「それじゃ、ちょっと行こうか」
引っ越したばかりの「オールウェイ」の事務所で、伊藤ちゃんがそう言った。
行き先は、青春出版社の月刊誌『BIG tomorrow』の編集部だ。伊藤ちゃんが歩いて行くというので、僕も一緒に歩き出した。
靖国通りから厚生年金会館の先で路地へ入る伊藤ちゃん。
東京医大の横を抜けると住宅街があり、何度か曲がりながら進むと、「まねき通り商店街」という古い商店街に出た。
それは冬の日で、出発したときは明るかったが、抜弁天あたりに着いた頃には日が落ちて、すっかり真っ暗だった。
職安通りを河田町まで歩くと、青春出版社のビルがそこにあった。近いのかと思ったが、辿り着くのに結構な時間がかかった。
今でこそ青春出版社の真ん前に大江戸線の若松河田町駅があるが、当時そこにはバス停があるだけで、どこの駅からも遠かった。 続きを読む