投稿者「伏見 憲明」のアーカイブ

伏見 憲明 について

作家。 1963年生まれ。 著書に『魔女の息子』(第40回文藝賞受賞/河出書房新社)、『さびしさの授業』(理論社)、『ゲイという[経験]増補版』(ポット出版)ほか多数。 編集長として『クィア・ジャパン vol.1〜5』(勁草書房)、『クィア・ジャパン・リターンズ』(ポット出版)を刊行。 詳細なプロフィールへ→

いただいたご本『愛する男たちの伝説』

matunaga.jpg『ポン・ヌフ物語』『料理人』に続く松永尚三さんの小説。「1980年代を舞台に、ゲイのカップルたちの「愛」をめぐる葛藤と、ロマンティックな恋模様を描いた哀しく、美しいメロドラマ」(帯より)。大阪府議会議員の尾辻かな子さんや、世田谷区議の上川あやさんも推薦に名を連ねている。

●松永尚三『愛する男たちの物語』(文芸社)1500円+税

いただいたご本『悪魔のささやき』

d.jpg編集を担当された方から加賀乙彦氏の『悪魔のささやき』をお送りいただいた。帯のコピーには「小学生殺人、放火、村上ファンドetc……人はなぜ思わぬ悪事に手を染めてしまうのか!?」とある。

人が図らずも陥ってしまう、あるいは、ある時ある人の頭上に突然落ちてくる「魔の時」に焦点を当てた著作らしい。これはとても興味深いテーマである。我が身を振り返ってみれば、(もちろん小さな罪は山ほど犯してきたが)なぜこれまで刑法で裁かれるような悪事に手を染めることがなかったのか、不思議に思うことがあるのだ。こんなに多くの人を憎んだり、しょっちゅう首を絞めてやろうかと思うことがあるというのに(笑)現実的にそれをしないできたのは、どこか偶然のようにも思える。

しかし世の中には反対に、その偶然、「魔の時」を自分の人生に招いてしまう人たちが少なからずいる……。これは他人事とは思えないテーマである。

●加賀乙彦『悪魔のささやき』(集英社新書) 680円+税

『日本のゲイ・エロティック・アート vol.2』

gayero.jpg田亀源五郎編『日本のゲイ・エロティック・アート vol.2—ゲイのファンタジーの時代的変遷』(ポット出版)が刊行されました。前作同様、田亀先生の情熱が結晶した力作。実は、伏見も序文を書かせていただいています。

今回は、長谷川サダオ、木村べん、林月光など、ゲイ雑誌の読者なら一度はお目にかかったことのある有名作家を取り上げていて、とても見応えがあります。ゲイ雑誌に掲載されたときにはわからなかった微妙な表現も再発見できて、純粋にアートとして楽しめる一冊でしょう。ちょっとお値段は張りますが、手元に置いておいて損のない画集。そしてゲイカルチャーの歴史的遺産。

以下、ポット出版のサイトよりコピペ。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
日本のゲイ・エロティック・アート Vol.2
——ゲイのファンタジーの時代的変遷
[2006.08.21刊行]
編●田亀源五郎

定価●4,500円+税
ISBN4-939015-92-0 C0071
A5判/224ページ/上製
印刷・製本●株式会社シナノ
ブックデザイン●沢辺均/山田信也/小久保由美

【内容紹介】
日本のアート史に埋もれる「ゲイ・エロティック・アーティスト」たちを丹念に掘り起こし再評価した「日本のゲイ・エロティック・アートVol.1」に続く第2弾。Vol.1は、ゲイ・エロティック・アートがいつ誕生し、どのように発足したかを追った。そして、このVol.2では、1970年代から現在に至るまで、ゲイ雑誌で活躍しているアーティストを紹介、それらの作品からゲイのファンタジーが時代的にどのように変遷してきたかを探る。編者による各作家の解題も収録。作品収録160ページ(カラー88ページ)。

【目次】
序/伏見憲明…006
日本のゲイ・エロティック・アート史 ゲイのファンタジーの時代的変遷…009
長谷川サダオ…033
木村べん…065
児夢(GYM)…093
林月光(石原豪人)…125
天堂寺慎…157
遠山実…165
蔵本彪…179
解題Abouteachartist…193
あとがき…222

【編者プロフィール】
▼田亀源五郎 たがめ・げんごろう
ゲイ・エロティック・アーティスト。1964年生まれ。
多摩美術大学卒業後、アート・ディレクターをしつつ、86年よりゲイ雑誌にマンガ、イラストレーション、小説等を発表。94年から専業作家となり、ゲイ雑誌『G-men』(ジープロジェクト)の企画・創刊にも協力。
著書に、『嬲り者』(Bプロダクト)、『柔術教師』(Bプロダクト)、『獲物』(ジープロジェクト)、『銀の華(上・中・下巻)』(ジープロジェクト)、(全てマンガ作品)がある。

たなべさんブログ再開

fuko.jpgクィア・ジャパン・リターンズのライターとしても活躍中のたなべさんが、ブログを再開させた。ご本人曰く「これまで、mixiの日記でなんでも書いていましたが、とある出来事をきっかけにblogみたいにオープンにものを書く場所も必要だろうな、と思ったので」。
http://blog.livedoor.jp/tanabenesia/
新木場のゲイ・バッシング問題でも論陣を張っていた彼だけに、これからどんなブログ活動を展開していくのか、伏見も大注目(すぐに厭きてしまうのかもしれないけど)。先のたなべ・斎藤靖紀論争では、伏見は大筋たなべ支持で、ああいう意見が一つも出なかったとしたら、「ゲイコミュニティ、どうよ」と匙を投げるところだったので、孤軍奮闘、本当によくがんばってくれたと感謝。
新木場の件はとくに発言するつもりもなかったのだが、野口勝三・京都精華大学助教授とメルマガ用の対談を収録したら、ノリノリで話しが盛り上がってしまった。読者のみなさんには近く、コミュ二ティ的情緒への違和から、フーコーの権力論批判まで縦横に語る野口センセとの議論を届けることになる予定。
*写真はたなべさんではなく、ふー子。

伊藤文学著『「薔薇族」の人々』

bz.jpgある新聞から書評を頼まれた伊藤文学著『「薔薇族」の人々』。(失礼だがあまり期待せずに読んだら)これが非常に面白かった! 名著ではないか。伏見はこういう本が読みたかった。そしてゲイの人にはぜひとも読んでもらいたい。

書評については、媒体発表後に有料メルマガ【ゲイバァ伏見】で配信する予定。読者の方はお楽しみに!

伊藤文学著『「薔薇族」の人々』(河出書房新社) 2000円+税

ゲイコミュニティは百家争鳴

週末、ゲイコミュニティはmixiを中心に大騒ぎだった。新木場の公園で高校生たちの「ホモ狩り」によってゲイが襲われ、重症を負った事件が報道されたからだ。それだけなら「なんと卑劣な犯行!」という反差別の怒りがわき起こるだけだったとも言える。しかし記事中に被害者が全裸で歩いていた事実が含まれていたことで、メディアで大きく取り上げられ、コミュニティ(あるいは一般の人たちの間)でもさまざまな議論が展開された。差別の実態、欲望の自由と公共性の問題、報道のスタンスへの疑問、ゲイリブの戦略、コミュニティの友情の可能性……。
中でもmixi内でやり取りされた斎藤靖紀(ブル)さんと田辺貴久(たなべ)さんの論争は、実にスリリングで、示唆に富んだものだった。議論を交わす態度といい、語られた内容や水準といい、伏見も多くを学んだ。アクセスする機会がある人は、ぜひ両者の主張を読み比べてもらいたい。そして今後のことを考えていく材料とすることをお勧めする。

いただいたご本『オタクバカ一代』

otaku.jpg*【ゲイバァ伏見】駄デブ日記より

作家の浅野智哉さんがご自身、取材・構成に関わった村濱章司著『オタクバカ一代』(角川書店)を送ってくださった。

寡聞にして存じ上げなかったのだが、この村濱さんという方はオタク界の有名人で、ビジネス的にも大成功を収めたセレブ?だという。ページをめくっていると、どのギョーカイにも歴史があり、ドラマがあるんだなあと、興味深い。っていうか、こういうギョーカイがあるんだ! 伏見が知っているオタクセレブの名前は庵野秀明と岡田斗司夫くらいなのだけど、きっと、そうした文化に憧れる人が読んだら、わくわくするネタ、人名が満載の一冊のはず。

しかし、それにしても、オタクを極めれば大金持ち、オカマでがんばっても貧乏中年……この差は…いったい……。進む道を間違えた。後の後悔先に立たず。いや、後の後悔先に勃ってしまったのが失敗のもと?(笑)

● 村濱章司著『オタクバカ一代』(角川書店) 1600円+税

文藝春秋編『同級生交歓』

doukyuu新刊、というほどではないのですが、今月上梓された『同級生交歓』に伏見も出ております。文藝春秋の名物グラビア「同級生交歓」が新書にまとめられたもの。ご年配の方々(亡くなっている方も多い?)に混ざっての掲載なので、なんだか、そこだけ妙に浮いているのですが。

伏見は第一章の「公立小・中学校篇ーーご近所のよしみ。出会いの不思議。」に、元レベッカのNOKKOちゃんと収められております。NOKKOちゃんはずいぶん華奢な方なので、かなり遠近法を使って撮影したにもかかわらず(笑)並ぶとデカい自分。

しかし未来とは想像もできないものですね。中学のときには、自分が将来オカマの物書き業をしているとは思わず、ましてや、地味な少女だった彼女がロックスターになるなどとは想像もできず……。青春時代は彼女への嫉妬でずいぶん苦しみましたが、いや、いまも複雑な気持ちを抱いていることには変わらないのですが(笑)、そんな二人が埼玉の田舎の中学校で席を並べていたのは、たしかに「出会いの不思議」。

いただいたご本『インド 第三の性を生きる』

india.jpg青 土社の大親友(←メルマガ購読者の意味)のH女史が、インドの第三の性、ヒジュラを写真と文章で紹介する新刊を送ってくれた。『同性婚』以上にマニアック な 内容に 青土社の蛮勇を思い知った気がしたが(笑)、これまでヒジュラものといえば、研究者とか写真家が「観察」したものが主だったので、こうした肉声が聴ける本 は重要かもしれない。

なにせ、ぼくらは、ヒジュラと言われればヒジュラを十把一絡げで見てしまうし、オカマと言われれ ばオカマをのっぺ らぼうに理解しがち。 そこに属 する個々人の言葉に接しないかぎり本当のリアリティは得られない。この本に主人公として登場するモナ・アハメドさんは、ヒジュラ以前にご本人が ずいぶん個性的な様子。なんたって60代で仲間との生活を捨てて、墓場でのひとり暮らしを選んだのだから……。

● モナ・アハメド/ダヤニタ・シン『インド 第三の性を生きる』
(関根光宏 訳/青土社/2600円+税)

いただいたご本『同性婚』

douseikon.jpg副題に「ゲイの権利をめぐるアメリカ現代史」。著者はアメリカのジェンダー/セクシュアリティ研究者、ジョージ・チョーンシー氏。尾辻かな子・大阪府議の活躍で、日本でも同性カップルの社会保障についての議論が少し喚起されたタイミングだけに、こうした本の出版は意義深い。

訳者あとがきに、この本の企画を出版社に持ち込んだところ「市場価値」がないと断る版元もあった、とわざわざ記されていたが、たしかに、この本が売れる可能性はあまり高くない。大手書店の店員さんが「ジェンダー/セクシュアリティの本は本当に動かない」と嘆いているご時世だ(←そりゃそう、論点はとっくに出尽くしていて、あとは真似っこか、オタクに議論を細分化しているだけだもん)。フェミニズムならまだ人口の半分の問題だけど、ゲイやレズビアン、バイセクシュアルは人口の一割にも満たないのだから、尚更。

そういう条件の中で書籍を、あるいは言説をマーケットを通じて流通させていくことは本当に難しい。研究者の自己満足や「記念出版」に終わらせないためには、関係者はがんばって「営業実践」するしかない。ドブ板販促。必要があれば伏見も協力するつもりだ。

● ジョージ・チョーンシー『同性婚』(上杉富之・村上隆則訳/明石書店) 3500円+税