投稿者「伏見 憲明」のアーカイブ

伏見 憲明 について

作家。 1963年生まれ。 著書に『魔女の息子』(第40回文藝賞受賞/河出書房新社)、『さびしさの授業』(理論社)、『ゲイという[経験]増補版』(ポット出版)ほか多数。 編集長として『クィア・ジャパン vol.1〜5』(勁草書房)、『クィア・ジャパン・リターンズ』(ポット出版)を刊行。 詳細なプロフィールへ→

石原慎太郎『子供あっての親ーー息子たちと私』


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● 石原慎太郎『子供あっての親―息子たちと私 (幻冬舎文庫 い 2-9)』(幻冬舎)

★★★ 一つの子育て論として興味深い

私の散歩のコースにはグラウンドがあって、日曜日にはよく小学生のサッカーチームが練習や試合をしている。それを見守る親御さんたちの様子を眺めながら、親の気持ちというのはいったいどのようなものだろうかと思うときがある。彼らの多くは私と同世代なのだが、私には子供がいない。それに負い目を抱くことはないのだが、ある種のうらやましさを感じないとは言わない。

石原慎太郎著『息子たちと私』は、世間的に有名な家族の記録としても面白く読めるが、男親にとって子供はいかなる存在なのか、という点において好奇心をそそられる一冊だ。石原氏はそこで、子供の成長、兄弟関係、仕事、スポーツ、性、旅、結婚といったテーマを、具体的な子育ての経験とともに語っている。それは氏の人生観そのものだ。 続きを読む

石井政之『顔面バカ一代』


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● 石井政之『顔面バカ一代―アザをもつジャーナリスト (講談社文庫)

★★★★★ 美醜の問題を考える上で、もはや古典ともいえる作品

*単行本版のタイトルは『顔面漂流記―アザをもつジャーナリスト

衝撃的な本である。そして、名著として評価されるべき内容の作品でもある。

衝撃的というのは、顔にアザを持って生まれた一人の青年が、そのことによってどれほど心に深い傷を受けてきたかを赤裸々に綴ったという意味で、これまでにあまり類のない告白であるということ。

著者は単純性血管腫という病気で、生まれつき顔面に赤アザを持っていた。幼児のときにドライアイス療法というのを受けるが、アザは消えることなく残った。そして顔面に「障害」を持つものの多くが「体験」するように、子供時代にはイジメを受ける。思春期以後、コンプレックスに打ち勝とうと勉強に専念したり、身体を鍛えたり、アザを隠すメイクを施してみたりと、さまざまなことを試みるが、心の平安はやってこなかった。成人してさえ、見知らぬ子供たちにも侮蔑的な言葉を投げ付けられる人生。 続きを読む

鈴木透『性と暴力のアメリカ』


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● 鈴木透『性と暴力のアメリカ―理念先行国家の矛盾と苦悶 』(中公新書)

★★★★ なぜアメリカが性革命をなし得たのか、その背景を知ることができる

先頃アメリカ合衆国で行われた中間選挙は、上院下院ともに民主党が過半数を獲得した。これで政治の風向きもまた変わるかもしれない。近年のアメリカは、ヒッピーや反戦運動が盛り上がった60年代とは様変わりして、保守的な色彩を強くしていた。しかしそれは、アメリカが過去とは異なるものに変化したというよりは、潜在的に内包している二つの面の一方が噴出した、と見るほうが適当のようだ。

鈴木透著『性と暴力のアメリカ』は、その「原理」を建国の理念とその後の歴史から読み解こうとしている。そこでキーワードになるのが、「性」と「暴力」である。「性をめぐる問題は、他者との関係をどう築くべきか、また暴力の問題は、紛争をどう解決するかという、ともに人為的な統合や理念先行の国家というアメリカが背負った宿命と深く関係している」。 続きを読む

いただいたご本『回転する熱帯』


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** いただいたご本の紹介には星取りは入れません。

● 望月飛鳥『回転する熱帯』(ランダムハウス講談社)

ゲイバーをやっていると思わぬひとが扉を開けてくれる。知り合い以外は、伏見憲明サイトを密かに訪れていてくれた方々が多いが、この本の著者、望月飛鳥さんもその一人だ。真夜中、エフメゾにお土産をいっぱい抱えて入ってきた彼女は、朗らかな表情のなかにも妖しい色気をのぞかせた女だった。寡聞にして、ランダムハウス講談社第一回新人賞のことは知らなかったのだけれど、「何者か」であることは間違いないオーラ(笑)。本作も、「日米同時デビュー 世界が認めた鮮烈な才能」と帯にある通り、日本文学に収まらないワイドを持った作品だった。

伏見は以前から「在留邦人」という人々になみなみならぬ関心を持っていた。それは相棒が海外暮らしが長く、そこでの人間関係などを間接的に見聞きしていると、海外に生きる場を求めた彼らのエネルギーや「胡散臭さ」が、たまらなく面白いからであった。本書はそうした「在留邦人」の視点からベトナム社会と、そこでの人間模様を描いたもので、ここには確実に現在の日本の「一部」が存在している。「母国に安住出来ない私たちは、きっと何かが足りなくて、代わりに何か余分なものを持っているように感じる」という一文に、膝を打つ思いがした。

たぶん望月さんの体験であろう、ベトナムで日本語教師をしている「私」と女性の恋人ユンの物語。女性同士の性愛の緩い官能、男女の肉欲の熟れた香りが全編に漂っていて、熱帯にワープしたような蒸暑い読書体験をすることができる。妙にエロティックで、やたら飯が美味しそうに描写された小説だ。伏見も読後、どうにも性欲が昂進し、ひたすらベトナム料理が食べたくなった。

小浜逸郎『「弱者」とは誰か』


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● 小浜逸郎『「弱者」とはだれか (PHP新書)』(PHP新書)

★★★★★ 差別や反差別運動を考える上での必読書

 これは、被差別者でもマイノリティでもない、「私」としての著者が、「弱者」を取り巻く問題に正面から向かい合った一冊である。

 小浜はこの本の主題を「いわゆる『弱者』や『マイノリティ』への配慮のあり方について」だとしている。そしてそういった社会的な認知を受けた人々が「自分たちの問題について語る『聖なる特権』を得……逆に、その認知を受けない他の人々は、その領域に踏み込むことに対して、不要な恐れ(畏れ)を抱くようになる」構造に、鋭く批判のメスを入れる。 続きを読む

いただいたご本『発達障害 当事者研究』


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● 綾屋紗月+熊谷晋一郎『ケアをひらく発達障害当事者研究-ゆっくりていねいにつながりた』(医学書院)

この本の著者のお二人とは先日対談をして、『精神看護』という雑誌に遠からずそれが掲載されることになっている。内容についてはそこで語り合っているのでそんなに立ち入らないが、「精神医療」にはほとんど関心がなかった伏見にも刺激的な内容だった。

著者の綾屋さんは幼少の頃から他人との関係が上手くいかない、コミュニケーション不全の問題を抱えていて、最近になって「アスペルガー症候群」という言葉にたどり着いた。しかし既存の医学の解釈をそのまま受け取るのではなく、もう一度自分の言葉でそれをとらえ直そうと、熊谷氏との対話を通じて一冊の本を書くことにした。他人の言葉に自分を委ねず、手探りで自分の内面を言語化した知性に感嘆するばかりである。

彼らコンビがここで示したオリジナルな考え方は、「私たち自閉圏の人間は、『意味や行動のまとめあげがゆっくり』なのだというものだ」。本書ではその仮説が正しいかどうか、綾屋さんの内的な過程を分解し構成し記述することで、ていねいに検証している。読者はそれに同伴することで、自分たち自身のコミュニケーションの不思議を逆照射されることになる。そう、この本は、我々のコミュニケーションの独自の形式こそを浮き彫りにしてくれるはずだ。

小浜逸郎『男はどこにいるのか』

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★★★★★ ジェンダーについて考えるときの必読書
小浜氏の議論を等閑視してジェンダーを議論するのは卑怯者のやること!

● 小浜逸郎『男はどこにいるのか』(ポット出版)再刊

この度復刊された『男はどこにいるのか』を筆者が最初に読んだのは、いまから14年前のことである。一読した感想は、「たしかにその通りだと思うが、……」。小浜逸郎氏の論に終始納得させられながらも、「……」という部分を残さずにはいられなかった。

それについては少し説明がいるだろう。本書が刊行された90年代の初頭というのは、既存の性役割りに対する窮屈さがリアルに存在していた、と振り返る。セックスに対するタブーは根深くあったし、女性の社会進出もどうにか可能になったばかり、性の多様性などということも、やっと語られるようになった時代だ。筆者の世代的な制約もあるにせよ、性役割り、つまりジェンダーをいかに乗り越えていくのか、というテーマが共感を呼ぶ土壌は広く存在していただろう。 続きを読む

いただいたご本『クィア・セクソロジー』

queer_s.jpg「性の思い込みを解きほぐす」という副題がついているように、本書は、ジェンダーやセクシュアリティの一般的な観念に別の方向(クィア)から光を当てるものである。著者の中村美亜さん自身、トランスジェンダーということで、ステレオタイプな性とは別の人生を生きている。本人の問題意識を深めるためにアメリカへ留学し、さまざまな研鑽を積んできただけあって、幅広く議論を網羅してあり、まじめな勉強家であることがよくわかる。

文章もわかりやすく、記事もバラエティに富んでいるので、クィア・スタディーズの初心者にはとても使える入門書と言えるだろう。

● 中村美亜『クィア・セクソロジー―性の思いこみを解きほぐす』(インパクト出版) 1800円+税

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いただいたご本『風俗お作法』

fuzoku.jpg松沢呉一さんの新刊が出た。今回は風俗におけるサービスとはいかにあるべきか?がテーマになっている。っていったい誰が読む本なのよ、と思ったわけだが、帯にあるように現在は「なりたい仕事ランキング」にキャバ嬢&ホステスが9位に入る時代。風俗嬢だって予備軍(あるいは現役軍)がたくさんいるのだろう。

本書で松沢さんは良い風俗嬢とはどんな子なのか、というのを事例やら体験談を使って説明している。もちろん容姿に恵まれた女性であるにこしたことはないが、それだけでは現場で人気が出ないところが、こうした本が書かれる理由なのだ。端的に言って、男は見た目の欲望だけではリピーターにはならない。松沢さんによれば、風俗サービスで大切なのは、「ナメ・ホメ・マメ」なんだそうな。でもこれって、ナメはともかく(笑)コミュニケーションの基本ですよね。つまり、求められているのはコミュニケーション能力なのだろう。

ということで、この本は風俗嬢ばかりでなく、ふつうの人が読んでも勉強になることばかり。自分がどうも友人と上手くやれない、同僚に好かれない、学校で人気が出ないなどのお悩みがある人にはもってこいの一冊だ。

● 松沢呉一『風俗お作法 (てぃんくるbooks)』1500円+税

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NHK教育テレビ「ハートをつなごう」第二弾

レズビアン&ゲイを特集したNHK教育テレビ「ハートをつなごう」の第二弾が放送された。今回は後半、LGBTというテーマにつないでいて、様々な性的少数者を取り上げていこうという方向に展開している。結婚式を挙げるレズビアンカップル、人口の少ない島で暮らすゲイ、海外のLGBTと交流する日本の当事者……などを取り上げていて、性的少数者として生を授かったものの困難さと、これからの時代を生きていくことの可能性、の両方をメッセージしていて、伏見はとても好感を持って観た。

以前にも同じことを記したが、こうした番組がテレビ媒体で放送されることで、どれだけ当事者の抑圧感は軽減され、ぼくらを取り巻く社会的な条件は向上することか。とくにNHKのような公認されたメディアで取り上げられることの影響力は計り知れない。できるだけ長くこのシリーズを続けてほしいものだ(製作者に感謝!)。サイトを観たら、近く教育テレビの他の番組でも特集が組まれるという。NHKやるね。いやあ、いい時代になりました! なんていうと、「まだまだいい時代なんて言える状況ではありません!」と怒られそうだが、社会への怒りに鮮度がある人たちにはぜひ、自分たちの運動をがんばってほしい。

ハートをつなごう
ゲイ/レズビアン第2弾 教育テレビ 9月29日(月)、30日(火) 午後8時~8時29分
再放送 10月6日(月)、7日(火) 午後1時20分~1時49分
ハートをつなごう
LGBT第1弾 教育テレビ 10月1日(水)、2日(木) 午後8時~8時29分
再放送 10月8日(水)、9日(木) 午後1時20分~1時49分
ETVワイドともに生きる
LGBT 教育テレビ 11月1日(土) 午後9時30分~午後11時30分

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