月別アーカイブ: 2006年4月

同性愛と強制収容所

フランスという国は歴史的・文化的・社会的に見て性文化・性生活に寛容である。比較文化学者である林瑞枝氏はその起源をフランス革命に求め、「フランス革命は、私的空間尊重の原則を性の領域にも適用した」と解説する(「フランスのカップル法制の行方」73頁、『時の法令』99年6月15日号)。そして、人権宣言によって「社会に有害な行動でなければ法律は禁止する権利をもたず、法律で禁止されていないことは妨げられることができない」という原則が確立され、同様に「性的行為も同意を前提に個人の自由の行使とみなされた」(同論文73頁)と述べている。他人に迷惑をかけなければ何をしてもいいという原則がフランス革命・人権宣言以降、個人の性行動にも適用されたことを、フランスが同性愛者の罰則において他のヨーロッパ諸国に比べて寛容だったことの根拠として林氏はあげる。なるほどたしかに、イギリスは一九世紀にまだ同性愛者の処罰が殺人より重く絞首刑になりさえしたが、同性愛を理由とした処刑はフランスでは一七五〇年の火刑が最後で、林氏によれば一七九一〜一八一〇年の刑法は特別の刑はなにも規定していなかったという。
林氏はしかし、同性愛者の権利がフランスで先進的に認められていたわけではないことを次のような指摘を紹介することにより暗に示している。
「法定の処罰が定められなかったことは<自然に反する>行為と判断されたときに加重罰の判決がなされなかったことを意味するものではないし、社会が<第三の性>を寛大に受け入れたわけでもなかった。成功をおさめたブルジョワ階級が何よりも恐れたのは性的自由だった」「私的に同意のもとに行われた行為を暴き、制裁をくわえることは、取り締まりたいことを逆に広める危険があると、法律家たちは考えた。同性愛への寛容はその程度にとどまった」
つまり、ブルジョワ階級や法律家は一般の人々の私的な「性の空間」に国家が介入することを避けるために同性愛行為も消極的に容認されたというわけだ。いわば、同性愛はそれ自体が社会的・法的に認められたわけではなく、「私的な空間における行為である」という理由だけで犯罪化されなかったわけだ。
しかし、第二次世界大戦に入り、フランスがナチス傀儡のヴィッシー政権の掌中に落ちると事態は急変する。『スイス ゲイ チャンネル』というサイトは一九三三−四五年の様子を次のように記述する(http://swissgay.ch/breves/0106/breves100156mitterrand.html)。
「約一〇万人の同性愛者がナチスの強制収容所へと送られた。彼らが胸につけた赤の三角形(Le triangle rose)は虹色の旗と同時にゲイという集団の象徴(le symbole)の一つになった。長い間、同性愛者の収容について語られることはなかった。」
「同性愛者たちは彼らを『正常にもどらす」ことを目的とする科学的実験のモルモットにされた。とりわけ、ナチスの医者によって大脳の葉切除手術(ロボトミー)がなされた。」
「戦後、人々は同性愛者の収容に関する問題を隠蔽してきた。それはとくに、同性愛者を有罪とする法律が戦後も残ったという理由による。そして、同性愛者が犠牲者となった残虐行為を過去の収容者たちが暴露したことを契機として、同性間性行為が非処罰化される(ミッテランが登場する1981年)までこの状態はつづいた」
「ナチスの指導者Himmlerは同性愛に関する演説を行った。『もし100〜200万の同性愛者がいるのだと認めると、それは7から8%、或いは10%の男性が同性愛者であることを意味する。もし状況が変わらないのだとしたら、そのことは我ら人民がこの病気の伝染によって将来、絶滅させられることを意味している。長い目で見た場合、自身の人生・性的均衡を乱すこの病気に抵抗できる人は誰もいなかろう。(略) 同性愛はあらゆる効率、効率に基づくあらゆるシステムを失敗させる。同性愛は国家を根底から破壊する。私たちが闘うことなく同性愛という悪徳がドイツで広がりつづけるならば、それはドイツの終わりになり、ゲルマン世界の終わりになることを、私たちは理解しなければならない。』
そして、一九四〇年一一月一六日、彼は次のように命じた。『(同性愛という)この黒死病を死によって絶滅させなければならない』。」
かつてナチスが同性愛者につけた赤の三角形は今日においてはレッドリボンにかわり、HIV感染者・AIDS発症者への連帯を示す象徴となっている。
さて、ここのサイトが論じるようにナチス率いるドイツは同性愛者を人類の脅威と見立てていた。同性愛者を強制収容所へと収容し、時にはロボトミーを施すこともあった。前出の『スイス ゲイ チャンネル』はワシントン米国ホロコースト記念館の調査として、強制収容所へ送られた同性愛者のうち一万から一万五〇〇〇の人が命を落としたと推定している。
社会党出身のリオネル=ジョスパン首相(当時)は二〇〇一年四月二六日、
「我が国がナチス占領下で少数者(スペイン難民、ジプシーあるいは同性愛者)に対して行った迫害を国として完全に認めることは重要なことです」
と述べ、政府として初めてナチス占領下における同性愛者の迫害を公に認めた。

いつも同じじゃない

犬ビギナーとして驚いているのは、毎日の散歩で犬の様子が違うこと。落ち着いている日があったり、妙に興奮している日があったりして面白い。鉄の場合は、風が強いと興奮する。風に吹かれると野生の血が騒ぐのではと私は想像しているのだけど、ただ風がイヤなだけかも。
昔、ネコを2匹買っていたことがあるのだけれど、犬に比べて、日によって様子が違うと感じたことはなかった。
やっぱり犬育ては、子育てに近いんじゃないか。

土曜日は沢辺たちのライブのため、鉄は留守番。
前回の留守番では、ザーサイ疑惑も出てきているため、今回はゲージに入れました。もちろんエサでつって。
私たちが帰ってきたときの興奮っぷりは、しっぽがちぎれるかと思うくらい。帰ってきただけでこんなに喜ぶなんて。カワイイやつだと思わずにはいられましぇん。

<鉄>「鉄本」

鉄がポット出版の本の表紙でまもなくデビューします。

本の詳細情報 → 『OYABAN —おやじバンドやろうぜ
5月20日発売予定。

オライリーの出版物が「らくだ本」などと呼ばれているように、この本も「鉄本」と呼ばれるようになったりするとちょっとうれしいです。

ヴェンダース夫妻の写真展@東京のお知らせ

Flyer1.jpg少食日記の読者の皆様へ

前から少しずつお知らせさせていただいています、ドイツを代表する映画監督、ヴィム・ヴェンダースと、彼の妻ドナータ・ヴェンダースによる、夫妻の世界初の写真展が東京でついに開催されます!

ご夫妻は、共に世界で活躍している写真家です。
ヴェンダースは主にパノラマカメラで風景をカラーで、そしてドナータは主にライカで自然な人物の描写を白黒で表現します。

二人はそれぞれ、ギャラリーや美術館で写真展を行なってきましたが、夫妻で写真展を行なうのは本当に世界で初めてのことなのです。去年の秋、夫妻は日本を旅して、同じ場所で全く違う視点で創作しました。その作品が、世界に先がけて一挙に公開されます。全てが世界初公開作品なのです!

Flyer2.jpg場所は、夫妻の友人であり、国際的活動で高い評を得ている建築家、安藤忠雄氏による「表参道ヒルズ」。今、最も注目を集めているスポットです。

期間は、4月29日から5月7日までで、29日のオープニングでは、サイン会も予定しています。(当日、入場券とカタログをお買い求めのお客様先着順に、整理券を100人分ご用意する形になると思います。)

私は、この写真展の企画をいたしました。主催は、スプーンINC.という、テレビのCFやイベントを手がけている会社で、数々のヒット作品を生み出しています。
そして朝日新聞社も共同で主催になってくださっています。

この写真展のウェブサイトが出来ましたので、お時間のある時にぜひご覧くださいませ!
http://wenders.jp

「ゲイ補完計画」投稿2

すっかり忘れ去られていた「ゲイ補完計画」。これも、当事者の中で被差別感や不満はあるにしろ、「まあ、こんなもんかなあ」という空気が強いことの表れだろうか? こういうときもっといろいろな意見が出て盛り上がると、日本でも社会運動への欲求が高まっている、と実感できるのだけど(まあ、熱い人は伏見サイトなんて読んでいない、ということもあるが……)。
でも久しぶりに一件、投稿がありました!
●米子さん企画
■企画名
「一斉アンケート そちらにゲイはいる?いない?」
■企画内容
諸団体に対し、「貴社にゲイはいると思いますか?」というアンケートを実施。アンケートは、団体名公表が前提。硬派な所では官公庁、企業(“就職したい企業ランキング”に入るような)、新聞社、大学、病院、……等々。軟派?な所ではクラブ等のお遊びスポット、ゲイ向け産業・ショップ……等々。
※アンケート送付にあたっては、以下の2点を同封する。
・アンケート回答のために、無理なゲイ発掘をしないようにという願書
・ゲイを含む性的マイノリティに関するガイドライン(QJでもOK?)
Q1.総職員数は何人ですか?(契約・派遣・バイト・パート含め)
A1.男○人/女○人/合計○人
Q2.ゲイの職員はいると思いますか?
A2.いる・いない・わからない
Q3.コメント等をどうぞ
この3点を質問し、集計、結果発表。
「社員6千人、自由な社風を謳う大企業A社のゲイはゼロ人らしい(本当?)」
「我がB社はゲイしか採用いたしません!」
「男女平等や人権擁護に声高らかなC新聞社は返事ナシだった」 ……等々。
集計の結果、「外資系はオープン」とか「○○産業はオープン」といった
傾向が出る!かもしれません。
「いくら大企業でも、ゲイ人数ゼロなんて言い切る会社にはやだなー」とか、
「これだけゲイウェルカムなコメントを寄せる所ならちょっとはマシかも」等、就活にも大役立ち!かもしれません。
また、「無回答」の数もチェックポイントです。「職員のプライベートにはお答えできません」と白票を投じるのならともかく、「音沙汰ナシの黙殺」とした所がどれだけあるか……ゲイ問題云々の前に、こういうアンケートに非協力的なツレナイ人たちとして実名公表しちゃいます。
■企画発案の経緯……私的なことも含めて
私が以前勤めていた某大企業・甲社(男女比は男7対女3程度?)には堂々たるオープン・ゲイがいました。いまは社員の大半が男性という中小企業・乙社に勤めていますが、ここにはそういう空気がないようです。「ホモくさくねー?」というヒソヒソ話はありますが、ゲイを含む性的少数者に対しては「気持ち悪い」とか「ありえない」という発言すらあります。甲社はパイが大きく、人権にも敏感な社風だったためかもしれません。乙社はパイが小さい分、閉鎖的なのかもしれません。本人の資質もあるでしょうし、ほかにも様々な要素はあると思いますが、この差はどこからくるのか……と考え、発案しました。(因みに私自身は♀・バイ・クローゼットでございます)
■企画内容を鑑みて……
自分で考えていても、正直、穴(またの名をデメリット)の多い企画案です。
アンケート自体が、とてもプライベートな部分に触れています。
職場等で自らの性志向をオープンにする妥当性があるのかどうか、
それが第三者に公表される必要性がどこにあるのか……。
何よりお堅い職場でクローゼットにしている人に迷惑がかかりかねません。
……あと、マジメすぎるかも!?
「企画者の実践は不問に伏す」、「無責任な企画でけっこう」という伏見さんのお言葉に依拠しての投稿ですので、平にご容赦を……。

CPE(初期雇用契約)の話

シラク大統領が命じたことにより、CPE(初期雇用契約)は修正を施されることになります。政府が修正案を創るのでなく、UMP(フランス国民連合)が主導をとることになりました。漁夫の利とはよくいったもので、ドヴィルパン首相率いる政府と組合・学生が激しく対立する中、ドヴィルパン首相とライバル関係にあるサルコジUMP党首が修正案の主導をとることで、自らの評価を高めようとしています。英米型の経済にすることで国の活性化を目指すサルコジ氏に比べて、ドヴィルパン首相は左派支持者から評価・信頼が高かったのに、今回のCPE騒動で評判はガタ落ちです。シラク大統領はドヴィルパン首相を次期大統領にしたがっていると巷ではいわれていますが、UMP内に支持基盤がない上、国民からも支持されないのでは(支持率は20%台に急落)、その可能性は低いのではなかろうか。来年の大統領選挙は社会党候補 vs サルコジという構図になるんでしょうなぁー。