セミナーレポート


第11回セミナー「書体デザインを考える」の当日レポート
日時:1998.11.03(祝) 会場:シニアワーク東京 参加人数:163人
(文責・取材/太田温乃)

小宮山さんも鳥海さんも、参考として筆描きの原字を持ってきて展示してくださいました。滅多に見られない美しく貴重な資料を目の前で見ることが出来、また、通常は聞けないような書体デザイナーの本音も聞けました。  
●「明朝体を考える――その歴史とデザイン」
講師:小宮山 博史(佐藤タイポグラフィ研究所)
レタリングでの錯視の話は、実例を挙げて解説してもらえたのでわかりやすかった。
「あたりまえに読める本文書体=明朝体のデザインは、オーソドックスを大切に」という話はもっともだと思った。
文字は各国のネイティブがデザインして(漢字は中国、かなは日本、アルファベットは欧米という風に)、その合成でフォントを作るのも1つの方法というアイデアは新鮮だった。
●「書体の奥行き――ヒラギノ明朝体デザインコンセプトを中心に」
講師:鳥海 修(字游工房)
ヒラギノはもともとシャープさをポイントにして、パンフレットやビジュアル雑誌のために作られたということは、初めて知った。
いろいろな要素があって、いろいろな立場の人がフォントに関わって、そうして初めて製品として使われている、ということが実感として感じられた。
コンピュータで作字するようになって、手直し自体は活字や写植の時よりよっぽど簡単になったけれど、出力環境に左右されるためバージョンアップがとても難しくなっている、という話は印象的だった。

●2次会飲み会にて取材したセミナーの感想
全員酔っぱらいにつき、追加訂正や文句など、なにかあれば苦情は太田まで。
(文責・太田)

●文字を作るのって大変だなって思った。
あと十年以内に書体デザイナーは一掃されると思った。寄り引きなどの法則をコンピュータに覚えさせてしまえば、一文字一文字を描くような書体デザイナーはいなくなってしまうと思った。(太等さん)
――あと十年経てばわかります。(鳥海修さんのコメント)

●勉強になりました、ありがとうございました。(直井さん)

●有益な話を聞けて良かったです。(小熊さん)

●初めて分かった、小宮山さんと平成明朝の関係。小宮山さんを平成明朝でいじめるのはやめます。(小池さん)

●鳥海さんの貴重な証言で、ヒラギノが単行本の本文書体に適していないということと、その開発目的がもともとパンフレットやカタログ・ビジュアル誌にあったことが分かって、この書体を長い本文で組むみっともなさがわかりました。(日下さん)
※この発言は、11/5に一度外して11/8に再アップしました。
 その経過と議論は、近日中にwebに掲載します。


●「突き詰めると究極のデジタルはアナログ」という持論のもと、僕の考えはやっぱり間違いじゃなかったなと思った両講師の話でした。(合田さん)

●鳥海さんの語り口は熱かった!! 涙なしでは見られなかった。今日のセミナーは是非インディーズフォントを作っているような若い世代に聞いて欲しかった。今日の内容はきっと会報に反映されると思うので、それだけでも資料請求して読んでほしい。一つの書体を作り上げるまでの気力、労力、情熱そして調整力はたいへんなものだということがわかると思うが、臆することなく挑戦して欲しい。(萩野さん)

●若いタイプフェイスデザイナーを志望する人に、是非今日の内容は聞いて欲しかった。(三橋さん)

●書体デザインに関するセミナーでこんなに沢山の人が集まったのが意外でした。小宮山さんの師匠が島野さんというのは初めて知りました。(岡澤さん)


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