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紹介
決してきちんとは「聞こえない」にもかかわらず、「聞こえているはず」という視線の中で、生きていかざるを得ない子どもたちの苦しみを私たちは本気で考えたことがあったのだろうか。(本書より)
約10年にわたる論考の数々によって聴覚障害児教育に潜む諸問題を分析し、読者をさらなる思考へと誘う。
著者自身による詳細な注が、本書の特徴です。
目次
序章 たったひとりのクレオール ― はじまりの問い
第1章 インテグレーション再考
1 インテグレーションの現状と課題
2 難聴児の自己形成方略 ― インテグレーションの「成功例」とは何だったのか
3 聾学校の在籍生徒数はなぜ減ったのか?
4 混迷と転換の季節の中で ― 変わることと変わらないこと
第2章 学習論
5 聞こえない子どもたちは何のために勉強するのか
6 聴覚障害児の学習とことば
7 難聴児の学力について ― その前提認識
第3章 障害認識論
8 障害「受容」から障害「認識」へ
9 聴覚障害児教育における障害認識とアイデンティティ
10 ありのままの感情から深い理解へ ― お母さんへのメッセージ
11 彼らのいる場所 ― 難聴児と読書
第4章 リテラシー論
12 リテラシー問題を議論する際の前提条件
13 聴覚障害児教育における言語観と学力問題
終章 障害認識論とヒルバーグ的立場―どうして私たちはそんなことをしたのでしょう
あとがき
文献表
人名索引
事項索引
解説
・聴覚障害の実態やそれをとりまく社会的文脈、聴覚口語法の意義と限界、障害者の自己形成などを、体系的に論じた書物 ― 橋爪大二郎
・およそ差別に興味のある人に本書を強くお奨めする ― 灘本昌久
・バイリンガル・バイカチュラル(二言語文化)教育に教育学のみならず、言語学や脳科学からの新しいアプローチが必要 ― 酒井邦嘉
・障害の子どもたちが「統合」を求めてきたことをもっともだと思う立場を維持した上でも、著者の「統合」否定はわかる ― 立岩真也
・直接触れることのできる書物は、聴覚障害者にとって健聴者以上に重要 ― 福嶋聡
著者プロフィール
1954年生まれ。早稲田大学卒業後、聞こえない子どもの個人指導(学習・言語指導)に17年間携わる。この間に、聴覚障害児を持つ母親を対象に「難聴児学習問題研究会」を主宰。トータルコミュニケーション研究会運営委員、「ろう教育を考える全国討論集会」共同研究者を務めるほか、近年は、障害認識論とリテラシー論についての講演多数。1999年より九州保健福祉大学言語聴覚療法学科専任講師。