ず・ぼん6●[立川市図書館のこだわり] インターネットをレファレンスツールとして

[立川市図書館のこだわり]
インターネットをレファレンスツールとして

斎藤誠一
[1999-12-18]

文◎斎藤誠一
さいとう・せいいち●
1953年生まれ。立川市中央図書館勤務。行政機構の中の図書館が、いかに市民のための図書館になり得るのか、福祉や税など行政の根幹業務といわれる分野と図書館業務との接点は……と小難しいことも考えている。
ず・ぼん編集委員。

インターネットの複合活用へ

 公共図書館におけるインターネット活用は大学図書館などに比べ、はなはだ遅れている感があります。しかし、90年代後半からは先進的に活用し始める図書館もでてきており、最近では新館建設の目玉としてマルチメディア対応の図書館と銘打って、CD-ROM検索や、インターネットが自由に使える設備を整えた図書館も徐々にでてきています。
 公共図書館におけるインターネットの活用方法をみると、いろいろな形態となって現れてきています。(1)開放端末の設置により各種のホームページ情報を自由に見ることができるサービス、(2)図書館情報の公開サービス、(3)メールを活用したレファレンスやリクエスト等の受付・回答サービス、そして(4)インターネットをレファレンス・ツールとして活用するサービスなどです。どれも有効なサービスであり、これらを複合的に実施していくことが望ましい姿であると思います。
 また、インターネットによる各図書館の所蔵情報の公開によって、他の自治体の所蔵情報の把握が容易になり、図書館間の相互協力体制の効率的な運用が図られるようになるでしょう。各図書館の資料収集についてもより有効な収集計画、予算執行が図られるようになるかもしれません(ただし、この点は安易な分担収集に流れる可能性もあり、各図書館の主体的な運営方針と、広域的利用の側面を加味した対応が必要であると思います)。そして、各図書館間の所蔵情報の検索も個別に1館ずつ行っていくのではなく、1回の検索で横断的に行えるようになり、このような検索が図書館に行かずとも自宅のパソコンで行えるようになります。
 また、インターネットを俯瞰的にみた場合、ただ単に情報の効率的な伝達を行うだけのものではなく、情報公開(自治体における情報公開の意味よりは広い意味における情報の公開)という社会システムの根幹に関わる重要な道具となり得ることでしょう。

「資料提供」から「情報提供」へ

 このように急速に進みつつある公共図書館のインターネット活用や電子化の問題は、多くの人が論じているところであり、この場で改めて考えてみる必要もないと思いますが、今後の図書館の基本的な機能にかかわる大きな問題であることは事実です。つまり、今までの図書館の歴史のなかではその根幹に「資料=本の提供」があり、「場=建物」としての図書館の存在が認識されてきました。しかし電子化によって「資料提供」から「情報提供」へ、そして「来館型」から「非来館型」利用へというように、図書館の在り方に大きな変化が生じてくると思われます。
 またコンピュータというブラック・ボックスを使いこなせるかどうかによって「情報弱者」と「情報強者」の違いが表面化することも事実です。使い方によっては公共図書館のスローガンであった「いつでも、どこでも、だれでも」利用できる図書館が実現するといってもいいのですが、はたしてそれが我々が目指してきた「いつでも、どこでも、だれでも」利用できる図書館の真の姿なのかどうかという疑問も個人的には残ります。また、図書館の職員に求められるものの変化も大きな問題となっていくことでしょう。
 「資料提供」の「資料」とは、グーテンベルグ以来の紙に印刷されたもので、今まではそれを中心に図書館は収集し、保存し、そして知識の伝達手段として活用してきました。しかし、電子化という大きな流れによって紙に印刷するという手段以外の方法によって大量の情報を伝えることができるようになりました。
 つまり、「情報提供」の「情報」とは、今までの紙に印刷された情報と電子化された情報を含めたもののことを言っています。その時代の文化や知識を集積し、活用し、そして保存して将来へ残していくことが図書館の基本的な機能であり、そのための媒体として最も有効な伝達手段が今までは情報を印刷した紙であったわけですが、その機能を満たすより有効な手段として情報を電子化して伝える方法が現れた今、それを含めた活用をいかに行うかということを図書館は真剣に考える必要があると思います。

 したがって、電子化のひとつとしてインターネット情報を市民に提供することも図書館の基本的な機能であると思います。
 しかし、今、あるいは近い将来の電子化の流れの中では、「場=建物」としての図書館を使わずとも、自宅のパソコンを使って情報を入手することも可能です。つまり「来館型」ではなく「非来館型」で済むようになります。
 では、図書館でのインターネット情報の提供とは何なのでしょうか。1つは、「情報弱者」のために設置すること。いくらパソコンが一般化しても100パーセントではないので、だれでもが情報を入手できるように公開端末を図書館に設置する意義はたいへん大きいとは思います。しかし、この場合も公開端末が公民館にあってもいいし、市役所にあってもいい。あるいは今の公衆電話にパソコン機能が付加され、道端でも情報の入手が可能になるということもあり得るでしょう。その時、図書館におけるインターネット活用の意義は何なのかという疑問も生じてきます。

立川市中央図書館のこだわり

 立川市中央図書館では、1998年5月よりCATV回線を使ってインターネット情報が活用できるようになりました。そして、それを他の図書館が行っているように公開端末として設置するのではなく、レファレンス・ツールのひとつとして使用することを基本的な考え方として利用してきました。これは立川市中央図書館の「こだわり」でもあります。

 公共図書館におけるインターネット活用の前提は、先に述べたように、1つは自治体の情報公開にいかに利用するか、そしてもう1つは人的サービスをこの情報提供にいかに絡ませるかだと思います。図書館には図書館員がいます。ただ情報が見られるだけではなく、それに付加価値をつけることができます。市民の求めるものを的確に把握し、情報をいかに使いこなすかをアドバイスできる職員が図書館にはいます。そしてこのことを行うサービスとしてレファレンス・サービスがあります。レファレンス機能の延長上にインターネット活用を置き、図書館での付加価値——インターネットの使い方のバックアップ、よりよいサイトの紹介、インターネット情報を使って図書資料に結びつけていく作業、そしてさまざまなサイトに精通した職員が活字資料では回答できない情報にアクセスし、利用者の求めに的確に答えていくこと等々——このような付加価値の提供を積極的に行っていくべきではないかと考えています。
 このようなことに”こだわって”立川市中央図書館では、インターネットをレファレンス・ツールとして活用することから始めました。とりあえずその実例をご紹介します。「検索の達人」のように、より有効で専門的な活用によってさまざまな疑問に答えている事例も聞いています。したがって、ここで紹介する実例はインターネット活用事始めといった感は否めません。しかし、いままで活字資料では回答できなかったケースがインターネットの活用により一応の回答ができた事例です。当然これ以上の回答方法があったかもしれません。ですが、手探りの状態からインターネットをレファレンスに活用した初歩の事例として見ていただきたいと思います。
 なお、インターネットの使用にあたっては、これを運用する調査資料係内で次のようなことを確認し、実施しています。
(1)インターネット活用パソコンは、レファレンス室のカウンター内、及びその近くに設置し、利用者からの問い合わせに応えるレファレンス・ツールとして使用することから始める。
(2)レファレンスの回答にインターネット情報のみで答えるのではなく、その他文献情報にも必ずあたるようにする。レファレンスにあたる姿勢として、たどり着いた情報の出典についても必ず確認し、利用者に伝えるようにする。
(3)検索データのダウンロード、及びプリントアウトについては、原則として行わない。ただし、プリントアウトについては、各サイトの了解が得られれば行う。また、朝日新聞全文記事データベース(DNA)のプリントアウトについては、契約の中で利用の範囲が定められているためその範囲内で実施する。

(4)使用料は無料とする。
(5)代行検索は行わない。
(6)利用者による書き込みやメールの送信は行わない。
(7)利用状況把握のためのアンケート調査とレファレンス記録を取る。
 以上を確認しても、さまざまな問題も発生しています。
(1)いくらレファレンス・ツールと職員が息巻いても、利用者は自由に利用したいという欲求をもっていることが多い。現在、カウンターの近くにもう1台の公開用端末を設置し、利用できるような形を取っている。

(2)公共図書館におけるインターネットと著作権の問題がはっきりしていない。著作権法31条の規定ではインターネット情報の複写をカバーできない。したがってインターネット情報が図書館の所蔵情報か否かという議論に発展するが、現場では待ったなしであり、プリントアウトの要望もたいへん多い現実をどうするのか(もし、法31条が著作権者の財産権を保護する規定であるならば、無料で公開されている各種のサイト[ホームページ]のコピーについては、これを行ってもいいのではないかとも考える)。
(3)有料データベース利用の問題。公共図書館は無料の原則を堅持すべきであると考えるが、従量制データベースを使用する場合の受益者負担について必ず議論となる。
(4)インターネット情報の信憑性の問題。紙に書かれた情報は後々まで残るが、インターネット情報は、いつ書き替えられたかわからない。また、図書資料にある『凡例』に相当するようなデータソースの範囲と量、編集方針などの明示がない。各種サイトの内容にも間違いがある。それを踏まえた上で利用することが必要である。法律情報などは、インターネットで確認してから、紙資料——『現行日本法規』や『官報』にあたるようにしている。
(5)パソコンの性能がアップし、使い易くなってきているが、職員全員が使いこなすまでには時間がかかる。突然画面が動かなくなり慌てることも多い。研修を繰り返し実施することが望ましい。またパソコンに精通した職員の必要性も高い。
(6)図書館からの情報発信として、ホームページを作成し、公開していくことはたいへん有効なサービスである。しかし、それを維持管理する業務が発生することも考えた体制作りが必要である。
 これらの確認事項と問題点を踏まえながら事例を読んでいただければと思います。

レファレンス・ツールの実例

質問●アメリカの美術館協会の住所を知りたい。
回答●当館では、今までこの手のレファレンスにはお手上げ状態でした。図書館所蔵の資料では回答できるものがなく、類縁機関紹介をしていました。この様なときに役に立つのは「東京アメリカンセンター」で、ここを利用者に紹介するか、図書館から直接連絡し回答を引き出してしまうというのが今までのパターンでした。
 はじめは、当館の資料で何かないか頭を巡らせたのですが、引っ掛かってきません。レファレンスをやっていると類縁機関紹介は最後の手段。できるだけ利用者がいる時に、自館の資料を提供したいという欲求があります。

 その時に思いついたのがインターネットです。当然、外国のホームページも覗けるはずです。インターネットを使い始めて間もないころで、外国のサイトへのアクセスは初めての試みでした。『Yahoo!』のアメリカ[*01]を恐る恐るクリック。検索画面は開いたが、なんと入力するのか。恥ずかしながら、英語があまり得意ではなく、また利用者が側にいるのでプレシャーもかかっていました。『アメリカの美術館協会』は、英語で何というのか。利用者からの情報で『American
Association of Museums』とわかりました。ですがアメリカは略語を使っているだろうと考え「AAM」と入力してsearchをクリック。この略語を入れたのが大正解でした。
 ヒットした中に『American Association of Museums』[*02]がありました。
 これを開くと住所も載っています。住所を発見した時は、利用者と手をたたいて喜び合いました。
 住所の確認と言ってしまえばそれまでですが、利用者がいる目の前で必要とする情報を提供し、満足を与えることができたのです。今までは直接答えることができなかった問い合わせに”インターネット”を使うことでいとも簡単に答えることができた。このことは、その後のインターネット利用にも影響を与えました。そして次のケースでも生かされました。

質問●ワシントン条約の英文と邦訳文がないか。
回答●邦訳文は、すぐに出てきます。『現行日本法規』(ぎょうせい 加除式)の条約の項。あるいは、『地球環境条約集 第2版』(地球環境法研究会編 中央法規出版、1995)、そして『絶滅のおそれのある野生動植物種の国内取引管理』(環境庁野生動物保護行政研究会編 中央法規出版、1995)などにもでてきます。しかし、うちの図書館では、英文の条約文が出てきません。外国語資料も揃えている図書館で、英語の参考資料もあるのですが出てきません。
 ワシントン条約の正式な名称は『絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約』で、英語の名称は『Convention
on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and
Flora(CITES)』となっています。これは前述の資料で確認してありました。
 当館職員は、それではインターネット上に何か参考になる情報があるのではないかと、前のケースと同様に『Yahoo!』を検索。入力は略語CITESと「ワシントン条約」を使いました。大ヒット。条約文の英語文が載っているサイトがあり、利用者に見せるとこれでOKとのことでした。

質問●職業訓練のための教育を受けるときに国が補助を出すという話しを聞いたが、それについての詳しい内容がわからないか。

 不況を反映してか、今までに2件の問い合わせを受けたケース。
回答●図書館も行政機関のはしくれ。このような問い合わせにはすぐに答えたいのですが、理想と現実はかなり幅のあるもの。新聞を隅から隅まで読んでおけばと後悔するのもこのような時です。ただし、図書館員があらゆることに精通しているわけではなく、答えを出すためのツールを知っていることが図書館員の最大の武器。「わかりません」は、口が裂けても言えない。何かしら手立てはあるはず。
 このようなことは新聞記事になっているだろうと、新聞記事の検索から始めました。インターネットの接続と同時に、当館では、朝日新聞の記事全文データベースにアクセスできるようにしました。これがなかなかの代物、強い味方なのです。この『Digital
News Archives(DNA)』は、1985年から当日の朝刊までの新聞記事全文をキーワードで検索できます。
 DNAを「転職」+「補助」で検索すると「1998年5月30日の社説」に年末から労働省で補助を出すという記事が出てきました。
 労働省とわかれば後は労働省のホームページにアクセス。ありました。「教育訓練給付の支給申請手続について——平成10年12月1日から教育訓練給付制度スタート」の項目あり。労働大臣指定教育訓練講座一覧もあります。利用者も「これです! これです!」と大喜びでした。
 行政の情報公開は未だ不十分だと思っていますが、今まで見ることが困難であったものがインターネットを通してすぐに見られるようになってきていることも事実です。このことは評価すべきであり、われわれは最大限に活用すべきだと思います。

 そういえば、2年位前に受けた問い合わせを思い出します。科学技術庁がまとめた『宇宙大綱』を見たいという利用者からの問い合わせです。この情報も冊子としては図書館にはありませんでした。しかたなく科学技術庁に問い合わせたところ、電話にでた職員は、「それはインターネットで公開しています。そちらを御覧になってください」との返答。こちらが「うちにはインターネットがないのですが……」というと、「そうですか、それではこちらに見にきていただくしかないですね」——そんなことでいいのか科学技術庁!と思ったことがありました。いまでもこの手の情報は冊子でほしいと思っています。しかし、あのときインターネットがあれば、最低限その時の利用者を満足させることができた、と悔しい思いが今も残っています。
 さまざまな情報源にアクセスできる基盤整備を図書館が整えていくことは必要なことであり、インターネットはその有効な手段のひとつであると思います。

質問●戦前の雑誌の記事索引はないか。
回答●利用者が図書館員に問い合わせをするときは、まず抽象的なことがらから聞いてきます。これもその例です。
 60代と思われるご夫婦がカウンターにきて「戦前の雑誌の記事の索引はないですか」との問い合わせでした。戦前の雑誌記事索引?当館にはない!「うちにはありませんが、何をお調べですか」と聞いてみました。夫の方は、市の図書館のこんな奴に聞いてもわかるものかと言わんばかりに書架の方に消えてしまいました。したがって、妻の方にレファレンス・インタビューを開始。

 余談ですが、カップルで来て図書館員に質問してくるのは女性の方が多い。たまたま私が受ける時が多いのかもしれませんが、男性は女性の後ろに隠れるようにして成り行きを見ているのです。しっかりしろ!と言いたいのですが、自分もそうかもしれないと深く反省もします。
 さて、
利用者「ルリカケスに関する昔の論文があったら見たいんですけど……」
 ここで「ルリカケス」について調べたいのだとわかりました。
図書館員「昔のものはないですね。最近のものなら国立国会図書館の雑誌記事索引のCD-ROM版や大宅壮一文庫の冊子体の雑誌記事索引とCD-ROM版がありますので調べられますが? もう少し詳しい内容がわかりませんか」
と簡単に書きましたが、より詳しい内容を引き出すためにいろいろな話しをしながらインタビューを試み、かつ、こんな検索ツールがあるのだということをわかってもらうために雑誌記事索引CD-ROM版を「ルリカケス」で検索してみせているのです。

 ちょっと打ち解けて来ました。
利用者「黒田長礼(大正の人)がルリカケスについて書いた論文があると思うのですが……」
 ここで「黒田長礼」という人名が出てきて、やっと2つ目のキーワードをゲット。
 今度は、「黒田長礼」で都立図書館や国立国会図書館の所蔵情報をCD-ROM版や冊子体目録で確認しましたが著作なし。『江東区立深川図書館戦前図書目録』のなかに2冊の著作を発見し、これを紹介したのですが、これではないとのこと。
 このようなことをしているうちにやっと次のことがわかりました。
利用者「黒田長礼が奄美大島で発見した唯一の鳥のことを調べているんです。わかりませんか?」

 ここで、今までの私なら”黒田長礼”について人名辞典をあたり、鳥類の書架を丹念に探すのですが、この時はちょっと寄り道をしました。最近、先に登場したDNA(朝日新聞記事全文データベース)を利用するようになってから、その情報量の多さに驚き、レファレンスの取っ掛かりとしてよく利用するようになっています。何かしらの手掛かりが得られるからです。
 この時も何か出てくるかも知れないとDNAを「黒田長礼」で検索してみると大ヒット。『1995年6月24日の夕刊沖縄地方版』に利用者が問い合わせてきて知りたい内容がそのまま掲載されていたのです。利用者に見せると「このことが知りたかったんです」と夫を連れてきてしばしこの記事に見入っていました。夫の方も市の図書館を再評価したように態度もかわっていました。こういう時が図書館員の至福の時。DNAを入れておいてよかったと思います。
 なお、記事の内容を確認すると、鳥名は「ルリカケス」ではなく「ミヤコショウビン」。発見したのは「黒田長礼」ではなく「田代安定」で、黒田長礼はこの鳥の和名をつけた人。そして発見場所は「奄美大島」ではなく「宮古島」でした。
 利用者の情報が当てになるときと、ならないときがあります。よく答えられたと思いますが、最初に「ありません」「わかりません」と言ってGive
upしなかったのがよかったのでしょう。

質問●森高千里の『ロックンロール県庁所在地』という歌の中で、地名の後にその土地の名物がでてくるが、宇都宮のあとに「しもつかれ、しもつかれ」とでてくるものは、どんな食べ物か。

回答●この問い合わせについては、当初はインターネットを活用せずに回答しています。まず、歌詞を確認するため、視聴覚コーナーよりこの歌が収録されている森高千里のCDを探し出しました。確かに「しもつかれ、しもつかれ」とでてきます。
 地域の情報が載っている資料をあたってみることにし、まずは『NHKふるさとデータブック——関東』(日本放送出版協会 1992)をあたると、宇都宮市の郷土料理の項目に説明あり。さらに詳しく調べると、『栃木県大百科辞典』(下野新聞社 1980)『栃木県民俗事典』(下野新聞社 1990)、『日本料理由来事典』(同朋社出版 1990)の中にも説明書きがありました。また、『東京にあるふる里の味の店』(婦人生活社)の中からは「しもつかれ」の写真を発見しました。以上の情報を利用者に伝えて終了でした。その後、インターネットの検索エンジン『goo』[*03]を「しもつかれ」で検索して見ると、なかなか有名な料理のようで、関連するいろいろなサイトが現れました。作り方についての詳細もあり、森高千里絡みの情報ありとなかなか充実した内容のものが多くでてきました。
 インターネット侮れず!ぜひ一度見てみてください。
 これ以外にも、

質問●市町村合併に関する資料はないか。
回答●図書館所蔵資料以外に『自治省』のホームページ[*04]を提供する。

質問●コンピュータ西暦2000年問題に関する中小企業への公的支援策についての情報はないか。
回答●『中小企業庁』のホームページ[*05]を照会する。

質問●アメリカのZIPコードの一覧が見たい。
回答●『UNITED STATES POSTAL SERVICE』のホームページアドレス[*06]を紹介する。

質問●増井敬二著『日本の洋楽史』という本を探している。タイトルは確かではない。

回答●『TRC』のホームページ[*07]を活用する。
『データ・音楽・にっぽん 付:日本洋楽史』とわかる。
『TRC』以外にも、『大阪屋 本の検索』[*08]、『紀伊国屋書店Book
Web Pro』[*09]、『日本書籍出版協会Books.or.jp』[*10]、『トーハン本の探検隊』[*11]などは、よく書誌の確認に使っています。

質問●『Essays in the History of Ideas』という本を見たい。
回答●『NACSIS webcat』[*12]を活用する。

質問●『Kipling and the Boer War』という論文はないか。

回答●『NACSIS webcat』を活用する。
 このサイトもたいへん重宝しています。大学での所蔵情報がわかることで利用者に安心感と信頼感を与えます。

質問●道交法の改正にともなうチャイルド・シートの件についての条文がみたい。
回答●『法庫』[*13]より公布年月日を確認し、官報を提供する。

質問●「特定新規事業法認定」について知りたい。
回答●『行政情報の総合案内——総合案内クリアリングシステム——総務庁』[*14]を活用する。

質問●自動車のナンバープレートの文字等の意味とつけ方を知りたい。

回答●『現行日本法規』を照会すると同時に、『運輸省』[*15]のホームページの自動車登録番号標の項目も照会する。

質問●日本のマスコミで朝鮮・韓国の人名の呼び方が「日本語読み」から「母国語読み」になったのはいつからか知りたい。
回答●『DNA』を活用する。

質問●障害者を専門に雇用している会社が不況で失業者を出し、障害者の働く場が失われているという記事があったと思うが、その記事が見たい。
回答●『DNA』を活用する。なお、DNAの活用はたいへんに多く、有料のデータベースですがその利用価値は高いと思います。

 これ以外にもインターネットを使って回答した例は多くあります。ただし、インターネットだけで回答するのではなく、図書館の資料と結び付けながら回答するように心掛けていることを付け加えておきます。

●本文中のURL(ホームページアドレス)

[*01]
Yahoo! http://www.yahoo.com/

[*02]
American Association of Museums http://www.aam-us.org/

[*03]
goo http://www.goo.ne.jp/

[*04 ]
総務省(旧自治省) http://www.soumu.go.jp/

[*05]
中小企業庁 http://www.chusho.meti.go.jp/

[*06]
UNITED STATES POSTAL SERVICE http://www.usps.gov/

[*07]
TRC http://www.trc.co.jp/

[*08]
大阪屋「本の問屋さん」 http://www.osakaya.co.jp/

[*09]
紀伊国屋書店Book Web Pro
http://bookwebpro.kinokuniya.co.jp

[*10]
日本書籍出版協会Books.or.jp http://www.books.or.jp/

[*11]
全国書店ネットワーク「e-hon」 http://www.e-hon.ne.jp/

[*12]
NACSIS webcat http://webcat.nii.ac.jp/

[*13]
法庫 http://www.houko.com/

[*14]
総務省(旧総務庁) http://www.soumu.go.jp/

[*15]
国土交通省(旧運輸省) http://www.mlit.go.jp/