投稿者「伏見 憲明」のアーカイブ

伏見 憲明 について

作家。 1963年生まれ。 著書に『魔女の息子』(第40回文藝賞受賞/河出書房新社)、『さびしさの授業』(理論社)、『ゲイという[経験]増補版』(ポット出版)ほか多数。 編集長として『クィア・ジャパン vol.1〜5』(勁草書房)、『クィア・ジャパン・リターンズ』(ポット出版)を刊行。 詳細なプロフィールへ→

落合恵美子『21世紀家族へ』

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● 落合恵美子『21世紀家族へ―家族の戦後体制の見かた・超えかた (有斐閣選書)

★★★★★ 家族の一般教養!

人が問題意識を抱く契機には、幸福よりも不幸が作用するものだ。なんで自分はこんなに幸せなのか、ではなく、なんで自分はこんなに不幸なのか、ということから自分を取り巻く状況に思いをめぐらせていく。そうすると思考する者はとりあえず、いまある社会的条件を否定することから出発することになる。

すでに家族社会学の古典となりつつある落合恵美子の『21世紀家族へ』(初版は1994年)も、フェミニムズ世代とも言える彼女のそうした問題意識から積み上げられた論集だ。「わたしは、いわば親世代の家族を相対化するためにこの本を書いた。批判するため、と言ってもよいだろう」。 続きを読む

いただいたご本『性同一性障害 ジェンダー・医療・特例法』


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● 石田仁編『性同一性障害 ジェンダー・医療・特例法』お茶の水書房

性同一性障害に関しては、十年くらい前にずいぶん興味を持っていた。クィア本も先駆けて出したし、出不精の伏見が埼玉大学の倫理委員会の記者会見にまで取材で出掛けていったくらいだから、「自分の問題」としてとらえていたのかもしれない。だけど、当事者との対話を繰り返すなかで理解が深まっていくと、かえって関心がなくなってしまった。別に彼らを嫌いになったわけではないけど(むしろ友人は増えていった)、ある程度納得したら何か「自分の問題」としての意識が薄らいだのだろう。以来、「LGBT」というくくりにもいまひとつ乗り切れない伏見なのである。

本書は「性同一性障害をめぐる論争の白地図を埋める。」と帯にあるように、この問題の論点を拾い上げ掘り下げようという専門書である。学術書に寄稿する専門家がこんなに出てきたんだなあと、ページをめくりながら感慨にふけってしまった。十年くらいで言論状況は大きく変わる。だけど、この間にあったのは「〈性〉と制度の闘争」だったのだろうか?などと振り返ったりして、面白い読書体験となった。本書が、これから性同一性障害について考察していこうというひとにとって参照すべき一冊になるのは間違いない。ちょっと値は張るが、いい勉強になります。

三浦しをん『風が強く吹いている』


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● 三浦しをん『風が強く吹いている』(新潮社)

★★★ ともに疾走して感動を味わえる

よく散歩に出かける河原で、どこかの大学の陸上部員たちがランニングをしているのとすれ違う。ただもくもくと息を切らせて走る彼らは、いったい何のためにトレーニングに打ち込んでいるのか、不思議に思っていた。

これは、そんな熱いアスリートたちを描いた青春小説である。主人公の蔵原走は、長距離ランナーとしての道をはずれ、無為の日々を送っていた。が、ふとしたきっかけで、同じ大学の先輩、清瀬灰二に誘われ、竹青荘で暮らすことになった。その貧乏アパートには9人のユニークな学生たちが同居した。ある日、清瀬は、その素人集団で箱根駅伝を目指すことを宣言する……。 続きを読む

ピーコ『ピーコ伝』


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● ピーコ『ピーコ伝 (文春文庫PLUS)

★★★ 元祖オネエ系タレントの背負ってきたもの

昨今のピーコ氏は、再びタレントとしてのピークを迎えている。それは、七十年代後半に、「双子のオカマ」おすぎとピーコとしてメディアを賑わわせた時代をしのぐ持て囃され方だ。

この本でインタビュアーを務める糸井重里氏は、「昔から、日本には、いつでも『日本のおかあさん』の役割をしている人がいて…その空席に一番ぴったりと納まるのは、ピーコさん」だと語る。 続きを読む

ヨコタ村上孝之『色男の研究』


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● ヨコタ村上孝之『色男の研究 (角川選書 406)

★★★ サントリー学芸賞受賞!

著者は「恋愛」に疑問を抱いている。私たちが当たり前の営みとし、普遍的に存在していると思い込んでいる「恋愛」に。

どうして今、少なからずの男たちは「オタク」と称し、上手く男女の関係を作ることができないのか…。そのあたりの問題意識から遡って、「色男」というキーワードでさまざまなテクストに入り込み私たちの性愛を問うたのが、本書である。

フーコーの手法を用いて近代を相対化しようとするセクシュアリティ研究、と言うと、こむずかしく聞こえるかもしれないが、この著作の魅力は広い文学的な知識によって呼び込まれるエピソードや、西洋と日本のもてる男の文化比較など、その着眼点にある。 続きを読む

いただいたご本『恋と股間』


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● 杉作J太郎『恋と股間 (よりみちパン!セ 38)』(理論社/よりみちパン!セ)

あぁ、ご紹介すべき本がいっぱいあって、読書が追いつかない!

ここ数年、ノンケ男子の研究を密かにしている伏見には、こうしたノンケ男子向けの恋愛本は実に興味深い。性に揺らいでいるひとはいるにせよ、なんていう留保をつけているにせよ、男女は絶対的に違うことを前提にすべし、という出発点からして、男子の性幻想のありようがよくわかる。

なんで男子はオナニーするときにいちばん好きな女子を想い浮かべないのかとか、「コイツは小さい」と思われないためにどうするかとか、一緒に寝るときに彼女に背を向けるのか失礼かとか、具体的かつ実践的なテーマを語っているところが「使える」。この設問自体がいかにも沽券と股間にプライオリティのあるノンケ男子だなあと微笑ましい。

究極は前書きの「四十数年の壮絶な生活の中で、ときに血反吐を吐きながら体得した理論です。とりあえず最後まで読んでみて、少なくとも五年はよく考えてみてから、みなさん反論してください」。こういう強がりっぽいところがノンケ男子の魅力ですね。うーん、益々ノンケ男子に興味がわいてきた!

ベルトラン・ドラノエ『リベルテに生きる』


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● ベルトラン・ドラノエ『リベルテに生きる パリ市長ドラノエ自叙伝』(ポット出版)

★★ 同性愛の視点からフランス政治が見える

民主主義とは終わりのない実験であるーー。思わずそんな時代がかった感想をつぶやきたくなるのが、本書『リベルテに生きる』だ。

著者は現職のパリ市長で、フランス政界の大物、ベルトラン・ドラノエ氏。彼は二十二歳で社会党に入党し、国民議会議員になる。ミッテラン氏の側近として活躍後、一時政界を離れるが、2001年に保守派の牙城で、同性愛者であることを公言して首長に当選した。

この本は社民主義を奉じるドラノエ氏の経歴と政見をつづった「自伝」である。しかし個人史を超えて、民主主義とはいかに困難であるかを示した内容となっている。デモクラシーの故郷とも言えるフランスでさえ、それは確立した政体と言うにはほど遠く、危うい「過程」なのだ。 続きを読む

三浦しをん『きみはポラリス』


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● 三浦しをん『きみはポラリス』(新潮社)

★★★★★ 小説を読むのが好きではない伏見が、めずらしく夢中になって読んだ秀作短編集

三浦しをんの『きみはポラリス』を読み進めるうちに、子供の頃の情景が思い出された。まだ性が言葉を持たなかった時代の自分をーーー。

小学校も中学年になると子供もませてきて、「○○ちゃんが好き」とか「××君から告白された」とかいった話題が教室の隅でささやかれるようになる。女の子たちにとっては、バレンタインデーに意中の男子へチョコレートを手渡すことが一大イベントだったし、とりあえず「両思い」ということになれば、ふたりだけで下校したり、二つ合わせるとハート型になるペンダントの片割れを持ち合ったりしたものだ。 続きを読む

橋爪大三郎『冒険としての社会科学』


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● 橋爪大三郎『冒険としての社会科学 (新書MC) (Modern Classics新書 31)

★★★★★ 社会科学を志すのならたどるべき先人の軌跡

実は、伏見は、昨年からこの本の著者、橋爪大三郎氏に師事している。東工大に講演に呼ばれたのがきっかけだったのだけど。評論とかエッセイとかで書いているとアカデミズム方面で等閑視されたり、剽窃されたりということがままあるので(笑)、四十の手習いで論文執筆の技術を手に入れておくのもいいかと思って入門させてもらうことをお願いした(もう半隠居な人生なんで半ば趣味)。

んで、けっこう頻繁に橋爪先生と接することになったのだけど、会う度にすごいひとだなあと尊敬が深まる。ボタンを押すとあらゆる知識が流れ出てくるような学識、発想の豊かさはもちろん。「東工大のアイボ」「ほんとは電池で動いているのではないか」などという評判のある橋爪先生だが、外面のメタリックな印象とは違い(笑)、実のところ、熱いパッションを秘めた方なのだ。

この本はそうした橋爪氏の実存が下味になっていて、社会科学の概説書以上の何かになっている。西研さんの『実存からの冒険 (ちくま学芸文庫)』もそうだが、思想家というのは、誰もが一度は自分の問題意識の震源たどる本を書かざるをえないものなのだろう。「近代の源流をたどりマルクス主義の失効を思想的に検証しようとした格闘の記録!」と副題になるとおり、この本は全共闘世代(というか元全共闘)が青春の総決算と、近代の総決算を企図したものだ。

今回上梓された新書版を読んでも、すでに単行本版から20年の歳月が経っているというのにまったく古くなっていないのは、著者が徹底的に原理的な思考の研鑽を積んでいたからだろう。20年の風説に堪える、ブレない分析に感嘆するばかりである。そして堅固なロジックのなかにときに滲み出る切なさがとても心地いい。

はらたいら『はらたいらのジタバタ男の更年期』


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● はらたいら『はらたいらのジタバタ男の更年期 (小学館文庫)

★★★ すでに故人になってしまったはら氏であるが、この本によって救われた男性は多い。ちなみに伏見も(笑)

本書は、男性にも更年期障害がある、と世に訴えた問題作である。

著者のはらたいら氏は、「クイズダービー」でお茶の間でも有名になった売れっ子漫画家で、三、四十代の頃は、連載に講演にテレビにフル稼働するワークホリックな日々を送っていた。が、そんな氏も、五十を越えた辺りで、仕事に疲れを感じるようになる。講演中に意識が遠のくことを体験し、講演後に救急車で運ばれることにもなった。だんだんと仕事に対する集中力や意欲を失って、落ち込むようになっていく。酒が弱くなり、食物の嗜好も変化する。そしてついに漫画が描けなくなるに至った。 続きを読む