IMFの新専務理事にストロスカーン元仏財務相

日刊ベリタ』に【IMFの新専務理事にストロスカーン元仏財務相】というタイトルの記事を執筆しましたので転載します。
  融資額が急減、運営危機もささやかれている「新自由主義経済の牙城」ともいえる国際通貨基金(IMF)は9月28日午前に開いた理事会で、次期専務理事にドミニク=ストロスカーン仏元財務相が就くことを決定した。任期は5年。ストロスカーン氏はフランス社会党の重鎮で、好感度調査では常に同党ではトップにつけている。
 
 ストロスカーン氏は1949年4月25日、パリ郊外の街で生まれた。しかし、同氏は幼少を北アフリカの国・モロッコで過ごす。1960年2月29日に死者1万5000人を出したアガディール大地震が発生した後、祖国に戻ることになる。高校を卒業すると、フランスのトップマネジメントスクールであるHECと名門校・パリ政治学院に入学し、大学院まで進学して、経済学博士号を取得する。1977年にはナンシー第二大学の経済学専攻の教授に就任し、1981年にはナンテール大学に転職した。 
 
 1982年に社会党のフランソワ=ミッテラン大統領の諮問機関の委員に就任し、政界に進出する。1986年の下院議会議員選挙でフランス東部のオート=サヴォワ県から社会党公認で出馬し、初当選。1988年に再選すると下院財政委員会の委員長に選出される。社会党の全国書記を長く務めるなど、年がたつごとにキャリア・アップしていった。 
 
 しかし、1993年の下院選では落選。社会党が惨敗して、保守政党に政権の座を譲り渡した選挙だった。 
 1997年6月1日の下院選第二回投票でストロスカーン氏は再度、当選する。この選挙では左派政党が過半数を制して、リヨネル=ジョスパン「社会党」党首を首相とする左派連立内閣が成立する。そして、フランスの経済を一手に任される経済・財政・産業大臣にストロスカーン氏は就任した。就任早々、支出削減による財政再建を実現し、1998年には約30万人の雇用を創出した。この実績から、ストロスカーン氏の財務相としての評価は極めて高い。しかし、1999年11月に政治と金にまつわるスキャンダルで引責辞任することになる。 
 
 ストロスカーン氏の信念は「社会民主主義」だ。国家による統制でもなく、市場原理に任せるのでなく、第3の道を模索するのだと語ってきた。
 
 IMFのトップに立ち、社民主義的な政策をはたして実行できるのかが注目される。 

カテゴリー: 及川健二のパリ修行日記 | 投稿日: | 投稿者:

及川 健二 について

ジャーナリスト/研究者。 それまで一分もフランス語を学んだことがなかったのに、 フランス留学を決断。2002年UCLAエクステンションセンター・ 夏期英会話講座・修了、グランゼコールの一つ、2004年 リール政治学院・夏期特別セミナー修了(European Summer University Program at Institut d’Etudes Politiques de Lille)。 フランス国立パリ第九大学・Dauphine修士課程に2004-05年に在学。 多国籍企業の経営戦略が研究テーマ。大学では”英語”で講義を 受け、語学学校でフランス語を勉強するというチョット変わった留学生活をおくる。2004年7月3日から2006年3月25日までフランスに滞在。リール、トゥール、パリにて生活する。数々の政治家にインタビューする。 共著『オカマは差別か』(ポット出版)、2002年1月。 編集・共著『常識を超えて』(ポット出版)、2002年6月。 単著『ゲイ@パリ 現代フランス同性愛事情』(長崎出版)、2006年10月。 単著『沸騰するフランス 暴動・極右・学生デモ・ジダンの頭突き』(花伝社)、2006年10月。 単著『フランスは最高!』(花伝社)、2007年6月。