2010-02-16

第23回 緊急提言「本屋をLANのホットスポットやすれ違いスポットに」

●本屋の店頭を無線LANやWiFi通信のホットスポットにできませんか?

今回はいつもとまったく違う内容です。自分なりに考えてみた本屋さんへの提言です。異論反論あるかと思います。コメント欄にどんどんお寄せください。

本屋にお客さんを連れ戻すのは書店のみでなく出版社にとっても喫緊の課題です。とは言うものの、具体的な方法となると、手間や金のかかる事(イベントやメディアでの告知)以外になかなかこれといったアイディアが出てこないのも事実です。ですが、他業種ではありますが、無線LAN(Wi-Fi通信)がお客さんを集めるのに成功した例が既にあります。おもちゃ売り場でのポケモンの配布イベントや「マックでDS」や秋葉原ヨドバシカメラの「ルイーダの酒場(すれ違い通信スポット)」などです。これらは販売ではなく、「通信環境を用意する」+「オリジナルの付加価値を設定する」という方法でお客さんを集めることに成功した例です。

これが本屋の店頭でもできないでしょうか。具体的には、「アクセスポイントを用意して通信を行いたいお客さんを集める」+「どこかで買った電子書籍(やゲーム)に、オリジナルの追加シナリオ・書き下ろしの追加データ・オリジナルおまけ画像などをイベント的に書店での接続に限ってもらえる」、といったサービスです。

簡単に整理してみます。

1.本屋を無線LANやWiFi通信のホットスポットに。

2.店頭の在庫を減らしてできた空きスペースを上記のホットスポット用に提供する。

→ヒトを集めるためにはアクセスポイントだけではなく椅子とテーブルが必要(「マックでDS」)です。看板を作っただけでヒトが集まった「ルイーダの酒場」は例外でしょう。但し、人が集まれば自然とすれ違い通信も始まる可能性は高いです。

→店内だと、例えば子ども達が棚の攻略本を勝手に持ってきて居座ったりという問題があります。場の見せ方・作り方が重要な鍵になりそうです。

→電源の提供をどうするかという問題も。ノートPCなど持ち込んで仕事をしだす社会人が現われだしたらしめたものでしょうか。

上記1.2.だけでも「お客さんを本屋に連れ戻す」ためにはかなり有効ではないかと思いますが、もう少し。

3.自動販売機などを設置して飲み物など販売(僅かでも副収入が発生)。

→ミスドなど飲食店併設や既に飲食コーナーのある店舗の場合、このあたりは有利でしょう。但し、こづかいを使いたくない子どもは飲食店には入らないのでやはり無料スペースは必要ではないかと思います。

4.書店でもらえる追加シナリオ(もしくはおまけのデータ)の提供(将来的な課題)。

→ラノベ系(オリジナル画像・ボイスなど)、自己啓発系(著者によるメッセージ動画など)、実用系(追加データ・最新情報など)、文学系(書き下ろしの解説・自著を語る、等々)。

※店頭での配信を「イベント的なおまけ(付加価値)」に絞れば、書店にも出版社にも、そしてもちろんお客様にも、わかりやすいメリットを提供できるように思います。

※上記を取次(もしくはチェーンの本部)が安価に提供できれば「導入したい」という書店は少なくないのではないでしょうか。もちろん、出版社やゲームメーカーのスポンサードによって書店の負担が無料であればさらに参加店舗は増えそうです。

※既にこのアイディアに対して「田舎では難しいのでは」というご意見を頂いております。が、逆に言えば「都会なら勝機あり」ということであろうと考えております。

※逆に「田舎だからこそホットスポットが欲しい」という要望もあるようです。

ちなみにホットスポットを用意するのは無線ルータを一台買ってくればすぐに始められます。ですが、せっかくやるなら全国の書店で統一シールを作るとか場の見せ方・作り方を共有するなりして、将来的に「WiFiしたけりゃ本屋に行こうぜ」という状況を生み出すのが良いのではないかと思います。もちろん、「ウチの店じゃそんなスペースは用意できないよ」というお店もあると思います。が、商店街にあるお店なら空き店舗はどうですか? ショッピングモール内ならちょっとした休憩スペースは? そこから本屋にどう誘導するか、本の売上にどうやってつなげるか。解決すべき課題は山ほどあります。が、それを考えてみるのは今まで以上に前向きな話のように思えます。

どうですか、本屋の皆さん。本屋のホットスポット化でお客さんを取り戻してみませんか?

このエントリへの反応

  1. >>ホットスポットを用意するのは無線ルータを一台買ってくればすぐに始められます
    ですが、まず当然ですが、インターネット回線が引かれていない店舗は回線を引くようにする必要があります。(=毎月の固定費発生)
    あと、店舗用の回線とホットスポット用の回線を物理的に別にしないで1本の回線を間借りする場合、セキュリティ的な設定が必要です。(ホットスポット側から、店舗側のネット環境へアクセスできなくする仕掛けが必要。これをしないと、本屋のPCの中の売り上げデータの改ざんなんて事も…)
    また、ホットスポットのトラフィックが回線を占有して、業務アクセスで迷惑を被るのも本末転倒ですから、帯域制限を設ける必要があります。
    そういった意味では、家庭内の無線LANとはちょっとちがって気をつけなければならないポイントがあります。

    また、付加価値として
    >>4.書店でもらえる追加シナリオ(もしくはおまけのデータ)の提供(将来的な課題)。
    に関しては、サーバ側と、本屋側の何らかの仕組みが必要です。
    (「マックでDS」は、マクドナルドの広域WAN環境というクローズされた世界だから成し得たこと。一般網からはアクセスできません。)

    ネット回線だけを提供するなら、FONなどでお気軽に始められると思います。(FONならば、上記セキュリティ的な話はとりあえずクリアです。)
    それ以上の付加価値的なものを実現するには、技術的に解決しなければ問題と費用が発生すると思います。

  2. 早速、具体的な点へのツッコミをありがとうございます。
    実は書店業界の事情というか、ネット経由のPOSシステムや発注システムがそこそこ普及しており、ある程度の規模のお店であればブロードバンド環境は用意できている状態です(そのあたりを念頭に置いて書きました)。
    そのうえで、トラフィックやセキュリティの問題は仰る通りだと思います。また、本文中でも触れましたが、モラルの問題として場の見せ方・作り方は重要です。つまり、ネットへの接続以外の部分についてもパッケージとして提供できるようなノウハウは必要になるのではないかと考えております。

    「マックでDS」の広域WAN環境も仰る通りです。が、ここで悪名高き「取次」に頑張ってもらう可能性はありそうです。自分が「取次が安価に提供できれば」と書いているのは、そういう意味でどうやって取次を巻き込むかが単なるホットスポット化の次の課題であるというつもりでもあります。

    図書館で無線LANを、というご意見も別の場でいただいております。ですが、公共の図書館で大人がノートPCを接続するのは良いとしても子どもが気軽にネットに接続できる環境はもっと身近な場所でもいいのではと思いました。本屋は、まだまだ身近な存在であって欲しい場ですから。

  3. ホットスポットはNTTCOMのサービス総称なので
    フリースポットにしたほうがいいと思います

  4. >ホットスポットはNTTCOMのサービス総称

    ありゃ、そうなんですか。なるほど、フリースポットに変更しておきます。

  5. 「ホットスポット」の件ですが、Wikipediaを調べてくれた方によると「ホットスポット」でもいいみたいなのでそのままいきますね。

    公衆無線LAN – Wikipedia – http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AC%E8%A1%86%E7%84%A1%E7%B7%9ALAN

  6. こちらはいかがですか?

    http://freespot.com/owners/flow.html

    取次さんには広く書店さんに呼びかける取り組みだけをしていただき、設置導入についてはこちらのバッファローITソリューションズさんに委託するか、別途NPO的な組織でバックアップしてはいかがでしょう。

    あと、利用者視点では「どこかの書店さん」にあるWiFiスポットは利用しづらいので、チェーン単位で一括導入が理想的です。

  7. ホットスポット(フリースポット)の設置には色々な方法がありそうですね。

    既に喫茶スペースがあるような書店であればすぐにでも実現できそうです。が、これから店内に場所を確保するとなると、そのあたり課題がありそうです。

    > 利用者視点では「どこかの書店さん」にあるWiFiスポットは利用しづらいので、チェーン単位で一括導入が理想的です。

    共通のサインのようなものがあるとわかりやすいんでしょうね。「当店でWi-Fiつながります」みたいな感じでしょうか。そういえば「マックでDS」は対応店舗の入り口に必ずシールが貼ってあるようですね。あれは確かにわかりやすい。

  8. 前でコメントさせていただいたFreeSpotをすでに導入してる書店さんもあるようです。

    http://freespot.com/map/list.php?ds=&City=&Shop_name=%BD%F1%C5%B9&x=0&y=0

    > 共通のサインのようなものがあるとわかりやすいんでしょうね。

    そういう点でも、上記FreeSpotのような既存のWiFiスポットサービスに相乗りする形がわかりやすいというのが率直な意見です。

    書店さんのWiFiスポットサービスとして新しくサインを作ると、知名度を上げるまでのタイムラグがありますし、普段書店に行かない層にリーチできません。書店にWiFiの取り組みの最大の目的は、「普段書店に行かないが、ワイヤレス機器を持つ情報感度の比較的高い層の取り込み」にあると仮定すれば、既存サービス相乗りが近道ではないでしょうか。

    現在PCでWiFiスポットを利用する場合、先述のFREESPOT以外にも、HotSpot、BBモバイルポイント、Wireless Gate、FON、Livedoor Wirelessといった、一定規模以上のサービスを利用することになりますが、これらの事業者の方々と実現可能性を探るのも一つの手かと思います。

    本質論でないところをつついて申し訳ございません。
    インフラについてのコメントはここまでで・・・あくまでもPCメインの利用者の一私見としてご参考に留めていただければ幸いです。

  9. ホットスポットで人が集まって来る、としますね。それから?それが本屋さんの売上にどう結びつくのか、何度も考えましたが、やはりわからないのです。そこまでのシナリオはどうなっているのでしょう?

  10. 直接間接含めて色々なご意見をいただいておりますが、一口に本屋と言っても皆さんそれぞれ想像する実店舗が全く違うこと。そもそも立地や規模、客層によってまったく違う課題を抱えていたりという前提。などなど。例えば一部のお客さまから熱烈な支持を受けている「松丸本舗」でさえひとそれぞれの受け取り様があるのと同様にLANの問題についても温度差は思った以上にあるようです。

    無線LANの導入が売上に結びつくのか、という点についても、集客が売上に結びつくという方もいれば無線LAN目当てに客が集まっても売上には結びつかない、という方もいらっしゃいます。多分、実際に導入したとしても同様の問題はありそうです。

    アメリカの事例ではありますが、既に大手の書店チェーンが店舗に無線LANのホットスポットを導入しているそうです。それらの具体的な効果も気になるところではあります。

    2009年7月「書店大手Barnes & Noble、全米店舗をAT&Tのホットスポットに」 [ITmedia] http://bit.ly/adbPPy

    2009年10月「Verizon、米書店Bordersの約500店舗でホットスポット開始へ」 [ITmedia] http://bit.ly/dxcWOd

  11. ・無線LAN(WiFi)を開放するとしても、店舗用とは別系統にしたほうがいいでしょう。
    ・FON等の設定が簡単な無線ルーターおいて、場所を開放すれば人はよってくるとおもいます。
    ・場所柄、飲み食いや居座りはダメ…?
    ・2nd商品も扱っているSHOPならば、2nd商品席を設けると?
    ・即時効果が出るかは不明ですが、色々と興味をもってくれるはずです!
    ・バイトさんやPCに弱い方用に簡単設定マニュアル等、席とレジに用意しておくといいとおもいます