マッカーシズムで「同性愛」は国賊扱いされた。


19日(水)、フランスのテレビ局「F5 Arte」で実に素晴らしいドキュメンタリーが放映されました。DVDで録画していたのであとで見ればいいか……とおもい、仕事をしながら見ていたのですが。
タイトルは「Les Derniers Jours Du SENATEURU McCARTHY」というものです。上院議員・マッカーシーの最晩年とでも訳しましょうか。
ジョセフ=マッカーシー(Joseph McCarthy)という米国上院議員のおっさんがおりまして、「共産主義者狩り」の急先鋒として知られています。赤狩りは「マッカーシズム」といわれています。晩年はアルコール依存症で物忘れが激しくなったとか。
なぜこんな過去の人物に興味を持ったのかというと、映画「Dr. Kinsey」(邦題:愛についてのキンゼイ・レポート)を見たからです。同映画の中では、性科学のさきがけであるキンゼイが「共産主義者」扱いされて弾圧されるシーンがありました。キンゼイ弾圧の先頭にいたのがマッカーシーでして、それで興味を持ったわけですね。
マッカーシズムで弾圧されたのは、キンゼイのような性的寛容派だけでありませんで、同性愛者もまた「赤の走狗」として検挙されていきました。
いまの時代、マッカーシーを見れば「変人」であり、「同性愛」=「共産主義」など言いがかりにしかみえません。しかし、時代の風にあうと、「変人」が「救国の主」に見え、熱狂を以て迎えられるのであり、ヒットラーしかり、日本の現首相然り(?)であります。現首相については歴史の評価が下るのは先のことですから、いまは断定できませんが。
マッカーシーは死んだわけでありますが、「マッカーシズム」的なものはいまなお徘徊しています。米国のエロ狩り、ゲイ・バッシングなど形をかえたマッカーシズムでありましょう。
日本では性教育バッシングの一環として、性解放派は「共産主義」思想であるかのようにいわれ、同性愛も敵視されています。こんなのは50年遅れのマッカーシズムなのではないかとわしは思います。
このたびのドキュメンタリー作品と、『Dr Kinsey』、まもなく日本で公開されるドキュメンタリー映画『インサイド ディープ スロート』をあわせて見ますと、米国の潔癖性的なエロ狩り・エロ嫌悪がよーく分かります。

カテゴリー: 及川健二のパリ修行日記 | 投稿日: | 投稿者:

及川 健二 について

ジャーナリスト/研究者。 それまで一分もフランス語を学んだことがなかったのに、 フランス留学を決断。2002年UCLAエクステンションセンター・ 夏期英会話講座・修了、グランゼコールの一つ、2004年 リール政治学院・夏期特別セミナー修了(European Summer University Program at Institut d’Etudes Politiques de Lille)。 フランス国立パリ第九大学・Dauphine修士課程に2004-05年に在学。 多国籍企業の経営戦略が研究テーマ。大学では”英語”で講義を 受け、語学学校でフランス語を勉強するというチョット変わった留学生活をおくる。2004年7月3日から2006年3月25日までフランスに滞在。リール、トゥール、パリにて生活する。数々の政治家にインタビューする。 共著『オカマは差別か』(ポット出版)、2002年1月。 編集・共著『常識を超えて』(ポット出版)、2002年6月。 単著『ゲイ@パリ 現代フランス同性愛事情』(長崎出版)、2006年10月。 単著『沸騰するフランス 暴動・極右・学生デモ・ジダンの頭突き』(花伝社)、2006年10月。 単著『フランスは最高!』(花伝社)、2007年6月。