外見と自己肯定感
伏見 もともとの自分の顔、「アザ」の存在を肯定的に受け止められている、それが好きだという感覚があるとしたら、逆に、メイクすることも楽しめるということはありませんか?
石井 女性特有の傾向ではないでしょうか、メイクアップを楽しむことができるということは。
伏見 それは文化の問題だと?
石井 それはありますね。男文化を生きてきた僕ではそれは難しいですね。
伏見 今回、僕の友達のドラァグクィーンの男の子と、石井さんで立場を交換してもらうという企画も最初考えました。ドラァグクィーンの子には素顔に「アザ」をつけてもらい、石井さんには一日女装で過ごしていただいて、そのうえで座談会をしてもらったらどうかなと。偽物、見せ物になることを楽しむドラァグクィーンと、メイクをすることで、偽物、見せ物になることの屈辱感を感じる人たちでは、いったい何が違うのか。顔に象徴的な印が存在しているという意味では同じなのに、片方はそれを見られることを喜びと感じ、もう片方はそれを屈辱と感じる。そのコントラストから見えてくる地点もあるのではないかと思いました。 続きを読む
投稿者「伏見 憲明」のアーカイブ
QJ座談会「アザ」と「ハゲ」の政治学 前編
座談会「アザ」と「ハゲ」の政治学
初出/「クィア・ジャパン vol.3—魅惑のブス」(勁草書房/2000)
須長史生
社会学者
石井政之
フリーライター
司会 伏見憲明
すなが・ふみお
1966年東京に生まれる。社会学者。主著『ハゲを生きる——外見と男らしさの社会学』(1999年、勁草書房)。
いしい・まさゆき
1965年、名古屋出身。豊橋技術科学大学物質工学課程卒業。99年『顔面漂流記』(かもがわ出版)を刊行し、同時期に顔にアザやキズのある人のセルフヘルプグループ「ユニークフェイス」を設立。初代ユニークフェイス東京代表世話人。今年6月「人間にとって顔とは何か」を考える場『顔塾』をつくった。
続きを読む
クィア学会、大成功!
昨日、東京大学で行われたクィア学会の創立大会は大盛況のうちに終わった。台風による風雨のなか、2、3百人は集まったのだろうか? 地方からの参加者も多く、また世代も幅広く集まり、会場は熱気に包まれていた。近年、こうした密度の濃い空気をクィア関係のイベントで感じたことがなかったので、ちょっと90年代の「熱」を思い出した。
クレア・マリイさんによる開会の辞もたいそう立派で、格調の高いものだった。伏見のベシャリは相当おふざけでコマッタちゃんでしたが(笑)、他のシンポジストの方々がきちんとそれぞれの考えを述べられていたので、シンポジウムも意義深いものになったのではないでしょうか(ゲイ関係のことは砂川秀樹さんが理路整然と分析していたので、安心して伏見はイロモノに徹することができた、と弁明)。河口和也さんと堀江有里さんの司会も軽妙で、よかったです(いやあ、掘江さんがあんなに笑えるキャラだとは知らなかった)。
個人的には、以前から尊敬申し上げていた沢部ひとみさんとごいっしょできて、とても光栄だったー! 編集者、ライターの大先輩としていつかお目にかかりたいと思っていたので。
「クィア学会」というので、ポスト構造主義とか、近代批判とか、「バトラー祭り」とか、そういうのがしたい人たちの巣窟になるのならどうもねえ…と思っていたのだが、交流会などに残ってみても、実にいろんな考え方の人たちが集まっていて、ここなら、異なる世界像をぶつけ合うことができるような気がしたので、伏見もお金を払って入会させてもらうことを決めた(←えらそうな物言い)。
とうか、清水晶子さんが、会に何かを期待するより自らそこに積極的に参加して盛り上げてほしいというような旨のことをおっしゃっていて、それは本当にそうだなあと思った。伏見もこれからはゲストとか人任せではなく、会員として積極的、主体的に参加しようと決意した。どうせなら、後半生はクィア学会に捧げちゃおうかしら! 最近、44歳の手習いで大学で学問を勉強をしはじめたので、ちょうどよいかもー。
ともかく、スタッフ、ボランティアのみなさん、ご苦労様でした。暴言、無礼な態度、たいへん失礼いたしました(笑)。
対談「あなたがオバサンになっても」後編
● マッキー世代とマドンナ
伏見 エスムがマドンナを意識し始めたのはいつ頃から? 僕と違って、セクシュアリティが確立される前の頃だよね?
エスム ええ、そうです。マドンナの存在を知ったのは中学生の頃で、その時は単に「海外で売れてる人だ」くらいの認識しかなかったですね。ちゃんとマドンナを聴くようになったのは二〇歳を過ぎてから。ゲイの友達ができて、そのメッセージ性までよく理解できるようになって、初めて好きになりました。クラブのゲイナイトに行き出したのもその頃なんですけど、『ヴォーグ』とか『ディーパー・アンド・ディーパー』とか、マドンナの曲がよくかかってて「ああ、かっこいい、かっこいい!」と。 続きを読む
対談「あなたがオバサンになっても」前編
■ 対談 あなたがオバサンになっても
キャンプと変化の行く末を見つめて
伏見憲明
エスムラルダ
*初出/ユリイカ(青土社/2006.3)
特集「マドンナ」
● ゲイ・ディーバとは誰か
伏見 『SMAP_SMAP』にマドンナが出たのを見ましたか? その時もあのピンクのレオタードだったんだけど、なんかちょっと染みがついてなかった?(笑) あの「使い込んだ感」はなんだったのかしらノノマドンナ・サイドの狙い? そもそもあの衣装からどんなメッセージを受け取ればいいんだろう?
エスム そこはノノ評価が分かれるところですよね(笑)。人によってはそのまんま「かっこいい」と捉えたみたいだし、四七歳でそれなりに皺があって、ヒップラインも垂れてきてるのに、隠そうともしないところがマドンナの狙いだ、って思ってる人もいるし。本人が果たしてどこを狙っているのかノノ 続きを読む
いただいたご本『結婚という決意』
いまから15年前に刊行された小浜逸郎『人はなぜ結婚するのか』がPHP新書として復刊。
結婚に関してはこの15年のあいだでずいぶん状況が異なってきたように思いますが、本質的な部分については本書で述べられたままなのではないでしょうか。結婚論としてすぐれた一冊です。
なかでは伏見の「若気の至り発言」も取り上げ、バッチリ切りまくってくれていますが、「おっしゃるとおり」としか言えません(笑)。そのことを前書きでわざわざ気に留めて記されているところが、小浜さんの実は繊細でやさしい性格なのでしょう。ホント、真面目でいい人ですね。
それにしても団塊の世代の思想家って、上野千鶴子さんにしても小浜逸郎さんにしても、橋爪大三郎さんや竹田青嗣さんにしても、それぞれがそれぞれの立場ですばらしい仕事をされているのに、それに続く世代は(宮台真司さんなどをわずかな例をのぞいて)いまひとつパッとしないのは、どうしてなのでしょう。ぼく自身、もっとちゃんとした仕事をしないといけませんねえ。
● 小浜逸郎『結婚という決意』(PHP新書) 950円+税
QJインタビュー 前田邦博さん(文京区議)
■ 福祉制度の利用術
—お金を貯めることより、
友達を作ること
*初出/クィア・ジャパン vol.5(2001/勁草書房)
前田邦博
文教区議会議員
前田邦博(まえだ・くにひろ)
1965年11月9日文京区に生まれる。
1988年住宅・都市整備公団に入社。母の介護問題(アルツハイマー病による痴呆症)に直面し、福祉や心理分野への関心が高まり、96年より約8年間のサラリーマン生活を終える。以降、都内を中心に全国各地でカウンセラー養成講座の講師を行い、普及のかたわら、痴呆の方の介護家族を支える活動や不登校の問題、男女共同参画社会に向けての活動を行う。1999年4月の統一地方選挙で無所属の新人として挑戦し、東京都文京区の区議会議員となる。高齢者福祉サービス評価研究会代表、生と死を考える会理事
● 母親がアルツハイマー病になった時
伏見 前田さんは文京区議会議員として、とりわけ福祉の問題に意欲的に取り組んでいらっしゃいますが、なぜそのような事柄に関心を持つようになったのですか?
前田 八年前、母親が若年性アルツハイマー病(注1)を発病したのがきっかけでした。母は現在、六三歳なので、五五歳のころですね。 続きを読む
QJr対談「二丁目の過去・現在・未来」

■ 二丁目の過去・現在・未来
*初出/クィア・ジャパン・リターンズ vol.2 (2006/ポット出版)
中田たか志[Shifty Air]×福島光生[mf(メゾフォルテ)]
新宿二丁目のベテランのおふたり
中田たか志さん(Shifty Air 経営/東京レズビアン&ゲイパレード実行委員)と
福島光生さん(メゾフォルテ/二丁目振興会代表)に
新宿二丁目の今昔について語っていただいた。
若い世代には知られざる街の歴史がここに明らかに!
聞き手●伏見憲明/構成●川西由樹子
● 中田たか志 なかた・たかし
1960年8月1日生まれ。歯科医師、1996年5月「中田歯科クリニック」開業、東京都エイズ協力歯科診療所運営協議会委員。日本舞踊春謡流名取師範、春謡妙嘉新舞踊教室を開講。日本スノーボード協会公認インストラクター、ゲイのスノーボードサークル「Shifty Air Snowboard Team」主宰。東京レズビアン&ゲイパレードを主催する TOKYO Pride 副代表理事。
● 福島光生 ふくしま・みつお
1958年東京生まれ。ライター/コピーライター/ゲイバー「mf(メゾフォルテ)」経営。「東京レズビアンゲイパレード2001」実行委員長、新宿ニ丁目振興会代表。著書『ソメイヨシノは、実をつけない〜新宿2丁目的青春』(久美沙織、藤臣柊子、共著/メディア・ファクトリー)。
続きを読む
QJr 座談「こいつがいるから真っ当に生きられる」その3

(写真は西野浩司さんの飼い猫、デビ)
猫が
元カレとの
友情を
復活させて
くれた
伏見 佐藤さんは犬がきてから夫との関係もより良好になりましたが、斎藤さんは男のほうが猫よりあとにくるでしょう。猫と男の人との関係性はどうですか。
斎藤 前々からそういうところあったけど、男の人との関係は遊び以外は考えられないもんね。たまたまこのあいだは生活保護受けてる人だから、この家で過ごしたけど、本来だったらホテルとかで過ごしたいからさ。1泊ぐらいだったら、朝帰りしても忠ちゃんも怒りませんから。前に7年間つきあったような関係は、もう無理だろうね。 続きを読む
QJr 座談「こいつがいるから真っ当に生きられる」その2

(写真は佐藤さんの飼い犬、鉄)
鉄が
夫婦の
結びつきを
強くした
伏見 佐藤さん夫婦は同居を始めて何年になるの?
佐藤 10年ちょっとですかね。
伏見 その関係性自体は、問題はないんですか(笑)。
佐藤 一緒の職場で仕事しているし、仲良しですよ。仲良しだけど、もう恋愛じゃないですよね。 続きを読む