墓場を住まいとする男か、2000匹の豚か。

本日の主日礼拝式@頌栄教会では、福音書朗読の箇所は『マルコによる福音書』5章1節-20節であった。

ゲラサ人の地方のレギオンという男の話である。今日に照らして、示唆に富む内容のように思われた。

レギオンは「汚れた霊にとりつかれ」ていた。家もあり、家族もいる。だが、それ故だろう、「墓場を住まい」とするように追いやられ、ゲラサ人によって「足枷や鎖で縛られた」(4節)状態にあった。イスラエルの墓場というのは当時、ほら穴だったため、その中で暮らすこともできないことはなかったのだそうだ。もっとも、「鎖は引きちぎり足枷は砕いてしまい、だれも彼(※レギオン)を縛っておくことはできなかった」(4節)。どうやら、共同体の人たちからも、家族からも疎んじられ、退けられ、遠ざけられていたようだ。

縛りなきレギオンは「昼も夜も墓場や山で叫んだり、石で自分を打ちたたいたりしていた」(5節)。憤懣やるせない怒りや、孤独故の憂い・哀しみを声に出したのだろうか。自らを石打つ行為は、現代日本で論ぜられることのあるリストカットのような自傷行為に通じるところがあるように思える。周りばかりでなく、自分もが自身を護る味方ではなかった。

レギオンは、ゲラサ人の地方を訪れていた「イエスを遠くから見ると、走り寄ってひれ伏し、大声で叫んだ。『いと高き神の子イエス、かまわないでくれ。後生だから、苦しめないでほしい。』」(6-7節)。助けを求めるのでなく、放っておかれることを求めたのである。

しかし、イエスは汚れた霊をその人から解き放った。聖書の箇所を御読みいただきたいが、汚れた霊たちは2000匹ほどの豚の群れに乗り移って、湖になだれ込んでおぼれ死んだ………(つづく)。

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及川 健二 について

ジャーナリスト/研究者。 それまで一分もフランス語を学んだことがなかったのに、 フランス留学を決断。2002年UCLAエクステンションセンター・ 夏期英会話講座・修了、グランゼコールの一つ、2004年 リール政治学院・夏期特別セミナー修了(European Summer University Program at Institut d’Etudes Politiques de Lille)。 フランス国立パリ第九大学・Dauphine修士課程に2004-05年に在学。 多国籍企業の経営戦略が研究テーマ。大学では”英語”で講義を 受け、語学学校でフランス語を勉強するというチョット変わった留学生活をおくる。2004年7月3日から2006年3月25日までフランスに滞在。リール、トゥール、パリにて生活する。数々の政治家にインタビューする。 共著『オカマは差別か』(ポット出版)、2002年1月。 編集・共著『常識を超えて』(ポット出版)、2002年6月。 単著『ゲイ@パリ 現代フランス同性愛事情』(長崎出版)、2006年10月。 単著『沸騰するフランス 暴動・極右・学生デモ・ジダンの頭突き』(花伝社)、2006年10月。 単著『フランスは最高!』(花伝社)、2007年6月。