月別アーカイブ: 2009年10月

お部屋1965/メードとメイド

「唐沢俊一検証blog」のエントリー「Syuppan Rush」で、「メード喫茶」という新聞の表記が出てきます。

これは記者個人の問題ではなく、新聞社の基準によるものです。さらに元をたどると、かつての国語審議会の決定によるものです。

新聞でも、「メイド喫茶」については、特例的に「メイド」と表記することもあるのですが、今も「メード」が正しい新聞の表記です。「メイド・イン・ジャパン」も「メード・イン・ジャパン」です。

そのことをコメントしようと思ったのですが、コメントを書いているうちに、他の人に先を越されてしまいました。

では、こっちでは、もう少し詳しい話をしておきましょう。

「メイド」に比して「メード」は幾分間の抜けた印象になりますが、それは我々が今の時代に生きているためです。1970年代あたりまでは、maidもmadeも圧倒的に「メード」だったはずです。
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初めての共同作業

今日は10月生まれのお誕生会と称して、
沢辺自腹購入のゴーカなケーキをみんなで食べる日でした。


↑お約束ということで、タバコと比較

10月は高橋とワタシの誕生月ということで、
二人揃って一緒にろうそくフーしたのですが
「初めての共同作業」っぽくて
少々ビミョーなキモチになりました。

ちなみに高橋とワタシのホントの「初めての共同作業」は
コレなのです。

「多摩地域資料問題」の影響について思ったことなど。

「救いたい!」のエントリーが、物凄いアクセス数だったことを知った。
twitterでも盛んに伝えられ、この件について有志を募って討論しあうディスカッションを開催しようという動きにまで発展している。
こうした動きのきっかけになれたのは良かったし、様々な意見を知ることができたのは嬉しかったが、なかには自ら情報を収集・判断せずに、尻馬に乗って感情的になってしまっているようなネット上の発言もあったようで、それには正直なところ少し戸惑った。
だがそれだけホットなニュースになったということなのだろう。
ともかく、予想していたよりはるかに多くの反響があったことに、少なからず驚いている。

今回の件で図書館の資料保存について関心を持つ人が結構たくさんいたということがわかった。
多摩の資料に限った話ではないが、こういう問題について「捨てるな」という感情的な意見だけでなく、多様な意見がたくさん表出したことが、なにより一番大きい収穫だったと思っている。

10/16のシンポジウムでこの話を初めて聞いた当初は、今回の対象資料が原則「複本」であるということは知り得なかった。
(後ほど都立から各館へのFAXを確認したが、そこにも「複本」という言葉は一切記載されていなかった。)
また、都立図書館からの通達が各館長宛のFAXのみであり、通達から締め切りまでの期間が2週間しかなかったという都立の拙速さが、今回一番の問題ではなかったかと思う。

図らずも僕自身がこの話題に関してネットでの情報発信源となってしまった責任上、正確な情報を早く伝えなければと思い「続・救いたい!」をアップしたが、それと前後して都立は来年1月まで期間を延長したことを知った。

一般には国会図書館があるから捨てても安心と思われがちだが、国会図書館に所蔵していない資料が、他の図書館(公共・大学・専門)には数多くある。
それに、そもそも国会が持っていない地域資料など、どの地域にでも多数存在するものだ。
その点があまり知られていないように思ったのだが、そこは司書の力不足ということもあるだろう。自分としても反省したいところだ。

そんなことを踏まえると、複数冊購入したベストセラー本と、廃棄したら同じものが滅多に市場に出ないような地域資料とを同一基準で除籍するというのは、やはりおかしいと思っている。
しかも、多大な費用をかけて脱酸処理までして保存しようとしていたという事実は軽くはない。
それを敢えて除籍したのだから、それなりの事情があるのだとは思う。
それだけに、そこのところを最初にきちんと説明して、建設的に進められなかったのかな?という素朴な疑問は残る。

1冊あるから十分かどうかという判断は、すべて一律にするのでなく、それぞれの資料の性質を考慮し、臨機応変にした方がいい。
恐らくそれくらいのことは、都立だって考えていないはずがない。
要は、キャパの限界なんだから仕方ないということだとは思う。

それならそれで、都内市町村以外にも積極的に声をかけ、廃棄したくはないんですという意思をアピールしていたら、また違った展開もありえたのではないだろうか。

多くの人は承知のことと思うが、都立の資料廃棄問題についてはこれまでにも様々な議論があり、それが「特定非営利活動法人共同保存図書館・多摩」の誕生に繋がっているという。
このあたりの経緯は、自分は実際にその活動の当事者ではなく、ここで語れるほどの知識もないので言及は避けたい。
ただ、この団体の理事・事務局長である齊藤誠一氏が今回苦言を呈したことが発端である以上、同種のことが繰り返されたと捉えていいんじゃないかとは思う。
そういう意味で、継続的あるいは間歇的に、資料保存の問題に関しては、話題になった方がいいのだろう。
そうでないと、各図書館は内規ひとつで資料を簡単に左右できてしまうのだから、少なくとも目を離しっぱなしでいいとは思わない。

本当は複本が多いらしいと知った時点で、「だったら捨てていいじゃん」という意見が圧倒的になるのではないかという危惧もあった。
だが、実際にはそういう意見ばかりでもない。
文化を守れと声高に叫ぶ人もいれば、そんなところに税金を使うなという人もいるし、出版物だけ全部保存するという前提がどうなんだという疑問を呈する人もいれば、捨てるなという人が全部引き取ればいいだろうといった声もある。
本当に様々な意見が出てくるが、個人的にはとりあえず多摩地区の郷土資料という括りのコレクションの価値を考えると、極力散逸は避けた方がいいし、公共図書館にあることで、その資料が利用登録すれば誰でも・いつでも調べられるという点を、そう軽視して良いのか?という疑問は感じている。

多様な意見が出て、それらを包括した現時点での結論が出れば一番だ。
どの図書館の資料もシームレスに検索できて、全部が画面上で見られるようになれば、また違ってくるだろうが、少なくとも現在はそうではない。
(とはいっても、「オリジナルが保存」される別の意味はもちろんあるが。)
まずは、現時点で散逸させずとりあえずまとめておくことが望ましいと思う。
学校の教室とか、空いている公共の場所など、もう少し時間をかければ出てくる余地がありそうな気がするし、まとまったコレクションならば大学が引き取ってくれる可能性もあるのではないだろうか。
共同保存図書館・多摩が立ち上がることも予想されるので、まだまだ選択肢はあるんじゃないかと思う。

こうしたことは、何も都立多摩固有の問題ではない。
今回の問題を通して、溢れたらこうすれば良いというモデルの提示になることを期待したいし、そのための検討・議論はオープンな形でどんどん行った方がいいと思う。

※本件を踏まえた私案をこちらにアップしています。

元気会第43回勉強会で「出版のいまとこれからを展望」の話をします

ひさ〜しぶりに、杏橋さんからメールが来た。
杏橋さんが参加してる元気会という勉強会での講師の話だった。
元気会というのは「出版・デザイン・フォント・印刷他がらみ」の人たちのあつまりのようだ。

これを読んでくれているかがたも、ご一緒にいかがですか?

で、
杏橋さんとは「日本語の文字と組版を考える会」で、しりあった。
「日本語の文字と組版を考える会」というのは、デザイナーの鈴木一誌さんが提起した
「ページネーションマニュアル」の紹介をきっかけに始まった、隔月の勉強会。
杏橋さんは、写研という写植のシステムやフォントを作っていた会社にいた人。
写研は、字游工房など今のデジタル・フォントデザインにまで、いろんな人材を輩出してる。

杏橋さんからは、秀英明朝体(デザイナー杉浦康平が好んだことで有名、と聞いた)を
活版製作所から買ってきた、って話が特に印象に残っている。
その後、写研が、秀英明朝を写植にしている。

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元気会第43回勉強会&親睦会のお知らせです。
勉強会
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テーマ: 出版のいまとこれからを展望
講 師: 沢辺 均 氏(株式会社スタジオ・ポット/ポット出版:社長)
     ・ポット出版 http://www.pot.co.jp/company/
     ・版元ドットコム http://www.hanmoto.com/
日 時: 11月18日(水)18:30〜19:45
会 場: 千代田区飯田橋 2-18-2 日立キャピタル株式会社
 (集合は1Fロビーで18:20です。時間厳守でお願いします)
地 図: 
http://map.yahoo.co.jp/pl?nl=35.41.43.522&el=139.45.17.334&la=1&fi=1&sc=3

概 要: 
精力的にユニークな出版をされ、151社の版元による、サイトでの本の販売、書誌情報提供や流通改善を追求する「版元ドットコム」の事務局をされておられる沢辺氏に、これからの夢あふれる出版を幅広く展望していただきます。
大変に貴重な講演です。ぜひ多数の方々のご参加をお待ちしています。

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親睦会
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日 時: 勉強会終了後
会 場: 千代田区三崎町2-13-7 海野ビル1階 全華園(台湾料理)
地 図: 
http://map.yahoo.co.jp/pl?lat=35.69729778&lon=139.75665889&ac=13101&az=56.2.13.7
      (水道橋駅近く、勉強会会場から徒歩7,8分)
電 話: 03-3264-1790
予 算: 4,000〜5,000

書影の書影としての利用OK運動、できないか

きっかけは、twitterの岡本くんのささやき。
確か、岡山あたりの図書館の研修の場で話題になったようだ。

図書館での書影利用許諾依頼を断る版元がいるようなつぶやきで、
僕は、いまどきそんなひどい版元がいるのか?って思った。

だって、
新聞や雑誌の書評に載っている書影の許諾ってほとんど依頼ないまま、だよ。
つまり、「自由に利用」してるってこと。
アマゾンがアフリエイトがらみで提供してる、いろんなブログでのアマゾン出自の書影に、
版元がクレームをつけたって話も聞かない。

それに比べて、図書館にだけ、許諾を求めたり、
求めてきたところで断ったりって実態があるなんて、。

そこで、ポットの次の新刊からは、カバーの折り返しのところに
「書影は自由に利用ください。写真・イラストだけの利用はご連絡ください」と
入れることにした。

でも実はこれも、社内のネオコンに実力行使+サボタージュにあった。
ほんとは、表4のバーコードの脇に入れたいって主張してたんだけど、
現場的な実力行使で折り返しのところにされていた。
(根は深いんだ、いろんな意味で)

10/21に、日本図書館協会の常世田さんに「ず・ぼん15」のインタビューのついでにきいたんだけど、
T社のHさんなんて、きっとダメって言うよ、だって。
Hさん、知ってるけど、う〜ん、不思議ないか?

図書館のチラシに本を紹介するときに書影を利用するのってなにが問題なんだ?

さてこれからだけど、
「書影の書影としての利用OK運動」できないかな?
やり方とか、もうちょっと考えてみようと思う。
なぜ「書影の書影としての利用OK」なのか、理由を書くのもバカらしい。
あったり前なんじゃないか?

対談:岩松了×若手写真家 第5回●石井麻木/旅とは何か

『溜息に似た言葉』とは?

『溜息に似た言葉』は、劇作家・岩松了が文学作品の中に書かれたセリフを抜き出し、セリフに込められた世界を読み解くエッセイ集です。
ただし、抜き出された言葉は、意味を重ねた数々の言葉よりも多くのことを伝える、ひとつの溜息に似た言葉──。

連載を単行本化するにあたって、岩松了が読み解いた40のセリフを、5人の写真家が各々8作品ずつ表現した写真も収録しました。
撮影後に岩松了と写真家が行なった対談は、対談の中で写真家が発した1つの言葉から描く人物エッセイ「写真家の言葉」として単行本に収録しましたが、ここでは劇作家・岩松了と若手写真家の生の言葉を掲載します。

第5回目、石井麻木との対談は「旅とは何か」。世界中どこにでも一人で出かけてしまう石井麻木と、喫茶店めぐりが好きな岩松了。どちらにも共通する「旅」の気分とは? 岩松了と若手写真家の連続対談は、今回が最終回です。

溜息に似た言葉
すべての収録作品など、詳しくはこちら


写真家●石井麻木

プロフィール

1981年 東京都生まれ。
2009年 『みんな、絵本から』柳田邦男著/石井麻木写真/講談社

Web:http://www.ishiimaki-photo.com/

撮影した作品

「ともあれ、それはただの私事にすぎない」
─『グレート・ギャツビー』スコット・フィッツジェラルド/村上春樹訳/中央公論新社
人の心のヒダに触れたくば、その溜息に似た言葉に耳を傾けよ

「そんなら、エッキス光線かけとくなはれしまへんか」
─『猫と庄造と二人のおんな』谷崎潤一郎/新潮文庫
人の心のヒダに触れたくば、その溜息に似た言葉に耳を傾けよ

「主婦をつれてきてくれよ、早く」
─『抱擁家族』小島信夫/講談社文芸文庫
身勝手を羨むことはない。言いたいことを言う悲劇もあるのだ

「今に重くなるよ」
─『夢十夜』(『夢十夜 他二篇』より)夏目漱石/岩波文庫
貴方を程よく怖い女にしてくれるのは怖い話の中にユーモアを探す貴方の姿勢

「僕と共鳴せえへんか」
─『夫婦善哉』織田作之助/新潮文庫
軽口の一言では片づけられぬ。そこはかとない人の知恵が感じられるよう

「喰べては悪いかへ」
─『にごりえ』(『にごりえ・たけくらべ』より)樋口一葉/新潮文庫
無力な子供の訴えは、やがて抵抗そして祈りとなり、俄かに政治性を帯びる

「自分の重要さをいつも大きく見過ぎる男だったからな」
─『日の暮れた村』(『紙の空から』より)カズオ・イシグロ/柴田元幸編訳/晶文社
何者かでありたいと希うのが若さ。でもそれは愚かさの証でもある

「そこにいるのは俺か?」
─『十二夜』シェイクスピア/松岡和子訳/ちくま文庫
襲いくる運命に立ちむかうためには、それに対して“演技する”手があるぞ


対談●旅とは何か

岩松 今回の撮影は大変だった?

石井 大変でした。どれが、ではなくて、全部大変でしたね。すごく楽しくて、すごく難しかった。

岩松 この『十二夜』いいね。どこかの洞窟ですか?

石井 モンサンミッシェルという、フランスの陸の孤島の修道院の中から外を撮ったものなんですけど、全部石の壁なんです。影で真っ暗になってますけど。

岩松 これは、黒くしちゃったの?

石井 いや、黒く写ったんです。撮っている場所は本当に真っ暗で、真っ暗なところから明るい外を撮っているので。

岩松 すごい雰囲気あるよね。これで決め撃ちだった?

石井 すごく迷いました。「そこにいるのは俺か?」だから、鏡を撮ったり、水たまりを撮ったり。これが一番色んな種類を考えました。最終的に、2枚使いで。

岩松 「今に重くなるよ」は、月だね。

石井 これは前に映画の現場にスチール撮影で入った時に、夜中まで撮影が続いた日に撮りました。

岩松 原作も、この写真のように森の中だもんね。
本は全部読んだんですか?

石井 全部読みましたよ。2回ずつ。

岩松 嘘!? 本当!? 長いのも?

石井 そんなに長いのはなかったです。

岩松 そっか。それにしても、2回ずつ読んだのはすごいね。

石井 1回読んで、撮ってから、もう1回読みました。撮ったのを頭の中に入れて。

岩松 『にごりえ』は読み難かったでしょ。文体というか、言葉が古いからね。

石井 読みにくかったですねえ。途中で投げ出しそうになりました。

岩松 戯曲は読み難くなかった?

石井 いえ、すごい面白かった。

岩松 そうか。石井さんは戯曲は1本なんだね。土屋さんなんか戯曲が4つもあった。しかも、チェーホフが3本。

石井 すごいですね! たまたまですか?

岩松 後で気づいた、みたいな。

石井 でも、固まってたら固まってたで、また面白いかもしれないですね。

岩松 そうなんですよ。高橋さんも戯曲が4本あったんですよ。結局、戯曲から一杯取ってるってことだよね。中村さんは戯曲が1本もなくて、インベさんが1本。たまたま女の人は戯曲が少なくて、男の人は多いですね。

でも、連載するときは、自分の世界にあまりにも近いから、戯曲は止めようと思って始めたんですよ。ところが持ちネタがなくなってくると、どうしても身近なものからやってしまって。
でも、元の本を読んで面白かったのがなによりでした。

石井 面白かったです。私本当に活字中毒なので、おふとんに入ってから本を読まないと眠れないんですけど、毎晩、1日1冊読んで、1週間で読み終えて、カンボジア行って帰って来て、また一通り読んだんです。最初は「8冊も?」と思ってたんですけど、読み終わっちゃったら「あれ、次は?」ってなっちゃって、関係ない本を本屋さんに買いに行っちゃいました。

岩松 でも2回ずつ読んだ人はいないでしょ。全部読んだ人はいるけど。インベさんは全く読んでない。

石井 あ、そうなんですか? すごい。

岩松 1個だけ読みかけて、わからないから止めたって(笑) インベさん以外はみんな読んでる。5人それぞれ世界があって面白いですね。

石井 本当に、「ここまで違うか」と思いました。

岩松 そっか。石井さんって、今いくつだっけ?

石井 今、28です。

岩松 作品はバラバラだけど、年は28くらいの人が多いんだよね。高橋さんと土屋さんも28でしょ? インベさんが29で、中村さんが30。3年間に固まってる。
石井さんは、写真を始めたのはいくつくらい?

石井 18です。だからちょうど10年くらい。

岩松 なんで写真を始めたんですか?

石井 17歳まで絵を描いていて、「私はきっと絵の道に進むんだ」と思ってたんですけど、その頃父親に貰ったNicon F2というアナログのカメラを持って一人旅に出たら、そこから毎日写真を撮るようになって、本当にいつの間にか絵を描かなくなっちゃいました。

岩松 一人旅はどこに行ったの?

石井 北海道を回りました。それから青森と岩手を、10日間くらい。

岩松 その時に、一杯撮ったんだ。その、最初に北海道に行ったときの写真も、ちゃんとスクラップしてあるの?

石井 いや、スクラップはしていなくて、函に入れてドカッと積んであります。ちゃんと整理しなきゃ、と思うんですけど、あまりに多すぎて……。

岩松 最初に撮った写真は、対象はなにが多いですか?

石井 最初は風景です。ほとんど人物はいなくて、いても小さかったり、後ろ向きだったり。子ども以外の人物を面と向かって撮れるようになったのは、ここ最近ですね。

岩松 10年くらいの間に、写真に対する考え方って変わりました?

石井 そんなに変わってないです。

岩松 僕がカメラマンやるって言ったら、助言することはなに?

石井 助言なんて出来ないですよ! 「好きなものを撮ってください」としか。私、好きなものを撮りたいだけで、写真に詳しくないんですよ。

岩松 気をつけてることはない?

石井 人を撮るときは呼吸ですね。タイミングを合わせないと。

岩松 やっぱり、大人の人間は面倒くさい?

石井 面倒くさい(笑)

岩松 色んなものが間に入っちゃう?

石井 そうですね。

岩松 ライブだったら、向うは撮られてるっていう意識ないから大丈夫でしょ?

石井 ないです。されないようにしないと。居ないように。

岩松 活字中毒って言ったけど、普段どういうものを読むんですか?

石井 本当に色々読むんですけど、長田弘さんとか好きです。

岩松 それは、珍しいかもよ。今の若い人に長田弘と言っても知らない人が多いでしょ? 詩人の名前なんてほとんど知らない。

俺が大学生の時って、もっと詩がフィーチャーされてましたね。吉増剛造とか。学生運動とかやってる人たちは、結構詩の世界に近かった。富岡多恵子さんとかね。俺、「カリスマ」という言葉は、富岡多恵子の「カリスマのカシの木」という詩で覚えたよ。大学生くせに知らなかったから、「何だ、カリスマって」って思ったのを、よく覚えてる。

『現代詩手帖』に映画の評を何回か書いたこともあるし、あと、劇作家の仕事を始める前に、雑誌に2回だけ投稿したことがあって、『現代詩手帖』にも詩を投稿したことがあるのよ。ボツになったけど。もう1つは、『キネマ旬報』か何かに映画評を書いた。それは大学生のときかな。それもボツになった(笑)

石井 『キネマ旬報』に送ったのは何という映画ですか?

岩松 長谷川和彦の『青春の殺人者』。『現代詩手帖』に書いたのは、居候の話かな。「居候、三杯目にはそっと出し」みたいなフレーズあるじゃない。あれにちょっと近い世界。

石井 読みたい……。『食卓で会いましょう』も、本当にものすっごく面白くて、読んだことのある友達から「面白い」とは聞いてたんですけど、本当に面白かった。ありがとうございます。

岩松 いやいや。それにしても、長田弘が出てくるとは思わなかったな。自分で詩は書かないの?

石井 書いてます。写真と詩を合わせたものを、サイトで書いてます。(『ひとりごと』http://fotologue.jp/ishiimaki

岩松 今、写真以外で興味あることは何かありますか?

石井 やっぱり、カンボジアですね。

岩松 前回はいつ行ったんだっけ?

石井 前回は3月です。3、6、9、12と、全部の季節に行こうと思っていて。

岩松 なかなか行動的だね。

石井 思い立ったら本当にすぐ行動しちゃって、最初の一人旅のときも、「明日から行こう」って。いつもそうなんです。いきなりいなくなるから、友達から電話がかかってきても、「今、どこ?」と最初に聞かれます。だから、興味があることは旅ですね。旅行ではなくて。

岩松 旅と旅行は、どう違いますか?

石井 旅行は、白い帽子被ってワンピース着て、メイクもして行くようなものだというイメージ。旅はもう、ぐちゃぐちゃの、着の身着のままカメラだけ持って行く、という感じですね。

岩松 カンボジアみたいなところと、フランスのパリみたいなところ、それはどちらでもかまわないですか。

石井 はい、どちらでも。場所は関係なくて、自分の家の隣の駅でも良くて、旅だと思って行くというか、そう感じながら行動に出ることが旅だと、私は思っているので。

岩松 僕も昔「旅」というテーマで取材されて、「岩松さんにとって旅とはなんですか」と聞かれたから、「いや〜、喫茶店巡りですかねえ」って(笑) 「俺、旅しないし、喫茶店はあちこちよく行きますよ」という話をしたことがありましたよ。

石井 そういうことだと思います。

岩松 でも、外国行くのがすごく好きで、それこそこの間『たみおのしあわせ』という映画を撮ったから「岩松さんにとって幸せってなんですか」とよく聞かれたのよ。「いや〜、外国に行くことですね」と答えたたんだけど、なぜかというと、外国に行くと本当に馬鹿になれる、という感じがあって。「わ〜、エッフェル塔だ〜!」って、日本じゃなれないじゃない? それに、周りに知らない人が一杯いて、そこを歩いている自分というのがまた心地いいし、外国って本当に精神を洗浄してくれると思いますよ。石井さんに比べたら邪なんですけどね。カンボジアなんて行ったことない。

……写真の話に戻ろうか(笑)
『抱擁家族』の写真も良いよね。これも仕込みなしで、そのまま?

石井 全部仕込みなしです。仕込みは好きじゃないので。『抱擁家族』の写真はそれはカンボジアの小学校で撮りました。

岩松 『日の暮れた村』の写真は、まさに日の暮れた村だね。

石井 これもカンボジアで、メコン川のほとりです。沈むところをずっと撮っていて、最後の沈んだ瞬間です。

岩松 メコン川は、俺、行ったことないのに芝居に使ったことがあるんだよね。「メコン川ではどうのこうの」って。この小説も面白かったでしょ?

石井 面白かったです。色んな情景を想像しちゃいました。『猫と庄三とふたりの女』の猫の写真も、カンボジアの道路で撮りました。

岩松 カンボジアが役に立ってるね。『にごりえ』もけっこう笑っちゃったんだよ。こう来たか、という感じで。

石井 そうですか? 私は結構、これしかないっていう感じで。これは、男の子が飴の棒のところを舐めてるところ。

岩松 カメラで撮ってると、子どもたちは興味を持って近づいてくるでしょ?

石井 最初フィルムで撮ってたんですけど、デジカメで撮ると、すぐ見れるじゃないですか。だからみんなキャアキャア言いながら見る方に回っちゃって、撮る方が誰もいなくなっちゃったり(笑) でもみんな喜んでたから、今度写真を持って行って、ひとりひとりにあげたいなと思います。

岩松 でも、その子たちを探せるかな。

石井 探せますよ。一回撮ったら覚えてるので。

岩松 次は『夫婦善哉』だね。これは1個の傘だよね?

石井 そうです。岡山にある茶屋みたいな休む場所で撮りました。カンボジアに行く前の日に岡山で仕事があって、そのとき1時間だけ自由時間をもらって。初めて行った場所だったので、とりあえず公園の中の休む場所を見つけて、炎天下だったので一休みしてたら「あっ!」って思って、上を向いて撮りました。

岩松 これも、言われれば「共鳴せえへんか」という感じだよね。和風だし。

石井 そうなんです。『夫婦善哉』も難しくて、古い街並のある場所に行った方がいいのかな、とか思ったんですけど。

岩松 『グレート・ギャツビー』は迷ってるんだよね。

石井 私的には、遠景か、金魚を上から撮ったもののどちらかですね。金魚の方は、空き地に置いてある金魚鉢なんです。あるミュージシャンのPVの撮影のときに、スチールをやったんですけど、金魚鉢を通して向うを撮るシーンがあったので、撮りました。

岩松 遠景も、ある意味「それはただの私事にすぎない」の感じを伝えてるんだよね。

石井 イメージ的には、セリフが遠景にあってて、タイトルが金魚にあってるんです。

岩松 確かに、言った人の心情に近いのは、遠景の方かもね。全然違うものだし、迷うね。石井さんの中の写真のバランスとか、並びもあるよね。

石井 そうですね。私、本当は赤って珍しいんですよ。ほとんど青か黒か白い写真なんです。今回自分でも並べてみて「あれ?」って思ったんですけど。カンボジアはそういう色だから、自然とそうなるのもあるんですけど。

岩松 今回石井さんが撮った8本以外に、ちょっと自分で写真撮ってみたかったな、とていうのはありました?

石井 ありましたよ。吉行淳之介『砂の上の植物群』の「いつもと違うわ」と、岡田利規『三月の5日間』の「私は今日、もう絶対、火星に行くんだ!」ですね。あと谷崎潤一郎の『小さな王国』の「さあ、一緒に遊ぼうじゃないか」。

岩松 『小さな王国』は、ちょっと谷崎っぽくないんだけど、すっごい面白いよ。「いつもと違うわ」は、石井さんだと何撮る? まだ、そのときになってみないとわからない?

石井 そうですね。自分が何を撮るか楽しみ、っていう感じですね。でも、本当に今回は難しかったですけど、楽しかったです。

岩松 それは、ありがとうございます、ですな。ありがとうございます、と、すみません。

●対談を終えて

文:石井麻木

とある隠れ家なごはんやさんで 偶然 隣の席にすわったのが 岩松さんとの出逢い
この本の企画のお話は そのときにぼんやりきいていて その一ヶ月後には 正式に決まり 撮り始めていました

出逢いは そこらじゅうにある
すてきな出逢い
不思議な出逢い
すべての出逢いが すべてにつながっている
毎日が 旅 であるように
風景にしろ ひとにしろ 感情にしろ 音楽にしろ いい本にしろ
毎日が 出逢いの 連続
あらためて感じている きょうこのごろです
いろとりどりの 日々

この本に携われて とても たのしかったです
とても むずかしかった
けれど とても たのしかった
なぜなら 本がすき 写真がすき 岩松さんもすき
だから ことわる理由がなかったです
ありがとうございました
作品については 語りません
みていただけたら うれしいです

『なぜ 写真を 撮るのか』
よく聞かれる 問い

聞かれる度に 考えるけれど

ただ すきなものをのこしたい だけ

いつも それにいきつくのです

『どんな写真を撮るのですか』
これも

みてください

としか言えません

『カメラがほしいんだけど どんなカメラがいいかなぁ』
『なにを撮ればいいかなぁ』
これもよく聞かれるのです

もちろん アナログの カメラがすきだとか
このカメラに思い入れがあるとか
あのカメラはかっこいいなあとか
私のなかに ぼんわり あります

それは そのひと個人の想いやすききらいであって
ひとになにか言えるものではないとおもっています

すきなもので すきなものを 撮ればいい

うつるんです であろうと
写メールであろうと
ポラロイド、銀塩、デジタル、一眼、指でつくったカメラ、
ちいさいカメラ、おおきいカメラ、こころのカメラ、なんでもいい
自分がすきでもっているものなら
自分がすきで撮っているものなら
それ以上のものはないとおもいます

写真 というもの を 撮る ことで 一瞬を 永遠にすること に 変わりはない

写真 は 写心
こころを 写すもの

なので
私に カメラのこととか 写真のこととか きかないでください 笑

私は カメラがすきとか どういう写真がすきとかいうより
すきなものが すきなのです

撮る 被写体 風景 色 音 風 空気 表情 ひと
すきだから 撮っていたい
一瞬しかない 一瞬を
撮って のこしたい
わすれたくない
そのときの 感情を 表情を 空気を 温度を 音を 色を
だきしめていたい

それだけです

すきなものを 写真に 写心に 閉じこめたい
そして わすれたくない

一瞬を 永遠にできる

それが カメラだった
それが 写真だった

ただ それだけです

バセドウ病から 橋本病になって 通院しながら 撮影をしてはたおれ たおれては撮影をし……をくりかえしていたら
ついに 先日 本気でドクターストップのかかった 石井麻木でした

石井麻木オフィシャルサイト
http://www.ishiimaki-photo.com/

fotologue (写真と共に  ひとりごと など 書いています 写真を2回クリックすると ことばがでてきます)
http://fotologue.jp/ishiimaki

地雷原を綿畑に!Nature Saves Cambodia!
http://www.naturesavescambodia.org/

今年 カンボジアの地雷被害者の方達 農民たちの自立支援を促すNPOを たちあげました
カンボジアや 発展途上国を支援する NPOやNGOは たくさんあるけれど
ただ 物資支援をするだけじゃ おかねを援助するだけじゃ 学校を建てるだけじゃ
ほんとうの意味で 彼らの生活を根っこからたすけることはできません
彼らが 自分たちのちからで 収入を得て 自分たちのちからで生活していけるよう
希望と自信をもって生きていってもらえたらいいなと

地雷原を綿畑に!Nature Saves Cambodia!
http://www.naturesavescambodia.org/

というプロジェクト を はじめました

知ってもらいたいです
ほんとうの 現状を

そして ほんとう を 写しつづけていきたいです


溜息に似た言葉─セリフで読み解く名作

溜息に似た言葉
著者●岩松了
写真●中村紋子、高橋宗正、インベカヲリ★、土屋文護、石井麻木
定価●2,200円+税
ISBN978-4-7808-0133-0 C0095
四六変型判 / 192ページ / 上製

目次など、詳しくはこちら

お部屋1963/多摩図書館廃棄本問題と「書影使用自由」の表示

ポット出版のサイトで、このところ話題なのが「朝焼けの図書館員」のエントリー「救いたい!」です。アクセス急増中です。

しかし、協力貸し出しができるようになったために、都立図書館の中で重複している本を捨てるってだけのことですから、何が問題なのか私にはさっばりわからないです。なぜそう思うのかについては、東京国際ブックフェアで語った話を参照のこと。

こんなことはよくある話であって、どうして今回これが特別に問題視されるのか、どなたか説明して欲しいです。単純に「もったいない」という気持ちはわからないではないですが、それを保存するための税金の方が私にはもったいない。そんなことでは、オリンピック招致に150億円を使った石原都政を批判できないです。

保存を目的とする国会図書館で、行方不明になったり、破損したりする本があることについては私は怒りに近い感情がありますし、箱やカバーを廃棄していることについても同様です。それを放置していることと、利用者の少ない重複本の破棄に反対することは、根っ子は一緒のようにも感じます。それぞれの図書館の役割をはき違えています。

国会図書館以外の図書館でも保存を考えてもいいですが、限られたスペース、限られた人員、限られた予算の中で保存するのであれば、より多くの種類の本を保存すべきであり、重複しているものは廃棄していいでしょう。

都立図書館はどうなのか知らないですが、廃棄本はもらいうけることができるはずなので、これを批判する人たちは、私財を投げ打って個人で保存すればいいのではなかろうか。税金を使わないでください。
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忙しかった…

ああ、忙しかった。
いろいろなものを出し終わったので、今日は仕事終了。

先々週の土曜日に寺門さんちのはなちゃんの写真をアップしておきましょう。

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とにかくちっちゃい。その小ささを実感していただくために、人間を入れてみましょう。
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ねっ、ちっちゃいでしょ。

ポット出版社長・沢辺均の日記-43[2009.10.14〜21]

ふ〜、あっという間だ、いつもいつも。

●2009.10.14水
スタジオ・ポットSDという兄弟会社の月例会議。
あとは思い出せない。

●2009.10.15木
午後からボイジャーへ。仲俣暁生さん、ボイジャーの萩野正昭さん、と
ウエブマガジン「航」の相談。
ポットサイトの、スタッフのものは勝手に利用OK、などと話す。

●2009.10.16金
午前ポット会議。ふん、新提案したんだど、反応悪い。
午後はboox(ブークス 1冊から送料無料のオンライン書店)へ、版元ドットコムのメンバーと。
夕方病院へ。
20時半ころ、Jstylebooks
の大久保さんのインタビュー。「談話室沢辺」掲載用。

●2009.10.17土
鉄・すずと代々木公園ドックランへ。
あとは本/録画映画/メシ。ぐだぐたした休日。
あいや、映像編集にちょいチャレンジ→失敗。

●2009.10.18日
起きたら熱っぽい。だいたい 37.0→37.5→38.3→37.3→36.7と変化。
夕方の国立国会図書館の「NDL情報提供サービスに関するグループディスカッション」欠席のメールをだして、
ひたすらベットで過ごす。
おかげで1Q84とか、たっぷり本をよんだけどね。

●2009.10.19月
14時〜の「日本のMLA=M(useum) , L(ibrary), A(rchives)連携の方向性を探るラウンドテーブル」に出席。
勉強になったな。
で、事務所に戻って、メールを観て、早めに帰ってベットへ。
少しだけ、ふらつくんでね。

●2009.10.20火
午前中、マンション管理組合理事会。
よく説教した日だ。
夕方、佳村萌さんが久々に、ひょっこり訪ねてきた。
個展やってて、その案内はがきを持ってきた。
夜、太郎次郎社エディタスの須田くん来てインタビュー。「談話室沢辺」用。
版元ドットコムになぜ、幹事社として参加したのか。
須田くんの個人史、出版社としてやりたいこととかを聞いた。
うん、おもしろいぞ。

●2009.10.21水
ひさびさにtwitterに復帰。
ジャパニーズブックダム計画で朗報。
11月アタマには、まとまった報告できるかもだ。
夕方、日本図書館協会の常世田さんに「ず・ぼん15」用のインタビュー。
図書館のコンサバ。「読書履歴の秘密を守る」「リクエスト批判」「図書館の無料の原則」「公共性」
について。
常世田さんとは、長話になってしまうんだな、なぜだ。
実はこのインタビューは2回目。前回あまりにも長時間、あれこれ飛びまくりでおしゃべりしてしまって、
記事にまとめるのは困難だったので、やりなおさせてもらったのだ。
最後に聞いた書影利用の許諾問題。図書館側でもあくまで許諾とるのが基本だそうだ。
新聞/雑誌の書評ではまったく許諾などとらずに使いあってる。
とんでもないな。なんとかしようよ、と常世田さんと。
終了後、キンドルがとどく。思ったより薄くて小さい。
でも英語版、なんだ。メンドーだな。

PB商品って…

近所の某スーパーの棚がプライベートブランドばかりになった。
紀文のちくわが特売で138円のところ、PBちくわは98円、
ヤマサしょうゆが特売で238円のところ、PB商品が198円だったりする。
確かに安いけど、へそまがりの私は、なんかズルイと思ってしまい、
その道一筋で頑張ってきた老舗ブランドを応援したくなる。
差額が50円以内だったら、老舗商品をカゴに!

PB商品って、老舗ブランドが長年培ってきた信頼や味を、
まるごとまねて安くしているだけじゃないかと、何か嫌な気分になる。
それに、PB商品ばっかりになって、いろいろなブランドの商品が棚からなくなってしまったら、
不便だし困るじゃないか、といろいろ考えてしまうのだ。

こんな私って、節約できないダメ主婦?