「欧州緑の党」代表に独占インタビュー(上)

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写真脚注:「絶対自由主義が変わらぬ信念です」と語るダニエル=コーン=ベンディット欧州議会議員。(撮影:及川健二)
オーマイニュース』に次のような記事を執筆しましたので、転載いたします。
主題:「欧州緑の党」代表に独占インタビュー(上)
副題:パリ五月革命の指導者が語る
【本文】
 1968年にフランスで起きた『パリ五月革命』のリーダーで、現在、欧州議会議員を務め、議会内会派「欧州緑の党」代表の、エコロジストの大御所・ダニエル=コーン=ベンディット氏に、2006年3月23日、ブリュッセルの欧州議会・事務所で独占インタビューすることができた。
「絶対自由主義が私の信念です」
────『パリ五月革命』が起きたとき、あなたは学生運動の指導的な立場にいました。当時は共産主義が学生運動に影響しましたが、今あなたはヨーロッパで最も影響力のあるエコロジストになりました。なぜ共産主義を捨て、緑の党に入ったのでしょうか。
ダニー まず誤解を解く必要がありますが、私は革命活動家ではあっても、共産主義活動家だったことはありません。イデオロギーにおいては、あくまでも絶対自由主義者(リバータリアン)でした。この二つは同じものではありません。
絶対自由主義は個人の領域(私的空間)に国家が介入することに反対する思想です。平等よりも自由を重視し、個人の自己決定を尊重します。よって、絶対自由主義は常に反共産主義です。
 革命という語をなぜ用いるかというと、『パリ五月革命』は資本主義社会に対して革新的であろうとした反乱だったからです。その後、さまざまな出来事、運動に参加するうち、社会が必要としているのは多かれ少なかれ革新的な改革であるということを次第に悟りました。
そして反原発、環境主義といった運動において、その改革のプロセスを実行する可能性を発見し、その後、環境主義政党の運動をするようになりました。その運動の論理によって選挙に出馬し、欧州議会議員に選出されたわけです。
「私は常に共産主義に批判的でした」
────政治活動を続ける中で、決して変わらなかった信念は何ですか。
ダニー いま申し上げた絶対自由主義です。それは個人の自律と自由ということです。つまり、個人がどのように共同で生活を組み立てていくか、個人がどのようにして生活を自律的に管理していくかという思想です。
────共産主義に魅力を感じたことはなかったのですか。
ダニー まったくありませんね。私は常に共産主義に対して批判的でした。私にとって共産主義は独裁的と定義されるし、その萌芽は理論、すなわちマルクスの思想の中にあります。さらに、革命は科学的に必要であるという主張は、全体主義の芽となるものです。
 もし政治が科学であったとすれば、発展は必然であるから、民主主義は必要ないということになってしまいます。私は常に、共産主義は全体主義的イデオロギーだと捉えてきました。私が革命的、革新的であり、資本主義に対して非常に批判的であったのは、絶対自由主義に依り、労働者の自律的管理という考えを持っていたからです。それが私のイデオロギーで、党が果たす集中的役割という独裁体制とは対立するものでした。
「環境主義の本質は『持続可能な発展』にあります」
────緑の党やエコロジーの思想の何が最も魅力的でしたか。
ダニー 環境主義とは本質的に、経済発展、社会発展、そして人間と自然の関係のバランスを考えることを促すということです。つまり、環境主義の政策は「持続可能な発展」という考えを導入し、地球を守るのに必要なバランスを提案する科学です。それが環境主義政策の本質的なところです。
────緑の党と他党と最も異なる点は何でしょう
ダニー 緑の党には環境と経済のバランスという考えがあり、それは左右を問わず他の政党にはない点だと思います。他党は生産重視主義であり、経済自体が人類幸福のための原動力になると考えています。しかし、実際はそのように機能するものではありません。地球の発展を考慮した上で、経済を再考しなくてはなりません。
たとえば、気候変動の問題などがありますが、今日では、私たちの生活様式が、私たちの生活の基盤自体を危機に陥れかねないということが顕わになっています。

カテゴリー: 及川健二のパリ修行日記 | 投稿日: | 投稿者:

及川 健二 について

ジャーナリスト/研究者。 それまで一分もフランス語を学んだことがなかったのに、 フランス留学を決断。2002年UCLAエクステンションセンター・ 夏期英会話講座・修了、グランゼコールの一つ、2004年 リール政治学院・夏期特別セミナー修了(European Summer University Program at Institut d’Etudes Politiques de Lille)。 フランス国立パリ第九大学・Dauphine修士課程に2004-05年に在学。 多国籍企業の経営戦略が研究テーマ。大学では”英語”で講義を 受け、語学学校でフランス語を勉強するというチョット変わった留学生活をおくる。2004年7月3日から2006年3月25日までフランスに滞在。リール、トゥール、パリにて生活する。数々の政治家にインタビューする。 共著『オカマは差別か』(ポット出版)、2002年1月。 編集・共著『常識を超えて』(ポット出版)、2002年6月。 単著『ゲイ@パリ 現代フランス同性愛事情』(長崎出版)、2006年10月。 単著『沸騰するフランス 暴動・極右・学生デモ・ジダンの頭突き』(花伝社)、2006年10月。 単著『フランスは最高!』(花伝社)、2007年6月。