海野弘『ホモセクシャルの世界史』


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● 海野弘『ホモセクシャルの世界史 (文春文庫 う 18-3)

★★ ペダンチック

近代を生きる私たちは、いささか性にとらわれすぎている。その人が誰とどのような性愛関係にあるのか、どんな性的指向、嗜好を持っているのか……どこかで意識せずにはいられない。しかし「私」と他者との関係は、性愛かそうでないかという二分法では割り切れない。

著者は本書において、友愛という観点から男同士の絆を再構成しようと試みている。だから、このタイトルはあまり正確ではない。近代において〈性〉という視線によって分類された〈ホモセクシュアル〉は、通史的な現象とはいえず、ここで描かれる多くの男たちの絆は、近代人が知りえない他の〈可能性〉であるともいえるからだ。

著者は該博な知識によって、古代ギリシアのアキレウスから、キリスト教会のアウグスティヌス、ルネサンスのレオナルド・ダ・ヴィンチ、オスカー・ワイルド、はてはナチの同性愛まで、西洋社会におけるさまざまな男たちの物語を紡いでいく。読者はそのエピソードの意外さと、多彩さに、興味が尽きないだろう。

例えば、カエサルは、見習士官の時代、派遣先の「王に男の操を売った」との噂が立てられたこともあり、旺盛なバイセクシュアルだった。また、イエスが聖書にある〈愛する弟子〉を特別あつかいしたことに着眼して、イエスとヨハネが愛者と愛人の関係にあった、という推論まで紹介される。

これらの断面は、史実に新たな陰影を与え、語りえなかったもう一つの世界史をかいま見させてくれる。

「私はどうやってあなたと結ばれるのか。禁じられ、差別されてきた〈ホモセクシャル〉は、人と人の絆の極限について考えさせてくれる」。著者は同性愛的な関係に焦点を当て、それらを並記することで、近代の性体制を相対化しようと企図する。しかし、その〈ホモセクシャル〉に関する尋常ならざるオタクぶりに、かえって性に拘束されているようにも見える。

もしかしたら、友愛の可能性は、性愛の周縁や過去にではなく、その果てにしか見出せないものなのかもしれない。

*初出/共同配信→