スタジオ・ポット
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真実・篠田博之の部屋[番外22] [2001年7月18日]
真実・篠田博之の部屋
[番外22]
 皆さん、お久しぶりでございます。黒子の方ではお馴染みであっても、こっちは半年ぶりくらいになるんでしょうかね。
「黒子の部屋」をほぼ毎日更新するようになり、単行本ラッシュが続き、『ワタ決め2』の作業にも復帰して、という具合で忙しくて、しばらくこちらは更新してませんでしたが、先月、ポットの解析データを見たら、このコーナーに今もアクセスしてくれている人の数が思ったよりもずっと多くて驚きました。こういった話って、誰もあんまし求めていないと思っていたものですから。
 そういうことなら、そろそろこちらも復活させようと思った次第。なんですけど、すっかり自分が何を書いていたのか、何を書こうとしていたか忘れてしまっていたため、ざっと読み直しました。まだよく把握出来てないところもあるんですが(自分の書いてきたことなのに)、まずは前回の続きからやってみましょう(実は以下はとっくに書いてあったものでありまして、「アサ芸」は現在すべて私が単独で取材していて、その分、ギャラも増えました。また、「BUBKA」は現在、編集者との共同作業による連載になってますし、間もなく創刊の「スナイパー・イヴ」も共同作業の度合いが高い)。
           *
 編集部がノータッチの連載はいくらでもあって、それ自体を特に不満に思ったことはありません。取材ものの原稿であっても、自分でさっさと交渉して取材して書いた方が早いことが多いので、ワケのわからん介入をされるくらいなら、放置してくれた方がいい。特にどの雑誌というわけでなく、テープ起こしが嫌いなので、テープ起こしは編集部にやってもらいたいといつも思ってますけど。
 今現在、私の連載の中で、共同作業と言えるほどの関係ができているのは、「アサヒ芸能」「アクションカメラ」「お尻倶楽部」くらいでしょう(「シリクラ」では連載を2本やっていて、どっちも違う形で編集者が大きく関与している)。あとは「創」と似たり寄ったりで、原稿や写真をただ渡しているだけです。
 では、具体的に見ていくことにしましょう。「アサ芸」の場合は、地方取材や編集者のスケジュールが合わない時以外は、編集部ないしは私が交渉し、私が客の立場で体験し、その直後にマンガ家の長田さん用にプレイの流れを編集者が写真で撮り、店を出たあとで、私がその内容を編集者に口頭で伝え、それを編集者がデータ原稿にまとめて、写真とともに長田さんに渡すという方式でやっています。
 店の決定も、編集者と話し合って決めています。編集部には編集部のネットワークがありますから、互いに情報を持ち合って、「最近人妻店をやっていないから、そろそろやりましょうか」などと、話し合って店を決めた方が効率的です。月4本の取材をこなすためには、単純計算で言って倍の選択肢から選べた方がいいのです。
 一人だと手を抜くところを、編集者がいると手を抜かないというメリットもあったりはします。ある店を取材に行き、「この店はちょっとマズいな。でも、改めて探すのが面倒だから、まっ、いいか」と判断しそうになる時に、編集者が「ここはやめましょう」と言い出す。自分が単なるアシスタントみたいな役割としか思っていない編集者はこういう判断はできませんので、自立した判断ができる人に限りますが、こういう役割をしっかり果たしてくれる編集者はありがたい。
 といったような仕事のやり方ができている「アサ芸」の編集者との関係を二人三脚と呼ぶのはいいですよ。現場に立ち会っているから、文章のミスも指摘してくれたり、わからないことを調べてくれもしますしね。この連載は、一人でやってもできるのですが、どちらかと言えば、編集者が関与した方がいいケースです。
 しかし、「アサ芸」でも、地方取材では、すべての作業を一人でやることとなり、ポーズ写真を撮る際に、例えば顔面騎乗をやったとして、これを女の子一人にやってもらって写真に撮ってもイマイチわかりにくい。また、普段なら口頭で伝えればいいことを、すべて私が文章で書くことになり、これがけっこう時間かかる。マンガにするために事細かな情報を伝えなければならず、時には図解までするため、原稿を丸々一本書くような作業になってしまいます。いや、文字数がずっと多いし、描写も細部に渡るため、こっちの方が本文よりずっと大変かも。その分、ギャラを増やしてもらいたいくらいです。
 地方取材も当初は編集者が立ち会うということだったのですが、最初の取材旅行でスケジュールの調整がつかず、私単独で行き、それで支障がなかったため、いつの間にか私が単独で行くことになっています。しかし、おかげで私はついでに別の取材をやったり、特に取材する意図があるわけでなく街を歩き回ったりしていて、いずれは役に立つ情報を拾い集めることができ、この点では一人の方が好都合の部分もありますから、単独での取材で不満があるわけでもない。
「シリクラ」のインタビューでは、ケツやウンコに強いモデルやAV嬢を探すのは私よりも編集部の方がずっと得意。ダクションとの関係が強いので、交渉も編集部がやった方がいいのです。私が風俗嬢を探してくることもありますが、半分以上は編集部の選択です。
 しかし、「BUBKA」「Dr.ピカソ」「問題小説」のような雑誌では、私個人の情報の中で十分収まり、特に編集部にやってもらうようなことはありません。やってもらおうにも、風俗店の情報をもっていない編集者ではやりようがない。
 やることがないのに、取材に立ち会いたがる編集者もおりまして、来てもらってもかまわないのですが、時に邪魔になることもあります。例えば、街娼取材では、複数で行くだけで警戒されます。
 取材先を決めずに、歩き回ってネタを探していくような取材でもそういうことがあります。気の合う編集者と一緒に行く取材旅行は楽しいですよ。しかし、それによって充実した取材ができるかというと、それとこれとは話が別です。取材内容にもよりますが、石ころを拾うような取材に関して言うと、一人の方がよく拾えたりするものです。二人でいるとダベッてしまって、道端の石ころに気づかなくなってしまうのでしょう。なんとなく編集者に頼る部分もでてきてしまうので、神経を張り巡らせる感覚もなくなってしまいます。勘が働かなくなるといいましょうか。それと、編集者のことも考えなければならないので、一人の時とは行動が変わります。一人だと、足にマメができるくらい歩き続けたり、何かが気になって横道にそれるのに、編集者と一緒だと、より効率的な動きをしてしまいます。
 こういうタイプの取材は、何より無駄に歩き回ることが大事だったりもして、編集者と一緒の取材では、歩き足りないことのストレスが溜まって、「先にホテルに戻っていてよ」と言って、結局一人で歩き回ったりするんですよね。異常とも言えるくらいの健脚なので、一緒にいる相手がヘバってしまいますし。
 その点で、編集者と書き手は常に行動をともにしなければならないと信じている編集者は、石ころ拾いにおいては邪魔になることもあります。脚の弱い人は足手まといとまで言ってしまいましょう。それと、編集者も経費を使うため、私一人だったら2泊できるのに、1泊減っちゃったりするんですよ。
「ダークサイドジャパン」の久田君が「アクションカメラ」にいた時は、よく一緒に取材旅行に出掛けてました。これは第一に、彼が車をもっているためです。地方都市では車があると非常に便利で、タクシー代などの移動費も浮きます。取材が夜遅くなった場合、車がないと、2人分の宿泊費がさらにかかってしまいますが、車だったら、深夜でも、そのまま帰ってきてしまえばいいので、金銭的にはそう無駄にならないのです。
 久田君は私と同じようなところがあって、一緒に旅に出ても別行動をとり、夜は夜、朝は朝で、互いに一人で歩き回って、あとで報告し合ったりします。ラグビーをやっていた彼もまた健脚で、健脚が二人いるんだから、別々に行動して、倍歩いた方がいいに決まっています。だから、彼との旅は楽なのであります。難点は、私にはメシも食わせず、一人で寿司を食う奇癖があることですかね(ホントの話ですよ。ちょっとのスキを見つけては、すぐに一人で寿司を食い、私にはラーメンを食わせるんです)。
 しかし、現在の「アクションカメラ」の担当の和田君は免許がなく、当然車もなく、そうすっと経費も余分にかかり、取材経費が使えなくなってしまうんですね。彼と一緒に動くのも楽しいし、彼はマメなので助かるんですけど、東京近郊の取材だけは一緒に行動し、地方は私が単独で行くということになっています。
           *
 といったように、原稿によって、取材のスタイルによって、相手の能力ややる気によって、私との相性によって、編集者との関係は私にとってもさまざまですけど、「創」において編集部に期待できるところは何もありませんでした。だって、風俗産業のことを何も知らないんですから、フォローしてもらうことができるはずもない。風俗店の交渉をやらせたら、とんでもないトラブルを招くだけでしょう。写真をどう扱ったらいいのかもわからない人達ですよ。「頼むから関わらないでいてくれ」ということです。資料にしたって、「売防法以前に売春肯定をしている人の文章を探してくれ」と頼んで探せるはずもない。
 篠田氏が「二人三脚」と表現するような密な関係を作る気があるのなら、片っ端から資料を調べ、風俗産業のことを知り尽くし、あちこち足を使って話を聞きまくり、書き手である私をも越えるくらいの知識や理解をどこかでもっていただくしかない。そうなれば、私では思い浮かばないアイデアも提案でき、私が間違ったことを書いたらすぐに指摘もできる。こういう介入であるなら大歓迎です。取材交渉をしたり、現場に立ち会ってもらうこともできて、私としても楽になる。そんな気はサラサラなかったくせに、二人三脚だなんてよく言いますよ。
 長年編集に携わっているのに、どうもここは篠田氏が勘違いしているとしか思えません。二人三脚は理想でもなんでもなくて、あっていいひとつの関係でしかないのです。「アサ芸」のような関係もあっていいし、「創」のような関係もあっていい。どちらがいいというのでなく、関係は互いの事情、原稿の質によって選択されていいのです。
 現実には選択されていいものですけど、本来は共同作業なんてない方がいいのではないか、とも私は感じているところもあります。このことはもうちょっと先に説明するつもりです。
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