。

沢辺のtwittereへは、http://twitter.com/sawabekin

Google和解と著作権

返答期限延長もあって、まだまだGoogleの書籍デジタル化問題はあいかわらず騒がしい。

いろんな人がいろんなことをいっているけど、
多くのひとが、批判的で、身近だと松沢呉一さんがポットの考え方にちかい。

で、いろいろ読んでいると、違和感を覚えることが具体的になる。

ひとつは、著作権のこと。
これ、法律であるわけだから、裁判上の解釈があるわけで、
私がどう思うと関係ないかもしれないけど、
著作権を私がどう考えているのか、簡単に書いておこうと思う(以前このサイトのどっかにかいてると思うけど)。

著作権は、著作物を使わせないように制限するもんじゃなくて、
より良い【使い方・使わせ方】をするためにある権利(本当は権理と書きたいところだけど)
何じゃないかと思う。

たとえば、最近あった事だけど、エロ系の絵を書いていた人で、もう死んでる人の絵を
本の表紙なんかに使いたくて、ちゃんと遺族に連絡(調べられたからまだいいけど)した。
息子に依頼すると「使われちゃいや」。
確かに、その息子に許可/不許可の権利があるわけだから言われた通りに引き下がった。

でもこうやって既存の著作物がただ死蔵されるばかりでいいんだろうか?
まあ、死後50年待てよ、ってことではあるんだけど。
こうやって、権利がただ使わせないほうにばかり行っちゃうのに違和感をもつんだ。
もっとより良い使い方をしよう、って認識が社会に広がる意外に、
たぶんコレって解決策はなく、法律の問題ではないんだけど。

だけど、今回のGoogle問題には、こうした使わせないというような権利意識ばかりを感じる。

ふたつめに思うのは、
これまで、出版界は、こうした書籍の全文検索=本をもっと使いやすくする/もっと本を発見してもらう
ってことをやらずに来て、Googleがやっちゃうよ、って時になってただいやだな、って気分で
このことに対応しているように思えてならない。

商品基本情報センターに書誌情報を出版社が集中することもできない(収集率は50%を超えているけど)。

国立国会図書館の長尾真館長の構想にも消極的にしか対応できない。
これをきっかけに、今回Googleがやったことを国会図書館にやらせたって良かったじゃないか。
いまごろ、「公的な機関がやることだ」なんて言い出してる人もいるけど。
だったら、長尾構想に載れば良かったじゃないか(まだ、遅くはないけどね)。

結局はGoogleのような新参者の、無茶なやり方しか、変革ができないのか?
って思っちゃう。

みっつめに思うのは、
なんで、正義感ばりばりの著作者の権利論になっちゃうの?ってこと。
新しい取り組みなんて、やってみた後にしか分からんのじゃないの?

宮部みゆき「英雄の書」で、
物語は人が生きたあとについてくる、できてくる、。
まれに、先に物語を目指して生きようとする人があらわれるけど、
それが人に大きな惨禍をもたらす、なんてことが書いてあって、
無茶苦茶共感したんだけど、正義って、そういうもんだろう。

ポット出版●弊社のGoogleブック検索への見解が記事になりました

5月11日(月)に公開したGoogleの書籍デジタル化に関する弊社の見解についてのおしらせ「ポット出版●Googleの書籍デジタル化への集団訴訟和解案について」IT総合情報ポータル「ITmedia」で記事になりました。

記事はこちら 「知の共有が前進する」——Googleブック検索和解案を歓迎する出版社