2008-07-16

肌に合わない街

『「新宿コマ」座長たちの舞台裏』 渡部清(語り)小菅宏(聞き手)

そう、新宿歌舞伎町のコマ劇場って年内でなくなるんだよなあ、てふっと思って、そんな時に間がよく、近所の図書館で見つけて、手にした本。
俺ってこうゆう類の「間のよさ」が、気持ち悪いくらいにある。

コマ劇で、音響技師だった人の、美空ひばり、北島三郎からはじまって、たくさんの歌手・芸人の回顧録。
「劇場地下にあるシアターアプルの近くを通り新宿駅に突き当たる」、緊急時に使用するという「抜け道」の存在が気になった。

俺は、コマ東宝とシアター・アプルには行ったことあるけれども、コマ劇には行かずじまい、になりそうだ。

夜、下北沢まで行く。
お腹が空いていたので何か食べようと思うも、どうも下北沢って、食欲をそそってくれない街だ。
吹いてくる風も、合わない。道が狭いからか、いるのが自分と合わなそうなタイプの人間ばかりだからか。
道すがらのラーメン屋に入ったけど、店員が「いらっしゃいませ」と言わなくって、街への違和感がさらにじわりと膨らむ。
豚キムチラーメンというのを食べたけど、それはうまかった。

ディスクユニオンで、豊田道倫のインストア・ライブを観る。
1曲目が『UFOキャッチャー』。鳥肌立つ。
ライブは30分くらいだったけど、濃密だった。ギターを激しく掻き鳴らす姿がカッコいい。空気の抜けた感じの曲間MCも雰囲気あるし。
最後は『移動遊園地』。音とイメージに、心地よく流されていく。

ちょっと違う道で帰ろうと自転車を走らせていたら、気づいたら三宿にいる。代々木上原~山手通り方面を目指したハズなのに…。
気を取り直して、三宿からまた代々木上原~山手通り方面を目指したら、目指したつもりなのに、あれ?この「餃子の王将」見覚えがあるぞ…え?ここって…
何と再び下北沢に戻っていた。
軽くめまい。
やっぱ、ここ、合わないわ。

どうにか戻ってきて、近所のコンビニで買い物していたら、レジで店員が困っている。
20歳未満が酒を買おうとしていて、でもその客が日本語を理解できない方達で。
店員は片言英語を使って、酒は売れないということを説明している。
客の方は3人組の男。皆、ワザとか本当に理解できないのか、キョトンとしっぱなし。
店長が出てきて説明するも、3人組に伝わっているのか、怪しい様子。
そんな光景を横目に、勘定をする。
俺の出した発泡酒を、店員は何の逡巡も見せずにレジで打った。

俺、ある種の権利を、持っている。
それに伴う義務や責任というものが、いまいち分からないでいるままに。