久しぶりにパインの事務所に顔を出すと、事務所のレイアウトがすっかり変わっていた。
右手の壁際中央にパインのデスクがあるのは変わらないが、以前は全てくっつけて置かれていた他のデスクが、それぞれ離れて部屋の隅に配置されていた。伊藤ちゃん、伏木くん、坂やん、三角さんといった人たちの姿もない。かわりに奥の席で長髪の男が原稿を書いていた。
「あ、紹介するよ。バンドやってる青木くんっていうんだけど、仕事を手伝って貰ってるんだ」とパインが言った。
立ち上がって挨拶をした青木くんという男は、座ってるときの印象とは違い、えらく背が高かった。
僕が名刺を渡すと、青木くんは申し訳なさそうな顔をした。
「すみません、名刺ないんですよ」
「キミ、ライターさん?」 続きを読む