2012-02-06

お部屋2327/これから風営法を考える

京都市長選で中村和雄候補は敗退ですか。

せっかく少しは盛り上がっているのだから、この機に乗じて風営法についての持論を述べているだけで、このシリーズにはそれ以上の意図はなく、中村候補を応援するつもりで書いていたのではないのですけど、「風営法は国の法律なのだから、市長選で持ち出すべきではない」なんて言っている人たちに一言言っておきます。

たぶんそういうことを言っている人たちは風営法を読んだことがないのだと思いますが、風営法には「条例への委任」という条文があるように、条例で決定している部分が大きい法律ですから、地方自治体も無関係ではあり得ないです。

もちろん、どうしようとも条例が法を超えることはできないわけですが、すでにある条例をゆるめることは可能。京都市の風営法施行条例を見たら、クラブに関してそうは改善できそうなところはなかったですけど、他の業態では条例でガチガチに縛られていることがよくあります。

風営法の改正は国政の話だとしても、地域に合った規制をするのが適切な部分が大きいと判断されている法律ですから、制定当初のように、営業時間も自治体が判断できるようにして欲しいと自治体側から要請するのもおかしなことではないでしょう。

それにしても付け焼き刃な印象はあって、候補者本人も、応援する人たちも、風営法のどこがどう問題で、どこをどうしたらいいのかについての議論がなさすぎのようにも感じました。そもそも公約に掲げていたわけでもないので、そこまでする必要はないってことだったのでしょうけど。

まっ、せっかく風営法の問題点がクローズアップされて、興味を抱いた人が多いのですから、ここからちゃんと始めた方がよろしい。たいていの人はすぐに忘れましょうけど、忘れるわけにはいかないと思う人は本腰を入れた方がいい。

私はクラブのことをそんなには知らないですから、現状をよくわかっている人たちは、風営法を検討し、それと現状を照らし合わせて、その問題点を抽出する作業をやった方がいいでしょう。それをやらないと、どこをどう改正すべきかも見えてこない。

中途半端な知恵をつけるとすぐにチクるパカがいるので、細かな内容までは公開はしなくていいとして、勉強会でもやるといいんじゃなかろうか。法の是非を検討することもなく法を振りかざしてチクるヤツとか、「クラブはこんなにグレーの営業だ。まず反省すべきはクラブだ」とか言い出すヤツとかを考えると、おおっぴらに細かいことを書けなかったりするので、ホント、邪魔くせえ。

「クラブがどういう役割を果たしているのか」「なぜ必要なのか」といったクラブの存在意義の整理もした方がいいし、これは公開していった方がいい。全国のクラプでどういう規制が進行しているのか、海外ではどうなっているかなども誰か調べた方がいいと思います。風俗営業全般を調べるとなおのこといいですけど、大変なので、クラブだけでいいんじゃないかな。

私はそこまでの熱意はないので、「歴史豆知識」担当です。性風俗産業をサンプルに、「規制が何をもたらすか」「規制しても問題は解決しない」なんてことももうちょっと論じておいてもいいんですけど、そこまで興味のある人はいないでしょうから、もっぱら豆知識担当。これはメルマガの余録でできるので。性風俗に対する規制の問題点については、『売る売らないはワタシが決める』(ポット出版)あたりを読めばわかりますし。

豆知識はどうでもいいとして、そういうアプローチをピッチリやっていかないと、クラブの存在を正しく認識できていない人たち、クラブに利害のない人たちの理解を得ることは難しいかと思います。

多くの人は自分の利害に入ってこないと関心さえ抱かないものです。そういう人たちをアホ扱いするのは簡単ですけど、クラブが次々と閉鎖されて初めて風営法に興味を抱いた人たちの多くも、今までこの法律でさんざん潰されてきた業態についてはなんの痛痒も感じていなかったでしょうし、見逃されていた時はどういう法律でクラブが成立しているのかも考えたことはなかったでしょう。アホだったわけです。

ハッテンバの摘発についても、大半のノンケは「ゲイじゃないから関係ない」と思っているのだし、大半のゲイは、今まで公然わいせつでストリップ劇場やハプバーが潰されてきたことに何の関心も抱いていなかったわけです。クラブが摘発されても、今なおライブハウスは関係がないと思っている人がたくさんいる。無関心ならまだしも、「クラブは潰されていい」とまで言うのがいる。両者は密接に関係していて線引きなんてできないのにさ。アホだらけってことですが、人間は所詮そんなもん。

誘われたり、用事があったりしない限りクラブには行かず、クラブ音楽よりチャルガの方が好きなので(ブルガリアのクラブでやっている音楽だったりするわけですが)、私もクラブには利害がないです。なくなっても困らない。それでも、「たかがダンスがそうも規制されなければならないのはおかしいだろ」という思いだったり、「ちゃんと意思表示して行動するヤツらは偉いな」との思いだったりがあるため、「ガンバレー」とは言います。しかし、対岸から応援するだけで、それ以上に熱意は傾けられず、「このブログでも風営法はそろそろ飽きられてきているので、次のネタに移るか」と思っていたりします。アホです。

世界はアホでできていますので、そこを踏まえて行動していくしかないでしょう。ガンバレー。