クリスマス返上で仕事を終えると年内の予定はなくなる。妹の帰省に合わせ、1年ぶりに実家に顔を出すことにした。母は弟が経営する菓子舖を手伝っているので、ぼくも駆り出され、職人さんと一緒に鏡餅づくりをしたり配達に出たりでけっこう忙しい。正月には、実家が近い増田君が、ぼくの不在中にいきなりやってきて母と話し込んで帰るという、わけのわからない出来事があったりして、1週間ほどの日程はみるみる過ぎていった。
東京では会うことのなかった妹の交際相手にも、年明けに初めて会った。とりたてて面白みはないものの、まともな男のようである。兄としては、人間がまともであれば、妹の結婚について反対する理由はなかった。母も次第に態度を軟化させてきているので、うまく話がまとまれば年内には結婚ということになるのかもしれない。
東京に戻るとすぐに仕事が始まり、バタバタした日常が戻ってきた。とはいえ、スキー雑誌のスキー場取材は年明けからぼちぼちスタートし、ピークを迎えるのは気候の安定する3月から4月。それまでは原稿だけに集中していればいいと思っていたのだが、ある日、福岡さんに呼び止められ、海外取材を打診された。 続きを読む