ダニエル=ミッテランさんに会った。そして、ゲイパレード・ボイコットの話。


11月26日、ダニエル=ミッテランさんに取材した。
前大統領夫人のダニエルさんは人権活動家として世界的に知られている。フランソワ=ミッテラン前大統領に50人近く愛人がいたことはよく知られた話だけど、ダニエルさんにもフランソワの他に恋人がいた。といっても、夫婦関係は密なものだった。お互いに恋人がいながら、パートナー関係を継続していたわけだ。不思議に思えるけど、私にはとてもいい話だなーと思える。
ダニエルさんへの取材は年明けのある雑誌で記事を書く。
取材の最後に、ニコラ=サルコジ内相への私の批判を述べたあとで、内相への意見を聞いた。
ダニエルさんはいった。
「サルコジ内相には色々いいたいことがありますけど、日本のメディアにいうべきことではありませんね」
彼女はそういった。サルコジ内相に云いたいことがとってもあるようだった。フランスのメディアはダニエルさんに取材すべきだろうに、彼女に話を聞く人はいない。わたしはフランソワ=ミッテラン前大統領と比較すると、サルコジ内相のインチキ・デタラメ・ゴマカシ・詐欺男ぶりがよく分かると思っている。この話は改めて書く(かもしれぬ)。
ダニエルさんへの取材が終わった後、パリ第九大学で開かれたゲイ活動家による講演会に参加した。サルコジ内相が党首のUMP(フランス国民連合)に属するゲイ・リブ団体(同性愛者の権利を求める団体)の代表をつとめる人が話した。彼は自分たちの団体が本年行われたゲイパレード@パリをボイコットしたといった。なぜか。それは本年のパレードが「同性婚の合法化を求める」ことを共通のアピールにしたからだ。UPMは日本でいえば、自民党にあたる。党内には同性婚に対する反発は強い。同性愛者に対する差別には反対……という点においては一致できても、同性婚の是認……ということにおいてはコンセンサスを党内でえられない。だから、それを共通目標にすることには承伏しかねる、そういう理由でパレード参加を見送ったそうだ。
なるほどネ。
彼らがボイコットをしたところで、パリのパレードには50万人(警察発表。主催者発表では70万人)の人々が参加した。ちなみに、わしが『クィア・ジャパン・リターンズ Vol.1 ——あなたに恋人ができない理由 関係が続かない原因』に寄稿した原稿の主人公、UMPに属するジャン=リュック=ロメロ・イルドフランス地方議会議員はベルトラン=ドラノエ市長と共に、パレードの先頭を歩いた。
講演会の聴衆の一人がいった。
「ゲイパレードは政治運動というより単なる広告(PUB)と化していないか」
と。たしかに企業広告の色彩もあろう。有名企業がパレードに参加しているから。
しかし、パレードは広告もふくめて、党派を超え主張を越え、様々なひとが参加している。一つのいろに染まっているわけではない。ドラッグ・クイーンもいる、反サルコジを訴える人もいる、レーニン崇拝者もいる。そういうゴッタ煮的な人が参加して、多様性を象徴している。広告の何が悪い、政治主張の何が悪い、エロの何が悪い、ストリップの何が悪い(パレードで上半身裸になる人は多くいた)、ゴッタ煮の何が悪い、と私は思う。ちなみに、講演者によれば、Air Franceや国鉄のなかに同性愛者のための組織が存在するんだとか。
日本のゲイ・パレードは今後、さらに発展していくことだろう。ボイコットする団体がいてもまったくかまわない、フランスのように、とわしは思う。翼はひろく、できうるかぎりだけ、多くの人が参加できる器を用意し、ゴッタ煮的(多様性のルツボ)でかまわない。それが嫌なひとは行かなければいいだけの話だ。
来年の東京レズビアン&ゲイ・パレードには幸いなことに私は参加する機会をもてる。フランス語で報告の文章を書くつもりだ。世界に東京で行われたパレードの模様を発信したい。いまから楽しみだ。
ダニエルさんとは同性愛の話もした。講演会も色々おもしろい話が聞けた。詳しいことを知りたい方は、100人予約が集まれば出版化?!という予約投票プロジェクトにあげたわしの企画『PHOTOエッセイ Gay @ Paris』に仮予約いただければ幸いであります。購入義務はありませんのでご安心あれ。出版されれば、続きの話を御覧になれます。

カテゴリー: 及川健二のパリ修行日記 | 投稿日: | 投稿者:

及川 健二 について

ジャーナリスト/研究者。 それまで一分もフランス語を学んだことがなかったのに、 フランス留学を決断。2002年UCLAエクステンションセンター・ 夏期英会話講座・修了、グランゼコールの一つ、2004年 リール政治学院・夏期特別セミナー修了(European Summer University Program at Institut d’Etudes Politiques de Lille)。 フランス国立パリ第九大学・Dauphine修士課程に2004-05年に在学。 多国籍企業の経営戦略が研究テーマ。大学では”英語”で講義を 受け、語学学校でフランス語を勉強するというチョット変わった留学生活をおくる。2004年7月3日から2006年3月25日までフランスに滞在。リール、トゥール、パリにて生活する。数々の政治家にインタビューする。 共著『オカマは差別か』(ポット出版)、2002年1月。 編集・共著『常識を超えて』(ポット出版)、2002年6月。 単著『ゲイ@パリ 現代フランス同性愛事情』(長崎出版)、2006年10月。 単著『沸騰するフランス 暴動・極右・学生デモ・ジダンの頭突き』(花伝社)、2006年10月。 単著『フランスは最高!』(花伝社)、2007年6月。

ダニエル=ミッテランさんに会った。そして、ゲイパレード・ボイコットの話。” に1件のフィードバックがあります

  1. tn

    速報です。カナダ下院が内閣不信任案を可決しました。おそらく来年1月に総選挙になり、もしかしたら再び同性婚が争点になるかもしれません。http://www.cbc.ca/story/canada/national/2005/11/28/noconfidencevote051128.html

コメントは停止中です。