投稿者「伏見 憲明」のアーカイブ

伏見 憲明 について

作家。 1963年生まれ。 著書に『魔女の息子』(第40回文藝賞受賞/河出書房新社)、『さびしさの授業』(理論社)、『ゲイという[経験]増補版』(ポット出版)ほか多数。 編集長として『クィア・ジャパン vol.1〜5』(勁草書房)、『クィア・ジャパン・リターンズ』(ポット出版)を刊行。 詳細なプロフィールへ→

気分はもうマドンナ

kage_1.jpg左の写真はヴォルデモート卿ではありません。伏見のウォーキング中のシルエット。うーん、改めて見ると、我ながらおどろおどろしい影だ。だけど、自分のイメージの中では、伏見憲明42歳、ピンクのレオタードを身につけたマドンナ(右下写真)になっている今日この頃。
________.jpgここ数日、散歩時の脳内BGMは「hung up」。気分はもうマドンナ(47歳)の最新PVなのである。本日も早朝で人がいないのをいいことに、川辺で一人、かの曲を口ずさみ、腰をグラインドさせながら歩いていた。が、ふと気付くと、親子連れがかたまって視線をこちらに向けている。hung up !
娘をかばうような体勢の父親。そりゃ、今日び、幼子をめぐる凄惨な事件が続いていて、ご心配はわかりますが、あたいは超安全よ。女の子にも子供にも一切興味ないから。危ないのは、金持ちで見てくれのいい若者だけ! いや、最近、イーホームズの藤田社長に萌え萌えで、妄想の中で、あんなことやこんなことをして、被害者の代わりにおしおきしちゃってます!(←冗談にならない)

さよなら加齢臭!

____.JPG散歩で大量の汗を流しているせいか、体臭が薄くなってきた。つい最近まで、原稿書きの仕事をしているだけで、からだから放出されるとんでも臭気に部屋がよどんでしまい、自分で気持ち悪くなるほどだった。オヤジ臭というか、加齢臭というか、饐えたようなすっぱいような、なんとも言えない脂臭さだった。以前、相棒から「アンタ、いったいナニ分泌しているのよ!」と突っ込みを入れられたパフューマティブなフシミ・バトラー。
それが、ここのところ原稿を書いていても臭ってこなくなった。ウォーキングを終えてシャワーを浴びるときに、びしょぬれになった下着に鼻を押し付けてみても、それほど「ウワッ、クセッ」という感じでもない(誰かクンクン試してみる?)。それどころかからだの脂自体が少なくなってきたようだ。かつて、「顔に脂が浮いている」どころか「脂に顔が浮いている」とまで言われたこの伏見が(自慢してどうする)、42歳にして脂症とはおさらばか! と年増の女友達に話したら、「年をとれば肌がカサカサになって脂がほしくなるくらいよ」と返されてしまった。まあ、そこまで老けちゃいないんだけど。
ともかく、これまで臭くて迷惑をかけていた皆さんに、ご報告まで。近くによってももう大丈夫。安心しなさい。
*写真はさわやかさのイメージ(パタパタパタ……)

いただいたご本『美人とは何か?』

__________.jpg「美意識過剰スパイラル」という副題の本書は、人気作家、中村うさぎさんの最新エッセイ集。旧知の担当編集者が送ってくれた。どうもありがとう。伏見自身は以前、中村さんに『変態入門』(ちくま文庫)の解説を書いていただいたことがあったが、直接の面識はないのだが(何年か前の東京レズビアン&ゲイパレードで、出発前、先頭の横断幕の真ん中を岩井志麻子さんと中村さんの二人が陣取っていたので、「実行委員長に場所ゆずって」とおせっかいを言ったことがあったが……)。

この本は一言で言えば美醜論ということか。伏見はこのテーマ、すごく興味あり! 中村さんの分析力は、そこらの学者よりも数段上だから、大いに期待してしまう。

少し前、「週刊文春」の彼女の連載エッセイを読んでいたら、エスムラルダが「クィア・ジャパン VOL.3—魅惑のブス」(勁草書房)で書いた「私のブス人生」とよく似た文章が出てきて、うさぎさん、盗作とは言わないけど、こういうご商売でいいのかしらん? と思ったことがあった。だから、本書の座談のゲストにエスムラルダが招かれていることに妙に納得。きっと中村さんはエスムのファンで、無意識のうちに影響を受けていたのだろう。

まだ本論のほうは拝読していないのだが、中村うさぎ、マツコ・デラックス、エスムラルダの三人による座談「『ブス』から脱却せよ!」をとりあえず読んだ。それぞれ魅力的な人たちで、爆笑発言が連発なのだが、どうもシンクロ率が低い。こういう強烈キャラを集めた座談を上手く成功させるには、触媒の役割を負う人がいないと駄目なんだよね。みんな自分を押し出そうと必死になるから(笑)、全体として道筋がつかなくなる。

エスムは、年齢を重ねたことで美醜の価値観から解かれ、他の価値観で自他を見られるようになってきたという旨の発言をしていた。男はいればいたでいいし、いなきゃいないでいい、みたいなこと。諦観か。ただ、本当の解脱ならいいけど、理念なら毒が溜まる。まだ若いのだからもう少し煩悩の世界で毒を吐いておかないと、厄年あたりに、自分の猛毒で自家中毒になるよ!(←エスム調で)

自分が見る側に立って、相手を観察することで、アドヴァンテージを獲ることはできる。知っている、ということは支配にもなる。けれど、「目」になることを徹底すると、ただ「目」として生きたナンシー関の後を追うしかないだろう。それはそれで苦行の人生だ。

●中村うさぎ著『美人とは何か?』(文芸社)1200円+税

いただいたご本『ヨーロッパ物語紀行』

yoroppa_1.jpg松本侑子さんの勤勉な仕事ぶりを見ていると、いつも頭が下がる。とにかく熱心だし、探究心が旺盛。そしてフットワーが軽い。『赤毛のアン』の詳細な翻訳に見られるように、その仕事は単なる作家の枠を超えて、研究者の域にまで達している。日本の大学は、どうでもいい作家を教授に迎えていないで、彼女を招聘すべきである。それだけ価値のある文学研究を積んできた人だ。

彼女の今回の本は、ヨーロッパの名作小説の地を探訪する文学紀行だ。『ロミオとジュリエット』『フランダースの犬』『カルメン』『エーミールと探偵たち』……などの舞台となった街を訪ね、作品の背景をつまびらかにする。それは文学論としても勉強になるし、作家論として興味深い。というか、伏見のような無知には、(なさけなくも)読んでいない名作のあらすじを簡単に知ることができるだけでも、ありがたい一冊だ(教養、うんちく本としても使える!)。

ところで、伏見の、松本さんの文章の楽しみ方はふつうではないかもしれない。一般には、彼女は優等生とか、才女とか、その美貌ゆえにお嬢な作家とイメージされているように見える。読者はそのちょっとハイソな世界を楽しんでいる印象だ。が、伏見は、そういう「女」に化けている松本さんの自意識のほうに官能するのだ。清楚な女性だと思ってよく見たらナチュラル女装だった!みたいな感じ。この本も、ヨーロッパに外出女装して、女流作家コスプレしてみた私……的な彼女のナルシシズムに超アガる。そこにこそ、松本侑子という作家の毒と倒錯した感性が潜んでいる。

●松本侑子著『ヨーロッパ物語紀行』(幻冬舎)1500円+税

オバチャマは潮吹き

______.jpg相変わらず、散歩の日々だ。若い子風呂に浸かりながら、ぶりぶりとウォーキング。おかげで黒いサウナスーツは毎日洗濯してるのに、白いものがこびりついてなかなか落ちない。あんた、ヘンな想像しないでけれ、塩だよ、塩。ナトリウム。大きめのペットボトル1本分くらいの汗が流れ出るので、塩分も大量に排出されているらしい。これで高血圧への道は阻止したぜ! 糖尿、退散!!(←セーラーマーズの発声で)
そして、オバチャマ(←伏見のこと)の散歩コースは、前も書いたが地域の高校生たちのマラソン大会が催されることが多く、ここ一週間は、毎日、男子高校生の集団に遭遇。もう「高校生マラソン大会評論家」になれそうなくらい、オバチャマは彼らを観察したよ。写真は出発地点に集結している男子たち。
どの高校もだいたいパターンが決まっていて、トップを走るのは運動部の学生。やっぱイケメンが多い。でもそれって顔の造作の問題ではなく、スポーツをやっているものだけが持つ精悍さの魅力。こういう子たちが息を切らせながら疾走するのを、女子高校生になったように応援してしまうの、オバチャマ。そのあとに続くのは、いまどきの高校生といった大集団で、次にオタク系。うしろのほうになると、茶髪とかヤンキー系がいじけながら歩いていて、最後はやっぱりデブなんだよね(笑)。瀕死の豚のように鼻息荒く歩いている。っていうか本人は走っているつもり。どこの世界でもデブはつらいね。同類相哀れむ。
arakawa_1.jpgここは周囲4キロくらいのコースなんだけど、それが二周目くらいになると、もうトップにデブたちは抜かれていて、ながーーい列が出来てしまっている。ヨーイドン!で一斉に走り出しても、すぐに個人差が現れて、最後には1時間以上も間隔をあけて別々にゴールすることになる。人生を総集編で観ているようで切なくなる。何が人生の幸福なのかはわからないのだけど。
それにしてもなんで「先生」という人種はああも抑圧的なオーラを出しているのか。不思議なくらい偉そうなんだよね。そして暗い。友人にも教師は少なくないので、あんまり悪口は言いたかないが、女の先生も含めて、きゃつら、一目でわかるオーラがある。ちなみに、講演の仕事に呼ばれていったりすると、一番居眠り率が高いのは教職員組合とかの集まりです(笑)。
んなことはどうでもいい。さあ、今日も河原のフェロモン風呂に浸かりに行くべ。オバチャマ、いっぱい潮吹くよ、たっぷり吹いちゃうよー!(写真は彩湖をわたる橋から)

映画「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」

harry_potter_4.gif観てきました。「ハリー・ポッターと炎のゴブレット」。日曜の最終回、21時からの回は恋人たちばかりで、映画館内はペッティング状態(妄想)。「オマエら映画なんか観に来ないで部屋でオマンコしてろよ!」と心で毒づきながら、一人寂しく鑑賞する伏見であった。
なぜか、いまさら、「ハリー・ポッター」にはまっていて、最近、自分がホグワーツに通っている気分なの(新宿二丁目もホグワーツなみに摩訶不思議なところだけど)。伏見の役どころはハーマイオニーかなあ(うふ)。
映画はCGの壮大さに酔えます。三半規管が弱い伏見は本当に酔いそうになったくらいで、やはりこの迫力ある映像は劇場の大画面で観るべき。それだけでも価値はある。
しかし子役の俳優たちがどんどん身体的に成長してしまうので、観ているほうが今後の制作日程を心配してしまうほど。ハリーもすっかり男のフェロモン出しているし、ロンに至ってはもはやヤリヤリ光線すら放出 ←どんな光線だい! 印象としては高校生が無理矢理、子供の短パンはいているような感じ。それはそれでエロくてよろし。
が、物語はこれまでのようにすっきりしたものではなく、最後は暗澹たる未来を予想させる結末だった。結局、大人になるというのは、すっきりしない矛盾を抱え込み、強大な邪悪(ヒューザー、姉歯、国土交通省、イーホームズ……)を前に、不安で、不確定な毎日を生きざるをえないことなのだ。けれど、ハリー・ポッターにまで現実を見せつけられるのは、正直つらい、かも。

いただいたご本『かけがえのない、大したことのない私』

_2元祖ウーマンリブ、田中美津さんの最新刊。比較的新しい対談やら座談やら、書き下ろしのエッセイなどが収録されている他に、彼女が70年代にリブ活動の中で上演した「ミューズカル〈女の解放〉」の脚本のおまけ付き。ファンにはたまらない美津エッセンスが詰まった一冊だ。

伏見も美津さんとは仕事やプライベートで何度もお目にかかったことがあって、その特異なキャラクター(笑)のファンの一人。個人的にも大好きな人だ! 

そしてなんと言っても、伏見にとってのフェミニズム本のNO.1は、彼女と上野千鶴子さんの『美津と千鶴子のこんとんとんからり』(木犀社)。これはもう一般読者にもお薦め。もちろんフェミニズムについてのためになるお話しも満載なのだが、読後に残るのは、覇を争う女の闘い! 70年代の美津か、80年代の千鶴子か! まるで北政所と淀君の仁義なき闘いのよう。たしか美津さんは、本の中で自分を美空ひばりになぞらえ、上野さんを松田聖子だと揶揄している……のように、「大奥」ファンなら同じノリで楽しめること間違いなし(北政所と淀君は大奥じゃないけどね)。 

今回の本のタイトルにある「大したことのない私」というのは反語か。まあ、彼女がよく語る言葉一つなんだけど、伏見と同様、美津さんも一生、自分のことを「大したことない」とは思えないたぐいの人間だと思うのだが(笑)。

●田中美津著『かけがえのない、大したことのない私』(インパクト出版会)1800円+税

あたいはキャリー?

denkyu_1.jpg朝、目が覚めたら、とんでもない精神状態になっていた。覚えていないのだが、もしかしたら夢の中でキレてしまったのかもしれない。それが尾を引いて、午前中、怒りと空しさと悲しみがないまぜになって、ごく限られた身近な範囲にではあるが、大爆発してしまった。もうえぇかげんにせえよ、ってちゃぶ台をひっくり返したような有様。被害を受けた方々には申し訳ないことをしてしまったのだが(彼らはとくに悪いわけでもなく、ふだんからすごく支えてもらっている)、なんかもうアンコントロールな一日だった。
風呂に入って怒りを静めようと思い、浴室の電気をつけたら電球が飛んでしまった。新しいものに交換をして(写真)、少しぬるくなったお湯に火を入れようとしたら、直前まで正常に動いていた風呂釜からガスが出ない。こちらも故障してしまった(すぐに業者を呼ぶ)。なんかキャリーの怒り爆発モードみたい。って自分のうち(および身内)を破壊してどーするんだよ! 

いただいたご本『はじめての部落問題』

__________________.jpg以前、部落解放同盟の講演会に呼ばれたときに(「糾弾」ではないわよ 笑)コーディネートを担当してくれた角岡伸彦さんの最新刊。角岡さんは『被差別部落の青春』(講談社文庫)を著わして世間の注目を浴びたノンフィクションライター。同い年で差別問題に対する考え方も共有するところが少なくないので、伏見はこの方の活動にはずっと関心を持ってきた。はたしてどんな書き手になろうとしているのか、反差別運動に何を付け加えようとしているのか。

今回は文春新書ということで、益々その展開が興味深い。お手並み拝見。伏見がこれから書き下ろす本の参考資料にもなるので、じっくりと読ませていただこうと思う。取り急ぎ、御礼まで。

● 角岡伸彦著『はじめての部落問題』(文春新書)730円+税