投稿者「伏見 憲明」のアーカイブ

伏見 憲明 について

作家。 1963年生まれ。 著書に『魔女の息子』(第40回文藝賞受賞/河出書房新社)、『さびしさの授業』(理論社)、『ゲイという[経験]増補版』(ポット出版)ほか多数。 編集長として『クィア・ジャパン vol.1〜5』(勁草書房)、『クィア・ジャパン・リターンズ』(ポット出版)を刊行。 詳細なプロフィールへ→

井上章一『パンツが見える。』


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● 井上章一『パンツが見える。―羞恥心の現代史 (朝日選書)

★★★★ こういう堅実で誠実な仕事がアカデミズムに求められているのでしょう

昨今、男性の乳首がエロティックなものとして意識されるようになってきた。若い世代の会話の中で、「なんでお前、乳首硬くしてんだよ」「あいつ、シャツに乳首浮き立たせている」といった会話が冗談めかして交わされているのを、耳にすることがある。かつては無用の長物と思われたそれに、羞恥心が芽生えてきたのだろう。

男性の身体も性的な視線を敏感に感じるようになってきた。羞恥心とエロティシズムの関係は裏腹であり、相乗的に人々の性意識を変化させていく。 続きを読む

セレナ・ナンダ『ヒジュラ』


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● セレナ・ナンダ『ヒジュラ―男でも女でもなく』(青土社)

★★★ インドの「ヒジュラ」は性が二元的でない可能性を示す存在である。が、世界中見渡してもそういう性制度が「ヒジュラ」や「ベルターシュ」くらいしか見つからない、つまりほとんどの社会が性別二元制になっている事実もまた無視できないことなのである。そこに安易な性別二元制解体論が言説上しか意味をなさないところがある。

「この世には男と女しかいないんだから…」

というのは、ドラマなどでしばしば耳にするフレーズである。しかしながら、この世に「男でも女でもない」人たちがいるとしたら、どうなるのか。

実際、生物学的には男性と女性の間に位置する性、最近ではインターセックスと呼ばれる身体に生まれ付いた人たちが存在することが明らかになっている。が、そういう人たちは「性別二元制」の支配する近代社会では、男か女のどちらかに強制的に振り分けられ、間の性を生きる権利は奪われている。 続きを読む

石井達朗『異装のセクシュアリティ』


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● 石井達朗『異装のセクシュアリティ』(新宿書房)新版

★★★ 「性の多様性」ってなんだかノスタルジックなテーマに思えますね。少なくとも言説上は。

本書は一九九一年に刊行された『異装のセクシャリティ』の改訂版である。この十二年の間にジェンダー/セクシュアリティをめぐって生じたさまざまな動きを考慮して、本文と脚注に加筆が施されている。

著者はアートへの関心を中心に、世界各所で垣間見られる、男女の二元性や通常の異性愛には回収されない性現象を広く追っている。その多様性をなぞるだけで、読み手の性の固定観念は激しく撹乱されることだろう。 続きを読む

NHK『日本人の性行動・性意識』


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● NHK『データブック NHK日本人の性行動・性意識 (データブック)』(NHK出版)

★★★★ 量的調査の有効性と無効性

本書『NHK 日本人の性行動・性意識』は、全国民から無作為抽出法で実施された、日本初の科学的かつ大規模な性の調査である。これが、今後、日本人の性を考えていく上で欠かせない資料となることは、間違いない。

このような客観的なデータの持つ説得力は、圧倒的だ。私自身、本書を一覧して、自分の考えが単なる思い込みであったことに、はっとさせられたりもした。 続きを読む

伊藤文学『薔薇ひらく日を』


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● 伊藤文学『薔薇ひらく日を―『薔薇族』と共に歩んだ30年』(河出書房新社)

★★ 肯定も否定も含めて、ちゃんとした評伝が書かれるべき人です

著者である伊藤文学氏は、同性愛の商業誌「薔薇族」の編集長を続けてきた人物である。1971年に創刊された同誌は、ポルノグラフィーを主な内容にしながらも、孤立した同性愛者たちを応援し、励ますという役割を担ってきた。本書『薔薇ひらく日を』は、そこで伊藤氏が30年にわたり書き綴ってきたエッセイを抜粋した一冊である。

同性愛の専門誌としては、それ以前にはミニコミ誌しか存在せず、多くの同性愛者が情報に接することは、不可能に近かった。当事者はただ一人、他人に語りえない性に苦悩するしかなかったのである。 続きを読む

ジェフリー・F・ミラー『恋人選びの心』


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● ジェフリー・F・ミラー『恋人選びの心―性淘汰と人間性の進化 (1)』(岩波書店)

★★ 検証できないことは想像力がふくらみます

ときどき不思議に思うことがある。どうして女の子たちはあんなに、女性雑誌を片手にファッションやメイクに関する情報収集に熱狂しているのだろうか。どうして男の子たちは車やスポーツに憧れてやまないのだろうか、と。

生きていくということだけを考えるのならば、経済問題や農業技術?について日々研究した方が有益なようにも思える。しかし実際には、私たちは、そうした生存を保障するような事柄よりも、生物としてさしたる意味をもたないような、無駄とも思える「価値」の追求に躍起になっている。そして、それらは、進化論として語られてきた、自然淘汰によって生存に有利なものだけが残されていく、という理論では説明がつかないことでもある。 続きを読む

岩村匠『性別不問。』


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● 岩村匠『性別不問。―「性同一性障害」という人生』(成甲書房)

★★★ 性同一性障害のカミングアウト本が同性愛者のそれよりも出版点数が多いのはなぜ?

もし朝目覚めて、男性であるあなたの股間から、あるべきものが消えていたら? もし女性であるあなたのおっぱいがしぼんで、あるはずのないペニスがついていたら? 本書を読むと、「性同一性障害」の人たちの苦悩というのは、そういう根源的な身体感覚にあることが、おぼろげながらわかってくる。

『性別不問。』の著者、岩村匠は、女性のからだに生まれたにもかかわらず、女性であることに馴染めず、ずっと心の性別とからだのそれとの不一致に悩んできた。岩村は子供の頃から女性の性役割に強い抵抗感を抱き、思春期になると、女の子のことを好きになる自分を、レズビアンではないかと後ろめたく思うようになった。 続きを読む

山内昶『ジッドの秘められた愛と性』


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● 山内昶『ジッドの秘められた愛と性 (ちくま新書)

★ 現在の感性からすると、あほくさ…としか思えない本だが、まあ、こういう言説が行き交っていた時代もあったということで。怖いもの見たさならお勧め(笑)

僕は一応、”ゲイ・ライター”などと名乗ってジェンダー/セクシュアリティ論を展開している立場なのだが、恥ずかしいことにアンドレ・ジッドについてはこれまでほとんど関心を抱いたことがなかった。もちろん、思春期には『狭き門』くらいは読んだと思うし、彼が同性愛者であったと言われていることもそれなりには知っていた。が、いつか同性愛を主題とした『コリドン』くらいはちゃんと読んでおかなきゃねーと思うくらいで、今日に至るまで著作をひもとくことはなかった。

しかし、この『ジッドの秘められた愛と性』を読んで、彼に対する関心は俄然高まった。へぇー、こんな人がいたんだーと、同じ同性愛者として誇らしい気持ちになったほどだ。著者の山内昶氏がジッドの著作から引用している言葉に触れるだけで、彼のゲイネスが熱く伝わってくる。 続きを読む

安野モヨコ『ハッピー・マニア』


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● 安野モヨコ『ハッピー・マニア 2 (祥伝社コミック文庫)

★★★★★ もう古典ですね。90年代という時代を体現する名作

『ハッピー・マニア』と時代の欲望

この10年の日本のポップカルチャーでもっとも重要な収穫が、庵野秀明の『新世紀エヴァンゲリオン』と安野モヨコの『ハッピー・マニア』であることは間違いない。他のいかなる言語表現も映像表現も、この二つの作品以上には時代の核に深く届いてないし、人々の心の奥行きを掬い上げたりはしなかった。メインカルチャーを名乗るものの担い手たちは、自分たちがもはや「サブ」カルチャーの座に退いたことを、素直に認めなくてはならない。

90年代という時代は、史上初めて私たちに、物質的に満たされることを目的にしない日常を用意した。そこで私たちは、欠落を回復しようとする自我ではなく、自我そのものの意味を問うような実存形式を追求しなければならなくなった。欠落感を軸にした「生」の意味付けとは異なる「存在様式」。80年代バブルにおける過度のブランド品への志向やグルメの追求は、ある種、それまでの貧しさへの反動として生じたルサンチマン現象だった。そして、一通りの贅沢を「体験」してみた末に、それらが自分たちの「生」を必ずしも納得させるものでないということも明らかになった。だからこそ、経済のバブルが弾けても、人々は本当のところそんなに慌てたわけでもないし、経済学的な数値を回復しなければと躍起になったわけでもなかった。 続きを読む

鴻上尚史『ラブ アンド セックス』


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● 鴻上尚史『ラブ アンド セックス』(角川書店)

★★ 鴻上尚史って意外と正常位志向?(笑)

はてさて、どうしてこの本のタイトルは『ラブ アンド セックス』なのだろうか。愛と性。『セックス アンド ラブ』でもなく、ましてや『セックス』でもない。出版に関わっている人間としては、版元サイドが本を売るために「愛」を優先することを強要したのではないかと、邪推してしまうのである。

著者の鴻上尚史さんは、
「セックスは、恋愛に比べて、語られる量がはるかに少ないと思いませんか?」
と読者に語りかけ、この本ではセックスをセックスとして論じることが心がけられている。にもかかわらず、愛を先に持ってこざるをえない。それが逆説的に、まだこの社会では、セックスが愛に比べて軽んじられていることを、浮かび上がらせてもいる。 続きを読む