月別アーカイブ: 2006年4月

メイキング・ラブ

making_love.jpg映画『ブロークバック・マウンテン』に関しては、多くは語らず、いらだつので他人の批評は極力読まないようにしている。自分の心の聖域に確保しておきたい気分の作品なのだ。
昨日はロードショー公開で二度目の鑑賞。平日にしてはまあまあの入りの、新宿武蔵野館の前から3番目に座った瞬間、いまから二十数年前、浪人生をしているときに、ゲイ映画『メイキング・ラブ』を独り観ていた光景がフラッシュバックした。
帰ってきて大塚隆史さんにメールで問い合わせてみたところ、あの映画の公開も武蔵野館だった。やっぱり……。『メイキング・ラブ』のときは、場内はもっと閑散としていた気がするし、ドキドキしながら周囲を見回しても(←まだ二丁目デビュー前でどこか性的な出会いを期待していた)、ゲイらしき人は前のほうに座っていた怪しげなおじさんだけだった。今回は観客にゲイらしき若者、カップルがふつうにいた。
『メイキング・ラブ』も、女性と結婚していた男性が同性への欲望に目覚めて、自身に忠実に生きて行くことを選択するという物語で、まだ十代だったぼくに何か非常に大きなものを与えてくれた。当時、人気だったテレビドラマ『チャーリーズ・エンジェル』のサブリナ役、ケイト・ジャクソンが主演ということもあり、それなりに話題にはなっていたように思う。しかしヒットにはならなかったはずだ。出演者たちのその後もパッとしなかった。
あの日、19歳のぼくは、作品に深く打たれながらも映画館の暗闇でひどく孤独感に苛まれていた。その頃はまだ、恋人はおろかゲイの友達さえいなかったのだから、一筋の光は見えても、どこか途方に暮れるしかなかった。
あれから四半世紀近く経って、『ブロークバック・マウンテン』はアカデミー賞を(作品賞は逃したにせよ)受賞し、日本でもそれなりにヒットしている。ゲイ映画に出た俳優は干されると言われたハリウッドで、ヒース・レジャーの評価は逆に大いに高まった。
二度目にもかかわらず、ぼくはまたしても涙が止まらなかったので、イニスが「I swear…」とシャツに語りかけエンドロールになるとすぐ、明かりを避けて席を立った。ふと、うしろで鑑賞していた若いゲイカップルの姿が目にとまった。彼らの手はしっかりと結ばれていた。それは四半世紀前には考えられない光景だった。

斎藤綾子・新刊記念!

ff.jpg斎藤綾子さんが新刊『ハッスル、ハッスル、大フィーバー!!』を発表した。その名の通り、パチンコ小説である。もうパチンコ依存症にはたまらない作品だ。帯の言葉を借りると、「セックスも男遊びもテキトーにこなし、執筆もパチンコほど熱中できない独身小説家が、ある日突然にとり憑かれた”死後の不安”。負け犬ポルノ作家(37)、ついに自分の墓を買う」。

綾子先生とは毎晩のようにパチンコについて長電話する仲間で、というか綾子先生のパチンコ道は、オチンコ道同様、プロ以上のものがあるので、とにかく勉強させてもらっている。伏見も現在、同じくパチンコ小説を書き上げつつあって、友情の証で同時期に出版したかったのだけど、生活費捻出のために他の書き下ろしを優先させて、それは叶わなかった。自分もパチンコ店を舞台に描いていて思うのは、やっぱ綾子さん、描写が抜群に上手い! こんなふうに表現できたらなあと、うらやましかった。

綾子ファンならずとも、パチンコファンには必読の欲望小説、乞うご期待!

●斎藤綾子『ハッスル、ハッスル、大フィーバー!!』(幻冬舎) 1400円+税

★さて、今回は、仲良しの綾子先生の新刊発表を記念して、綾子先生と伏見がレディースコミック誌「ease」で連載していたお悩み相談の第2回を、ここにアップロードさせてもらうことにした。単行本にしようという企画ではじまったものだったが、残念なことに雑誌の休刊にともなって3回で終わってしまったものだ(どこかの編集部で続きを引き取ってもらえないですかね?)。
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犬として

お察しの通り、テツは社内のアイドル犬です。そして、癒し犬です。みんな(いやコアなのは一部かな)、テツと遊ぶべく、テツに遊んでもらうべく頑張っています。
ある日、ふと、逆にテツは、社内の人をどのように思っているのか、いや私のことをどう思ってくれているのか……と考えました。結果、私はテツに犬として、友達として認識されるべくつとめようという結論に至りました。なぜなら、テツにとって、佐藤さん=ママ、沢辺さん=パパ、他の人=みんな、という認識にしかなりえないのではないか、私のことを「木村さん」として認識してくれないのではないか。それは、とっても悲しいことです。だから、私は「うー」と吠えながらテツの横に寝転がり、犬として認識されるようつとめます。これなら、木村さん=犬という認識をしてくれるはずであります。特別待遇であります。
本日からデザイン部にはテツにあげる用のジャーキーが1日1本ずつ配布されることになったようです。デザイン部の特権です。私は、編集島なので、ジャーキーをもらえません。ですが、悲しくはありません。犬は犬にジャーキーをあげたりしないからです。頑張ります。

犬がザーサイの瓶をあけられるか?

日曜日は、沢辺のバンド練習があり、私はボーカルのゆりちゃんの子どもの子守りをするために、一緒に外出。
部屋には鉄一匹。8時間くらい留守番させていたのですが、またしてもやってくれました。帰ってみたら、ゴミ箱はひっくりかえされ、ティッシュの箱もくちゃぐちゃ。6畳くらいの部屋が一面ゴミだらけです。乾電池までかじっていました。さすがにお菓子は出していなかったので、そこらへんの物をすべてかじってみたという感じ。
そして、1つ謎なのは、ザーサイの瓶。
私の記憶では、まだ封を切っていない桃屋の瓶入りのザーサイを台所の床においてあったはずなんだけど、それがなくなっていて、かわりに空になったザーサイの瓶が散乱したゴミと一緒に転がっていたのです。いくらなんでも開けられないと思うんだけど……、うーん謎。
最初に留守番させたときは、8時間くらいおとなしく待っていられたのに、いつも人がいることに慣れてしまって、一匹になると淋しくなってしまうのでしょうか。それとも、ただ腹が減っているだけ?
どっちにしても、那須さんにもらったゲージ(最初の留守番が大成功だったので片付けたのだけど)もう1回出さないといけなくなりそうです。

ニクヨに感謝!

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ここ数年オカマの日にちなんで開催されている、歌舞伎町の巨大キャバレー「クラブハイツ」を借り切ってのゲイイベント「せれぶれいしょん」。ドラァグクィーンショーあり、ダンスパフォーマンスあり、歌謡ショーありの豪華なパーティで、中でも人気ゴーゴーボーイたちを贅沢に使った下着のファッションショーは生唾もの!(笑) 近年、伏見はこれを見るのを人生の生き甲斐にしていた(←大袈裟じゃない)。
ところが、今年はチケットを入手することができず、あぁ、これじゃあ2006年は命の洗濯をすることができない、と悔しがっていた。しかし、前夜になって、「せれぶれいしょん」の出演者、スタッフである肉乃小路ニクヨちゃんから招待枠に入れてくれるという電話をもらったのだ(なんて心がけのよい後輩!)。もうホント、飛び上がるほと嬉しかった。それで、これほどのイベントは滅多に見れないと、仲良しの斎藤綾子さんを誘うことにし、伊勢丹の地下で花見用の弁当まで買って、二人いそいそと出かけていった。
そして、今年も本当に満喫した。ニクヨちゃんの目配りの効いた女主人っぷりやショーもすばらしかったし、注目のダンスチーム、nonochicの荘厳な男性舞踊も見事だった。そして、Underwear of fashion showにはなんというか感動さえあった。去年までのからだ自慢、股間に目が釘付けのパフォーマンスもそれだけで十分眼福だったが、今回は途中、ゴーゴーボーイたちがカップルに扮して登場し、海辺に遊びに来たふうのカジュアルな服装を脱がせ合って水着になる、という演出がなされていた。それがただモッコリを誇示するだけでない、とても幸福な気分に会場を酔わせるものだった。
考えてみたら、あんなにハッピィにゲイカップルを表現したものをライブで見たことはなかった。これまでクラブでも他のイベントでもなかったパフォーマンスではないか?
恒例の浦安ダンシングチームのディズニーばりの(笑)のショーも大盛り上がりだったし、ラストの会場を巻き込んでのダンスタイムも見ているだけで鳥肌が立った。みんな場の作法をよく心得ているし、いっしょに楽しもうという共感に溢れていた。このところ、ゲイコミュニティは元気がなかったり、悲しいニュースが多くて、伏見もやる気をなくしていたのだが、とてもいい氣をもらった。エンパワーメントされる、とはまさにこのこと。あの空間には愛の波動があった。
心からニクヨちゃんに感謝! そしてあれだけの舞台の裏を支えたスタッフの方々に惜しみない拍手! このイベントがどれだけ志の高いものかは、今回のNoblesse Obligeというテーマにもよく表れている(この宣言文がとてつもなく美しいので、ぜひ読んでみてください)。願わくば、来年もまた開催してもらいたい。