2011-05-29

お部屋2219/デモの自由と不自由なデモ

台風のために延期になってしまったのですが、本日(5月29日)、「暗い日曜日」というデモが行われる予定でした。

これ、いいんですよ。声を出さない。顔も隠す。不自由なデモです。

デモ一般に「声をあげよう」という呼びかけがなされるわけですが、ここでは声をあげないのがルールです。楽器や鳴りものも禁止。

デモをやるだけで逮捕され、「デモをやって何になる」「ただのお祭り騒ぎじゃないか」と揶揄するヤツらが次々と出て来る。そんな国でしかないんだったら、中国の民衆に倣って沈黙のデモをやるのもいい。DOMMUNEに出た時にそんな話をしたと思いますが、その時は「全員鼻血を垂らしているのはどうか」と私は提案。

対して「黒い日曜日」では顔を隠す。そうすることで匿名性を協調し、すべての人の問題であることを見せるということなのか、肖像権を守るためなのか。

5月7日、渋谷のデモのあとだったと思いますが、ツイッターで「写真を撮られた」と不満を書いている人がいました。しかし、デモに参加すれば肖像権の主張はできないのですから、写真を撮られることやメディアに出されることは覚悟しておけって話。

デモに参加した体験が少ない人はこういったことにも無頓着なのでしょう。しっかり理解しておいてもらわないとトラブルになりかねないのですが、いちいち説明するのが面倒なので、デモにおける肖像権については、以下を読んでいただきたい。

1442/その後の「靖国」
1444/あれやこれやの表現規制 2

1447/あれやこれやの表現規制 3
1450/あれやこれやの表現規制 4
1452/あれやこれやの表現規制 5
1453/あれやこれやの表現規制 6
1455/あれやこれやの表現規制 7
1456/あれやこれやの表現規制 8
1457/あれやこれやの表現規制 9
1459/あれやこれやの表現規制 10
1462/あれやこれやの表現規制 11
1463/あれやこれやの表現規制 12
1467/あれやこれやの表現規制 13
1479/あれやこれやの表現規制 14
1481/あれやこれやの表現規制 15
1483/あれやこれやの表現規制 16
1487/あれやこれやの表現規制 17
1489/あれやこれやの表現規制 18

細かな部分では間違いがあるかもしれないですが、顔をアップにされない限り、デモに参加する人たちには肖像権は認められない事情が理解できましょう。

週末はUstで全国のデモを鑑賞するのを楽しみにしているのですが、時々、参加者に配慮しすぎで、ずっと足下ばっかりカメラが追っている中継があります。「なるほど、デモに参加する人たちはナイキが多いのか」なんて確認したって面白くねえってば。

デモによっては、写真を撮られたくない人たちの隊列を分けて、取材陣に対して「写真を撮らないように」と申し入れますが、強制力なんてあるはずがないですし、一般の人たちが撮ってしまうことを避けることはできません。

撮られたくない人は顔を隠すべし。自分でガードできるし、ガードすべきなのに、それをやらずに、写真を撮る人に文句をつけたり、主催に文句をつけるのは単なるわがままってもんです。

顔を出している人たちの中で顔を隠すことには抵抗がある人たちもいます。何か後ろめたいことがありそうで。しかし、「暗い日曜日」だったら、堂々と顔を隠せる。

原発関係のデモでは、内部被曝を避けるためのマスクは、演出を含めて必須アイテムなので、マスクはしやすいですけど、「暗い日曜日」では、顔を隠してもいいのでなく、隠さなければならない。これだったら、山本太郎の二の舞になりたくない芸能人もサングラスをしたり、全頭マスクをしたり、着ぐるみを着たりして、身元を隠して参加できます。

これらの不自由なルールを設定することで、「声を出すのは恥ずかしい」「お祭り騒ぎに見られるのはイヤだ」「顔を隠したい」という人たちの受け皿になる。

また、「誰でも参加できるように明るいデモを目指す」という方向の中で、「暗い日曜日」は暗いです。現実が暗いのですから、暗くてもいい。それに共感する人たちもいるでしょう。

私自身が「よし」と考えているデモのありようを相対化して、もう一度考え直す契機にもなりそうで、このデモに多大な興味を抱きながらも、「アートパフォーマンス」という打ち出しがちょっと恥ずかしいです。「アートパフォーマンス」というのは、「反原発デモ」「脱原発パレード」といった冠さえも避けるためでしょう。その意図は理解しつつ、どうしても「アートパフォーマンス」には抵抗があって、参加はせずに、ちょっと離れたところから見物だけしようと友人と話していました。

延期になったのが残念です。

こういったさまざまなデモが出てきていることを好ましく思っているわけですが、ここでちょっと気になることがあります。

長くなるので次回。

次回をアップするまで、ダミアの「暗い日曜日」をお聴きください。