鉄腕アトムと「世界で絶賛された」愛のコリーダ@フランス

土曜日朝に偶然、テレビのスイッチをつけたら、鉄腕アトムのフランス語吹き替えバージョンがやっていました。先週水曜日から、いくかつの映画館では「ジャングル大帝レオ」の上映も、始まっています。フランスにおける日本ブームってのは、昨年日本を席巻した韓国ブームみたいなもんです。といっても、一過性のものでなく持続しています。
先週から浅野忠信も出演している「茶の味」って映画も始まったので、見てきました。トホホなギャグ連発ですが、そこそこ楽しめました。
フランスでは大島渚・監督の映画作品がDVD化され売られているので、「愛のコリーダ」「愛の亡霊」「悦楽」を観ました。大島監督っていいますと、バラエティ番組に出ている和服を着た人の良さそうなお爺さんというイメージしかなく、これまで監督の作品を見たことはありませんでした。
「悦楽」に、加賀まりこさんが出ているのですが、とっても若くて美しくてビックリしました。可憐な美しさという言葉がぴったりですね。「愛のコリーダ」や「愛の亡霊」は、フランスですのでモザイクが入っていないため、藤竜也さんの男性器も女優の女性器も丸見えです。「愛のコリーダ」では、本当にペニスをヴァギナに入れているようです。よくこんな作品を日本で撮れたものです。的田也寸志さんはアマゾンのレビューで次のように書いています。

「料亭の女中である定は、吉田屋の主人の吉蔵と相思相愛の仲になる。やがて彼を独占したい一心から、定は吉蔵を殺害。さらに、その男根を切断する」
「昭和の猟奇事件として名高い阿部定事件を究極の愛の形とみなし、フランス資本で製作した大島渚監督作品である。そのハードコアな描写に、当時の映倫はじめ国内当局はおののき、結果として画面の原型を留めないほど改変されたものが公開された」
 なるほど、フランス資本で製作されたからこそ(ということはフランス映画か)、きわどい撮影ができたのでしょう。愛のコリーダは「世界で絶賛された」そうなのに、製作地である本国・日本では改竄されたものが放映されたなんて、なんとも皮肉な話です。浮世絵のエロ画がフランスで評価されているのに、日本では展示できない……という状況に似ていますね。
私が観たのは、きっと「原型」の作品なのでしょう。
大島さんって、ずいぶん、危なっかしい作品を撮っていたのだと、いまさら気がつきました。
ちなみに、「愛のコリーダ」や「愛の亡霊」の主演男優、藤竜也さんは、フランスでもDVD化された黒沢清・監督「アカルイミライ」でもいい演技をしていました。映画を三年前にみたのですが、それが藤さんだったと、いまになって知りました。

カテゴリー: 及川健二のパリ修行日記 | 投稿日: | 投稿者:

及川 健二 について

ジャーナリスト/研究者。 それまで一分もフランス語を学んだことがなかったのに、 フランス留学を決断。2002年UCLAエクステンションセンター・ 夏期英会話講座・修了、グランゼコールの一つ、2004年 リール政治学院・夏期特別セミナー修了(European Summer University Program at Institut d’Etudes Politiques de Lille)。 フランス国立パリ第九大学・Dauphine修士課程に2004-05年に在学。 多国籍企業の経営戦略が研究テーマ。大学では”英語”で講義を 受け、語学学校でフランス語を勉強するというチョット変わった留学生活をおくる。2004年7月3日から2006年3月25日までフランスに滞在。リール、トゥール、パリにて生活する。数々の政治家にインタビューする。 共著『オカマは差別か』(ポット出版)、2002年1月。 編集・共著『常識を超えて』(ポット出版)、2002年6月。 単著『ゲイ@パリ 現代フランス同性愛事情』(長崎出版)、2006年10月。 単著『沸騰するフランス 暴動・極右・学生デモ・ジダンの頭突き』(花伝社)、2006年10月。 単著『フランスは最高!』(花伝社)、2007年6月。