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[第15章●その他よしなしごと]
5… エスカレーターは使わない
[2005.01.23登録]

石田豊
ishida@pot.co.jp

運動のための運動、それはまるでサービス残業のようなものである。

本来、体を動かすというのは生存のためにやむを得ず行うことであった。動物にあってはそれ以上でも以下でもない。だからこそ、猫にしてもライオンにしても象にしても牛にしても、オトナはできるだけじっとしていようと心がけているようだ。ムダに動くとソンでもあるし、健康(生存)にも害がある。

ただし、コドモは違う。コドモは動物であってもムダにうごく。これは将来、ひとりだちして生存していくために必要な動きを短期間で習得するための学習過程だろう。動物にあっては、一人前に成長したオトナは運動なぞしないものである。そんなことをするのは人間か、人間と永年ともに暮らしたため少々ボケてしまった犬猫のたぐいだけである。これも一種のネオテニー化現象であろうか。

運動は健康によい、などとするプロパガンダは、いいオトナがコドモっぽいことをやってしまうことへの照れ隠しなのではないかとの疑念を捨てきれないでいるのである。ただ、カラダを動かすことと健康(正常に生命を維持している状態)との間に因果関係があるってことは、渋々ながらも認めざるを得ない。

何となれば、動物は餌をとったり敵から逃げたりするために、どうしても動かざるを得ない。従って、進化の過程の中で、動物のカラダは「ある程度は動く」ということを前提に設計されるようになった。設計の仕様の中に「動く」ということが組み込まれているのである。にもかかわらず、動かないでいるとどうなるか。故障しやすくなるにちがいない。それは機械でも動物でも変わりはあるまい。

でも、だからと言って、(健康になるというホントかウソかわからない遠い目標以外は)ほとんど何の成果もえられない運動なるものを行うのはどーだかなー、って思っていたのだ。とくにスポーツジムなどにお金を払ってまで行うのは、何をか言わんや。

友人と新宿で会った。とある本のことが話題にのぼり、その本を入手したいと彼が言うので、一緒に紀伊国屋書店本店へ移動。たしか5階か6階だったかと思う。その本があるフロアまで二人であがっていかなければならない。

あのビルのエレベータ−はなかなか来ないし、とても混んでいる。だから階段で行こうぜというと、5階だぜ、本気かよとブツブツ、ブツブツ。しかし、彼はスポーツジムに入っており、毎週そこのプールで泳いだり、トレーニングルームで筋トレに励んだりしているのだ。なんだかなー。

金を払ってまでカラダを動かしたいのなら、目の前に階段があるのはラッキーチャンスじゃないか。

わたしはひとりの際にはたいてい階段を使う。エレベーターやエスカレーターをなるべく使わないようにしている。高層ビルではさすがにエレベーターを使うが、そもそも高層ビルには縁のない暮らしだから、そういう機会は多くない。駅でもビルでもできるだけ階段を使う。特にエスカレーターは使わないようにしている。

それは。数少ない「カラダを動かすチャンス」をしっかりものにしたいという理由もあるが、正直に言うと、エスカレーター、とくに下りのそれに乗るのが怖いからである。

人は、どうしてああも平気でエスカレーターに乗れるのだろうか。しかも、ああまで無防備に。

どうしても下りのエスカレーターに乗らなきゃならない場合は、わたしは手すりをしっかり持ち、カラダを少し斜めにしてたつ。間違っても歩いたりしない。

エスカレーターは、その構造上、停電するといきなりカクっと停まるに違いない。大江戸線など、最近できた東京の地下鉄のエスカレーターは長い。深いところを通っているためだ。うごく速度も速いように思う。そんなのをドスドス歩いて降りているときに停電したとすると、その瞬間に自分のカラダをそこでちゃんとホールドできるだろうか。無理なんじゃないかな。しかも、上からは自身が支えきれなかった人が落ちてくる。手すりで支えるだけではだめで、落下してくる力をまともに受けないためにはカラダを斜めにしておかなきゃだめなんじゃないかなあ。

エスカレーターで落下したら、階段で落ちるよりずいぶん痛いに違いない。なにしろステップがギザギザの金属でできている。

ただ、こういった「あるかもしれない」未来のリスクを考えてエスカレーターを忌避しているかといえば、そうじゃない。単に心からビビってしまうだけなのだ。エスカレーターの上から下を見下ろすと、まさに足がすくむ。とてもこわいのですね。

ともあれ、エスカレーターではなく階段を使う。これはわたしにとって数少ないカラダを動かす機会となっている。

これはそれ自体が自己目的化した「運動」ではないからワタシ的には許容できるものではあるが、あまり出かけない生活のわたしには頻度も低く、また積極的な「成果」がない点でも、ホントによい行動であるとはいえない。

じゃあ、何を行うべきなのか。

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鈴木雄介さんより
ご意見いただきました

[2005-01-24]

エスカレーター恐怖症

石田さんがこんなこと書くからエスカレーターが怖くなってしまったではありませんか。半身で構え、上をチラチラ垣間見る変な親父は、後ろの美人に不審な眼差しを浴びせられるのだった、、、、ったくもう。

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