月別アーカイブ: 2007年8月
テン出社その4
豊田正義『オトコが「男らしさ」を棄てるとき』
● 豊田正義『オトコが「男らしさ」を棄てるとき』(飛鳥新社)
ウーマンリブ→フェミニズムと、70年代初頭から「女らしさ」「性別役割り分業」を問い直す動きが活発化してきた。現在では、生物学的性「セックス」とは別に、社会・文化的性を示す「ジェンダー」という言葉が、行政の場ですら用いられるほど一般化している。
そこで問題にされてきたのは、主に女性のジェンダーであったが、女性のジェンダーに疑問に付されるのならば、当然、それと相補関係にある「男らしさ」も以前のままではいられない。家事の分担、育児への参加などが、女性の運動の側から求められてきたのは周知の通りである。 続きを読む
D・モリス『セックス ウォッチング』
● D・モリス『セックス ウォッチング』(小学館)
現在、男女の性について語ることは、極めて政治的な行為となっている。男らしさ、女らしさを「本能」という言葉に還元しようものなら、フェミニストらから「保守反動」との反発を免れないだろうし、すべてをジェンダー(社会的性差)の問題として片付けようとしても、多くの人の実感から、それは政治主義的すぎる、という評価しか得られない。
結局のところ、どこまでを生得的な資質で、どこからが社会的に獲得する傾向なのか、そのバランスへの配慮こそが、性を語る言葉の立場を位置づけざるを得なくなっている。
この本は、そのことを非常に意識して書かれている男女の性史だが、著者が動物行動学を背景とする立場故、比較的、生物学的な要因を重視する視点に立っているようにも読める。 続きを読む
北山晴一『男と女の「欲望」に掟はない』
● 北山晴一『男と女の「欲望」に掟はない』(講談社)
一昔前まで恋愛や性、夫婦関係といったテーマは、大の男が論じるような問題ではなかった。男というもの、そうした「私事」は女子供に任せて、天下国家を憂えていればよいと。けれども、1980年代以降、消費社会の成熟による性秩序の「規制緩和」とフェミニズムを通過した女たちの自立化によって、男たちも旧態依然たる「男らしさ」に寄り掛かってはいられなくなった。
女性の性的主体の獲得と、対等な関係への要求に対して戸惑うばかりの男たちは、対処の仕方を求めてマニュアル作りに専念したり、一方的に女性に奉仕するアッシー君やミツグ君に変貌したりもした。あるいは、遺伝子やら「本能」を持ち出してきて、マッチョな「男神話」を強迫的に繰り返し、男とは本来こういうもの、と開き直ろうともした。 続きを読む
榊原史保『やおい幻論』
● 榊原史保『やおい幻論』(夏目書房)
本書の著者の定義によれば、「やおい」とは「女性による、女性を対象とした、男性同性愛をモチーフに使用した小説」ということになる。一般にはあまり知られていないが、こうした嗜好の小説や漫画のマーケットは、驚くべき規模で存在している。小さな町の本屋さんでも、「やおい」本の棚を持った書店は珍しくないのである。
にもかかわらず、「やおい」という言葉があまり一般的に知られていないことが示すように、「やおい」自体についてはほとんど語られてこなかった。当事者がそれを避けてきたと本書にあるが、確かに「やおい」小説の作家が一冊の本として「やおい」を論じたものは、これが初めてだろう。 続きを読む
病気にならない生き方
テン出社その3
『フランスは最高!』、好評発売中


2004年7月3日から2006年3月25日までフランスに滞在した私が留学で体験したことをつづった実用本+エッセイ『フランスは最高!』(花伝社)が好評発売中ですので、御興味のある方はお手にお取りください。
『日刊ベリタ』に【米議会「慰安婦」決議発案者は日系議員 日本政府に真摯な謝罪求める】というタイトルの記事を執筆しましたので転載します。
【本文】
米下院は7月30日の本会議で「従軍慰安婦問題に関する対日謝罪要求決議案」をほぼ全会一致で採択した。決議を発議したのは日系のマイク=ホンダ下院議員(民主党)で、本会議で「辛酸をなめた慰安婦の方々の尊厳を回復するために、日本政府は明確で真摯な公式謝罪を行うべきだ。(決議はこのための)米国議会からメッセージだ」と日本政府に呼びかけた。
決議は第2次大戦中に旧日本軍がアジア各国の女性を「性的奴隷」にしたと非難、日本政府が公式かつ明確な謝罪をすることと、教育現場で慰安婦問題をきちんと取り上げることを要求している。法的拘束力はないが、幼少期の大戦中に捕虜収容所で過ごした日系議員の訴えが日の目を見たことは参院選で惨敗した安部政権に追い討ちをかける形となった。
ホンダ議員のホームページによると、父親が日本人の同議員は1941年にカリフォルニア州で生まれた。このため、第二次世界大戦中、ホンダ一家はコロラドの捕虜収容所に送られ、議員はそこで幼少期を過ごした。
戦後、捕虜収容所から解放された後、米国で勉学を続けた。大学で生物学を専攻して、公立高校の科学の教師となる。政界入りは、カリフォルニア州議会議員に選出された1996年。2000年の下院議員選にカリフォルニア州第15選挙区から出馬し、初当選した。ホンダ議員は米国社会に生きるイスラム教徒の人権問題への熱心な取り組みで知らる。01年の米同時テロ発生後は、テロをイスラム世界との対立の理由にすべきでないと一貫して主張している。
日系人として旧日本軍による従軍慰安婦問題に取り組んだ同議員は決議案提出の際、記者団に対し「目的は日本を叩くためでも傷つけるためでもない」と発言、日本政府に真摯な対応を求めていることを強調した。
世界の名建築家、黒川氏を襲う政治的熱狂 連続最下位も「衆院選で政権奪取」と気勢

『日刊ベリタ』に【世界の名建築家、黒川氏を襲う政治的熱狂 連続最下位も「衆院選で政権奪取」と気勢】というタイトルの記事を執筆しましたので転載します。
【本文】
世界的な建築家として名声を築いてきた黒川紀章氏(73)が晩節を汚すかのように、政治に熱狂し「醜態」をさらしている。7月29日投開票された参議院議員選挙で東京選挙区から立候補、得票数は当選ラインに60万票も届かない7万票余りで、得票率は選挙初挑戦の今年4月の東京都知事選の2.9%を大きく下回った。党首である共生新党は比例区で14万6986票(同0.25%)と11政党・団体の中でダントツの最下位と散々だった。これで懲りたかと思いきや、次は衆院選に出馬し、政権を奪取するとブチ上げた。「政治パラノイア」に歯止めがかからなくなっている。
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