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講演したことのまとめ●平成22年度山梨県公共図書館協会 全体研修会

5/28金に、山梨県公共図書館協会で講演させてもらった。

●そのときのレジュメ→レジュメ●平成22年度山梨県公共図書館協会 全体研修会

事務局の人がまとめをつくってくれたんで、掲載しますね。
実際、まとめを送って来てくれた(著者校正みたいな意味で)のは6月下旬なんですが、ただちにここに出してしまうのも悪いので、公開日設定を8月1日に事前設定。これを書いているのは6月25日(金)です。

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★まず、自分が講師として招かれた(であろう)理由

1自分の経営するポット出版は『ず・ぼん』を年1回出版しており、図書館とも15年くらい関わらせてもらっている。
2自分たちの本の存在を知って欲しいと、いろんな出版社と2000年「版元ドットコム」を33社でスタートさせる。インターネット上に、自分たちの作った本の情報がなければ、それがないことになってしまうというのが契機。おおくの出版社は、書誌情報は取次店が作れば良いじゃないかという考えだった。本の直売もやっていたが、それで儲かるのかという意識からか、3〜4年は会員も横ばいだったが、現在は166社になった。インターネット上に、自らの本の情報を、出版社が出していくことが理解されてきた。
3山梨の図書館の状況はわからないが、東京の図書館は委託や指定管理が多い。図書館の元非常勤職員の人たちが主体となって作ったNPO法人「げんきな図書館」は、職員・館長の常駐しない江古田図書館、東中野図書館、渋谷区立代々木図書館の運営を受託している。自分は『ず・ぼん』を作っていた関係で知り合い、そこの理事も務めている。

折しも今日はi−padの発売日、持参したものは4/10にアメリカで発売になったもの。スタッフのアメリカ在住の姉に買ってもらい送ってもらった。後ほどさわったり、使ったりして欲しい。

★個人的におもしろいと思う、図書館と出版社両方に関わるいくつかの状況

1日本ブックサーチの動き。グーグルのブックサーチを日本語でやってみたことのある人は?→1名。グーグルブックサーチとは、アメリカの大学図書館や議会図書館の蔵書をに本で出版されたものも含めてスキャンし、画像化・OCR(テキスト)化して、全文の中から検索できその一部を表示する。勝手にスキャニングするということから日本文芸家協会などは反発したが、英語のみを対象とするということで、今は沈静化している。公開はスニペット(検索キーワードを含む前後数行)、全ページの20%などの方法。日本の多くの出版社は、最終的にグーグルがそれを勝手に売るのではないか、利用料を取るようになるのではないかとの心配から抵抗した。ポット出版は全130タイトルのうち100タイトルくらいを自ら提供している。全文から検索して一部(最大20%)が表示されることは、本をめぐる環境としては有意義と考える。
日本の本の仕入れやMARCが1社占有では自分は嫌だ。グーグルのブックサーチのこともそうで、グーグルの独占では、相手方に主導権があり、あらがえない。そこで、国立国会図書館と自ら手を挙げる出版社(小学館、講談社、新潮社、筑摩書房、版元ドットコム)が共同で、本の全文からブック検索をできるものを創る試みが、現在合意文書を作るところまで到達し、6月くらいに公式発表、年内に小実験を始められるように動き始めている。業界全体で取りまとめるのではなく、やりたいところがやりたいものだけやるという方針。あるタイトルはO.K、その他のものは×でもよい。
2デジタル三省懇談会(総務省、経済産業省、文部科学省、オブザーバー的に国立国会図書館)。今のところ考えられているポイントは3点。一つは、日本語の電子書籍のフォーマット・規格化、二つめは、利活用の方法で個人的にはブック検索をその柱にしたいと考えている、三つ目は出版社の権利である。レコードなどに比べ、本の場合著作者には権利があるが、出版社には何の権利もない状況である。
3公共的書誌情報基盤整備の動き。現状はTRC(株式会社 図書館流通センター)が全国の図書館で使用するMARCの80%を占有。国立国会図書館もJAPAN/MARCを作っているが、出版から一ヶ月半程度もかかる。これに対し、TRCは4日ほどで作成。見本納品から作成を開始し、書店への配本には完成している。このような現状に対し、統一書誌を作るべきとの意見もJPIC(財団法人 出版文化産業振興財団)などから示された。今年1月には活字文化議員連盟から、書誌データの一元化に努めるとの計画も出され、日図協は即刻同意声明を発表。出版社も書誌情報データベース化に取組んでいる。それを国会図書館が利用するなど、出版社と国会図書館が緊密に情報をやりとりするようになれば、注目に値する。
4出版のインフラ整備について。JPO(日本出版インフラセンター)が近刊情報をEDI(電子データ交換)での発信をはじめようとしている。これは、今度こんな本が出るという情報を、発売の1〜2ヶ月前からネットワークを通じて、すべての本屋とネット書店に知らせようとするもので、ねらいは、出版社=生産予測、書店=仕入れ精度向上。無駄をなくす、返品を減らす=注文の精度を上げるということにある。近刊情報(簡単な書誌)を作ることは、統一全国書誌を作る動きとリンクできるはずだと思うが、それらを進めるメンバーは別々だったりして難しい。近刊情報を集めるしかけを作るというだけでも、出版社の意欲とうまく合致させなければ、うまくいかない。多くの出版社の近刊情報提供が重要。近刊情報と国会図書館のJAPAN/MARC迅速化の結合は今後の課題。TRC以外からMARCを入手する可能性を考える図書館人は今はいないが、今後はどうなるか。面白いことになっている。

これらの動きの背景には、国立国会図書館館長の長尾氏の影響が大きい。長尾氏は官僚でない初の館長で、資料を電子化して、全国平等に、有料化してでも使用(読むことが)できるようにするという、電子図書館構想を持っている人である。現場では図書館でお金を取ることへの抵抗は強いものがあるが、インターネットというツールが手に入ったという状況、出版状況などを考えると、個人的にはすでに図書館無料原則にこだわるべきではないと考える。病院でも3割徴収されているし、入館料をとるとか、1冊借りるのに500円とる等という無謀な有料化ではない。何を持って有料というのか、何を持って図書館の無料化なのか、線引きの問題になってくる。今後に向けて図書館員は考えておいた方が良い。

★図書館と出版社が直面している事態の背景

1インターネットがメディアの変化を決定的にした。今回発売のipadはそれをさらに加速すると考える。ポット出版発売の『クズが世界を豊かにする』という本がある。例えば、イラン大統領不正選挙に対するデモの映像はイラン政府に制限されたが、ネット上では現場で起きている動画が、リアルタイムで見える。その映像自体はおそらく携帯のもので、メディアの質や写す技術自体はクズみたいなもの(素人)が発信している。今は、普通の人の発信が、インターネットを通じて世界の人に影響を与える可能性がある世界。たとえば、自分が帰りの電車が正面衝突する事故に遭う。かろうじて生きてその状況をツイッターで投稿すれば、世界の沢辺?そういう可能性もある。バジリコ出版から『新世紀メディア論』を出している、小林弘人はインターネットは“誰でもメディア”という論。これまでは、メディア(新聞=発行するためには資本が必要、テレビ・ラジオ=免許が必要)は一部に独占されているものだった。しかし、インターネットにより発信可能になった。=誰でもメディア化。
2過去日本に、こんな自由な時代はなかった。それは肯定して良い。民主主義(みんなが決めること)がルールになる社会に賛成する。
3キーワードは文字。本を読まないといわれるが、毎日新聞の読書調査では1970〜90年代の総合読書率70%前後に対し、2008年は79%。ブックスタートや朝の読書が原因か?読んでいないのはむしろ大人か。文字は読まれていると思う。ただ文字=本・雑誌とは限らない。デジタルが増えていると感覚的に思う。これほど日本人が文字を書いている時代もない。メールもしかり。絵文字などですら日本語の表記の拡大と自分は考える。ビジュアルに移動してはいない。文字・言葉抜きに感情は伝えられない。文字・言葉によって意思が確認される有意性。HPが文字ばかりということにも象徴されていると思う。

★図書館が果たせるかもしれない役割

・それでも図書館は必要か、いつでも考えている。文字、読み書きは重要であり、それが使えないと社会にエントリーすることができない。画像だけでなく、文字だから伝えられる。この文字を扱い、社会のルールを知る材料を提供するのが図書館のオオモトのオオモト。図書館は、学校と並行して重要な役割を担うものだと思う。しかし、これだけインターネットが発達した今、建物としての図書館、直接来館しなければならないような図書館は必要か。仮に、電子書籍が9割を占めるようになる社会が来たとき、図書館は何をするのか?明確なものはない。しかし、取り残されている課題、アプローチすべき課題があると思う。
1情報の選別。例えば、新聞は記事や見出しの大小で重要性がわかるように、すでに記事は選別され、重要度をランクづけしている。インターネットの場合、膨大な情報を選別するのには限界がある。また、有為(自分にとって)な情報を、選別して再構築するにも限界がある。それはメディアが果たすべき役割とも考えられるが、その一つとして、図書館も考えていくべきと思う。
2事実確認機能。例えば、イランのデモの映像は、実際は数人の死体であったものが、複数の人がいろいろな角度から写したために、膨大な数と受け止める人が出てきた。その間違いも訂正されないし、検証もされない。検証は本来メディアの役割。これも、図書館が果たせる役割の可能性がある。
3コンテンツの収集・編集・発信機能。先日、知人と訪問した山中湖村の図書館では、富士山の噴火に関する資料など貴重な郷土資料が紹介されていたが、むしろ自分が興味を持ったのは地元の食堂のメニューやお店のチラシの方。図書館はおハイソ過ぎると思う。意義はわかるが、普通の人がアクセスするような収集が必要なのではないか。例えば、広告やチラシなど。ただ、それらもただ置いておくだけではなく、集めて再編集(整理・分類して)、発信することが重要。以前の“ぴあ”のように。そうすることで価値が高まる。

①〜③は、図書館の役割、マスメディアの役割、公共機関の役割、クズ(普通の人)の役割、どれとも確定していない。それぞれに取り組むべき課題である。

★ポット出版が取り組んでいる、取り組もうとしていること

・書影利用=ポット出版に限れば、書影の利用は自由。イラスト・写真については事前に連絡を。
・新聞雑誌掲載書評のデータベースの構築=横芝光町立図書館での実践に影響を受けて全国の図書館員に働きかけ、共同でそれぞれが地方紙などのデータを入力、作成→提供館にはフィードバックする形を考えている。
自分の所だけでやっても、すぐ解決にはならないが、目の前にあること、小さいことでも一つずつ取り組んでいく。
私たちクズが世界を豊かにする。目の前にあることを、何か一つでもやっていく。そのことで世界は変わる。

質疑応答
 Q 沢辺氏の再販制度に対する考え方は?(山梨県立図書館・山形)
 A 再販制度とは、例えばポット出版が書店に販売価格を強制しても良い制度。再販制度はあってもなくてもよい。これによって、何の利益があるのかわからない。無くしたらどうなるかもわからない。しかし、すでに事態はそういう流れではない。電子書籍もすでに適用外。一度なくしてみればよい。再販とは関係ないが、委託制(売れ残ったら返品していい制度)はあった方がよい。返品を完全になくすのは難しい。再販がなくなって良いかどうかはわからないが、なくなってもよい準備はしておいた方が良いと思っている。

 Q 出版社で作っているNPOが指定管理者となっているそうだが、図書館は直営が望ましいと思うがどうか?(NPO法人 山梨子ども図書館・浅川)
 A NPO法人 げんきな図書館は、出版社でやっているのではなく個人。以前中野区の図書館に勤めていた非常勤職員で作ったもの。
よい図書館サービスが提供できれば、直営・委託ということは関係ない。
しかし、指定管理者制度が、ただ経費を安くするだけのものになっているのは歴然たる事実。受託前、12人の職員で一億円程度かかったはずの人件費が、NPOへの委託によって3,500万円、40%になった。
民間の考えを生かそうとしているか(自由にやれる幅を広げようとしているか)=NO。
行政側からの干渉もあり、民間のノウハウを活用できているとは、とても言えない。
だが、現在民間のノウハウを活用できていないからといっても、それが指定管理者制度の本質とはいえない。そのように、ただ安上がりのために使われているのが現状だということにすぎない。しかし、安上がりのためにだけ使われているというのは、やはり指定管理の現状の最大の問題だ。

いただいた本●未来改造のススメ─脱「お金」時代の幸福論

山路達也さんからいただきました。

書名●未来改造のススメ─脱「お金」時代の幸福論
著●岡田斗司夫、小飼弾
発行●アスペクト
定価●1,400円+税
2010年5月20日発行
四六判/208ページ/並製
ISBN978-4-7572-1795-9 C0030

●全国の書店で購入できます。
Amazonで購入する

●目次
はじめに  小飼弾

Chapter 1 カネ持ち、モノ持ちは、もはやダサイ!
今本当に必要なのは、モノのダイエット
廃校とブックオフを買ってみる?
もはや、カネ持ちは格好悪い!
実は、アメリカは発展途上国だった

Chapter 2 知恵やコンテンツはそもそもフリーである
未成熟な業界には隙間がたくさんある
コンテンツにカネを払う奴は負け犬なのか?
日本人は世界一フィギュアが嫌いな民族
コンテンツはタダだということがばれてしまった!

Chapter 3 仕事の報酬は、カネから体験に変わる
命と引き換えにしても欲しいモノはあるか?
自分が自分の客になるかを考えてみよう
うまくやる奴とうまくいかない奴の格差は大きい
普通のモノは誰にも買ってもらえない
まず、自分の補助線を世界に書き込んでみる
教育とはそもそも何か

Chapter 4 会社、学校、家族のいいとこ取りした新しい組織
岡田斗司夫は、ビジネスが不得意である
暗黙知を伝えるための弟子方式
自分ではなく弟子たちにやらせないとダメ
学んだ弟子が卒業する瞬間
社員が社長に給料を払う

Chapter 5 個人という幻想が終わり、他人同士が家族になる
「個人」という幻想はすでに終わっている
働くことはバカのための免罪符になりつつある
「ばあや」のススメ
非モテはこれで解決できる!
非モテのためのマーケティング論
青年よ、もっと無意味に悩め

Chapter 6 世界支配は、機械政府に任せてしまえ!
機械政府の可能性を探る

Chapter 7 働かなくても飢え死にしない時代へ
日本人全員を年金生活者にしてしまえ!
真の成金は、子どもにカネを残したりしない
人生は辛さの好みがそれぞれ異なるカレー

Chapter 8 沖縄と北海道は独立国に、日本は「合県国」に
沖縄と北海道を独立国にしよう
地方分権ではなく、いっそ連邦制へ
僕たちは何に脅えてきたのか?

Chapter 9 「僕らはすでに豊かだ」からスタートしよう
カネ持ちに上手にたかろう
みんなで力を合わせて無意味なモノを作る
たかる相手を見つける旅に出よう
生きる力とは、たかる相手を見つける能力
ベーシック・インカムは苦痛を減らす
僕らはすでに豊かだ
仕事は「数寄者」の権利になる
もう大学なんていらない!
自分ができることを明日からやればいい

おわりに  岡田斗司夫

すずの誕生ケーキとなす家の動物たち

今週の月曜日、7月生まれの人たちのバースデイケーキタイムがあった。
ケーキは社長のプレゼント。

7月生まれといえば、すずちゃんですよ! 夏の女・すず。
プレートに「SUZU」の名前はあるけど
人間用のケーキだから見るだけ。
その時間わたしは打合せで出かけていたので、現場は見ていなかったけど
きっとちょびっとだけなめさせてもらったでしょう。
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久々になす家の動物たち登場。
くそ暑い日中、ナッツと点は家の中で一番涼しい場所をみつけてトド状態。
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それでも暑そうなので、ナースがアイスノン作戦を実施。
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アビちゃんはテーブルの上で涼んでいます。ここも涼しいらしい。
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夏休みは、家庭で「パパの理科実験ショー」を!

夏休みが始まり、お子さんがいるかたは
親子で遊びにでかける計画を立てているころでしょうか。
でも、この暑い中、外に遊びに行くのは大変ですよね。

ポット出版の新刊
「DVDブック 今日の遊びはこれに決まり! パパの理科実験ショー」では
親子で遊べる楽しい理科実験を、イラストと実演DVDで紹介しています。

家でできる理科実験なら、外出先での人ごみ疲れとも無縁です!
さらに、使う道具は
水やペットボトル、コップ、クリップ、毛糸など
ほとんど家にあるようなものなので、出費もかさみません。
収録している実験は、「シャボン玉」「水」「塩水」「砂糖」といった、
簡単だけど子どもが喜ぶものばかり(DVDでは、実際に
小学1年生から4年生のお子さんたちに出演してもらいましたが、
みんな面白がって参加してくれました)。
本にはお父さん向けに科学的な解説も紹介しているので、
親子で自由研究のテーマを探すのにもぴったりです。

「俺は文系だから」と言うお父さんも、まずはひとつ試してみてください。
担当者編集者(私です)は理科・算数がさっぱりだめですが、
いろいろな実験を試した結果、自信をもって
「理科実験は面白い!」と断言します。
お子さんだけでなく、きっとお父さんも夢中になるはず!
ちなみに、私のオススメは「浮いて集まる1円玉」という、1円玉と水、器だけでできる実験です。
すっごく簡単なのに、ちょっと感動します。

この夏休みは、家でのんびり
お子さんと理科実験で遊んでみませんか。

「DVDブック 今日の遊びはこれに決まり! パパの理科実験ショー」
(著・飛田賀光)
予約受付中です。

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借金のコツ

ポットには社内売店がある。
といっても冷蔵庫と棚に、ペットボトルの飲み物とか、カップラーメン・レトルトカレーにサトウのご飯とかを置いているだけ。
代金は、「金庫」と名付けてる金の入れ物にそれぞれが入れていく。

で、いつのまにかこの金庫、代引きや新聞代の集金などでおつりのないときや、
手持ちの金が足りないときのチョット借りるのに使われるようになった。
フセンのメモの「沢辺 07/26 2000円借り」みたいにメモしておくのだ。

この「システム」は、いつの間にか出来上がったものだった思う。
ポットでは、毎週金曜日に30分を目標に全体会議をやっているのだけれど、
その会議でも提案もなくルール化もされていない(はずだ)し、
ポットマニュアルという社内ブログにもない(はず)だ。

ルールはなんとなく決まることも多いし、それもまたいいんだ。

今は、給料前に「借りメモ」が増えていく。
ところが、給料日をすぎても返さないヤツがいる。
もちろん、単純な返し忘れだろう。

借金のコツである。
借金をするためのコツは、返すことだと思う。
返せば、信用が増えて、また貸す時の敷居が低くなる、というのがオレの考えだ。
返したその場で、もう一度貸してくれというのすら有効だと思う。
いや、むしろスゴーく有効だとすら思う。

こうすれば、忘れていないこと、返す意思のあるというメッセージを相手に伝えられる。
それが信用なんじゃないだろうか?

これをなぜしないヤツがいるか?
その借金を「大したことだと思っていない」「忘れた」ってあたりだろうと思う。
あるいは、「返せない」とか思っちゃってるんだろうな。

もちろん、大きな金額なら、いったん返すこともむずかしいときはある
でも、たかが金庫にある金程度は、いったん返すことができない訳はない。

で、どういう理由にしたって、貸す側は信用しなくなるんだと思う。
そうすると、せっかくの金を貸してくれそうな相手を、減らすだけ。
自分の持ち札を、どんどんなくす少なくする、オレの言い方でいえば、自由=とりうる選択肢を減らしてる。
考えてないなー、と思うのだ。

オレは金の話が大好きだ。

『パパの理科実験ショー─DVDブック 今日の遊びはこれに決まり! 』の予約を開始しました

2010年8月12日刊行予定の近刊『パパの理科実験ショー─DVDブック 今日の遊びはこれに決まり! 』の予約受付を開始しました。

子どもと遊びたいけど、「何をしていいかわからない」「あまりお金をかけたくない」と思っているお父さんたちへ。
このDVDブックでは、そんな悩みを解消する、親子で遊べる楽しい理科実験をイラストと実演DVDで紹介しています。

収録している実験は「シャボン玉」「水」「塩水」「砂糖」といった、家庭にある材料で楽しめるものばかり。

本では、実験の手順のほか、お父さんの虎の巻ともなる科学的な解説も紹介しています。

DVDでは、著者・飛田賀光と子どもたちが実験を実演。
「シャボン玉を作るときの手つき」など、本だけではわかりにくいポイントも、動画だからしっかりチェックできます。
また、子ども向けのサイエンスショーを数多く行ってきた著者ならではのトークは、きっと「パパの理科実験ショー」を盛り上げるためのヒントにもなるはずです。

さあ、あなたも家庭で「パパの理科実験ショー」をはじめてみませんか?

パパの理科実験ショー─DVDブック 今日の遊びはこれに決まり!

ご予約希望の方は本が出来次第、送料無料でお送りします(代引の場合は代引手数料300円[代金1万円以下]のみご負担いただきます)。

本のタイトル/冊数/お名前/郵便番号/住所/電話番号/メールアドレス/お支払い方法(郵便振替または代引がご利用できます)をお書きのうえ、こちらへメールをお送りください。折り返しご確認のメールを差しあげます。

また、Amazonでもご予約を受付中です。
『パパの理科実験ショー─DVDブック 今日の遊びはこれに決まり! 』をAmazonで予約する

パパの理科実験ショー─DVDブック 今日の遊びはこれに決まり!


著●飛田賀光
定価●1,600円+税
ISBN978-4-7808-0152-1 C0076
A5判 / 128ページ /並製
[2010年08月12日刊行予定]

目次など、詳細は以下をご覧ください。
パパの理科実験ショー─DVDブック 今日の遊びはこれに決まり!

第3回 いま、自分のおしゃれのレベルは並以下です──大石なつ美さん(22歳・女性・無職)

大石さんは、1988年に埼玉県郊外で生まれ育ち、現在も親元で暮らしている。22歳。中学高校は地元の普通高校に進み、八王子にあるマンガ・アニメ系の専門学校に進む。専門学校卒業後はライトノベルなども出版している某出版社で雑用のバイトをしていたが、一年と少しでやめてしまった。現在は無職。
*2010年4月13日(火) 18時〜インタヴュー実施。

「二次創作をやっています」

大石さんは漫画家になることを目指している。現在は、オリジナル作品を描いているのではなく、すでに存在してる作品のキャラクターを使って描く二次創作のマンガを描いている。でも、本人としてはオリジナルストーリーのマンガをやりたいと思っている。

石川 いま、仕事はなにかやっているの?

大石 いまなにもやっていません……(苦笑)。家でぐだぐだと、お絵かきをやっています。

石川 どういう絵を描いているの?

大石 二次創作です(笑)。

石川 二次創作をおじさんのぼくにもわかりやすいように説明してくれるとうれしいな(笑)。

大石 いまやっているのは『デュラララ!!』という作品の二次創作です。原作はライトノベルで、いまはアニメ化もされています。作者の成田良悟さんの小説はずっと好きで、全作品を読んでいます。『デュラララ!!』は小説の頃から二次創作をやっていました。

沢辺 で、二次創作ってなに?

大石 すでにあるマンガや小説にもとづいて、そのキャラクターを使って、自分で絵を描いたり小説を書くことです。

沢辺 ようは、パロディーとか置き換えだと思うけど、一次の元ネタとしてはどういうものがお気に入りなの?

大石 『デュラララ!!』のキャラクターをいじくっています。マンガや小説の書いてない部分をかたちにするのが二次創作だと思っています。

石川 大きく言えば、本編のストーリーの前段階や話のつづきを自分でつくってみたり、本編のサブキャラクターを主役にしてその生い立ちや物語をつくるんだと思うんだけど、そういうものだよね?

大石 はい。

沢辺 もとのキャラクターはどんなものなの? そのキャラクターの名前は?

大石 門田さん(うふふふ)。

石川 門田さんの魅力ってなに?

大石 男らしいところです。男気っていうか、番長系というか(笑)。頼れるというか、優しいというか。

石川 バンカラ系なんだね。で、その門田さんを使ってどういうストーリーを描いているの?

大石 ボーイズラブもありますし。そういうのと関係ない日常を描くこともあります。

石川 ボーイズラブっていうとエロなの?

大石 ボーイズラブが全部エロなわけではないです! (笑)

石川 あっ、そうか、なんか、ほのかな(笑)。

大石 普通の男女カップリングでも、チューで終わったり、手をつないで終わったりしたらエロじゃないじゃないですか。

沢辺 つまり、ボーイズラブは描くけど、セックスシーンまでは描かないと。

大石 そうです。そうです。

沢辺 じゃ、なんでエロ描かないの?

大石 私はエロを読むのは好きですけど、描けません(笑)。自分には描けないからです(笑)。それに、無理やりエロにしなくてもいいと思います!

石川 そのとおりだと思うけど、エロってきたない、グロい、という感じがあるから?

大石 そんなことはないです。

石川 じゃあ、エロのほうはエロのほうで、それを楽しむ人が楽しめばいいんじゃないの、ぐらいの感じなんだ。

大石 そうですね。へへへ(笑)。

石川 二次創作の仲間内で、これがいい、あれが悪い、絵が変、とか言うことはある?

大石 あったりなかったりです。でも、そこまであんまり踏み込むことはありません。

石川 ということは、二次創作の世界では、あなたはあなた、わたしはわたし、というという世界ができあがっているんだ。

大石 そうですね。

石川 原作者の成田さんの世界は尊重する? けっこう無視?

大石 尊重しますね。

石川 じゃあ、ボーイズラブ的な要素はもともとその作品のなかにあるの?

大石 いえ、本人はそういう意図はないと思いますけど、それを見いだすのが女の子なんで(笑)。

石川 最近は原作のほうがそういう作り方しているものも多いと思うけど。どう?

大石 そういう部分もちらちらありますけど。

沢辺 コミケとかに自分の二次創作の作品は出している?

大石 コミケは毎回行ってて、作品も出すこともあります。

沢辺 いちばん売れたのはどれくらい売れた?

大石 いまでこそアニメ化されて『デュラララ!!』は人気がありますけど、去年まではマイナーで。私の場合は、多く売れて80冊ぐらい売れた作品がありました。一年ぐらいで。

石川 一作品どれくらいの値段?

大石 400円か500円です。

沢辺 今日もってきてないの?

大石 もってきてません。

沢辺 なんだー。もってきてれば買おうと思ったのに。

大石 (笑)だめですー! 

沢辺 えっ、なんで? だって売るもんじゃん。

大石 (笑)だめですぅー!

石川 えっ、なんでだめなの(笑)? 売れたらうれしいじゃん?

大石 (笑)うれしいですけど。ぽいぽいとあげるようなものではないんで。

沢辺 だから、買うって言ってんじゃん。

石川 ぼくも買うのに。

沢辺 ところで、二次創作って、厳密に言うと著作権法違犯だよね。

大石 はい(笑)。

石川 でもそうすると、この話をアップするとき、作品名を出さないほうがいいのかな?

沢辺 いやでもこの部分はブレになっているからいいと思うよ。二次創作だって、それがコミケで売れれば、その元ネタの小説のほうも買う人が出るだろうし。出版社もそれを本気になって文句を言う気はないと思うよ。

石川 そうですね。さっきもちょっと言いましたけど、いまは二次創作にしてもらうのを意識しているアニメもありますしね。

大石 もちろん、最近は、二次創作を規制しませんか、という動きもありますけどね。

石川 ところで、この門田さんという人ってメインのキャラクターじゃないよね?

大石 はい。自分の好きなキャラクターをメインにしたいじゃないですか。

沢辺 絵はうまいの?

大石 自分で言うのもなんですけど、そんなにうまくありません。

沢辺 「自分で言うのもなんですけど」って普通、そのあとは「そこそこ自信あります」だけどね(笑)。

大石 なんて言っていいのかちょっとわからなくて(笑)。

石川 ほんとはちょっと自信あるからいまだに描いてるんだよね?

大石 まあその……。

石川 二次創作の世界では、ほんの一部のひとはそれで儲けて生きているひともいると思うけど、そうなりたい気はあるの?

大石 いえ、それはないですね。

石川 じゃあ、二次創作ではなく、マンガのほうで食っていきたいの?

大石 そうですね。ありますね。

石川 それは、二次創作ではなく、オリジナルで勝負したい、ということ?

大石 そうですね。やりたいです。

沢辺 でも、マンガ描いてる?

大石 二次から抜け出せない、というか(笑)。

石川 二次から抜け出せない、って面白い言い方だよね。

大石 やっぱりたのしいんで。

沢辺 でも、それだったら、徹底的に二次をやればいいんじゃないの?

大石 えーっ! 結果的に趣味になっちゃうんで。

沢辺 でも、それはプロになるための重要な練習方法だと思うよ。小説家の町田康だって、図書館に行って、自分の好きな小説家の文章をずっと書き写していたらしいよ。これは二次創作でもなんでもなくて、むしろずっと書き写してただけだけど(笑)。

石川 写経的ですね(笑)。

沢辺 でもそうすると、手に文体が染み付くし、ストーリー展開も手とか体とかに染み付いてくるし。こういうのは一つの練習方法になると思うよ。そんなに二次創作から抜け出すことを考えずに、むしろ、突き抜けることをやってみたら?

大石 そうなんですが。でも、もうそろそろ、そういうことを言ってられない年齢になって。

沢辺 そんなことないよ(笑)。昔は人は60歳で死んでたんだから。むかしは15歳で元服。15歳で大人になって戦場で切りあいしてた。50年前だって、中学卒業してすぐ就職したひとはいっぱいいた。けれども、いまは人生80年。23歳なんてはな垂れ小僧みたいなもんだよ。

「専門学校時代は、山のように描きました。毎日のように描きました」

大石さんは小学校の頃、高橋留美子の作品に出会ったのをきっかけに漫画家になることを目指してきた。勉強はあまり得意ではなく、中学も高校も家から遠くない公立校に進む。
高校は進学校ではなく、ギャルが多く、タバコを吸っている学生もいる素行のよくない学校だった、とのこと。
男女約40人のクラス構成のうち、女子の半分ぐらいが化粧の濃いギャル。残りの半分のうちの半分(女子の4分の1)がナチュラルメイクのかわいい系の女の子。あとに残った女子がお化粧には興味がない女の子(大石さんはそのグループに属する)。男子はギャル男が半分以上、残りがオタクとは言えないけれどインドア派。
大石さんは同じクラスでも自分のグループ以外の女子とはそんなに話をしなかった。男子ともほとんど話をしなかった。別に嫌いというわけではなく、「とくにかかわりをもとうとは思わなかった」とのこと。ギャルの子の濃いメイクもかわいい系の子のメイクも「個人の趣味だからやればいいじゃん」という受け止めだった。男女、各グループ間に対立があったわけでもなく、不干渉という態度で、学校行事などでは意外とまとまるクラスだった。大石さんもとくにイジメなどいやな思い出はなかった高校時代だった。

石川 中学校、高校のときはどういう子だった?

大石 クラスにひとりかふたりいる地味なタイプ、インドア派でした。

石川 オタク?

大石 オタクっていうか、そのまんまオタクでしたね(笑)。

石川 高校のときは受験勉強はした?

大石 高校は大学受験の勉強はしてなかったです。わたしは専門学校に推薦で入ったので。

石川 クラスのみんなのその後の進路とかは知ってる?

大石 とくにかかわりはもっていなかったので、みんながどうなったかは知りません。ただ、自分と付き合いがあったみんなは大学に行ったり専門学校に行ったり、普通の女子大や医療系の専門学校に行ったりしました。絵を描いているオタクの子がいたけど、その子は就職しました。最近連絡をとっていないので、どんな就職をしたかはわかりませんけど。

石川 専門学校の学費はどれくらい?

大石 たぶん、一年で100万以上です。画材代はまた別にお金がかかります。学費も画材代も親に出してもらっていました。

石川 マンガ家になろうと思って入ったの?

大石 はい。

石川 ご両親は許してくれたの? 親は「漫画家なんてお前そんな夢みたいなこと」なんて反対しなかったの?

大石 まかせるつもりで口出しせず、お金も出してくれました。

沢辺 なんで許してくれてると思う?

大石 親は親、子は子という感じだったと思います。

沢辺 女の子だから、というのはない?

大石 それはあんまりないと思います。

石川 お父さんはなにして働いているの?

大石 さいきんいろいろあって(笑)。埼玉県内の工場の下請けで、仕事つらいのなんのと言ってて。仕事を変えたらしいです。

石川 いまは働きに出ているの?

大石 ええ、たぶん。

沢辺 何度か仕事を変えてたひとだったの?

大石 はい。いままでに何度か。

沢辺 それまで仕事を変えているので、まあはじめてのことでもないので、別に気にしない、という感じ?

大石 聞いてもいいのかな? という感じで。

沢辺 ああ、そうだよね。聞いちゃうと逆に輪をかけて追い込んでしまうような?

大石 そうですね。辞めるときつらそうだったので。

石川 お父さんはその前はどんな仕事をしてたの?

大石 デパートやスーパーの従業員をやってたときもありました。それで、その工場の下請けが7、8年と、いちばんつづいたほうです。

石川 お父さんいくつ?

大石 四十すぎだと思います。

沢辺 それちょっと若くない? 大石さんいま22歳でしょ?(笑)

大石 そうですね(笑)。私が生まれたのは父が23歳ぐらいだったので。

沢辺 それじゃ、40代半ばすぎ、という感じだね。

大石 そうですね。

石川 お母さんはいくつぐらい?

大石 いくつかはわからないですけど、父より一個下です。

石川 仕事はしてるの?

大石 小学生向けのドリルなどの教材を発送している工場のようなところで働いています。

沢辺 出版社の倉庫部門かな?

大石 たぶん、そうですね。

石川 お父さん、たいした人だと思うんだよね。仕事変えながらも、娘の学費を出したり。ちょっと説教くさくなるけど。(笑)

大石 そうですね(笑)。親には感謝しています。

石川 そう言えば、さっき、二次創作をやりまくったらいいんじゃない? という話になったけど、学校に行かなくても一生懸命独学でマンガ描けば漫画家になれる、という考えはなかったの?

大石 いえ、そう考えてはいなかったです。学校に行っていろいろ勉強したかったんで。

沢辺 そこが疑問だよね。なんで? だって、描き方なんて自分で描けばいいでしょ。たとえば、手塚治虫先生はすべて独学だよ。いまは手塚先生の時代よりもマンガの描き方なんて本もたくさん出てる時代だから、独学で描きやすい時代とも言えると思うよ。でも、なんで、学校で勉強したくなっちゃうの?

大石 いま思うと、学校行くことで独学ではわからない技術的な描き方もわかりましたけど、山のように描くために行っていました。学校に通ったらいやでもマンガを描かなくちゃいけない。ただそれだけで勉強になったという気がします。

沢辺 けっこう描いたんだ。

大石 山のように描きましたね。毎日のように描きました。

石川 あの子が二枚描いたら、私は四枚描くぞ! というガッツで?

大石 いえ、そういう気持ちはありましたけど、そこまでは体がついていかなくて(笑)。

「おやじ好きです」

大石さんは、携帯メールはあまりしない。友だちは多くないタイプだと言う。けれども、PC(OSはWindows)を使ってのコミュニケーションはけっこう頻繁にやっている。『デュラララ!!』を軸に、ネット上の友だちもいて、チャットもしている。Twitterもやっている(mixiに登録はしているがやっていないとのこと)。
インターネット上に、ブログとイラスト作品(二次創作)を発表する自分のページももっている。二次創作のポストカードの通販も行っている。更新は頻繁にしている。一日約120人が訪れている。作品は、まず紙に描き、PCに取り込んで、フォトショップで着彩したものをアップしている。

石川 大石さんのページ見たいな?

大石 いやです。教えませんよ。

沢辺 なんだよ。教えてよ〜

大石 いやです! 恥ずかしいじゃないですか!

沢辺 見たいもん! じゃあ、Twitterは? IDない? 俺もやってるからさ(手元のパソコンを開き、自分のTwitterのページを見せる)。

大石 えー、腐女子的なことも書いてあるのではずかしいです。

沢辺 いいじゃん。これでツイッター仲間だよ。フォローしちゃおう。

大石 (結局IDを教える)恥ずかしい……。

沢辺 (大石さんのつぶやきを見ながら)午後二時に「おはよう」って(笑)。一日何時間ぐらい寝てんの?

大石 けっこう寝るんですよ。二度寝、三度寝してて、休日は10時間ぐらい寝てます。仕事をやめてから夜型になって、こないだ何もないときに、28時間寝てたんですよ(笑)。

沢辺 あっ、大石さんのページに行けちゃった!(Twitterから大石さんのブログや作品のあるページに飛ぶ)

大石 ギャフン!

沢辺 (大石さんの描いたイラストを見て)うまいね。たくさん描いているじゃん! (描かれている男性キャラを見ながら)ところで、好きな男のタイプは? 付き合うんだったら男?

大石 そうですね。百合っ子(レズビアン)ではないです。好きなタイプは、番長系でやさしい人です。

沢辺 俺みたいなイカツイのは? 

大石 いいですね。おやじ好きです。

石川 ぼくはどう?

大石 もうちょっと年齢がいったほうがいいですね。もうちょっと皺があったほうがいいですな。

沢辺 いま付き合っている男いる?

大石 彼氏いらないんです!

沢辺 おやじと付き合えばいいじゃん。

大石 自分が誰かと付き合うことが想像できないんです……。小学生のときに悟ったんです。それから彼氏がほしいということがなくなって……。

沢辺 それは断念しちゃったんだよ。

大石 でも、ほんとに好きだったかどうかわからないし……。

沢辺 小学生の好きなんていいかげんなもんだよ。自分はもてないとかブスだとか、勝手に思って、悟っちゃったわけ?

大石 そういうわけでもないですけど……。

沢辺 (大石さんのめがねを見て)めがねとか変えたほうがいいんじゃない? ガリ勉くんみたいだよ(笑)。

大石 変えたいとは思ってるんですよ。でも、長い間このめがねで。

沢辺 いつぐらいからしているの?

大石 高校終わりぐらいから。

沢辺 高校生としてもそのめがねまずくないかな(笑)?

大石 いまは、おしゃれしたいとは思ってるんですよ。

石川 おしゃれしたいと思ってるんだ〜。

大石 ダサいよりおしゃれしたほうがいいじゃないですか。

石川 じゃあ、めがねも含めてトータルでおしゃれしたい?

大石 めがねだけでなくて、トータルでおしゃれしたいです。でも、いま、自分のおしゃれのレベルは並以下です。

石川 (大石さんの服装を見て)服はどこで買ってるの?

大石 服は近所にあるスーパーの二階にあるような服屋で買っています。ブランドもののような高い服は買いません。着れればいいという感じです。池袋に出て買い物したりはしません。片道一時間もかかって服を買いたいとは思いません。

沢辺 原宿の竹下通りの店なんてむちゃくちゃ安いけど、そういう店には行かないの?

大石 そういう店の雰囲気は入りづらいんです。前に一回行ってみましたけど。

石川 自分がこう言うのは失礼だけど、大石さんとはどっかいっしょに行ってトータルで変えてあげたくなっちゃうな。すごくかわいくなると思うよ。

大石 少しは自分のファッションを変えたいと思うんですけど、変え方がわからないんですよ。

石川 それだったら、いっしょに買い物行って「お前これ着ろよ」みたいな彼氏ほしくない?

大石 あー。

沢辺 いやだよね。いかつい番長系好きなんだもん(笑)。そんなでれでれしてるのはイカツイ番長系とはちがうもん(笑)。

大石 そういうのいやじゃないですよ(笑)。こっちが無理やり買い物に連れて行って、だるそうにしている彼を見るのが好きなんです。

石川 そういえば、沢辺さんがタイプと言ったけど、触りたい?

大石 筋肉とかさわりたいですね。

沢辺 俺、贅肉だけどね(笑)。

大石 私、ガテン系の人とか好きです。

沢辺 そういう絵はなかったよね。

大石 ほんとうはそういうの描きたいんですけど、筋肉がうまく描けないんです。

石川 さっき悟ったなんて言ってたけど、ちょっとおしゃれにすれば、大石さんならすぐ彼氏できて男の人に触れると思うんだけどな〜。

大石 えーっ。うーん。

沢辺 でも、男に対して引いてるというか、距離感とってるよね。

大石 あー、そういうのあると思います。

沢辺 Twitterじゃ見られちゃうけど、閉じられたチャットとかでは、男の話、この人と付き合いたい、といった話はしないの?

大石 いや、あまりないですよね。友達とはアニメとかライトノベルのキャラとかの話、オタク系の話ばかりです。

沢辺 いままでのインタヴューでは、アイドルオタクとかライトノベルオタクとかもいたけど、こう言うのもなんだけど、大石さんは「真性オタク」という感じだよね。いわゆる電車男っていうか、そんな感じだよね。古典的オタク。

大石 私が? そうですか(笑)。現実に興味がない、というわけではないですけど。

沢辺 これまでインタヴューした子たちは、オタク的なこと、彼氏のこと、仕事のことはバランスよく配分して生きている感じだったけど、話を聞いてみて、大石さんは、オタク的なことが生きているなかでいちばん比重が大きい。

大石 そうですね。

「野菜煮込めなかったんです(笑)」

大石さんは、あまりお金を使わない。主な買い物は数百円のライトノベル。マンガは買わず立ち読みで済ませる。高校時代から親からのお金はもらわず、お年玉で一年間のお小遣いをまかなっていた。親戚が多いため、お年玉の額は毎年10万ぐらいだった。自分で買った買い物のなかでいままで一番高価な買い物は、出版社のアルバイト時代に買ったデジカメ(2万円ぐらい)。
大石さんは、胃袋も大きくなく、食べ物にもそんなに執着はない、と言う。焼肉などに肉料理も好きだが、それほど食べない。普段はおかしばっか食べてます、とのこと。

沢辺 兄弟はいる?

大石 三つ下に妹がひとりいます。いま私と同じ専門学校に通っています(笑)。私はマンガ・アニメコースでしたが、妹はイラストコースです。妹もいわゆるオタクで、コスプレをやっています。

沢辺 妹のコスプレはなにをやってるの?

大石 「忍たま乱太郎」です。

沢辺 えっ、でも、あれ、忍者のかっこうじゃない? もんぺみたいの履いて?

大石 頭巾をかぶって(笑)。

沢辺 どこに行くの?

大石 にんたまファンのイベントに行ってます。

沢辺 そういうにんたまコスプレのセットはあるの?

大石 コスプレのセットを扱ってる店もありますけど、自分でつくったり、そのつくったものを通販で売るひともいます。妹はコスプレを買う派ですけど、頭巾や足袋を改造したりして自分でつくってもいます。

沢辺 そういうの買うと高いんじゃない?

石川 2万円ぐらいするの?

大石 そんなにはしていないと思います。万はしないと思います。

沢辺 日曜日だと原宿でロリータのかっこうをしている子を見かけるけど、なんで女の子が忍者なんだろう?

大石 ロリータが好きな子は、それがかわいいから着ているわけだけど、コスプレが好きな子はそのアニメが好きでやっているわけで。そのかっこうで街中は歩いたりはしなせん。

石川 妹と一緒にコミケに行ったりはしないの?

大石 昔は一緒に行ったことはありますけど、いまは別々です。同じオタクでも、妹はコスプレで、私は二次創作なので。住み分けはあります。

石川 そうか。だよね。オタクにさまざまなジャンルがあるのは、音楽好きにさまざまなジャンルはあるのと同じように考えればいいんだ。

大石 そうですね。

沢辺 ところで、出版社のバイトはどれくらいはたらいていたの?

大石 一年とちょっとです。

沢辺 なんで辞めちゃったの?

大石 自分の時間がとれなかったので。

沢辺 土日は休みなんじゃない?

大石 朝11時から夜7時までの仕事だったんですけど、通勤に片道二時間もかかっていたので。

沢辺 辞めてから稼ぎはあるの?

大石 いまはまだなにも仕事をやってないのですけど、近場で働く場所を探しています。

石川 出版社のバイトは時給はいくらぐらいだったの?

大石 900円ぐらいです。

沢辺 残業は?

大石 自主的にやらないかぎりなかったです。

沢辺 (笑)8時間拘束で、それできつかったら、これからも自分の時間もてないんじゃないの?

大石 それでも、通勤を含めて、働いている時間がほとんど半日だったんで。疲れてしまって。

沢辺 日本ではほとんどの人がそういう生活を送っていると感じない? 

石川 すぐ疲れたりして、身体が弱いの?

大石 いえ、病気もち、というわけでもなく。

沢辺 最近は小学生も「疲れた」と言うんだよ。もう20年も前からだけどさ。それはきっと、大人が「疲れた」と言っているのを見てそう言うんだと思うよ。

石川 お父さん、お母さんはばりばり働いていたんじゃない?

大石 お父さんは、朝7時に家を出て夜9時に帰ってきて。お母さんは朝9時ごろに家を出て、夜5時ごろに帰ってきて……。

沢辺 えーん(泣いてみせる)!

大石 それでも、働いてばかりではなく、お父さんは音楽を聴いたりゴルフをしたり、お母さんは押し花教室へ行ったりとわりと好きなこともやっているようです。

沢辺 じゃあ、わりと謳歌しているほうなんだね。

大石 そうですね。

沢辺 ところで、話は戻るけど、食い扶持はこれからどうするつもりなの?

大石 そこがいま悩んでいるところです。なにをしたらいいんでしょうね? 遊んでいる年齢ではないので。

沢辺 一人暮らししたくない?

大石 私は、料理もなにもできないので、一人で暮らしはしていけないと思います。

沢辺 じゃあ、うちでごろごろして、お母さんのつくってくれたごはんを食べてるんだ?

大石 そうですね(苦笑)。

沢辺 じゃあ、お米炊けない?

大石 炊けます!

沢辺 味噌汁は鍋に水入れてそのあとどうする?

大石 具を入れる!

沢辺 ダシは?

大石 あっ、ダシが先か!(笑)

沢辺 まあ、ものにもよるけどね(笑)。やっぱダシでしょ。

石川 じゃあ、カレーつくれる?

大石 カレーこのあいだ失敗しました(笑)。

沢辺 カレーを失敗するって(笑)。いったい、どうやって失敗したの?

大石 野菜を煮込めなくて(笑)。

石川 野菜が煮える前にカレー粉入れちゃったんだ。

大石 短気なんです。

沢辺 俺も短気だけどカレーはつくれるよ。だって、とろ火にして、その間は本を読んでりゃいいんだもん。

大石 火をそのままにするのが怖いんです……。

沢辺 じゃあ、洗濯は? お母さんがパンツ洗ってくれてるの?

大石 そうですね(苦笑)。

沢辺 まずいだろ〜(笑)。それ。

大石 そうですね(苦笑)。

石川 お昼はごはんはお母さんがつくって置いておいてくれるの?

大石 夜中の2時3時に寝て、午後に起きて、という生活なので、お昼は、朝ごはんの残りを食べたり、食べなかったりです。

沢辺 いまは家族がいるからいいけど、孤独って怖いよ。この先いつまでも親と一緒には暮らせないと思うんだ。そうなると、一人ってさびしいよ。俺が独立したときはひとりでやってて、飛び込みで営業のサラリーマンがやって来るのがたのしみだった。日曜日なんかさびしくなるよ。

大石 そう考えるとこの先が怖いです。

「いまはマンガ描いてないです」

大石さんにとって、社会のイメージは、仕事をして世の中の一部になること。けれどもいま、自分は働いていない。いまの自分は「動いていない歯車」のようなものだと言う。その大石さんの仕事観は、マンガを描いてお金を稼ぐことが理想で、なにか生活のために仕事を見つけて働き、マンガは趣味でやっていくことは第二候補。
人とのかかかわりについては、「共通する趣味の範囲以外の人とはかかわりたいとは思いません」とのこと。

沢辺 いま、いちばんの悩みどころはなに?

大石 稼ぎですね。

沢辺 稼ぎなんてなんでもいいじゃん?

大石 マンガ家でやっていきたいと思ってるんです。

石川 自分のオリジナルのマンガは描いてないの?

大石 いまはマンガ描いてないです(苦笑)。

沢辺 貯金いまいくらぐらい?

大石 約70万です。

沢辺 それじゃ、一年ぐらい食っていけるじゃん。

大石 でも、それで、一生食べていけるわけないじゃないですか。

石川 だから、その一年で自分のマンガを描くんだよ。

大石 でも、そのお金がなくなったら終わりじゃないですか。

沢辺 でも、まだ若いんだし、ホームレスになる可能性もないし。その一年で、ひたすら、二次創作でもなんでもいいから、ともかく、ありったけ描くというのも一つの選択肢じゃない? 

大石 なるほど。

沢辺 おじさんの説教みたいだけど(笑)。

大石 いえいえ、大丈夫です。

沢辺 ところで、いま住んでる家は借家? 持ち家?

大石 借家じゃありません。一軒家です。親の家です。

沢辺 それ抜群の条件だよ! 人生の出発点として、そこポイントだよ。家賃払わなくてもいいんだもん。

大石 そうですね。

沢辺 そこで、「お米だけ食べさせて。一年だけマンガ描かせて!」って親に言うんだよ。親はダメだとは言わないと思うよ。それで、いやんなるくらい描いて、もし、いやになったら、「もうマンガは仕事ではなくて趣味でつづけていくんだ」ということがわかるじゃん。もちろん、この選択肢以外でも、近所でバイトでもいいからそんなにハードではない仕事で稼ぎながらマンガも描いていく、という選択肢もある。それに、もう一つは、本格的に、長いあいだ働ける仕事をみつける、という選択肢もある。だいたいいま考えられる選択肢はこの三つぐらいじゃないかな?

大石 そうですね。

沢辺 そのうちでも、大石さんは、なんとなく「長くつづけられる仕事を見つけなくてはならない」と思っているんじゃないかな?

大石 そう思っていますけど。マンガを趣味にしたくないのが葛藤としてあって……。

沢辺 葛藤っていうとかっこいいけど、ようは、ぐだぐだしているだけじゃん(笑)。

大石 (笑)そうです!

石川 マンガ描いたほうがいいよ。

大石 そうですね。

沢辺 描けなきゃ、やめちゃえはいいんだよ。若いイラストレーターみたいなのが、「イラスト描かせてください!」って言ってよくうちの会社に来るけど、俺はかならず「月に何枚描いてる?」って聞くんだよ。すぐ仕事に結びつくかどうかわからない。けれども、とにかく描く。やっぱりそういうのをやってなきゃ。とにかくがむしゃらに描きもせずに、「いやあ、考えがまとまらなくて」なんて言う人もよくいるけど、そういう人は信じないね。

大石 そうですね。

沢辺 長期に働けるような仕事なんていま見つけられないよね? 難しいとしたらいいじゃん。描こうよ。目の前で出来そうなことはやればいいだけだよ。「夢は思えば実現する」とはよく言われる言葉だけど、俺はそいうのは半分は当たっていると思ってる。大石さんが出版社でアルバイトをしたというのも、自分の好きなライトノベルを出しているような会社で働けば、そこにはなにかマンガを仕事にするきっかけというのはあるはず、という志向が働いたはず。

石川 出版社の人に自分がマンガ描いていることはアピールした? むこうは知ってた?

大石 そういう話の流れはあって、どんなマンガが好きかって話にはなりましたけど……。

石川 でも自分の作品を見せるまでにはいたらなかった、と。

大石 そうですね。

沢辺 いま上品な社会になっているから、彼女は自分の作品を見せるまでにいかなかったと思うんだ。

石川 もうちょっと下品になればいいと思うんだよね。

沢辺 もうちょっとだよね。

石川 ほんのちょっとのことだと思うんだ。

沢辺 だって、さっきツイッターのID教えてくれたもん。ほんとに見せるのいやな子だったら、教えてくれないもん。だから、やっぱり自分の作品を見てほしいというスケベ心みたいなもんはどこかにあるんだよ。

大石 ありますね。

沢辺 ただ、それも、俺が下品な人間だから、「Twitter見せたくないです」と言う大石さんに、「そんなこと言わず見せてよ」とずけずけ言ったからだよ。社会は一般的に上品だから、見せたくないならああそうですか、という話で終わってしまうと思う。

石川 そうですね。ぼくなんか、上品なタイプだから(笑)。TwitterのID教えたくないなら、「はいそうですか、無理しなくていいよ」で終わってしまう。今回のインタヴューでは「無理しなくていいよ」とは言わないと努力したんだけど、それはこっちの努力。普通の上品な社会だったら、大石さんが自分をアピールする機会は、やっぱり自分のほうが少し下品にならないと得られないと思うよ。

大石 なるほど。そうですね。

沢辺 ことさら、「見て見て」と言うのもかっこ悪いけど、「あっ、やってますよ、見ますか?」ぐらい普通に自分から見せる努力は必要だと思うよ。

大石 そうですね。

沢辺 こっちもスケベ心あって、「あいつがまだバイトやめてぶらぶらしてたとき、“自分の作品を人に見られることが商売なんだから、そんな恥ずかしいなんて言ってるなよ”なんて説教してやったんだよ。それがきっかけであいつはデビューしたんだよ」なんて飲み屋で言いたいんだよ(笑)。そういう名誉にあずかりたい。俺なんか、そういう種は年中まいてるよ。

石川 そういう機会に乗っかるかどうか、って重要だと思うよ。ほんと。

沢辺 (あるマンガ家のページをネットで開いて)こいつ、いいやつでさ。まだ売れていない頃、うちでマンガ描く仕事やってたんだよ。もともと自分のストーリー漫画やりたい人だったけど、うちの会社でストーリーも決めてこういうの描いてくれ、というかたちでマンガを描いてもらってたんだよ。そうしたら、あるとき、「申しわけないですけど、仕事忙しくなって、沢辺さんの仕事できません」と言ってきて、どうしたの? って聞いたら、『モーニング』の連載決まったんです、って。すごいじゃん! という話になって。そうなると、うれしいよね。

大石 すごいですね!

石川 あの天才アーチストは、駆け出しの頃から自分のやりたいことを曲げずに押し通した、みたいな話をよく聞くけど、ぼくはそんなのウソだと思ってる。沢辺さんのところで仕事をしていたその漫画家さんは、自分はオリジナルストーリーをやりたい、という気持ちはあったかもしれない。けれど、そんなこと駆け出しの頃に実現するわけがない。だから、決められたストーリー、言われた仕事のなかでちゃんとやった人だと思う。そういうことを積み重ねて、やっと、その人は評価されて、自分のオリジナルストーリーを描けるようになったんだと思うよ。

沢辺 それと、いいやつにかぎるよ。人間性は売れることと関係あると思うんだよ。いま評価も高くて売れている役者なんかもすごく丁寧で人をちゃんと気遣う人が多い。

大石 いいお話をありがとうございます。

石川 ところで、自分のオリジナルストーリーの作品を見てもらったことある? いままで誰にも読んでもらってない?

大石 作品が途中で終わっているので、誰にも見てもらってません。

石川 それじゃあ、やっぱり誰かに見てもらおうよ。
(改めて、大石さんのページに行き、沢辺、石川で作品を見る)

沢辺 意外と上手いじゃん!

石川 色づかいもいいね。

大石 恥ずかしいです。

沢辺 恥ずかしさに耐えなきゃ。

沢辺 ではおいしい小籠包でも食べに行きましょう。

大石 すいません。あんまりいい話なんかできずに。

沢辺 いいんだよ。若いんだから。

◎石川メモ

モノがある

 大石さんは、ガリ勉銀縁めがね、服は近所のスーパーの二階で買ったような服。身体もすぐ疲れてしまうし、寝るのがすき。いまは仕事もせず、家で親に世話になっている。洗濯、食事はお母さん。料理は苦手。と言うより、ほとんどできない。恋愛はあきらめちゃっているけれど、好みはおやじでガテン系。好きなキャラも番長キャラ。妄想しながら二次創作。「〜ですな」、「ギャフン!」なんて言葉も飛び出して、なんかやっぱりオタクっぽい。でも、それだからこそ(?)、話すのが楽しかった。
 大石さんは明るい。笑顔もある。自分のダメっぷりを話すのもためらわない。ダメ自慢というわけでもなく、すごくストレートにちょっと恥ずかしがりながらも話してくれた。外側から見れば、バランスの悪い生き方をしている人なんだと思う。けれど、なんだろう、どこかに、すごく小さいものかもしれないけれど、本人も気づいていないような、自分を支えるものがある人という印象をうけた。
 きっと、モノがあるからなんだと思う。二次創作とはいえ、大石さんには描いたモノ(作品)がある。自分のホームページに多数アップされている。それは公表されている。「夢がある」と言う人がよくいるけれど、モノがない人も多い。多い、と言うよりモノがない人がほとんどだ。同じことだけれども、モノのない人が「夢がある」とよく言う。
とにかく、なんでも、かたちにしたものを自分はもっている。そういう人にはどこか強みがある。モノを通じてつながりもできる。自分のコミュニティーがつくれる。本人はほとんど意識していないと思うけれど、大石さんを支えているのはこうしたモノの力だと思う。
 もちろん、自分のつくったモノを公表したら、それは試される。試されてへこんでその先どうなるか。それはこれから大石さんがオリジナルの作品を描いていくうえで出てくる問題だ。けれども、専門学校のとき、「山のように描きました。毎日のように描きました」と言っていた大石さんなら、へこたれないような気がする。
すごく当たり前のことしか言えないけれど、オタクの分野だろうと、どんな分野だろうと、なにかに一度は真剣に打ち込んだ経験のある人はやっぱり強い。モノなく夢、夢言っている人、すぐあきらめる人より強い。そして、そういう人は、オタクであろうと誰であろうと応援したくなる。

あとほんのちょっとだけのスケベ心

 恋愛もそうだし、おしゃれもそう。そして、マンガ家になる夢につながる道もそうだけれど、大石さんは、「あとほんのちょっとだけのスケベ心があれば」の人。
 沢辺さんの言うように、いまが上品になった時代なら、やはり、スケベは強い。くい込める。
 もちろん、ズカズカと下品すぎるのはまずい。お互いあまり干渉しない上品な「ひとそれぞれ」の時代に、いきなり下品にくい込むとまずい。なんだオマエ、ということになる。だから、きっかけとしては、「ほんのちょっとだけ」スケベに下品に人にくい込むこと、いい塩梅で自分をアピールして人とかかわりはじめるのがいい。
 もちろん、人と本格的にかかわり、仕事がはじまると、グイッと下品に自分をつきださなくてはならない局面が来る。けれども、めんどくさいことだけれど、いまの人とのかかわり、自分を前に出すことは、「ほんのちょっとだけ」スケベに下品に、からはじめるにかぎる。 
 モノがあって夢があるのだったら、ほんのちょっとだけスケベになってみる。そうしたら、きっといいことあるはず。大石さん、がんばってほしい。

『お前の1960年代を、死ぬ前にしゃべっとけ!─肺がんで死にかけている団塊元東大全共闘頑固親父を団塊ジュニア・ハゲタカファンド勤務の息子がとことん聞き倒す!』の予約を開始しました

2010年8月12日刊行予定の近刊『お前の1960年代を、死ぬ前にしゃべっとけ!─肺がんで死にかけている団塊元東大全共闘頑固親父を団塊ジュニア・ハゲタカファンド勤務の息子がとことん聞き倒す!』の予約受付を開始しました。

親父、1965年東京大学入学後、東大駒場で三派全学連系の活動家となる。
1968年1月、佐世保エンプラ寄港反対闘争で、1968年3月、王子野戦病院反対闘争で逮捕・起訴される。
その後、ノンセクトとして駒場共闘会議のリーダーとなり、東大全共闘に参加。
1969年6月、東京大学中退。

1960年代後半。二十歳そこそこだった親父は何を見て、何を読み、何を考えていたのか。

親父とサシで話したこと、ある?

息子──では、文学青年がなぜそんな学生運動に突っ込んでしまったのか。
親父──それは、やっぱり時代としか言いようがないんだよ。

※本書は、ウェブサイト「Eastedge1946」で公開されている同名の原稿を元に、再構成、加筆修正を施し書籍化したものです。

お前の1960年代を、死ぬ前にしゃべっとけ!─肺がんで死にかけている団塊元東大全共闘頑固親父を団塊ジュニア・ハゲタカファンド勤務の息子がとことん聞き倒す!

ご予約希望の方は本が出来次第、送料無料でお送りします(代引の場合は代引手数料300円[代金1万円以下]のみご負担いただきます)。

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お前の1960年代を、死ぬ前にしゃべっとけ!─肺がんで死にかけている団塊元東大全共闘頑固親父を団塊ジュニア・ハゲタカファンド勤務の息子がとことん聞き倒す!


著●加納明弘、加納建太
定価●1,800円+税
ISBN978-4-7808-0151-4 C0095
四六判 / 256ページ /並製
[2010年08月12日刊行予定]

目次など、詳細は以下をご覧ください。
お前の1960年代を、死ぬ前にしゃべっとけ!─肺がんで死にかけている団塊元東大全共闘頑固親父を団塊ジュニア・ハゲタカファンド勤務の息子がとことん聞き倒す!

おかもっちゃん引き込み計画  [北尾トロ 第29回]

町田の居候中、ぼくのところへはひんぱんに人が出入りし、なんだかんだと理由をつけては飲み会をやるようになった。ホームパーティーみたいなシャレたものじゃなく、ただ集まってがやがやと飲み食いする集まり。外でやるよりはるかに安上がりで時間制限もない、というのが開催理由だ。カレーを作るのでも焼き肉をやるのでも、何かがあればそれで良かった。

集まるのはライター、イラストレーター、デザイナー、カメラマンなどで、みんな20代。売れっ子なんて一人もいなくて、将来に漠然とした不安を抱えつつ、しかし今日が良ければそれでいいというお気楽な一面もある連中が多かった。そんなメンバーで仕事の話をしてもしょうがない。ひたすら飲み食いしてバカ話に興じるだけである。

意味のないどんちゃん騒ぎは楽しい。だから、こういう集まりはあちこちにあり、オールナイトのUNO大会とか、一晩騒いでから海水浴へ行ってヘロヘロになって帰ってくるとか、そんなことをよくやっていた。関わる人たちも新しい知人が中心で、オールウェイ時代からつき合っているのはわずか。さして時間も経っていないのに、四谷や新宿へ通っていた頃のことは、遠い昔の出来事のように思えた。 続きを読む