月別アーカイブ: 2009年6月

初めて出会ったフリーライター [下関マグロ 第2回]

大阪から東京へ来て、雑誌『スウィンガー』を発行する会社に勤務することになった1983年の春。東京駅から中央線に乗って驚いたのは、窓から見える桜の美しいことだ。飯田橋あたりから四谷にかけての線路脇の土手には、桜の樹が植えられている。

初出勤の日、会社で新入社員歓迎会を兼ねた花見が催されることとなった。場所は電車から見た土手だった。

小さな会社で、新入社員といっても僕ひとりだけである。それでずいぶんと飲まされ、いつしか酔いつぶれてしまった。生まれて初めて、前夜の記憶がないほど飲んだ。そして、気がつけば、まったく知らない家で目が覚めた。

「増田くん、増田くん」 続きを読む

沼正三◎『懺悔録』と『家畜人ヤプー』後追い制作日誌

5月21日に発行された、『懺悔録』ができるまでの工程を、少しずつ日記にアップしていきます。

何度も書きましたが、以前SM雑誌の編集部に在籍していました。2004年から2008年までのことです。
その雑誌で『ある異常者の体当たり随想録』という、エッセイを連載していたのが、あの『家畜人ヤプー』の著者、沼正三(連載時は天野哲夫名義)です。
毎月毎月、素っ気ない封筒に入れられた、原稿用紙が編集長宛てに送られてきました。
毎月毎月、自身の赤裸々なマゾヒズム体験が綴られていました。

手書きの原稿に、赤鉛筆で校正記号を記し、印刷所に入稿します。ゲラが上がってきたら、イラストレーターさんにFAXし、レイアウトの調整をして再入稿。
毎月、機械的に行なう作業でした。

ある日、午前中に編集部に一人でいると、沼さんから編集長宛てに電話がかかってきました。
編集長はだいたい2時頃にならないと出社しません。
「もう、連載を辞めさせてほしい」
突然伝えられました。多分、2005年くらいのことです。

お部屋1882/『エロスの原風景』の裏庭風景 2・黙殺される存在

前回に続いて、エロがどう扱われているのかよくわかるエピソードです。

数年前のこと。知人と話していた時に、こんな話が出てきました。

「先日、知り合いのお父さんが亡くなったんだけど、お父さんは大学の先生だったんですよ」

キリスト教系の大学です。

「ところが、遺品の中から大量のエロ写真が出てきたんです。お父さんはクリスチャンで、真面目な堅物で通っていた人です。お母さんもそんなコレクションはまったく知らなくて、卒倒しそうなくらいに驚いたらしい」

よくある話です。

私は慌ててこう聞きました。

「そのエロ写真はどうした?」
「さあ」
「悪いけど、その人にすぐに連絡をとってくれないかな。その写真を引き取りたい」

彼はその場で携帯を取り出して、その知人に確認してくれました。

「この間言っていたお父さんの遺品の話なんだけどさ……そうそう。あれって、どうした?……引き取りたいって人がいて……ああ、そうなんだ」

すでにお母さんが1枚残らず焼いていました。見たくもないものだったのでしょう。やはりクリスチャンであるお母さんは「不潔、不潔」とでも呟きながら焼いたのかもしれません。
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いただいた本●電子出版学入門─出版メディアのデジタル化と紙の本のゆくえ

出版メディアパル 下村昭夫さんから頂きました。
電子出版学入門─出版メディアのデジタル化と紙の本のゆくえ
●電子出版学入門
─出版メディアのデジタル化と紙の本のゆくえ
著●湯浅俊彦
出版メディアパル
定価●1,200円+税
A5判/120ページ
初版発行年月日●2009年6月30日

●全国の書店で買えます
●出版メディアパルオンライン書店で購入する

石田さんが死んだ

携帯に石田豊さんから電話がかかってきた。
共通の友人の鈴木さんからで、石田さんが、今日2009年6月20日(土)の午前2時30分に息を引き取った、
という連絡だった。がんだったんだ。
23日 18時 通夜/24日 11時 告別式、堀ノ内斎場。

石田さんはこのポットのサイトでも連載してくれていたし
(石田豊のデジタル/仕事/技術リターンズ)
「石田豊が使い倒す ARENAメール術」という本も出させてもらっていた。

あ〜あ、今日はおいらのライブ。
前回の2008年11月30日のライブは、ベースの谷幹が8月に死んだ追悼ライブだったんだ。
なんだかこのバンドごっこ、ライブに友達の死がからんじゃう。
それに、今年二人目だよ、病気で死んだ友達は。そいつは脳梗塞の一種。
ともに50代前半。

まあ、みんな死ぬんだし、そこんとこがイチバン根本的に平等なんだし、
死ぬまでヨロシクやれればいいじゃん、と思いたいタチなんで、いいんだけどさ。

石田さんは自分で企画した「ヨムパラ」って読書グッズのサイトを成功させたしな。
よく「読書グッズってどう思う?」って聞いてくれてたけど、おいら自身は
興味が持てなかった。
でも、自分の興味でずんずん突き進んで、いろんなおもしろグッズを見つけちゃ
山も谷も乗り越えて仕入れて、それなりにちゃんと回転するようにした。
システムも自分のアタマで考えて、なるほどって思えるようなものに
自分自身の手で作ってた。
売上げ金額とかも、ちょくちょく教えてもらったりして、話すのが面白かったな
なにせ、「こんなことどうだろうか?」って話ばかりだからね。

ちょっと出来過ぎですよ。そこまでできる人はそんなに多くない。
おめでとう。そしてお疲れさんでした。また今度ね、ってことで。

さあ、これからおいらのライブにいくぜ。

子育てって…

仕事で、発達心理の専門家や心理カウンセラーの方々にお話を聞く機会が結構ある。
主に、小学校入学前の子育てについてが多く、取材自体はいつも感銘を受けることばかりなのだが、
自分の子育てを振り返ると、「ああ、10年前に聞いておきたかった!」
「今さらやっても遅いかしら?」とジタバタ反省することばかり。

でも、まあ今気づけただけでも、良しとしよう!

最近始まった、北尾トロさんと下関マグロさんのブログ「ライターほど気楽な稼業はない」も、
ついつい母の立場で読んでしまう私でした。

お部屋1880/『エロスの原風景』の裏庭風景 1・エロというもの

ミスがあったため、一週間ほど遅れてしまいましたが、やっと『エロスの原風景』の見本ができたようです。

米政府もそうしているように、イラン情勢をYouTubeTwitterでチェックするのに忙しいのですが(おっと、仕事も忙しいです)、来週末の発売に向けて、新シリーズを始めておきます。

本の後書きにも書いた話です。

『エロスの原風景』の表紙は、当初、ある雑誌の表紙画をそのまま使う予定でした。

調べてみたら、表紙画を描いた人物はすでに亡くなっていました。著作権は生きていますので、担当編集者は、息子さんに連絡をとり、「使用させて欲しい」とお願いしたところ、断られてしまいました。
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松沢呉一『エロスの原風景』完成しました!!

稀代のエロ本蒐集家、松沢呉一による『エロスの原風景』がついに完成しました。
ものすごくざっくり言うと、江戸時代に発行された風俗誌の原型『吉原細見』〜戦後のカストリ誌〜昭和50年代後半の自販機本まで、「日本のエロ出版史」を概観する資料性の高い一冊です。

昨年末から足かけ7ヶ月、やーっと完成にこぎつけました。

松沢さんに罵倒されたり、函のことで大失敗ぶっこいたりしましたが、ともかく完成、です。
お待たせした皆様、すみませんでした。月末には書店に並ぶ予定です。ポット出版に直接ご注文いただければ、すぐに発送いたします。
アマゾンでの販売は、こちら

写真は函に入った状態のものです。向きが合っているのを確認し、心底ほっとしました。

※7月12日の15時50分から、TIBFの版元ドットコムブースでは、松沢呉一によるトークショー「戦前、戦後のエロ本」を開催します。こちらも、是非!!

沼正三◎『家畜人ヤプー』と『懺悔録』

ポット出版から、『懺悔録』が絶賛発売中です。

作者の沼正三は、あの戦後最大の奇書『家畜人ヤプー』を書いたことで知られる、骨太のマゾヒストです。
せっかくなので、ここでちょっと『家畜人ヤプー』の紹介をしておきます。
1950年代、『奇譚クラブ』(きたんくらぶ)というSM雑誌がありました。
今のエロ本のように、乳首が頻出するものではなく、メインは小説をはじめとする読み物です。それに挿絵が付いて、グラビア写真はほんのちょっと掲載されている程度、かと思います。実物を見たわけではないので曖昧ですが。
現在は、飲みの席で「自分、M」だのサドマゾ談義がお盛んですが、その当時のサドマゾは人前で言うのは憚られる性癖だったのです。
で、そんな隠れマニアの人たちがこぞって買っていたのが『奇譚クラブ』です。
この雑誌には、さまざまな読者から自身の妄想、告白が投稿されてきました。
今でいう、SNSみたいな役割も果たしていたのではないでしょうか。

そこで『家畜人ヤプー』を連載したのが沼正三です。
正体一切不明の作者が書く、不謹慎極まりないマゾヒズム小説。
そこでは、日本男児は白人女性の完全なる家畜として描かれ、一部マニアの圧倒的な支持を得ました。

その小説を絶賛したのが、三島由紀夫です。
熱心に単行本化を薦めるのですが、内容が内容ゆえ、どの出版社もその小説を刊行しようとしません。
やっと、本が刊行されたのは、1970年のことです。(刊行は都市出版社。ちなみにその後、右翼の襲撃を受けている)
『懺悔録』に収録されているインタビューでは、その頃の経緯が語られています。

沼正三は、昨年の11月30日に亡くなりました。
『懺悔録』はその死の直前まで書かれていた、沼正三の、遺言です。
女の足を舐めたいとか、犬のように扱われたいとか、お尻に押し潰されたい、とか。
徹底的にマゾヒズムを実践し続けた男が、沼正三です。

江戸川乱歩、夢野久作、澁澤龍彦などが好きな方には是非読んでいただきたい。

『家畜人ヤプー』はこちら(アマゾンです)。
『懺悔録』はこちら、アマゾンではこちらで販売しております。

明日のレジュメ(下書き)「版元ドットコムWeb活用」

明日、6月18日(木)日本出版学会・出版流通研究部会のためのレジュメ(下書き)です。

どうぞご参加ください。
それで、帰りに一緒に飲み会に行きませんか?

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<日本出版学会・出版流通研究部会共催部会のご案内>
「版元ドットコムWeb活用」
—中小出版社のチャレンジと共同化ー

版元ドットコムは、中小版元の出版物をWeb上にデータベースとして提供し、
共同でネット販売などにチャレンジしている業界団体です。
現在、参加会員版元139社、22683点の書籍をWeb上に紹介し、さらにその書誌
情報を、書店・取次など、出版業界に広くメールなどで配信する仕組みをつくり、
購入を希望される方に、直接版元から送料無料で販売(代金後払いの郵便振替か、
クレジットカード決済)などを行っています。
そのシステムづくりから10年、版元ドットコムを支えてこられた沢辺均さんから、
その成果と今後の課題をご報告いただきます。
−記−
日  時:2009年6月18日(木)6時30分〜8時45分
報  告:「版元ドットコムのWeb活用術」沢辺均さん(会員、版元ドットコム代表)
場  所:八木書店本店・6F会議室(千代田区神田小川町3-8:TEL:03-3291-2965)
会  費:日本出版学会会員無料・会員外一般参加費500円(ただし、学生は無料)
問 合 先:下村昭夫(TEL:047-334-7094:shimo(アットマーク)murapal.com)
     準備の都合上、「メール」もしくは「電話」でお申込いただければ幸いです。
共催:日本出版学会・出版流通研究部会

ココからレジュメ(下書き)です
【01】版元ドットコムの現状
●形態 有限責任事業組合(出資30万×7社)
●組合員 語研/ スタイルノート/ 青弓社/ 第三書館/ 太郎次郎社エディタス/ トランスビュー/ポット出版/スタジオ・ポットSD
●会員 145社/総登録点数23229点[2009-06-17現在]
●会友 60名[2009-06-17現在]
●決算 売上げ=2,164万円 仕入れ=416万(TIBF) 販売管理費=1,642万 利益=108万円 
 販売手数料=148万円(=15%、本の売上げ1,000万)
●データ2008年度
・売上げ=3,326冊 \7,307,892
・会員数/書誌データ=22,749冊 137社
●版元ドットコムの事業(後述)

【02】版元ドットコムとは何か、なぜうまく行ったのか
発足後数年間の困難
●情報公開 総会資料/決算
●組織の公開制 月例組合員会議は参加資格なし発言可/議決権は組合員のみ
●メーリングリスト 連絡/相互相談
●事務局体制 発送確認/会費 →革命は事務である(竹中労)
●入会審査
●ノウハウの公開提供 ノウハウは聞いたらできるものではない
●批判ではなく、ただできることを自ら行う
●活動する人が得をする
●出版界の諸団体は活用 批判だけでなく提案(利用)

【03】版元ドットコムでやっていること
(別紙を参照ください)

【04】出版業界で問題になっていることと、それにどう対処していこうと思っているのか
(沢辺個人の意見で版元ドットコム組合員の間でも意思共有していません/時間があればにします)
●Google問題の意見と対処方針(長尾真国立国会図書館館長の提案の「利用」)
●返品/委託/責任販売=35ブックス(筑摩菊池社長の発案)
●電子書籍をめぐるそなえについて