心をもつことは、切ないことでした。

映画『空気人形』を観る。
現代日本社会を痛烈に射る作品だ

監督は是枝裕和さん。空気人形をペ・ドゥナさんが演じ、
モデルのARATAさんが恋人っぽい役を演じる。

ダッチワイフが突然、心を持つという話だ。
彼女は繰り返す。
「わたしは空気人形。性欲処理の代用品」

印象的なシーン。

もとの持ち主は彼女が姿を消すと
別のダッチワイフを買って同じ
名前を付けて性欲の処理とする。
彼女が久々にその男のところに戻ると、
空気人形に男は言う。

「心をなくしてくれないかな。
 そういうの面倒なんだよ」

誕生日を祝ったり、想い出づくりの写真を
撮ったりするのが面倒だというのだ。

ARATAさん演ずる彼氏と空気人形の次の会話も印象的だった。

女:「わたし誰かの代わりでもいいの」
男:「君が誰かの代わりなんてことはない」

現代では代替可能性が問題になっている。
貴女・貴方の代わりはいくらでもいる。

真の愛は相手を
「君に代わるものはない」
と考えることだろう。

映画は切ない終わりだった。

「心を持つことは、切ないことでした」

この言葉に共感を抱く人は多いだろう。

カテゴリー: 及川健二のパリ修行日記 | タグ: | 投稿日: | 投稿者:

及川 健二 について

ジャーナリスト/研究者。 それまで一分もフランス語を学んだことがなかったのに、 フランス留学を決断。2002年UCLAエクステンションセンター・ 夏期英会話講座・修了、グランゼコールの一つ、2004年 リール政治学院・夏期特別セミナー修了(European Summer University Program at Institut d’Etudes Politiques de Lille)。 フランス国立パリ第九大学・Dauphine修士課程に2004-05年に在学。 多国籍企業の経営戦略が研究テーマ。大学では”英語”で講義を 受け、語学学校でフランス語を勉強するというチョット変わった留学生活をおくる。2004年7月3日から2006年3月25日までフランスに滞在。リール、トゥール、パリにて生活する。数々の政治家にインタビューする。 共著『オカマは差別か』(ポット出版)、2002年1月。 編集・共著『常識を超えて』(ポット出版)、2002年6月。 単著『ゲイ@パリ 現代フランス同性愛事情』(長崎出版)、2006年10月。 単著『沸騰するフランス 暴動・極右・学生デモ・ジダンの頭突き』(花伝社)、2006年10月。 単著『フランスは最高!』(花伝社)、2007年6月。