映画評『受難』……16歳未満禁止のド変態もの……


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 ベルギー・ルクセンブルグ・フランスの三国合作映画『受難』(“Calvaire”)は見応えのある映画だ。
 小さなコンサートを繰り返す歌手(♂)がある時、土砂降りの中、森を車で走っていると、車が壊れる。近くの家にいき助けを求めると、白い髭をたくわえた一人暮らしの家主が泊まっていけという。手作りの料理でもてなす家主はとても親切だ。
 しかし、時折、わけもなく泣き出し、落ち着かない動作を繰り返す。
 翌朝、家主は車の修理会社に電話をかけた。歌手は近くに民家や商店がないか、うろつくと、狩人たちが集まり、イノシシと性的に戯れているところを目撃する。彼は気分を害し、元の家に戻る。その間、家主は車の扉をこじ開け、彼の恋人の写真・携帯電話をポケットにしまう。
 歌手は周囲に電話をかけようと思い、受話器をとると、回線がつながっていないことに気がつく。家主を捜しその部屋に入ると、自分の携帯・写真を発見する。
 そして、気がつくと家主は外で、彼の車をハンマーで破壊し、石油をあびせ、火をつける。彼は家主からハンマーで一撃くらい、気を失う。
気がつくと、女性もののワンピースを着せられ椅子にしばりつけられ、髪を刈られる。
それから、映画は彼の逃走と捕獲、さらなる虐待……というシーンが繰り返される。同性愛シーン、”獣かん”シーンの出てくる同映画は痛々しいが、どこか耽美な雰囲気が漂う。
虐待されるうちに歌手が正気を失っていく過程や、彼をペットのように弄ぶ家主の狂気が、丁寧に描かれる。クリスマスに、近くの牛を盗んできて、皆で「わしらは家族だ」といって喜びはしゃぐ家主、絶望的な状況なのに血まみれになりながらも意味なく笑う歌手……。
「絶望」と「狂気」が深く描かれている。
この映画は冒頭の五分ぐらいの間、女性が出てくるだけで、あとはむさ苦しい男のみが登場する。

カテゴリー: 及川健二のパリ修行日記 | 投稿日: | 投稿者:

及川 健二 について

ジャーナリスト/研究者。 それまで一分もフランス語を学んだことがなかったのに、 フランス留学を決断。2002年UCLAエクステンションセンター・ 夏期英会話講座・修了、グランゼコールの一つ、2004年 リール政治学院・夏期特別セミナー修了(European Summer University Program at Institut d’Etudes Politiques de Lille)。 フランス国立パリ第九大学・Dauphine修士課程に2004-05年に在学。 多国籍企業の経営戦略が研究テーマ。大学では”英語”で講義を 受け、語学学校でフランス語を勉強するというチョット変わった留学生活をおくる。2004年7月3日から2006年3月25日までフランスに滞在。リール、トゥール、パリにて生活する。数々の政治家にインタビューする。 共著『オカマは差別か』(ポット出版)、2002年1月。 編集・共著『常識を超えて』(ポット出版)、2002年6月。 単著『ゲイ@パリ 現代フランス同性愛事情』(長崎出版)、2006年10月。 単著『沸騰するフランス 暴動・極右・学生デモ・ジダンの頭突き』(花伝社)、2006年10月。 単著『フランスは最高!』(花伝社)、2007年6月。

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