移民という快楽


北アフリカ(モロッコ、アルジェリア、チュニジア)出身の移民一世・二世(マグレブ)が経営するファーストフード店でわたしは頻繁に食事をする。生活費削減が主たる理由だ。cafeやレストランでランチをとると、10ユーロを超えてしまう。マグレブ系ファーストフード店ならば3〜4ユーロでお腹いっぱい食べることができる。もちろん店によるが、たいていなかなか美味しい。そして、夜一時くらいまでやっていたりする。彼らは働き者だ。
パリ市内にもフランス全土にも、マグレブ系の人々が営む小さな雑貨屋さんが街のいたるところに存在する。コンビニのないフランスで、シャンプー・石けん・ひげそり・食料・酒といった生活必需品を揃えている雑貨屋は貴重な存在だ。夜遅く(0時だったり1時だったり)まで開店しているので、必要なものを昼間に買いそびれた場合、そこへ行けばよい。フランスのどこにでも、中華料理店がある。東洋の味が恋しくなったとき、そこへ行けばいい。といっても、味はイマイチのところが多いのだけれど。パリ市内ならばイタリア広場周辺に広がる中華街に行けば、中国・韓国・日本・タイの食材が手にはいる。
フランスのスーパーは19時00分〜19時30分にしまる。大きなスーパーならば20:00〜20:30までやっているところもある。うちの近所にあるスーパーは12:30〜15:00まで昼休みのため、閉店となる。フランス人の個人商店もスーパー同様、19:00〜20:00には閉まる。夜遅くまで行動する私としては、深夜開いている店はまばゆい。
そして何より、マグレブ系商店は日曜日も開店しているのが嬉しい。フランスで生活している人は誰しも一度は不満に思ったことがあるであろう、日曜日にスーパーからパン屋から八百屋から肉屋まで、映画館・レストランをのぞいて終日閉店していることに……。労働者の権利をまもるための措置だから文句は言うまい、と思いつつも、しかし、日曜日、買い物をできないというのは、「日曜日こそショッピング日和」と体で覚えている私としては、つらいかぎりだ。マグレブのみなさん、ありがとうと思う。
移民の問題が叫ばれるたびに、生粋のフランス人(そもそも移民国家・フランスではほとんどありえない)ばかりだったら、この国はもっと住み心地が悪くなっているのでは……という気がしてならない。日曜日は誰も働かず、街はゴーストタウンと化している(かもしれぬ)。夏のバカンス(7〜8月)にはすべての商店がしまりゴーストタウンと化す(かもしれぬ)。町中で食事するところは、値が張るcafeやrestaurantばかり。そんなフランス、Oh mon dieu! C’est incroyable!だ。
わしかてフランスでは移民になる。いまいるところは外国、ヨソの国だ。わしはヨソもん。TVA(フランスの消費税)をたくさん納めているから、税務上、多大な貢献をしているとはいえ……。

カテゴリー: 及川健二のパリ修行日記 | 投稿日: | 投稿者:

及川 健二 について

ジャーナリスト/研究者。 それまで一分もフランス語を学んだことがなかったのに、 フランス留学を決断。2002年UCLAエクステンションセンター・ 夏期英会話講座・修了、グランゼコールの一つ、2004年 リール政治学院・夏期特別セミナー修了(European Summer University Program at Institut d’Etudes Politiques de Lille)。 フランス国立パリ第九大学・Dauphine修士課程に2004-05年に在学。 多国籍企業の経営戦略が研究テーマ。大学では”英語”で講義を 受け、語学学校でフランス語を勉強するというチョット変わった留学生活をおくる。2004年7月3日から2006年3月25日までフランスに滞在。リール、トゥール、パリにて生活する。数々の政治家にインタビューする。 共著『オカマは差別か』(ポット出版)、2002年1月。 編集・共著『常識を超えて』(ポット出版)、2002年6月。 単著『ゲイ@パリ 現代フランス同性愛事情』(長崎出版)、2006年10月。 単著『沸騰するフランス 暴動・極右・学生デモ・ジダンの頭突き』(花伝社)、2006年10月。 単著『フランスは最高!』(花伝社)、2007年6月。

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