だから、サルコジは嫌われる(中) ~フランス「緑の党」論客が一刀両断

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オーマイニュース』に次のような記事を執筆しましたので、転載いたします。フランス政治や大統領選挙に関するディープな情報は拙著『沸騰するフランス 暴動・極右・学生デモ・ジダンの頭突き』(花伝社)に掲載していますので、御関心のある方はお手におとりください。
タイトル:だから、サルコジは嫌われる(中)
サブ・タイトル:フランス「緑の党」論客が一刀両断
【本文】
 5月6日に行われるフランス大統領選挙の決選投票で国民の審判を仰ぐのが、与党「国民運動連合(UMP)」党首で右派のニコラ・サルコジ前内務大臣だ。各種世論調査によれば、対戦相手のセゴレーヌ・ロワイヤル「社会党(PS)」下院議員をリードしているという。サルコジ氏が大統領になる可能性が高まるにつれ、批判の声も高まっている。
 私はフランスで、同氏の危険性を前々から指摘してきた政治家にインタビューした。ここではサルコジ氏を一躍、人気政治家にした氏の強硬な治安対策に絞って、取材内容を紹介する。
今回、登場していただくのはノエル=マメール氏(58)。彼は下院議員でもあり、ベーグル市長でもある。
 2002年のフランス大統領選挙に「緑の党」から出馬し、同党史上最高の149万5724票(5.25%)を得て善戦。国営テレビのキャスターを長く務め、知名度抜群のジャーナリストのマメール氏は、「緑の党」の看板的存在だ。
 2004年6月には男性同士の結婚を、自身が市長をつとめるベーグル市で認め、市庁舎で行われた結婚式に立ち会い祝福したことがフランス中の話題となる。遺伝子組み換え・原発・グローバリズムに反対する活動家でもある。2004年には遺伝子組み換え製品に抵抗し、反グローバリズムの闘士として知られるジョゼ・ボヴェ氏(53)らとともに、遺伝子組み換えのトウモロコシをひっこぬいたことでも、話題にもなった。
「成り行きまかせのサルコジ氏は危険だ」
――2004年末に与党「国民運動連合(UMP)」のクリスチャン=ヴァネスト下院議員が、「同性愛は人類にとって脅威だ」と発言しました。彼は差別的言動を行った罪で裁判を起こされて、1審で有罪判決を受けましたね
マメール氏 彼の発言は裁判で刑に処されて当然です。問題なのは、彼が属す「国民運動連合」の対応です。もしも、彼の所属する「国民運動連合」が誠実であるならば、彼は党を除名されているでしょう。しかし、彼は除名されていません。そのことは、ニコラ・サルコジ氏と彼の仲間たちが「二枚舌」を使っていることを示しています。ホモ嫌い(ホモフォビア)を口では批判しながら、同性愛者に対する差別的言動を公然と行う者をかばい、差別の片棒を担いでいるのです。
――警官の職務質問を受けた15歳と17歳のアフリカ系少年2人が、パリ郊外の変電所に逃げ込み感電死した2005年10月27日の事件に端を発し、移民の街として知られるパリ郊外・サンドニ県を中心に続いた若者の暴動。移民2・3世が中心となりフランス各地に飛び火した。11月6日夜から7日朝にかけては、1408台の車がフランス全土で一夜にして焼き壊された。郊外の暴動の主たる原因は何だとお考えですか。
マメール氏 暴動の主要な原因を理解するのは簡単です。原因は差別にあります。今日、わが国には、移民出身の若いフランス人がおり、国内におけるよそ者と見なされているのです。なぜなら、彼らはノエル、マルセル、アントワーヌといったフランス人の名前ではなく、北アフリカやブラック・アフリカの旧植民地系の名前であり、彼らの肌の色、名前、出身が差別の要因となっているのです。これは耐えがたいことです。フランスでは、フランス人の若者1人に対して移民出身者4人が失業状態にあることを考慮する必要があります。これは我慢できることではありません。こうした仕事・住宅・余暇・教育における差別に対して、私たちは力の限り闘わねばなりません。
――郊外における問題の解決には何が必要でしょうか。
マメール氏 解決策は、まず、同じ場所に同じ住民を集中させないこと、ゲットーを作らないこと、すなわち、社会的にさまざまな人々を混在させることです。そして、とりわけ差別に対して闘うことです。今日、フランスでは、挙証責任を逆転させる必要があります。今日のフランスでは、差別の被害者が差別を受けたということを立証せねばなりませんが、挙証責任を逆転させ、差別を告発された貸主や雇用者が差別をしていないことを立証するよう求める必要があります。挙証責任を逆転させるようになったら、おそらく物事は変わり始めるでしょう。
――暴動に参加した人々を「社会のクズ」「ゴロツキ」呼ばわりしたニコラ=サルコジ内務大臣(当時)の方法についてはいかがお考えですか。
マメール氏 サルコジ氏の成り行き任せの行動は、フランス社会と私たちの自由にとって非常に危険だと思います。したがって私はそれに反対しているわけです。サルコジ氏は、安全を理由に司法を警察の補助機能にしようとしています。この国において警察は権力を持ち過ぎています。そして、残念ながら、警察のかなりの部分が人種差別主義者なのです。
 したがって、サルコジ氏が大統領になるかもしれない状況は極めて危険で深刻だと言えます。

カテゴリー: 及川健二のパリ修行日記 | 投稿日: | 投稿者:

及川 健二 について

ジャーナリスト/研究者。 それまで一分もフランス語を学んだことがなかったのに、 フランス留学を決断。2002年UCLAエクステンションセンター・ 夏期英会話講座・修了、グランゼコールの一つ、2004年 リール政治学院・夏期特別セミナー修了(European Summer University Program at Institut d’Etudes Politiques de Lille)。 フランス国立パリ第九大学・Dauphine修士課程に2004-05年に在学。 多国籍企業の経営戦略が研究テーマ。大学では”英語”で講義を 受け、語学学校でフランス語を勉強するというチョット変わった留学生活をおくる。2004年7月3日から2006年3月25日までフランスに滞在。リール、トゥール、パリにて生活する。数々の政治家にインタビューする。 共著『オカマは差別か』(ポット出版)、2002年1月。 編集・共著『常識を超えて』(ポット出版)、2002年6月。 単著『ゲイ@パリ 現代フランス同性愛事情』(長崎出版)、2006年10月。 単著『沸騰するフランス 暴動・極右・学生デモ・ジダンの頭突き』(花伝社)、2006年10月。 単著『フランスは最高!』(花伝社)、2007年6月。