現「欧州緑の党」代表は、パリ五月革命のリーダー 「第2、第3の京都議定書が必要」

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オーマイニュース』に次のような記事を執筆しましたので、転載いたします。
タイトル:現「欧州緑の党」代表は、パリ五月革命のリーダー
サブ・タイトル:「第2、第3の京都議定書が必要」
【本文】
 「赤毛のダニー」ことダニエル=コーン=ベンディット氏といえば、フランス版全共闘「パリ五月革命」の学生指導者として知られている。
 ダニーは1945年4月、フランス南西部の街、モントーバンに生まれる。両親は、ドイツ人だ。1965年に大学入学資格を得た後、ナンテール大学で社会学を学んだ。
 時代は反ベトナム戦争一色にそまっていた。1968年3月22日、ベトナム反戦運動に参加した人の中に逮捕者が出ると、ダニーは逮捕に抗議してパリ西部にある移民のスラム街と急拵えのセメント団地に挟まれたナンテール大学の学部を占拠した。学長はすぐに占拠者を排除し、学部を閉鎖する。
 5月3日、ナンテールの学生たちは、パリ市内の学生街カルチェラタンにあるソルボンヌ大学構内に侵入した。しかし、官憲に排除され約500人が逮捕される。この逮捕が一気に火を吹いた。
 その晩からカルチェラタンには、怒れる学生たちが結集した。「逮捕者釈放、官憲撤退、ソルボンヌ開放」、学生たちはこの3項目を掲げてデモを繰り返した。同時に、機動隊による弾圧もエスカレートし、逮捕者約600人、負傷者は1000人以上に及んだ。
 学生運動は更に過激化し、労働運動にも飛び火し、鉄道、航空会社(エール・フランス)、郵便局、ラジオ・テレビ局、開催中のカンヌ映画祭までがゼネストを決行し、フランスの交通機関は完全に麻痺状態なった。その時に、学生の先頭に立って、アジテーションをしたのが、「赤毛のダニー」で「禁止することを禁止する」というような象徴的な言葉を放った。
 しかし、ゼネストが落ち着くと、ダニーはドイツに国外追放となり、10年間のフランス入り禁止となった。
 そのダニーがフランスに帰ってきたのは、1998年だった。
 翌年にひかえた欧州議会議員選挙(比例区制度)で、フランス「緑の党」は、ダニーを筆頭候補に据えると宣言した。欧州議会議員選挙は、欧州連合内の国籍を保持していれば、どの国から出馬出来る。フランスでは「ダニーの帰還」と大々的に報じられた。
 ちょうどその年、1998年は「五月革命」から30年が経った年で、各新聞が1カ月間、特集を組んだ。ダニーは連日連夜、新聞やテレビ、ラジオに引っ張りだこになり、人気が衰えていないことを示した。
 1999年の欧州議会議員選挙の結果は、フランスでは「緑の党」が大躍進して、政党で上位から4番目の171万5450票(9.72パーセント)を得て9議席獲得した。
 2007年春のフランス大統領選挙で、ドミニク=ヴォワイネ「緑の党」候補が57万6666票(1.57パーセント)しか獲得できなかったことや、1994年の欧州議会議員選挙では、得票率が2.95パーセントで「緑の党」候補者全員落選したことからすれば、その躍進ぶりがお分かりになるだろう。
 ダニエル=コーン=ベンディット氏は現在、欧州議会内会派「欧州緑の党」の代表を務めている。同会派は、欧州各国選出の「緑の党」の議員が所属する会派で、いわば、ダニーはヨーロッパのエコロジー運動の大御所的存在になったのだ。
 私は2006年3月に、ベルギーのブリュッセルの事務所で、ダニー本人にインタビューすることができた。ダニーは、環境問題について次のように熱く語った。
 「たとえば気候変動の問題をみても、地球にとって全世界レベルの戦略が必要なことは明らかだと思います。京都議定書はその第一歩になりますが、まだ不十分で、『第二の京都』、『第三の京都』といったさらに進歩した協定が必要です。そこでの緑の党の役割は、ある種の政策について地球規模の考えを推進することです。
 
 二酸化炭素排出、気候変動に対する闘いがあり、グローバリゼーションの問題があります。緑の党が先頭に立ってどのようにしてグローバリゼーションを制御するかを議論し、産業界のためだけでなく地球規模での『持続可能な発展』にかなう統制されたグローバリゼーションが行われる世界の構成の可能性を探していく必要があります」
 「赤毛のダニー」はまだ62歳。今後も、各方面で活躍していきそうだ。
写真脚注:ダニエル=コーン=ベンディット氏(及川健二・撮影)

カテゴリー: 及川健二のパリ修行日記 | 投稿日: | 投稿者:

及川 健二 について

ジャーナリスト/研究者。 それまで一分もフランス語を学んだことがなかったのに、 フランス留学を決断。2002年UCLAエクステンションセンター・ 夏期英会話講座・修了、グランゼコールの一つ、2004年 リール政治学院・夏期特別セミナー修了(European Summer University Program at Institut d’Etudes Politiques de Lille)。 フランス国立パリ第九大学・Dauphine修士課程に2004-05年に在学。 多国籍企業の経営戦略が研究テーマ。大学では”英語”で講義を 受け、語学学校でフランス語を勉強するというチョット変わった留学生活をおくる。2004年7月3日から2006年3月25日までフランスに滞在。リール、トゥール、パリにて生活する。数々の政治家にインタビューする。 共著『オカマは差別か』(ポット出版)、2002年1月。 編集・共著『常識を超えて』(ポット出版)、2002年6月。 単著『ゲイ@パリ 現代フランス同性愛事情』(長崎出版)、2006年10月。 単著『沸騰するフランス 暴動・極右・学生デモ・ジダンの頭突き』(花伝社)、2006年10月。 単著『フランスは最高!』(花伝社)、2007年6月。