月別アーカイブ: 2008年11月

中島義道『ひとを〈嫌う〉ということ』


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● 中島義道『ひとを“嫌う”ということ (角川文庫)

★★★ 他者との関係にヒリヒリしてしまう方にお勧め

私の場合、もっと若かった頃は性的欲望に翻弄されたり、恋愛感情に支配されてしまう自分が疎ましくてならなかった。が、この頃は、性愛の効用をありがたく思えるようになってきた。それは、性愛の欲望によって誰かと関わる機会を求めたり、あるいは実際に抜き差しならない関係になったりということが、自分を他者につなぐ回路になっていると感じるからだ。

振り返ると私は、人を見る目が養われ社会的な経験を積むことでかえって、誰かと関わることがヒリヒリとした痛みを伴うようになった。他者に対する批評眼が鋭くなり、また他者の自分への感情や、相手との差異に敏感になったがゆえに、他者と関係することが困難になっていった。ところが、性愛というファクターが働くと、そうした理性的な認識から解放されて、その抗えないような「魔法の力」によって、他者との交流を求めるようになる。これは、対人関係に強い違和を持つ人間にとっては、この上ない癒しでもある。 続きを読む

通販

『装幀の美 アール・ヌーヴォーとアール・デコ』という本をネット通販で古本で買いました。6000円でした。昔図書館で見たことのある本で、ふと、また見たくなって、googleさんをたよりにさがしだすことができました。ただ、金曜日着で自宅に宅配便で届いても、うけとることはできないのでした。

土日で引き取って、休み中に眺めたいと思います。

物語・落語現代史

毎月第一金曜日は中野ZEROで「物語・落語現代史」。
早いものでもう7回目だ。

今回のテーマは、立川談志の現代落語論。
夢月亭清麿師匠も、実際に見聞きしたハナシの比重が増えてくる。清麿楽屋噺の趣もあって、面白い。だって、芸人であることにここまで客観的でいられる人もそういないよ。そんな師匠の見聞録。

『現代落語論』、三一新書で買って、読んだのは大学の頃だったかな。
実はこれよりも、続けて読んだ、続編『あなたも落語家になれる』の方が、しっくりくるものを感じた。
若さほとばしり!とかよりも、ある程度地位を築いた人がそれでもまだ揺れている…みたいなのにグッとくる俺だから、かな。
当時、フジテレビの深夜で『落語のピン』という、談志、小朝、志の輔、志らく…らが毎週出てくる豪華すぎる番組をやっていて、それで落語にズブズブとハマっていたので、『あなたも落語家になれる』の方が、テレビで観ていた談志に近いものがあったというのもあるかもしれない。

打ち上げは、さくら水産。
シメで、新メニューのエビフライカレー(380円)を注文してみる。エビフライカレーというのもワケ分からないし、380円という値段もワケが分からない。そして出てきたのが、結構ボリュームあって、普通にウマいのが一番ワケ分からない。また食おう。

斎藤美奈子『モダンガール論』

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● 斎藤美奈子『モダンガール論 (文春文庫)

★★★★★ 倫理主義的なフェミニズムとは一線を画す

フェミニズムが心をそそらないのはなぜか。これだけたくさんの関連書が書店に出回り、学会の論客がメディアで舌鋒鋭く女性差別の解消を訴えても、どうも、人口の半分を占める女性たちの大きな支持を得ているようには見えない。フェミニストという党派の立場からすると、「男社会の価値観の中で育てられた女性たちは、自分たちが不利益を被っている事実をなかなか受け入れられない」ということになるのだろう。しかし、ウーマンリブが沸き上がった1970年代初期ならともかく、現在も一般大衆の女性たちが、社会の女性差別の網の目に気がついてないと考えるのは、あまりにもナイーブだ。 続きを読む

落合恵美子『21世紀家族へ』

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● 落合恵美子『21世紀家族へ―家族の戦後体制の見かた・超えかた (有斐閣選書)

★★★★★ 家族の一般教養!

人が問題意識を抱く契機には、幸福よりも不幸が作用するものだ。なんで自分はこんなに幸せなのか、ではなく、なんで自分はこんなに不幸なのか、ということから自分を取り巻く状況に思いをめぐらせていく。そうすると思考する者はとりあえず、いまある社会的条件を否定することから出発することになる。

すでに家族社会学の古典となりつつある落合恵美子の『21世紀家族へ』(初版は1994年)も、フェミニムズ世代とも言える彼女のそうした問題意識から積み上げられた論集だ。「わたしは、いわば親世代の家族を相対化するためにこの本を書いた。批判するため、と言ってもよいだろう」。 続きを読む

「梶山静六&亀井静香」と非戦の誓い

ウィキペディアの「梶山静六」元・衆議院議員の項に次のような話が載っている。

【梶山の長兄は太平洋戦争で戦死。長兄の「名誉の戦死」の報が伝えられた時、母は地元の人々とともに万歳三唱。梶山は母の行動を不可思議に感じたが、その後自宅土蔵の陰で号泣する母の姿を見つけ、母の心情を理解する。このような悲劇が二度と起こらぬようにと政治家を志したという。生前折に触れて「長兄の戦死を陰で嘆き悲しむ母の姿が私の政治の原点」と語っていた。この話を梶山から直接聞いた田中康夫は感銘を受け、「東京ペログリ日記」等でたびたび紹介している。】

「今は亡き茨城出身の政治家・梶山静六氏が幾度も僕に語ってくれた」話とことわって紹介するのだが、

「と記すと美談に過ぎぬ、と氏が田中角栄氏の懐刀だった事を知る向きは冷笑するやも知れぬ。
 だが、定見無き日本は、有視界飛行のグライダーであるべき。にも拘らず、数値を信じて疑わず、人間も現場も知らぬ近時の若手政治家は、計器飛行のジャンボジェットに似て危うい。と語った氏の警鐘を、今こそ拳々服膺すべきではないのかな。」

と梶山先生の現在的意味を問う(http://spa.fusosha.co.jp/spa0004/ent_573.php)。

「戦士は死ぬ。しかし、思想は生きる」

カストロ議長はそういったが、梶山静六先生の思想を正統に継承されているのが、国会では田中康夫・参院議員だけなのが哀しく、やるせなく、しかし、さすが、ヤッシーだと感心させられる。

康夫さんの意見にまったく賛同である。

亀井静香先生の「戦争の記憶」を伺った時、梶山静六先生の戦争体験と共に、記録されなければなるまい……と思えた。
「戦争を二度と起こさない」。
その誓いは相通じる。梶山先生は「智性・勘性・温性」を持つ康夫さんの真っ当な感覚を信じて、語り手に選んだのだろう。戦争で体験・不条理を康夫さんには頻繁に語られたと聞く。康夫さんは梶山先生の意志を受け継ぎ、現在も、次世代への「遺言」を伝えている。

1945年8月6日、静香先生は7歳で、原爆の閃光を目にした。「原体験」を次のように語る。

「私は小学生でした。広島県比婆郡山内北村という片田舎で、食料がなかったから、児童みんなで校庭に芋畑をつくるために、芋を植えていました。夏休みなのに、学校に行って、芋作りするために、校庭にたまたまいたんですよ。

山の向こうからピカーっと空に鮮烈な光が見え、キノコ雲が上がって、とてつもない地響きが伝わってきました。大変なことが起きたんだ……と幼心でも感じられました。

数日後、服も着ずに肌が焼け爛れ、逃げてこられた人が多くおられたのを現在(いま)も記憶しています。」

遺言と以下の通り伺った。

「親戚も被曝しました。私の姉貴が爆撃地近くの三次高等女学校にいたんですね。自分も被爆したとは知らなかったのでしょう。援助のため多くの女学生と一緒に爆心地へ通い続け、第二次被曝に苦しみました。

姉貴を亡くしたのは後年です。姉のクラスメートは原爆訴訟を起こしました。

出井知恵子さんは私と同じような体験を語っています。」

後日、知ったのだが、俳誌「茜」を主宰した俳人の出井知恵子氏は亀井先生の実姉だ。86年に白血病で逝去という。静香先生は姉2人、兄1人を持つ末っ子だ。生家には知恵子様が詠んだ

「白血球 測る晩夏の 渇きかな」

という句碑がある。

「まあ、原爆だけじゃなくてさ、東京大空襲や戦地で命を落とされた人を思うと、『一人殺そうが十万人殺そうが同じ』という戦争は永久に放棄されなければならない……と戒められる。神様が命令して、殺し合いをやらせているんじゃないよ。人間同士が利害衝突する中で戦争は起きる。」

美談に過ぎぬ、しょせん、『保身を優先する警察庁長官だよ』と亀井先生を揶揄する人もいる。数値を信じて疑わず、人間も現場も知らぬ赤松広隆・衆院議員が「民主党」選対委員長を務めておられる。野中広務「私は闘う」(文藝春秋)では非情の人として刻印するためだろうか、1995年末の社会党の新党結成プレ集会で、赤松広隆・衆院議員が「お前が委員長でいるから新党ができないんだ」と大声でヤジったと記されている(単行本・172頁)。 温厚な村山富市首相が「やれるもんならあんたがやったらいいじゃないか」と赤松を怒鳴りつけた。村山トンチャンが日本社会党委員長であり、赤松は役職もないいサラ議員だった。道理からすれば、赤松が「新党結成のために離党すればよかった」話だ。

亀井先生が赤松選対委員長と会談したエピソードは笑える。

【(8月半ばに)赤松が俺にさ、民主党と国民新党との選挙協力を提案してきたよ。料亭の座敷で交えてね、2人で話をした。あいつはいうんだよ。
「亀井先生、富山と広島ではウチは候補者を立てないから、全面的な御協力をよろしく御願いいたします」
私はこう応えてね。
「富山と広島ならば、どうぞ、おたくから全選挙区で、候補者を立ててみなさいよ。喜んで受けて立ちます。」
キョトンとしていたよ。話にならないと見限って、私は

「女将さん、決して、料理が不味いから箸をつけないのではありません。女将さん、どうか誤解なさらないでください。話が不味いんですよ」

といって、すぐに席を去った。赤松は終始、オロオロしていたよ。
まあ、選挙区調整は俺と小沢一郎で直接交渉することにしたよ。昨日も二人で一時間ばかり会って話をしたんだけれども、とにかくね、軽い気持ちでやったら、政権はとれないという点で一致している。「自公政権」をブッ倒すんです。自民党だけを問うているわけではないということ。国民新党にもね、公明党がすり寄ってきていますよ。よほど、焦っているのかね?民主党と国民新党の協力は俺と小沢でやるからさ。(笑)。まあ、見ていてくれ。】

亀井先生は現在の心中を、自身の短歌に託す。

「何故に 心を魅かるる 桜花 咲くを惜しまず 散るを惜しまず」

「静香」という名は女児につけられる。

「生まれたときに荒川静香さんみたいにさ、かわいくてきれいだったのよ(笑)」
「お袋が『静枝』だからね、その『静』をとって『香』をくっつけちゃったんじゃない」

と口にする(http://www.kamei-shizuka.net/media/2006/060510.html)。
その記事の小見出しには

【静香という美しい名前、好きです
美少女「静香」に会える!期待した兄の友達は駅で私を見て絶句した】

とある。

御本人に取材したからだろう。
「美しい名前」は「おふくろさん」からの最高のプレゼントだ……という夢想が強くなった。

サンモール

新宿はサンモールスタジオにJACROW公演『紅き野良犬』を観にいく。

開演前に、四谷三丁目方面をブラブラ。
軽く腹ごしらえをしようと、適当な店を探すも、これというのに当たらず。
大久保にも支店のある中華食堂を見つけて、スタミナ丼。
この支店、かつては新宿のディスクユニオン・クラブ・ミュージック館やソウル館のあるビルの1階にもあったのだが、なぜか無くなってしまった。新宿の店舗は漬物が取り放題で、よく利用していたのに。
と思ったら、中野に支店ができていた。早稲田通り沿いにある。ここはまだ入ったことがないんだけど。

サンモールスタジオは、シアター・サンモールの隣にある劇場。シアター・サンモールだと思い込んでいて、そっちに入ろうとしてしまったぜ。

芝居は、「時代劇風現代劇」、だそうだ。
そう言われちゃうとな。使われた「コトバ」への違和感も、しょうがないよな。

とある時代。天下分け目の戦も終り、安定する権力。
禁じられた渡来宗教を信仰する農民たち。圧政に苦しんでいる。
そんな農民たちの前に、一人の豪快な浪人がやってきて・・・

抑圧される側と、権力側と、浪人と。それぞれの絡み合いに疑問がいくつか。
ラストの「向き合い」。画的にはよかったけど、役柄的には双方の力格差ありすぎ。
あと、
『野良犬』はともかく、『紅き』は何だったんだろう。

終演後、知人らとさくら水産で呑む。
先にメシを済ませていたからか、ホッピーセット・焼酎お替り1回のみ。
会計は一人1500円。安いね。
閉店間際、店員さんが翌日のランチ用だと思うんだけど、味噌汁のお椀のセッティングをやっていて、その手際よさに見入ってしまう。

山本モナさんと原爆 ~愛に雪、恋を白~

亀井静香・衆院議員と山本モナさんの共通点は、広島県出身ということだ。
静香先生を被曝1世とするならば、モナさんは被曝3世にあたる。

フランソワ=ミッテラン師の最晩年について以前、書いた(http://www.pot.co.jp/oikenparis/mitterrand-2.html/)。

女性が愛に生きることを何で咎められようか……。

いただいたご本『性同一性障害 ジェンダー・医療・特例法』


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● 石田仁編『性同一性障害 ジェンダー・医療・特例法』お茶の水書房

性同一性障害に関しては、十年くらい前にずいぶん興味を持っていた。クィア本も先駆けて出したし、出不精の伏見が埼玉大学の倫理委員会の記者会見にまで取材で出掛けていったくらいだから、「自分の問題」としてとらえていたのかもしれない。だけど、当事者との対話を繰り返すなかで理解が深まっていくと、かえって関心がなくなってしまった。別に彼らを嫌いになったわけではないけど(むしろ友人は増えていった)、ある程度納得したら何か「自分の問題」としての意識が薄らいだのだろう。以来、「LGBT」というくくりにもいまひとつ乗り切れない伏見なのである。

本書は「性同一性障害をめぐる論争の白地図を埋める。」と帯にあるように、この問題の論点を拾い上げ掘り下げようという専門書である。学術書に寄稿する専門家がこんなに出てきたんだなあと、ページをめくりながら感慨にふけってしまった。十年くらいで言論状況は大きく変わる。だけど、この間にあったのは「〈性〉と制度の闘争」だったのだろうか?などと振り返ったりして、面白い読書体験となった。本書が、これから性同一性障害について考察していこうというひとにとって参照すべき一冊になるのは間違いない。ちょっと値は張るが、いい勉強になります。

お部屋1697/月影兵庫全発言・解説

私もミハルさんに賛成です。矢野穂積は今でも瀬戸弘幸の背中を押しています。表立って応援することで訴えられたり、選挙民にそっぽを向かれたり、人々にバカにされることを避けているだけです。

リスクのあることは全部瀬戸弘幸に押し付けておいて、自分は安全地帯にいたい。人を利用することには長けていますから。その距離を保っていられるのであれば、誰が騒いでくれてもいい。内心バカにしているような相手だってかまわないわけです。

矢野穂積とともに、瀬戸弘幸をサポートしているのが月影兵庫です。月影兵庫がどういう役割を果たしてきたのかを見るために、月影兵庫のすべての発言をピックアップしてみました。

「こういう転載方法は著作権的にどうなんか」「ブログの匿名コメントに著作権はないだろう」といった意見は様々ありましょうが、これは今後の批評のための引用でありますので、ご心配なく。すべて批評しちゃる。著作権侵害だというのなら、身元を明らかにして訴えればよろしいでしょう。
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