同性愛と社会主義

社会党系列のゲイリブ団体「同性愛と社会主義」代表の男性にオペラ座前のカフェで取材をした。同性婚・同性愛カップルの養子縁組の話など、いろいろ盛り上がった。尾辻かな子・大阪府議がレズビアンであることをカミング・アウトしたという話をしっていたのには驚いた。情報源を聞いたら、私がフランスのゲイ・メディアに発信した文章をもとにつくられたインターネット・ゲイ・サイト「E-llico」記事を見たとのこと。わしが発信した情報がフランスの一部ゲイ・レズビアン・バイ・トランスに届いているようでとても嬉しかった。
取材の中でわたしが「同性婚」という言葉を使うと、「何も我々は同性婚を求めているわけではない。異性の結婚、同性の結婚をべつべつにつくれといっているのではなく、結婚制度を同性にも開けといっているのです」と指摘した。
言葉の違いというのは面白い。「同性婚」でなく、結婚の「同性カップルへの開放」か。
社会党・職員ということもあり、社会党の立場から同性愛について語ってくれて興味深かった。もちろん、取材の内容は小生がただいま執筆中の本『PHOTOエッセイ Gay @ Paris』に掲載する予定だ。
といっても、執筆は滞っている。取材依頼の手紙やら調整やらに時間も気力もとられ、落ち着いて執筆する環境にない。いまはただ、人に話を聞き、それをまとめるという作業に没頭している。
取材の終わりに、おべんちゃらではなく、心の底から「次は社会党の大統領が誕生してほしい」と彼に伝えた。思えば、ナチス系列のヴィッシー政権の元で同性愛が犯罪化され、その政策は社会党のミッテラン大統領が政権につき彼が同性愛の「非犯罪化」を決断する1982年まで続いた。ナチスからフランスを解放した後の、ドゴール・ポンピドゥー・ジスカール=デスタンといった歴代保守政権は同性愛の犯罪化をほったらかしにしたままだったのだ。
同性カップルの権利も保障するPACS制度を90年代末につくったのは、同性婚には反対の立場をとっている(PACSで事足りるというわけだ)社会党のリオネル=ジョスパン首相(当時)だ。保守政党も同性愛に配慮する発言をするようになっているのは、同性愛にたいして「やさしい」政策を実行してきたのは社会党政権だ。2007年大統領選挙に社会党が政権を奪取するならば、同性カップルも結婚できるようになるだろう。そう推測することは社会党にたいする過大評価といわれるだろうか。
日本の政治では、同性愛が議題になることなど、ほとんどない。社民党ぐらいなもんだ、マニフェストで同性愛について触れているのは。同党も欧州型の社民主義政党を目指すならば、トランスジェンダーの猿田玲さんを衆院選05に出馬させたように(これはすばらしい擁立だったと思っている。あっぱれ)、来年の参院比例区にはLGBT(レズビアン、ゲイ、バイ、トランス)の共同候補を擁立したらどうか……と思う。あるいは、統一地方選挙でLGBTの候補を要所要所に出すとか。

カテゴリー: 及川健二のパリ修行日記 | 投稿日: | 投稿者:

及川 健二 について

ジャーナリスト/研究者。 それまで一分もフランス語を学んだことがなかったのに、 フランス留学を決断。2002年UCLAエクステンションセンター・ 夏期英会話講座・修了、グランゼコールの一つ、2004年 リール政治学院・夏期特別セミナー修了(European Summer University Program at Institut d’Etudes Politiques de Lille)。 フランス国立パリ第九大学・Dauphine修士課程に2004-05年に在学。 多国籍企業の経営戦略が研究テーマ。大学では”英語”で講義を 受け、語学学校でフランス語を勉強するというチョット変わった留学生活をおくる。2004年7月3日から2006年3月25日までフランスに滞在。リール、トゥール、パリにて生活する。数々の政治家にインタビューする。 共著『オカマは差別か』(ポット出版)、2002年1月。 編集・共著『常識を超えて』(ポット出版)、2002年6月。 単著『ゲイ@パリ 現代フランス同性愛事情』(長崎出版)、2006年10月。 単著『沸騰するフランス 暴動・極右・学生デモ・ジダンの頭突き』(花伝社)、2006年10月。 単著『フランスは最高!』(花伝社)、2007年6月。

同性愛と社会主義」への3件のフィードバック

  1. 及川健二

    仏のエントリ、たてたいものです。といっても面倒くさがりなので、なかなか腰が上がらないと思いますけど

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