投稿者「伏見 憲明」のアーカイブ

伏見 憲明 について

作家。 1963年生まれ。 著書に『魔女の息子』(第40回文藝賞受賞/河出書房新社)、『さびしさの授業』(理論社)、『ゲイという[経験]増補版』(ポット出版)ほか多数。 編集長として『クィア・ジャパン vol.1〜5』(勁草書房)、『クィア・ジャパン・リターンズ』(ポット出版)を刊行。 詳細なプロフィールへ→

比留間久夫『YES・YES・YES』

yesyesyes.jpg● 比留間久夫『YES・YES・YES』(河出文庫)

 これはいわゆるゲイ小説でも、同性愛をテーマにした作品でもない。全編に男と男の性行為が描写されていた為、そう勘違いする向きもあったが、ここには同性間での性行為はあっても、同性愛は存在しない。

 主人公は「自己破壊」すべくゲイ専用のホストクラブで男相手に身を売る、十代の青年である。彼は同性に性的欲望を抱くゲイではなく、女性を性愛の対象とする異性愛者だ。けれどもプロの売春夫として老若さまざまな男たち(といってもゲイだが)ベッドを共にする。そしてそういった行為の中で、時には快楽さえ獲て、「希薄な日々」を繰り返していく。 続きを読む

井田真木子『同性愛者たち』

douseiai.jpg● 井田真木子『同性愛者たち』

 僕はときどき自分がすっごく幸運なんじゃないかと思う。何をって? 1960年代にゲイとして生まれたことを。
 
考えてみれば、僕らの世代はみーんな団塊のオッサンやオバサンたちのお古をリメイクして使ってきたのだ。ロックだって、アニメだって、ファッションだって元をたどればたいがい60年代に遡る。80年代を席巻したエコロジーやフェミニズムでさえ、その担い手は全共闘の残党だ。キャツラときたらまるでイナゴの大群のように押し寄せては、そこいらじゅうを食い尽くしてしまうのである。結果、後続世代は二番煎じに甘んじるしかない。そう、僕らには自分たちに固有のテーマなんて残されていなかった。カウンター・カルチャーにも、共産主義にも、フェミニズムにも、エコロジーにも、ぜ−んぶ乗り遅れて来たのだ。 続きを読む

QJw「会社で生き残る!」10

vol.2.jpg大手出版●31歳
風俗接待はエンターテイメントの一種
[名前]近藤崇
[居住地]東京
[業種]大手出版
[職種]編集者
・はじけた大学時代
新卒で入りましたから、入社して9年目になります。早稲田大学の文学部にいたこともあって、卒業したら出版社で編集の仕事をしたいと思っていたので、希望通りです。文芸雑誌を出している出版社を主に受験していまの会社に合格しました。最初に配属された部署は漫画週刊誌でしたが、現在は小説の単行本をつくる編集部にいます。役職はついてませんし、私が一番若いので部下はいません。 続きを読む

QJw「会社で生き残る!」9

vol.2.jpg高校教員●43歳
「先生、さぶっぽいですね」
[名前]青山大輔
[居住地]東京
[業種]教育
[職種]公立学校教員
・東京の先生はスカしてる?
都立高校の教員です。一度新卒ですぐ教師になって、それを数年で辞めて、留学したり大学院に行ったり一般企業に勤めたりしてからまた復帰したので、教員生活は通算すると13年ほどですね。いままで正規に勤めてきた学校は高校ばかりです。自分のセクシュアリティを自覚する以前、子どものころからずっと学校の先生になりたいと思っていたから、この職に就くときにゲイであることによる葛藤はまったくなかったですね。 続きを読む

アカデミアへの問いかけ

http://d.hatena.ne.jp/tummygirl/20070702/1183388698
http://d.hatena.ne.jp/tummygirl/20070702/1183388699
FemTumYumというブログのtummygirlさんとずっとやり取りをしているのですが、そこで、以下のような問いかけをしたので、こちらでも。
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前言撤回。ピリオドは止めます。
このやり取りをご覧の方々に広くご意見を伺いたいです。とくにアカデミズムに関わるみなさんに。
まず、事実関係を確認すると。私はブログ FemTumYumにおいて、tummygirlと名乗る人物が「どこかの学会」で私の著作を俎上に乗せて発表したことを知りました(そしてそのエントリの内容を信じました)。tummygirlさんのご連絡先がわからず、コメントの書き込み方もよくわからなかったので、まず、自分のブログに呼びかけのエントリをアップしました。そのすぐあとに、hatenaのコメントの投稿の仕方がわかったので、FemTumYumにも同様のものを書き込みました。
呼びかけた内容は、英語に弱い私としては、tummygirlさんがアップされている英文の発表原稿をできたら訳していただいて、ポット出版の「欲望問題」のコーナーに投稿してもらえないか、あるいは、公開の場で討論をしませんか、というものです。(FemTumYumのエントリの内容が真実だとすれば)その英文の原稿は公的な場所で発表されたものですので、俎上に上げられた人間としてそれについて誰が行ったのかを知り、できれば内容を検討し、必要と思えば応答したかったからです。ただ、私は匿名の人物とネットで論争のようなことはしない主義です。少なくとも自分だけ名前を明らかにして相手は匿名という形ではしません。今回は、それが公の場で発表されたものであるということだったので、そのように思ったわけです。
しかしtummygirlさんはブログの自分と、学会発表をした実名をつなげることはしないというお考えで(学会で発表したものだということを記し、それを一部といえどもブログ上にアップしているにもかかわらず)、あくまで実名で応ずることはしたくない、という立場です。たぶん今後、書評をいただいたとしても、この論理でいくと、それも匿名で、ということになるのでしょう。
コメントにも書いたのですが、もちろんtummygirlさんが私の呼びかけに応じて公開討論に出たり、書評を書く義務はありません。そのことを断られるのは仕方ない。けれど、私としてはせめて、ネット上ではなく私個人に実名を教えてくれないか、とお願いしました。なぜなら、そうでなければ、私には公的な場で自分が俎上に上げられたことについて、どうにも知ることができないからです。そのテキストだけは中途半端にネット上に上げられているにもかかわらず。そして、もし反論が必要だと思っても、直接発表した本人すらわかりません。ブロガーのtummygirlさんと実名の研究者の方をあえてつなげて暴露するつもりはありませんが、ご自身が学会で発表したということを記しているわけですから、俎上に上げた人物から問い合わせを受けたら、個人的に発表者としての名前を明かすくらいは、義務ではなくても「仁義」だと私は考えます。それが言説に関わる人間の(倫理とはいわないが)「礼儀」ではないか、と。
しかし私が個人的なアドレスを(勇気を出して)コメント欄に記したにも関わらず、tummygirlさんは応じるつもりがないようです。はてさてどうしたものか。
みなさんにお考えをお訊きたいのですが、そもそも学会という公的な場で行われた議論に対して、俎上に乗せられた人間はアクセスできないのでしょうか。発表する側はそれが「業績」になるのに対して、俎上に乗せられた側は誰が行ったのか知る権利もないのか。学会という場に関わる人たちは、そうした問い合わせを受けたときに、それに関心を払わなくていいというのが、慣習なのか。その辺り教えていただけませんか。
このようなことはこれから多く起こりうると思いますので、ご意見をいただければ幸いです。
http://www.pot.co.jp/otoiawase/index.php

トーマス・ソングさんのブログ

QJ5.jpgQJ vol.5「夢見る老後!」、QJr vol.1「あなたに恋人ができない理由/関係が続かない原因」にもご協力いただいたトーマス・ソングさんがブログをはじめました。彼の人生は小説以上にドラマティックで、近代の矛盾をそのまま抱え込んだ個人史です。何年か前に来日されたおりには、伏見が少人数の会を催して、とても有意義にお話しをさせていただきました。一つ一つのエピソードが歴史の証言なのですよ! ご興味のある方は以下へ。
http://ameblo.jp/thomas-penfield
Thomas Song(トーマス・ソング)
1929年、韓国人を両親に東京で出生。大連で少年期(1934−46年)を過ごし、旧制高校一年のとき(1945年)日本敗戦。翌46年冬、ソ連占領下の大連から南朝鮮に脱出。48年、単身渡米。高校、大学を卒業(53年)、徴兵され軍務服役後、米国に帰化(56年)、研究院修了。大学の司書と教員生活20数年後、引退。パートナーとの共同生活37年。在米58年。フィラデルフィア在住。

いただいたご本『変えてゆく勇気』

kamikawaaya.jpg上川あやさんからご著書をお送りいただきました。

少し前の出版ですので、さすがに伏見もすでに手にしておりましたが。岩波新書から、というのがインパクトありましたね。実は伏見も10年ほど前に岩波新書へ性的マイノリティの本を出そうと企画を持っていったのですが、そのときはまったく相手にされず(すでに講談社現代新書は出していたのですが、出て来た編集者は「売れないとねえ…」みたいな高いところからの対応で、あんなに不愉快な経験というのも珍しかった!)、やはり権威の壁は高いなあ、とあきらめたことがありました。そして時代は過ぎ去り、性的少数者であることを明らかにして初めて公職についた上川さんが、そこからデビュー作を出されました。この10年の性的少数者の社会的認知の広がりを感じないではいられません。

上川さんとは一度パーティでご挨拶をしたくらいで、じっくりお話しをしたことはありません。でもいつも尊敬の念をいだいていて、彼女の挑戦が大きく状況を動かしたと評価している次第です。先般の選挙でも大量得票で当選し、地方議会から地道に政治的キャリアを積み上げていかれるのだろうと見守っています。上川さんにもいつの日か国政で活躍してもらいたいと願っているのは、伏見だけではないでしょう。

● 上川あや『変えてゆく勇気ーー「性同一性障害」の私から』(岩波新書) 740円+税

注目!

これまでネットでやり取りなどしない主義だったのですが、いま、FemTumYumというブログのtummygirlさんとこのようなコミュニケーションを交わしています。←掲示板童貞、喪失?
http://d.hatena.ne.jp/tummygirl/20070702/1183388698
http://d.hatena.ne.jp/tummygirl/20070702/1183388699
ぼくとしてはtummygirlさんと公開の場での議論を望んでいます。まさか「海外の学会」では伏見憲明について批判?して、国内でぼく自身と直接対話をするのを避ける理由なんてないでしょ?(笑) 「話せばわかる」とは思わないけれど、異なる考え方、異なる言語圏にいるのもの同士が言葉を交わすことは意義深いと思います。昨今そういう対話がちゃんとなされないことの問題を感じます。それこそが学問の制度化じゃないの?
それにクィア&ジェンダー・スタディーズって、現場と不可分の「運動」なわけだから!
毎日このブログに立ち寄られる一般のLGBTのみなさん、ぼくのラブコールがアカデミズムの方に届くのか、ご注目ください!

QJw「会社で生き残る!」8

vol.2.jpgソフトウェア開発●30歳
オネエは警官にはーー向かなかった
[名前]成田登志生
[居住地]東京
[業種]ソフトウェア開発
[職種]QA(品質管理)
・入社前からオカマばれ
勤めている会社は外資系のIT関連の企業です。アメリカや上海で開発されたソフトウェアの不具合検証を行ったのちに日本の各メーカーにお渡しする、という品質管理の仕事をしています。従業員は全世界で500〜600人くらい、日本で20人、小さい会社ですね。日本の会社は出来て10年くらい。入社して4年目です。QA(品質管理)マネージャーという肩書きはありますが、役職にはついていません。平社員ですね。 続きを読む

面白いエントリみーつけ!

FemTumYumというブログに興味深いエントリがありました。
http://d.hatena.ne.jp/tummygirl/20070702/1183388698
http://d.hatena.ne.jp/tummygirl/20070702/1183388699
ブログのコメント欄に以下の文章を書き込もうとしたら、使っているソフトのせいか上手く投稿することができず、書き込めなかったので、自分のところにアップします。誰かFemTumYumのtummygirlという方を知っていたら、ご連絡してくれませんかねえ。こういった分野の大学の先生なので、非常にかぎられているはずですが(笑)。どうぞよろしくお願い申し上げます。それからご本人が見てくださったら、すみません、こんなぶしつけなやり方で。hatenaってよく使い方がわからないのです。
FemTumYumのtummygirl 様
はじめまして。伏見憲明です。
発表された内容、大変興味深いです。
が、情けないのですがなにせ英語に弱いので、訳していただき、
「欲望問題」のサイトにご寄稿いただけたらとてもありがたいです。
身勝手ながら、貴方の分析、批判などなどぜひ読んでみたいです!
こういうのは海外の学会で発表されるのも意義ありますが、
日本国内でやり取りしたらより実りがあるのではないでしょうか。
(「欲望問題」では公にはほとんど議論が起こらない状態なので、
すごくありがたいです。あなたの議論が知りたいです)
あるいは、ぼくは今、大学の中で理論家として「実践」をしている方々が、
どんな指針をムーブメントに与えてくれるのかに興味を持っています。
ご都合のよろしいときに、どこか公開の場で、
さまざまご教授いただくわけにはいきませんか?
理論というのは一般の人々の思考に届き、
現場の方向付けになるものでなければ使えません。
ぼくらのムーブメントの指針をもらえればと思います。
ご多忙でしょうから、日程は貴方に合わせます。
いつでも座敷は用意します。
お名前を存じ上げず、メルアドも探せなかったので、
お手数ですが、ぼくのサイトからメールをお返事いただけないでしょうか。
ぜひとも! 胸をかしていただければと思います。
http://www.pot.co.jp/otoiawase/index.php