投稿者「伏見 憲明」のアーカイブ

伏見 憲明 について

作家。 1963年生まれ。 著書に『魔女の息子』(第40回文藝賞受賞/河出書房新社)、『さびしさの授業』(理論社)、『ゲイという[経験]増補版』(ポット出版)ほか多数。 編集長として『クィア・ジャパン vol.1〜5』(勁草書房)、『クィア・ジャパン・リターンズ』(ポット出版)を刊行。 詳細なプロフィールへ→

10/3(水)は通常営業、10/6(土)はカフェのラスト!

10/3(水)のエフメゾは通常通り、17時から朝までです。スタッフはタカオちゃん、りゅういち君、しげちゃんのイケメン三人衆。食事はカレーライスをワンコイン、500円でご用意しております(でも飲み屋なんで、カレーだけってのはなしよー!)。

10/6(土)のカフェは13時から19時まで。今回で第一土曜日のカフェはラストになります。別にエフメゾのイベントを企画しているので、新たなことが決まり次第、告知します。

今後ともエフメゾをどうぞよろしくお願い申し上げます。

水曜限定バー、エフメゾについて

メゾフォルテの休店日(水曜)を、伏見憲明が借りて営業しているのがエフメゾです。ゲイバーなのでゲイ中心主義ですが(笑)、ゲイ以外の性的少数者にも、異性愛者にも開かれたバーでもあります。ただし、「ブス!」とか「淫乱!」とかママに罵倒?されても、そういうゲイバーのノリを楽しめる方のみ入店をお願いしております。実際の客層は、ゲイが半分、あとの半分を女性やノンケ男子などが占めている感じです。

営業時間は19:00−04:00。ママの体調いかんでは早く店じまいすることもあります。ドリンクの他に、おでんや、ママが朝からぐつぐつ煮込んでいる名物「男ができるカレー」が用意されていて、食べると幸せになれます(たぶん、笑)。常連の学生さんには飲み放題コースも!

エフメゾは水曜限定ですが、バー内部活?というのがあって、「読書部」ほかの活動で週末などにお客様が集まる機会があります。ときにはみんなで合宿をしたり、出かけたりもします。読書部は担当者が指定した本をみんなで読んできて、あーだこーだ話し合う場です。あと、ドラクエ部や煩悶部なども?

住所:新宿区新宿2−14−16 タラクビル2F メゾフォルテ
*電話での場所のお問い合わせには応えるのが難しいので、ネット検索などで調べてお越しいただければと思います!

● 伏見ママがエフメゾについて書いたエッセイは→こちら

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有元伸子さんからいただいた書評

51fXkkLfnRL._BO2_204_203_200_PIsitb_sticker_arrow_click_TopRight_35__76_AA300_SH20_OU09_.jpg広島大学大学院文学研究科の教授の有元伸子先生から、『百年の憂鬱』の書評をいただきました。有元先生は『三島由紀夫 物語る力とジェンダー』(翰林書房)などで知られる三島研究の第一人者! 心より感謝申し上げます。

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 世に認められていないという屈託を抱えた中年の男性作家が、目の前に出現した若さに夢中になり、そして……。いわば「私小説」の常道ですが、『百年の憂鬱』が従来の作品と大きく異なるのは、ひとつには主人公の前に現れるのが若い娘ではなく、アメリカ出身の若い男性だということ。
 数十年来のパートナーの忠士との自然で馴れ合った関係と、新たに目の前に現れたユアンとの激情。主人公は二つの男同士の関係の意味を知悉していながら、両方に手を伸ばそうとしますが、その狡猾さと純情さとが、真摯に、ときにコミカルに描かれ、ぐいぐいと小説世界に引き込まれました。

『百年の憂鬱』のもうひとつの特徴は、「松川さん」というゲイコミュニティの先駆者との交流が描かれること。小説の主筋であるユアン-私-忠士の恋愛関係に、松川さん-私-ユアンという世代の問題が交錯し、同性愛に対する世代や文化による感覚の差が、この小説のもう一つのテーマとなっています。
 明治末年生れで敗戦後のゲイ社会を生き抜いた松川さんが語るオーラル・ヒストリーのすさまじさ、面白さ。彼が身につけた猜疑心や厭世観は同性愛受難の時期をサバイバルするのに必須のものだったのでしょう。同性愛に向けられた当時の社会のまなざしが実感させられますが、そうした差別や疎外をリアルに受け止められる主人公と、まったく想像9784780801842_2.jpgの外にあるユアンの世代・文化の感覚の差。にもかかわらず、三者は確かにつながっています。
 主人公は一人暮らしの松川さんを長年にわたり訪問し、彼の語る貴重なゲイの歴史を記録しながらも、書き手としての利益のために松川さんと関わっているのではないかといった葛藤を抱えていました。松川さんが主人公をどのように見ていたのか、最後に開示された松川さんの言葉と松川さんの歴史そのものである「アルバム」の行方は、血縁によらない男性たちのすがすがしい関係を示して、大きな救いとなっています。

 初読では主人公とユアンの恋愛の顛末に目を奪われて、あっというまに読了してしまいましたが、再読すると、図と地が入れ代わるように、松川さんの語るゲイの歴史の物語の方が表層に浮び上がり、主人公の恋愛劇が地模様に転じて映りました。
 主人公にとって切実な愛の喜びや悶えは、もちろん彼にとってはかけがえのないものなのですが、松川さんの語ったような多くの男たちの関係や情念の歴史の一コマに過ぎないものでもあります。『百年の憂鬱』のタイトルそのまま(マルケス!)、個人的な恋愛関係や感情が、日本近代100年の男たちの歴史のなかに溶かし込まれていくような、なにかとても大きな広がりをもつ世界に誘われました。

 知的で魅力的な一人の男性の身の丈の感情と、その背後に広がる男たちの歴史的な連続性。二つの世界を交錯させる緻密な構成と、意欲作でありながらナチュラルな描写。
 小説中の松川さんの語りには、江戸川乱歩や三島由紀夫を思わせる人物も登場します。三島の『仮面の告白』や『禁色』からほぼ60年。男同士の恋の小説はここまで豊かに成熟したのだなあという感慨にかられました。

 伏見さんにとって「もっとも重要」な作品だという言葉に、素直に納得です。

『にじ色 ライフプランニング入門』トーク

51JwHAnKXxL._SL500_AA300_.jpg9/1のエフメゾのカフェ営業(毎月第1土曜日)は、16時からLGBTやシングルのみなさんにお役立ちの『にじ色 ライフプランニング入門』(にじ色ライフプランニング情報センター)を著した永易至文さんを迎えての、小さなお茶会トークがあります。

伏見も現在、親の介護問題などはじまって、「生きていくのって厳しい…」と噛み締めているところなので、永易さんにさまざまお伺いしたいと思っています。また、LGBTやシングルの人たちがどう後半生を生きていくのか、その可能性/不可能性についてみなさんと一緒に話すことができたら、と。

料金は飲み物代だけです(1000円/1drink)。LGBT以外でもご興味がある方は参加歓迎。カフェ自体は13時からオープンで、19時くらいまでやっています。トークとは関係なく休日の午後のカフェを楽しみたい方も、もちろん、遊びに来てください!

永易さんの本の概要→「同性愛者のライフプランは、持ち家、保険、老後などなど、いろんなところで「男女夫婦・子どもあり」とはちょっと違う。お金が続くか? 老親どうする? 子どもなしで迎える老後って? そんなゲイたちの疑問に、長年ゲイのエイジング問題を追いかけてきたライターでFPの著者が答えます。セクシュアリティを超えて、シングルや非法律婚カップルのライフプランニングにも最適な一冊。 」

佐藤雄駿 著『悪魔の飼育』

51b9NQvRbuL._SL500_AA300_.jpg8/29(水)のエフメゾははじめ、気鋭のロックバンド、NON’SHEEPのボーカリスト、佐藤雄駿さんを迎えたトークイベントを行います(19時〜20時)。

佐藤さんはバンド活動の他にも最近、徳間書店から『悪魔の飼育』という小説集を上梓するなど、才気あふれる28歳。伏見が二十歳で子供を作っていたらこんな年頃の息子がいて不思議ではない、というくらい年齢が離れていますが(笑)そんな世代も経歴もセクシュアリティも異なる二人が対話して、いったいどんな言葉が紡がれるのか。異文化間コミュニケーションを楽しみたいと思っています。

トーク後、佐藤さんの気持ちがノッていたらアコースティックギターによる生演奏もあり、とのこと。楽しみです。

『悪魔の飼育』も、佐藤さんならではの厭世的な?物語世界が広がっていて、刺激的な小説集です。「一度目の歌は、終結部(コーダ)で”喉が渇く前に埋葬を”と歌われる」「僕は”死”が放置されることが何よりも怖かった」「僕の今日は、僕の昨日と酷似している」「誰に届くでもないその言葉は、鵯(ひよどり)のさえずりとともに、そよ吹く風に入り交じっていく」……等々、印象的なフレーズも満載!

平日の夜の早い時間帯、という日程ですので、地味なイベントになると思いますが、異色のトークを聴きに来てください。そして、そのあとはゆっくりエフメゾで飲んで帰ってください。

『百年の憂鬱』書評、感想集

20120805org00m100002000p_size5.jpg● 中村うさぎさん

若い美青年と恋に落ちる中年男の複雑な心情を描いた本作だが、その背後にBGMのごとく流れる年老いたゲイの孤独と厭世と呪詛の独白が素晴らしい。

人間は他者を裏切らずにはいられない生き物なのか。そして、裏切り裏切られてもなお他者を必要とせずにはいられない生き物なのか。

そんなことを考えながら読むうちに、胸の底がひたひたと冷たい水に浸されていく。それは厳しく冷ややかだが、どこかで心地よい清涼感すら含んだ水だ。私はそれを「真実」という名の水だと思った。

(「サンデー毎日」8.19-26号より、転載させていただきました)

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● 南定四郎さん

adon.jpg貴著『百年の憂鬱』をお送り頂き誠に有り難く御礼申し上げます。さっそく今朝から読み出し、今、読了いたしました。あっという間に読み進みました。登場人物のそれぞれの持つ人生経路と、そこから発生する必然として愛情と嫉妬と軽い憎しみが織りなす人間模様のすさまじさ、あるいは加齢がもたらす人生の哀感がそこはかとなく表現された物語に時間を忘れて読みふけりました。私はかねてから、「日本にはゲイ・ポルノはあるけれどもゲイ・ノベルスがない」と、自戒をこめて言ってきましたが、これぞまさにゲイ・ノベルスだと言いたいと思います。オスカー・ワイルド、E,M,フォスター、サマセット・モームのゲイ・ノベルスと肩を並べる『百年の憂鬱』に快い読後を味わっています。有難うございました。(私信より)

*画像は南氏がかつて編集長を務めていたゲイ雑誌「ADON」

中村うさぎさんとの対談をアップ!

978_4_7808_0184_2.jpg先日、エフメゾで行われた『百年の憂鬱』の刊行記念トークですが、ついにテキストがアップされました!

伏見はママと兼業でどうにも頭が朦朧として上手く喋れなかったのですが、対談相手の中村うさぎさんの見事な話術と内容の濃いお話しのおかげで、とてもとても意義深い内容のテキストになりました。中年の恋愛やアイデンティティ、性愛とパートナーシップの関係、若さとエロス……さまざまなテーマについて語り合っております。

ご興味のある方はこちらへ→トークライブ「!00%の自由や平等は、人を幸せにしない!?」

NON’SHEEPの佐藤雄駿さんとトークライブ!

8/29(水)のエフメゾは、気鋭のロックバンド、NON’SHEEPのボーカル、佐藤雄駿さんをゲストに迎え、トークイベントをします。佐藤さんは先頃、小説集『悪魔の飼育』を徳間書店から刊行し、小説家としてもデビューした才人。そんな若いアーティストに伏見が熱烈トーク!

「小説で描きだす憂鬱と生き辛さーー互いが抱える、異なる要因からくる生き辛さと憂鬱を小説という術で表現することについて語る」

19:00−21:00 伏見憲明とのトークと、もし佐藤さんの気分が乗ったら彼によるアコースティックギターによるライブ!

エフメゾのお客様は通常料金で、イベントだけをご覧の方は1000円/1drink です。

NON’SHEEP official website

8/8(水)は通常営業

978_4_7808_0184_2_1.jpg毎日、猛暑が続いておりますが、エフメゾは8/8(水)も通常営業です。17時から翌朝04時まで(ただし、虚弱ママの体調いかんによっては早じまいもありますので、深夜遅くにご来店のおりはご連絡いただければ)。

学生さんには焼酎などの飲み放題の割引もあります! 食事はカレーをご用意しています。朝からママが煮込んだエフメゾ名物の一品です。

スタッフ一同、皆様のご来店をお待ちしております!

中村うさぎさんとトークショー!

nakamurausagi.jpg毎月第1土曜日のエフメゾのカフェ営業、8/4(土)は『百年の憂鬱』の刊行を記念して、中村うさぎさんとのトークショーも開催!

うさぎさんと伏見で、中年の恋とは? 制度としての結婚の意味って? 性愛とパートナーシップの関係って?などなど語り合いたいと思います。ゲイの夫を持ちながら、ホストやウリ専にはまったうさぎさんならではのお話しが聴けると思います!

料金は飲み物代(1000円/1drink)。カフェ営業は13時からですが、トークショーは17時からです。

ゲイにかぎらず、みなさん遊びに、聴きにお越し下さい。

*エフメゾは水曜日と第1土曜日の昼にメゾフォルテさんを借りて営業しているバーです。
新宿区新宿2-14-16 タラクビル2F メゾフォルテ

中村うさぎ/作家。
1958年福岡県出身。同志社大学文学部英文学科卒業。OL、コピーライター、雑誌ライターなどを経て、1991年にライトノベル作家としてデビュー。「ゴクドーくん漫遊記」で人気を博す。
ライトノベルを中心に作品を発表していたが、ショッピング依存症、ホストクラブ通いなどの浪費家ぶりや、自らの美容整形について赤裸々に書いたエッセイを発表。「ショッピングの女王」「ビンボー日記」「美人になりたい-うさぎ的整形日記」が大ヒット。
主な著書に、「私という病」「屁タレどもよ!」「人生張ってます 無頼な女たちと語る」他多数。