売買春の話

当ブログで売買春をめぐる議論が熱くなっています。そこで、わたしが前々から不思議に思っていたことをここでは書きます。
フランスでは性労働者(セックスワーカー)を支援する様々な団体があります。これらの団体はテレビにもよくでることがあり、ワタシも二回ばかし、彼/彼女らの活動が紹介されたドキュメンタリーをフランスでみました。一本の作品はDVDに録画してあります。
さて、フェミニストの中には「売春は搾取である」という人たちがいます。
「搾取されている女性を解放する」ことが彼女らの目的のはずなのに、「搾取だ、搾取」と口ではいいますが、実際に性労働者のために何かやったりしません。「夜回り先生」のように街娼に声をかけ励ましの言葉をかけ、必要な情報を提供する市民運動は「売春婦/夫に権利を!」と訴えている人たちです。
フランスの売春婦/夫を支援する大きな団体にPASTTがあります。トランスジェンダーでパリ市17区・区議で医師でありセックスワーカーであるカミーユ=カブラルさんが代表をつとめます。彼/彼女らは週に二回深夜、売春婦/夫が多くあつまる地域に赴き、彼/彼女らと対話します。同団体にはカミーユさんにくわえ男性医師がひとりいて、医者に行けない女性たち(お金がなかったり、不法滞在だったりする)を見ています。
不法滞在の外国人が売春しているのなんてまさに搾取だ……とおっしゃる方もいるかもしれない。しかし、「搾取だ」といって売春規制を強化したら、彼/彼女らはますます過酷な労働環境に置かれることになります。現に街娼を閉め出すサルコジ法によって、性労働はかなりリスクの高いものになったと性労働者のアクティビストは口々に云います。
カミーユさんたち、性労働者のアクティビストは売春の完全合法化を主張します。
わたしが売春合法化論に説得力を感じるのは、売春婦/夫のためにもっとも汗を流し、ときに警察やマフィアとやりあう危険も犯している方々が売春合法化を唱えているからです。
一昨年、国際女性デーにあわせて売春婦/夫たちがデモを行い、フェミニストたちは自分たちを無視してきた……と抗議の声をあげました。新聞は「割れる女性たち」と記事をかきました。
売買春をめぐる議論はポット出版のお家芸ですので、どうぞ、これからも御意見をお寄せいただければ幸いに存じます。

カテゴリー: 及川健二のパリ修行日記 | 投稿日: | 投稿者:

及川 健二 について

ジャーナリスト/研究者。 それまで一分もフランス語を学んだことがなかったのに、 フランス留学を決断。2002年UCLAエクステンションセンター・ 夏期英会話講座・修了、グランゼコールの一つ、2004年 リール政治学院・夏期特別セミナー修了(European Summer University Program at Institut d’Etudes Politiques de Lille)。 フランス国立パリ第九大学・Dauphine修士課程に2004-05年に在学。 多国籍企業の経営戦略が研究テーマ。大学では”英語”で講義を 受け、語学学校でフランス語を勉強するというチョット変わった留学生活をおくる。2004年7月3日から2006年3月25日までフランスに滞在。リール、トゥール、パリにて生活する。数々の政治家にインタビューする。 共著『オカマは差別か』(ポット出版)、2002年1月。 編集・共著『常識を超えて』(ポット出版)、2002年6月。 単著『ゲイ@パリ 現代フランス同性愛事情』(長崎出版)、2006年10月。 単著『沸騰するフランス 暴動・極右・学生デモ・ジダンの頭突き』(花伝社)、2006年10月。 単著『フランスは最高!』(花伝社)、2007年6月。

売買春の話” に1件のフィードバックがあります

  1. 匿名

    売春は犯罪です。妻にとっては、とても辛い事だからです。傷つき、夫を尊敬出来なくなります。離婚につながる大きな原因です。売春婦が大きな顔をしているのは、おかしい事だと思います。

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