2009-04-06

「バサラ人間」対談シリーズVol.2●山田広野×チャーマァ・ハイヂ

『バサラ人間』が3月28日より絶賛公開中!
山田広野監督の対談シリーズ、第二弾です!

今回のゲストは、チャーマァ・ハイヂさん。
『バサラ人間』では、出演のほかに衣装、メイクも担当。エネルギッシュで個性豊かなコケティッシュウ一座「デリシャスウィートス」の主宰でもあり、その独自の発想に今後の活躍が期待されています。

第一弾◎山田広野×飯島洋一はこちら

同時期に活動をスタートしたお二人の接点は気になるところ。
第一弾に引き続き、飯島洋一さんをゲストに迎え、ハイヂワールド全開のトークをお送りします。

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初対面で映画出演交渉

ーー広野さんとハイヂさんの出会いから教えて下さい。

山田 2002年かな。ゴールデン街で会ったんですよ。

チャーマァ・ハイヂ(以下ハイヂ) (石川)ゆうやくん(沢田王子)のお手伝いで「オレンジ王子」のカウンターにいたんです。お手伝いにもなってなかったんですけど。

山田 覚束ない手つきでお酒を作ってくれました(笑)。初対面だったんですけど話が合いましたよね。実は、次の日映画を撮らなきゃいけないのに出演者がほとんど決まってなかったんです。世界的に活躍されている、ラテン歌手のロベルト杉浦さんが主演だったんですが、その相手役が決まらないまま前日を迎えて、自棄になってゴールデン街で出演者を探したんです。以前にもそういう形で何人も見つけていたので。ただ、お店に入ったらお客さんが一人もいなくて焦りましたね(笑)。
魔子さんとは知り合いだったので、デリシャスウィートスのことは聞いてたんですよ。話の流れでハイヂさんもデリシャスウィートスだと知って、話が弾みましたよね。それで、じゃあ明日映画に出て下さい、と。そしたら、ハイヂさんがデリシャのみんなに声を掛けてくれて。

ハイヂ 良い人!

山田 本当、良い人です。結局七人ぐらい集まってしかも美女揃い。

ハイヂ あ! デリシャで「美女」はタブーなんです。ブサイクやファニーフェイスがいいです。顔じゃないの、女って。

山田 じゃあ……揃いも揃ってブサイク揃いだったんですよ(笑)。

ハイヂ そっちのほうがいい!

山田 (笑)。それで翌日に撮影して、その年のテアトル新宿でやった僕のオールナイトで上映されたんです。

チャーマァ・ハイヂさん

――ゴールデン街で会った日に、ハイヂさんは広野さんが活弁をやっていることを知ったんですか?

ハイヂ その何日か前に、ゆうやくんから「活弁映画を撮ってる山田広野さんて人がいるんだよ」って聞いてたんです。へえー、面白そうと思ってたら広野さんがお店に来て「ああ、この前聞いた人だ!」って。

山田 お互いに伏線があったんですね。撮影には衣裳も自前で全部持ってきてくれたんですよ。ただ、メイクはマクドナルドで二時間ぐらい掛かってました(笑)。その撮影で味をしめてその後も何本も出ていただくようになって。

――ロベルト杉浦さん主演の映画はどんな内容だったんですか?

山田 劇中でもラテン歌手という設定で、彼がうさん臭いミュージカル風に歌い出すと実際のCDの歌声が流れるんです。それ意外のセリフはすべて活弁でした。ど変態のラテン歌手で、人の唾を飲むのが好きなんです。喉のために他人の唾が必要なんだ、と(笑)。

ハイヂ たまたまデリシャのメンバーにすぐ啖を出せる子がいたんですよね。

山田 ロベルト杉浦さん、袋に入れて持ち帰ってましたよね。唾好きが単に映画の設定なのかロベルトさんの性癖なのか、断定するのは差し控えたいですが。

飯島 シャレじゃないんだ? 

山田 恍惚している表情も演技か素なのか怪しいところです(笑)。

私たちバサラ人間!

飯島 自分の世界が広がったから、デリシャと知り合えて良かったですよ。映画のチラシを二十七、八の息子に見せたらデリシャのこと知っててさ。昔、好きなバンドのライブに行ったときにデリシャも出てて印象が強かったみたい。

ハイヂ 嬉しい!

――原作の「バサラ人間」は読んでいたんですか?

ハイヂ 長編の映画『バサラ人間』の前に、短編の活弁映画『バサラ人間』を主演で撮っていただいたんです。で、声を掛けてもらったときに原作を読んだのかな、撮影前に。

山田 「バサラ人間」のファッションや女の子のカッコ良さが、僕はデリシャみたいだなと思ったんです。それでお願いしたんですけどね。ハイヂさんは原作を読んでどう思いました?

ハイヂ 気持ちが似てる。エネルギッシュなところも。

山田 デリシャのメンバーは、ものすごい元気ですもんね。ツアーの移動中も、ワゴンの中でずっと喋ってるんですよ。しかも喋ってるだけじゃなくて盛り上がってる。信じられないテンションですよね。

ハイヂ そう。この間、四泊五日の大阪巡業に行ってきたんですけど、ずっとハイテンションでした。

山田 短編の『バサラ人間』には大胆なシーンもあったんです。メンバーの方に脱いでいただいて。喜んでやってもらいましたよね?

ハイヂ 何とも言えないですけど、きっとそうだと思います。

山田 (苦笑)。

ハイヂ でも撮影は楽しかったです。

飯島 エロチックなシーンがあったんだ。

山田 横乳ぐらいの。

ハイヂ でもそういうほうがドキドキしますよね。丸見えより。

山田 そうですよね。

――現在公開中の『バサラ人間』と内容は違ってるんですか?

山田 全然違うんですよ。オリジナルに近かったですね。僕が妄想で膨らませた話です。

ハイヂ バサラ人間のエネルギッシュなところとか自由奔放だったり型に嵌まらない部分が描かれてたんですよ。デリシャもカワイイだとかオシャレとかファッションでやってるんじゃないんです。だから選んでくれてすごい嬉しかった。

――ハイヂさんも原作を読んだときは、そこに魅力を感じてたんですか?

ハイヂ 私たちバサラ人間!って思った。

山田 デリシャはいわゆる普通のバンドでもないですしね。何かモデルがあったわけでもないですよね? 

ハイヂ みんな定義付けしますよね。例えばロックの枠に入れたがったり、劇団の枠に入れたがったり、枠に嵌めたがると思うんです。何だか分からないから嫌がられる。そういうのをすごく感じるんですけど、これはロックだ!とか演劇だ!とか言葉で表せなくてもいい!と思ってます。それは自分たちで新しく作ればいいと思って。この割り箸だって初めから割り箸だったわけじゃないし。デリシャで新しいものを作りたい。感じてもらえたら嬉しい、だけど定義づけにおいては「何だか分からないだろアッカンベー」みたいな(笑)。

山田 ハイヂさん、普段はほんわかしてるんですけど、気骨がかなりあるんです。中野区に対して運動もやってましたよね。

ハイヂ 一年前ぐらいに。草原に大学やビルを建てる計画が持ち上がったから「反対!」って言ってるだけなんですけどね。ただ、歌ったり踊ったりするだけじゃなくて、何か出来ないかなと思って。権力やお金の関係でビルが建ったりとかは許せない。ゲンコツしてやる!って中野区長にも会いに行ったんですよ。でもまだ計画中で誰もどうしようもできない。権力には敵わない。

山田 そういう活動も枠にとらわれていないですよね。

左から仲村みう、チャーマァ・ハイヂ

山田 『バサラ人間』の撮影の時は、キネマ倶楽部の本講演前だったのですごく大変でしたよね。忙しいなかありがとうございます。

ハイヂ 全然余裕がなくて。でも広野さんの人柄や活動が好きだから、何とかして手伝いたい気持ちと自分の活動に挟まれてよく分からなくなったりして。ちょっとでもお役に立てていたら。

飯島 ちょっとどころか、ハイヂさんたちの協力がなければあんな華やかなにならなかった。俺は曲がりなりにも映画の世界にいるから分かるよ。

山田 新宿の街中でパフォーマンスしてもらったシーンもそうです。ほかの人だったら全然違ってたと思う。

飯島 ゲリラ撮影だったから必死だったな。タクシーの運ちゃんに怒られながらさ。

ハイヂ 広野さんならでは。

山田 ハイヂさんが出ているシーンも本当に面白かったです。この前、仲村みうちゃんと話す機会があったんですけど、みうちゃんが一番印象に残っているのはハイヂさんですって。

飯島 俺もあの場面は印象に残ってる。度肝抜かれましたよ。

山田 すごく突飛で良いシーンになってるんですよね。

――ハイヂさんが印象に残っているシーンはありますか?

ハイヂ 広野さんが「はい、カット!」と言ってるとこ。監督なんだけど、監督みたいと思った。やるときはやるんだな、って(笑)。カッコ良かったです。

――活弁映画を撮っていた広野さんと印象は違いました?

ハイヂ 眼差しが真剣でした。あ、短編の時も真剣なんだけど(笑)。

左から団時朗、山田広野

山田 デリシャスウィートスはライブ活動も活発に行っていて、去年十月の新宿クラブハイツでやった興行(※「デリシャ●カーニバル とびだせ人間 第18回目」〜10周年記念 ムード満点ハレルヤショウ!〜)は大成功でしたね。僕も出演させていただいて光栄です。

ハイヂ 大成功、と言っていいのか。

飯島 うちの社長(ポット出版)なんて感動しちゃって「本気でデリシャを応援したい」って言ってた。

ハイヂ 内容は、伝えたかったことが出来たかな、とは思いますけど、まだまだ足りないことがたくさん。

山田 今後も興行が続きますよね?

ハイヂ 5月9日(土)、10日(日)に、中野駅前で教育委員会後援の中野テントショウをやります。あとは、G.Wの5月3〜5日に府中でくらやみ祭り、6 月14〜16日に札幌神宮祭りでの見世物小屋の興行が決まってます。札幌神宮祭りでは広野さんに呼び込みをしてもらってるんです。もう3年目になりますよね。

山田 規模が大きいお祭りなんですよ。なかなか見れない出し物がいっぱいあります。

ハイヂ お化け屋敷が二つもあって。

山田 お化け屋敷にデリシャのメンバーと入ったらみんな絶叫で、こっちは怖いどころじゃなかったですよ。ハイヂさんは途中で壁をぶち破って出てっちゃうし(笑)。

ハイヂ 本当に怖いんですよ。死ぬかと思った。いや、死ぬより嫌だ。3年前ぐらい前に初めて入ったんですけど、未だにゴールまで辿り着けないんです。だって、鬼のお面を被った人が走ってくるんですよ。

――毎年、内容が変わってるんですか?

山田 そんなに大きくは変わってないんですけどね(笑)。その隣が見世物小屋で、びっくりハウスも二つぐらいあるし、バイクの曲芸ショウもやってる。とにかく広場が大きいんです。

ハイヂ でもそれもほんの一部で、何十メートルも屋台が並んでるんですよね。

山田 だから広場に辿り着くまでだいぶ歩きます。露店の数がハンパじゃなくて。色々勉強になりました。喉の限界も越えますし、正直三日間もやれば、この甲高い声が刑事コジャックの森山周一郎さんみたいになるんですよ(笑)。

ハイヂ すごい怖いの。でも潰れなくなりましたよね。

山田 痛めつけて強くなりました。

ハイヂ 昼の11時から夜の10時まで喋りっぱなしなんです。それが三日も続きますからね。

山田 お客さんが入ってくれないと僕も寂しいので必死こいてやるんですよ。

十周年を迎えた二人のこれから

山田 ハイヂさんには面白い人が集まってくる磁力がありますよね。

ハイヂ よく言われる。

山田 ハイヂさん自身も面白いし。

ハイヂ よく浮浪者の人にも話しかけられるんです。「君は輝いている」とか。歌詞は忘れちゃったけど、私のオリジナルソングを作ってくれたり。

山田 僕も引き寄せられたんですよ、ハイヂさんの磁力に。

ハイヂ 広野さんはそういうところも素敵ですよね。実感のない感じが(笑)。

山田 ほぼ活動を始めた時期も一緒なんですよね。だからデリシャの十周年は僕の十周年でもあるんです。でも僕はそれに対して何も手をこうじてなくて(笑)。

ハイヂ 広野さんらしい。

飯島 狙いじゃなくて本当に忘れてるんだよね。そこが良いんだよ。

ハイヂ ホント、広野さんて憎めない人だと思う。だからみんなに愛されるんですよ。素晴らしい。

山田 その言葉、ハイヂさんにお返ししますよ。今のデリシャのメンバーは結束が固くて、キャラクターも立ってるし、見ていて面白いです。

ハイヂ みんなツッコミ所が満載で人間がとっても面白いです。メンバーは何度も変わって、その度にこれが最高だなと思うんですけど、十周年カニバルを一緒にやったメンバーが今まで出会った中で頂点に最高です。戦力が揃った感じ、このメンバーならたくさんの色んなことができる!と思います。ここから出発だなって思ってます。

山田 十年目にして、まだこれから先のことを考えてますよね。見習わないといけません。僕は行き当たりばったりなので。

ハイヂ それがすごいですよ。広野さん流というか。大物はこうでなくちゃな、と思います。広野さんも十年目に『バサラ人間』を撮ったんですよね?

山田 そうなんですよ。だから良いタイミングになりましたね。

ハイヂ 活弁を今までやってて、トーキーをやろうと思ったキッカケはあるんですか?

山田 僕だとすぐ活弁でやろう、と自然に考えるじゃないですか。でも今回は映画化を進めていくなかで、北庄司くん(『バサラ人間』プロデューサー)が、僕が活弁以外の映画を撮ったらどうなるんだろうと考えたんだと思います。世間一般からすれば当たり前のことでも僕にとっては挑戦でしたね。

ハイヂ 広野さんの頭にはいっぱい面白いことが詰まってそう。ちょっとインチキというか、物事を正面から見ないで柱の陰からクスッと笑いながら見てる感じがする。

山田 素直に見てますよ。

ハイヂ 広野さん、パンクですよね。

山田 弱そうなパンクですね(笑)。

ハイヂ パンク精神の人だと思う。見た目はお豆腐みたいだけど、力強そう(笑)。

山田 僕がハイヂさんに抱いている印象も同じですね。ほんわかしてるけど気骨があって。

ハイヂ そっか、一緒ですね。

山田 じゃあ、今日のまとめは「似た者同士だった」ということで(笑)。
(3月12日 中野駅前・居酒屋「仲野」にて)

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『バサラ人間』
2009年3月28日からユーロスペースにてレイトショー

77分/カラー/HD/ステレオ/2009年作品/配給スローラーナー
監督○山田広野 原作○長尾みのる「イラストーリーバサラ人間」(よるひるプロ)
音楽○J・A・シーザー(「演劇実験室◎万有引力」主宰)[中央「◎」は蛇の目]
出演○団時朗、采花、仲村みう、久世律、OBIKA、佐々木ユメカ、沢田王子、デリシャスウィートス
演劇実験室◎万有引力、野上正義、飯島洋一、根岸季依、螢雪次朗
脚本○渦匁悠一郎/北庄司知宜/山田広野
プロデューサー○北庄司知宜 エグゼクティブ・プロデューサー○飯島洋一/沢辺均
撮影○三本木久城 照明○安部力 録音○小林徹哉 美術○田村拓 メイクデザイン・衣裳◎チャーマァ●ハイヂ
製作○映画『バサラ人間』製作委員会 [ヤリタイ・ピクチャーズ 株式会社スタジオ・ポット(ポット出版) 株式会社 汎企画]
公式サイト●http://basaraningen.com/

「活弁天国」HP
http://katsuben.net/
(山田広野の公式HP)

デリシャスウィートスHP
http://www.derisya.com/