2010-10-24

お部屋2114/マツワルとポットチャンネル

ちょっと前に週刊誌から、香川の乱交パーティ摘発についての問い合わせがありまして、「わかんないなあ」と適当にはぐらかしておきました。実際何も知らないのですが、記者が私に問い合わせてきたのは根拠があって、実のところ、調べる方法はあります。でも、どうせ「ハレンチ乱交パーティの中身」みたいなハレンチ記事になるのは見えているので、そんなもんに私は協力したくないです。

「草彅剛の迷惑な公然わいせつは逮捕が妥当として、参加者がその内容までを同意している乱交パーティに公然わいせつがなぜ適用されるのか。同じくハブバーやストリップショーに公然わいせつが適用されるのはおかしくないか。法律がそうなっているのであれば、法改正すべきではないか」といった記事だったら、ナンボでも協力しますけど、そういう視点が欠落した記事に金をもらっても協力したくないです。

つきあいのある雑誌だったら断りにくいのですが、原稿は決して依頼しない雑誌が、都合がいい時にネタだけ引っ張り出そうとしたり、名前と言葉を欲しがること自体、腹立たしいものがあります。そういう雑誌のコメント取材も断るか、無視することが多いのですが、インタビューだったらたっぷり語れるし、原稿チェックも通常はさせてくれるので、どんな雑誌でもたいていは引き受けます。

ちゅうわけで、昨日、本橋信宏氏が「実話マッドマックス」でやっている連載「童貞喪失物語」用にインタビューを受けました。

それでも童貞喪失がテーマだというので最初は断ったんすよ。面白くないんです、私の体験。童貞喪失が風俗だったりすればまだ「らしい」んですけど。こんなことなら、なんとしても童貞喪失は、60歳くらいの街娼のおねえさんとやっておくべきでした。

その時、私の興味のあるテーマについて語ってくれと言われれば面白く語れるんですが、自分について語ること自体に興味がないし、恥ずかしいです。

この間なべやかん「男のエロ話はオナニー。女のエロ話はセックス」と言ってました。私もツイッターで以前同様のことを言ってまして、その時は「男のエロ話は金玉。女のエロ話はおのろけ」だったかな。女子はミクシィやツイッターで、「ダーリンがどうしたこうした」って書いてますが、あれが多くの男たちはできない。しかし、金玉やオナニーの話だったらいくらでも語れます。私の場合は「仕事がからむエロは書けるが、具体性を伴うプライベートのエロは書けない」と言ってもいい。

それでも以前夕刊紙か何かで童貞喪失話を語ったことがありますが、一回語れば十分です。二回語れば面白くなるってもんでもなく。

しかし、童貞喪失の話だけじゃなく、最近の話も語っていいというので引き受けまして、実際、「東京ヘビマップ」についても語りました。そこは面白かったですけど、その部分が掲載されても、記事を読む人は面白くないでしょう。「童貞喪失物語」でヘビの話をされてもねえ。

ヘビが冬眠してしまったので、今はヘビマップより、ヘビ料理のことで頭がいっぱいなんですけど、さすがにそこまでは語らなかったです。今のところの結論を言うと、ヘビはスープが無難です。ダシがよく出ておいしいです。

イヌ好きはイヌ料理を好まない人が多いもの。自分で食べないのはいいとして、他者が食うことまで非難したりするわけですが、ヘビ好きはヘビ料理を食べるのが平気な人が多いものです。

イヌは擬人化しやすいとか、知能が高いとか、イヌ好きの言い分はあるわけですが、先日、ブタをペットに飼っている人に聞いたところによると、ブタはイヌと同じくらいの知能があって、イヌより賢いという研究もあるんですってね。

ブタをさんざん食っておきながら、イヌは食っちゃダメって、どんだけわがままかと。

その点、ヘビを食うヘビ好きは迷いがなく爽やかです。

それはそうと、インタビューの際に一番困るのは、「今後の予定は?」「今後の展望は?」と聞かれることです。ないです。

最近はロフトプラスワンなどに月に1回から2回、多い時は3回くらい出演しているわけですが、東京近郊の人じゃないと来られないですしね。単行本も近々出るものはないです。雑誌の仕事も新規はなにもなし。

「50歳からの東京散歩」の連載は今のところすべて「マッツ・ザ・ワールド」の焼き直しです(編集部の承諾を得てます)。「マツワル」に書いていないエピソードも出すようにしていますが、テーマはすべて「マツワル」でやったものです。

なべやかんとやっている「世界の不思議」も今までの分はすべて「マツワル」でやったもの。次回取りあげている「お笑いライブ」は初めてそれ以外のテーマで、ウクレレえいじ元氣安チャンス大城らにも出てもらっているので面白いかも。

「ネタの使い回し」とも言えるのですが、この方法はいいんですよ。今は調べたり考えたりするレンジが長くて、「マツワル」では長期で連載が続きます。「50歳からの東京散歩」でやった「提灯の背景にあるもの」「おはしょりの近代史」「日本で桃色がエロの色になった経緯」は、それぞれ調べるのに半年から1年くらい、あるいはそれ以上かかっていると思います。

「世界の不思議」でやった「なぜ日本人は割り勘が好きか」に至っては、「マツワル」を始める前からこだわっていたテーマなので、結論を出すまで5年くらいかかっているんじゃないかな。いったん結論を出したのですが、「おかしいな」というので、再度検討をして、第二の結論に。

「マツワル」でたっぷり時間をかけて調べ考え、その総まとめを商業誌でやる。この方法だと、次の締切までの1ヶ月の間にいくら調べても調べきれないテーマもクリアできる。実際には「週刊ポスト」の記事を見ればわかるように、商業誌では必ずしも正しさなんてものは求められていないのですが、メルマガのおかげで私はそこから離脱です。

多くの人は結論だけ知りたいのですから、そういう人たちは、そのダイジェストである商業誌を読む。過程まで知りたい人は「マツワル」を読んでいただければよい。高い金を出して「マツワル」を購読してくれる方々がいるので、これが可能になります。ありがたい。

なので、今後の予定や展望を聞かれても、「淡々とメルマガに原稿を書いていくだけ」と言うしかないっす。「しかない」だけじゃなく、人が興味を抱かないところに着目するクセのある私としては、このスタイルは私に向いています。

もうじき年に3度しかない「マツワル」の募集が始まりますので、前宣伝をしておきましたが、ひとつだけ新規の予定があります。ポットチャンネルです。

猫も杓子もUstreamの時代に、なんかもっと別のことを考えた方がいいのではないかと思わないではないですが、出版社の場合は、番組にスポンサーをつけなくても、それを本にすることで元をとることが可能です。雑誌を出して原稿を溜めるよりずっとリスクなく本にする素材を集められますし、そこで本の宣伝も可能です。

つまり、これは私にとってのメルマガと同じで、出版はインターネットによって危機に追い込まれつつも、インターネットによって新たな素材の獲得や宣伝ができる時代になっているわけです。今後も出版社のチャンネルは増えていくんでしょうね。

11月からスタートです。