2008-09-28

お部屋1665/創価学会住民票移動疑惑

「1659/東村山市に存在する問題」では、東京の市議数・区議数を見ると、東村山市で特別に公明党が強いわけではないことを明らかにしました。

これに対して、でぶちんさんが出してくれた参院選のデータを「1661/続・東村山に存在する問題」で紹介しました。ここでもやはり東村山市で特別に公明党が強いわけではないという数値が出ました。

これをさらに見やすくしてくれた方がいます。

以下です。

ttp://hogelab.k-server.org/hmy_sinhr16_19_1.html

素晴らしいですね、図画工作員グループの共同作業。

ここでの順位は、でぶちんさんのデータに則り、平成16年の参院選を基にしてます。「1661/続・東村山市に存在する問題」で私が出したリストは平成19年の参院選と同年の区議選・市議選を基にしていますので、混同しないように。

こうなると、道府県庁所在地だけでもいいので、全国版も欲しくなってきますが、より正確なことを知るためには投票率との比較をしなければならないので、リストは作れても、分析が難しいです。ある地域に公明党に投票した人が多いとしても、創価学会が強いのか、投票率が低いためなのかの判断が難しい。各党の選対本部が詳細に分析しているはずなので、誰か部外秘の分析結果を募金箱に入れてくれないかな。

なんにせよ、「東村山市は創価学会に支配されている」との見方は事実ではなく、チープなデマです。市民にとって迷惑ですし、こんなことを信じていると事を見誤ることにもなります。皆さん、気をつけましょう。

続いて、でぶちんさんが、新たなデータを「1662/風俗お作法」のコメント欄にアップしてくれました。

住民票移動疑惑を投票数から浮き彫りにできるのではないかとの試みです。下痢はしなかったですが、これを十分に咀嚼するのに数時間かかってしまいました。

住民票移動疑惑については、現在、わかる範囲の情報では、「そういうことをしかねないとは思えても、わからないとしか言いようがない」という程度のものだと私は感じています。単純な話が、その疑惑を裏付ける十分な根拠がないのです。

第一には「信頼できる証言がない」ってことです。仮に数百という単位の住民票を移動させているのなら、情報があっちこちから漏れると思うんですよね。ところが、これについては、数十年も前のおぼろげな記憶に基づく証言くらいしかネットでは見当たりません。

第二にその説が根拠とする数値的なデータが脆弱すぎます。例えば、でぶちんさんが出している目黒区の票数はあちこちに転載されてますが、「これだけでは何も言えない」というデータでしょう。性質の違う選挙を比較したら数値が違うのは当たり前です。

もしこの差が住民票の移動によってもたらされたのなら、万単位の住民票が移動したことになって、目黒区役所の住民課も気づくし、目黒区の人口の増減を調べるだけで有意な数値が出るはずです。当然、情報は漏れまくり。

だったら、ワシが目黒区民の人口を調べちゃろかと思ったのですが、ネットでは過去のデータが見当たらないです。目黒区役所で月別の人口統計をもらってきて、誰か調べてみてください。

では、「なぜ区議会議員選より都議会議員選の方が数字が伸びるのか」については私もわからんです。立候補者の特性までを見ないと何とも言えず、これも興味がある方は調べてみてください。住民票移動疑惑には結びつきそうにないので、私はやらないです。

私もそんなにチェックしているわけではないので、他に適切な根拠があるのなら、どなたか教えてください。

これらに比べると、でぶちんさんのデータは一見説得力がありそうですが、よくよく考えると、決定的な無理が生じてます。

「区部においては公明党の票数が微減、対して市部においては公明党の得票数が増加」という現象をでぶちんさんは「不自然な増加」と見ているわけですが、人口の増減、つまり有権者数の増減を考慮に入れない限り、意味がない。

人口増加数の多い地域では、当然、公明党の票数も増えます。例えばこの3年間に1万人の有権者が増えていたとして、投票率が50%で5千人。20%が公明党票として千票。数百という単位の増加はこれで簡単に説明がついてしまいます。つまり、区部に対して市部は人口が増加している傾向があるってだけのことでは? これも調べた方がいいですね。

八王子市と町田市は、人口増以上に票数が増えているようですが、結論を言えば、でぶちんさんが言うように、「テコ入れをした」で説明がついてしまいます。

「創価学会は住民票を移動させている」という説を支持する人たちは、以下の流れで発想するのだと思われます。
 
 
都議会は公明党にとって重要

重要な選挙で得票が増えている

だから、住民票を移動させている

 
 
しかし、こうも考えられます。
 
 
都議会は公明党にとって重要

重要だから、力を入れる

票が伸びる

 
 
得票数は、時間、人員、金、戦略があれば、確実に伸びます。だから、ああも皆さん一生懸命に選挙活動をやり、著名なタレントや政治家を応援に送り込み、選挙ポスターを貼り、事前の演説告知ポスターも貼りまくるわけで。

今回、でぶちんさんの出したデータから導かれる仮説からすると、目黒区で住民票の移動があったという説も否定されてしまいます。1999年の参院選に比して、2001年の参院選の得票数が落ちてしまってますから。

選挙結果から情報を読み込むのはとても難しくて、簡単だったら、各党の選対は苦労しないです。さまざまな数字が引っぱり出せますので、気をつけないと、都合のいい数値のみをピックアップすることにもなります。

要素が複雑に絡むので、この方向で、住民票移動疑惑の根拠を見いだすのは素人には無理かと思います。私も無理。各党の選対か、先日、コメントを書いてくれていたMさんのようなプロの選挙屋さんじゃないと無理っす。選挙屋さんたちも、ここまでの分析が可能かどうかわからんですけど。

それより、有権者の不自然な増減を探した方が早くて確実なんじゃなかろうか。巷間囁かれるような大規模な住民票の移動をやっているのであれば。それが見いだせた時には、得票数の検討も意味を持ちそうです。

このエントリへの反応

  1. 松沢さん、データを検討していただいてありがとうございました。
    長考していただき感謝しています。

    元データですが、ブログを作ってそこにCSVファイルの形で置きました。
    http://debu-data-studio.cocolog-nifty.com/blog/2008/09/post-9bba.html

    たぶんExcelで開けるのではないかと思います。
    私自身はKingSoft(↓)の「Excelみたいな」安いスプレッドシートを使っているのでExcelでは確認していません。
    http://www.kingsoft.jp/office/

    ブログ初心者なので、えらく時間かかってしまいました。お腹は痛くなるし・・・

    松沢さんの仰る通り、このデータだけでは住民票移動疑惑について何も結論を出せないのは承知しています。ただ、この突出した得票増加にも納得できてないので、気長に解明の手がかりを探してみます。結論として、選挙運動に力が入ったから、になる可能性は大ですが。

    このデータは死体についたアザのようなものですね。結果として特徴的な現象ではあるが、その原因を特定する情報がないため証拠として意味が薄いわけです。

  2. お疲れです。

    下痢やら腹痛やら、調べるというのは大変ですね。こういう作業をすっ飛ばせるせと弘幸さんは羨ましい。

    私は数学バカのくせに、数字が好きで、データを見ていると時間を忘れます。たぶんでぶちんさんもデータフェチでしょう。

    そこから何か見いだせるのかどうかとは別に、データを蓄積していくと面白いかも。面白いで終わるかもしれないですが、面白ければそれでよし。

  3. すみません、全くもって「プロの選挙屋」と呼べるようなものではございませんです。せいぜい幾つかこぼれ話を拾える程度でして…。

    ただ、「住民票移動疑惑」も「有権者の不自然な増減」についても、選管事務局サイドからは寡聞にして聞いたことがありません。有権者名簿の登録者の情報自体も手続きを踏めば見られますので、登録者数だけなら普通に問い合わせるだけで教えてくれると思います。直近の数だけなら、自治体によっては普通にWeb公開してますし。
    なお、雑談レベルでは公明党がらみの話題がタブーであるということは全くないということを付け加えておきます。無効票や疑問票が少ないので、開票作業時には好かれてることが多いです(笑)。

    実際に見聞きして「これはどうか」と思った事例は住民票の大規模移動なんていう仰々しいものではなく、地縁血縁を利用したお年寄りに対する投票誘導、とでも呼ぶべき地道なものです。マニュアルがかった手法にも関わらずほとんど話題に上がってないのが不思議ですが、地道すぎるのが食指をそそらないのでしょうか…。

    些か本文から離れた長文にて失礼致しました(データを蓄積してあれこれ考えるのは楽しいですよね)。

  4. >Mさん

    まっ、そんなもんですね、現実というのは。デマで叩くのはやめた方がいいと思うがな。

    私も、創価学会は老人たちを集めて候補者の名前の書き方を講習しているという話を聞いたことがあります。もし本当だったら、「どうなんか」って話ですし、あれだけきれいに票を振り分けていること自体、「どうなんか」と思うのですが、票の振り分けは、どこの団体でもやってますからね。創価学会以外の宗教団体を含めて。

    あと、ポスター貼りや街頭演説の動員もすごいです。掲示板のポスター貼りをやると、その力を見せつけられます。たいてい先を越されているんですよね。どんだけ人がいるのかと。これは批判すべき点ではないでしょうけど、感心しつつムカつきます。負けず嫌いなので。

  5. だいたいそんな、暇あったら、何人に頼めるのか、考えても解るはず、馬鹿じゃあるまいし。デマでも、もう少しましな嘘をつけ。

  6. >市田さま

    頼むくらいはできるでしょう。選挙の時に動く信者数を考えても、数百、数千という単位の人に頼むくらいは簡単にできる。

    問題は実行できてもバレるってことです。だから、やっているなら、それが数値に出ると考えているわけで、「何人に頼めるのか、考えても解るはず」というだけで否定するのは、「創価学会だったらやっているはず」という論理とさして変わりがないと思います。

    もちろん、「やっているというなら、やっているという側が先に根拠を提示しろ」ってことですけどね。

  7. どうも、初めまして。
    東京都内の区市町村別の住民基本台帳登録数は、月ごとの値が2001年1月の数値から都庁のサイトにて「住民基本台帳による世帯と人口」として公表されております。
    http://www.toukei.metro.tokyo.jp/juukim/jm-index.htm

    で、ここにある数値を基に2005年都議選前後、具体的には2004年1月から2006年12月までの目黒区の住民基本台帳登録数を見てみたのですが、不自然な動きは見られませんでした。私のブログにも数値を書き出しておきました。
    http://toriaezumitekitayo.blog88.fc2.com/blog-entry-39.html

    ということで創価学会が目黒区に組織的に住民票を移動させているというのは明白な根拠で否定できたと思います。

    なお、都立図書館の蔵書を調べて見ると都立中央図書館に「住民基本台帳による東京都の世帯と人口」という資料がありまして、途中かなりの欠号はありますが昭和47年1月のものから所蔵されてます。
    現物を見たわけではありませんからこちらは断言できませんが、おそらくは区市町村ごとの住民基本台帳登録数が掲載されていると推測されます。

    図書館にある以上誰でも閲覧可能なわけでして、本当に組織的な住民票移動なんかやってたらとうの昔にバレていると思います。

    ただ、都議選における投票依頼に凄まじいものがあると聞いたことはあります。都外に住む学会員数人がかりで依頼する場合すらあるとか。
    得票数の謎を解くならば都議選の投票依頼を受けた人間にインタビューするのが一番手っ取り早いかもしれません。

  8. >資料屋さま

    おつかれさまです。都庁のサイトにあったか。でも、重ねて計算する無駄をしなくてよかった。

    創価学会を批判するのはいいとして、こういう数字を検証せずに信じてしまう人たちがいるのは困ったものです。他のことでもそうかもしれないですが、創価学会批判はとりわけこういったノイズが多いような気もします。なんでじゃろ。

    このブログはコメントがついたことが読者にわかりにくいため、次か、その次のエントリーで、そちらのブログについて紹介します。