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[第13章●本の買い方読み方しまい方]
17… スライド式書庫への夢想
[2005.03.05登録]

石田豊
ishida@pot.co.jp

本の大きさについての法律はないし、技術的な制約もない。したがってどんなサイズの本でも出版することができる。

ちなみにギネス認定の世界最大サイズの本は「Bhutan: A Visual Odyssey Across the Last Himalayan Kingdom」という本だそうだ。このサイズは60×44×6インチ。つまり高さは150cmほどある。子供ならこの本の上に寝ることも可能だ(おねしょされると困るが)。Amazon.comによると価格は1万5千ドル。車を買うかこの本を買うかというところだ。

逆に世界最小は凸版印刷による「マイクロブック」。これは0.95mm角である。各ページには十二支の動物の絵と、その名前(英語)が記されている。もちろん肉眼では見えるはずもなく、そのためこの本は内容を見るためのルーペとセットで凸版の運営する印刷博物館ミュージアムショップで販売されている。お値段は26,250円。

こういう受け狙いの例外はさておいたとしても、世の中には他の本とは若干異なるサイズを持つ本は少なくない。実にさまざまなサイズの本が存在する。

しかし、大多数の本はいくつかの決まったサイズに集中している。なぜなら、それが製造上も流通上でももっともコストがかからないからである。定型サイズだと用紙代も安くつくし、棚に入らないとして書店に忌避されることもない。

たしかにぼく自身の本棚を振り返ってみても、ほとんどの本がほぼ同じ大きさである。文庫、新書を除き、「単行本」と呼ばれる本のサイズはおしなべて四六判のものが圧倒的に多い。127×188mmが化粧断ちしたときのこのサイズの大きさだが、ハードカバーの場合は、それより一回り大きな表紙がつくため、本のサイズとしては、おおむね135×195mm程度となる。

つまり奥行きは15cmないのである。ぼくの本棚では、奥行きが15cmを超えるものはざっと見、数パーセントにすぎない。これは本好きの人の本棚ならほとんどそうではないかと思う。もちろん、写真集や図鑑などを中心に集めている人はその限りではないし、雑誌やムックももっと大きいことは言うまでもない。

しかし、通常の本好きで数台の書棚を並べないと本が収納できない人ならば、煎じ詰めればこのサイズの本の収納に一番困っているのではないかと思う。

しかし、市販の「書棚」と称される商品のほぼすべては奥行きが30cmある。30cm奥行きだと、四六の本が前後2列に入ってしまう。そのように詰め込むと、後ろの本は背表紙が見えなくなる。つまり書棚と呼称しているわりには、本の収納に必ずしも最適化された設計にはなっていない。

そこで、というわけで出てきたのがスライド本棚である。奥行きはずいぶんあるのだが、2列あるいは3列に区分されており、前面の列が左右にスライドするようになっている。各列の奥行きは20cmそこそことある程度、実際の本のサイズに近い。

かくいうぼくもスライド書棚を数台使っている。ふつうの書棚に比べると収納力が格段に大きいことは間違いない。

しかし、おそらくは強度の問題なのだろうが、多くのスライド書棚は片側にスライドしない部分が付いちゃっている(付いてないのも少しある)。取説には「雑誌など大型の本」とあるが、少なくともぼくはそこを持て余している。スライド書棚全体の奥行きは40cm以上ある。その奥行きを必要とするような大型本はぼくはそんなにもっていない。勢い数列にわたって本を詰め込むことになるが、これだと後ろの本はまったくの死蔵ということになりがちだ。

大量の本の収納に効果的な書棚が世の中に存在しないというなら、まだあきらめもつく(スライド書棚で満足する)が、あるんだから悔しい。図書館や書店の書棚がそうだ。最低限の奥行きの棚が延々続いている。いいなあ、こういうの。いつもそう思う。

ただ、図書館や書店はもともと大量の本を並べておくのが主目的の場所だが、一般家庭は違う。部屋は生活するためのスペースであり、その一部(壁面)を本の収納にあてているだけだ。部屋の真ん中まで書棚をおくわけにはいかない。そうするとその部屋は書庫ということになってしまう。書庫を持つほどの蔵書数もないし、なにより住居スペースがそれを許さない。

だからどうしても本は壁面にということになる。しかし、壁面というのは限られている。窓や出入り口を除いた部屋の壁面はとても短いのだ。

本を捨てられない人(たとえばぼくだ)は、ある程度の生活スペースを犠牲にしてもやむをえないという決断をしちゃった人である。たとえば6畳を自分の部屋としているなら、そのうち3畳くらいは本にとられてもいいや。自分は3畳で満足すると決断しちゃった人である。

だから部屋が狭くなるということは甘んじて受け入れるのだが、そうかといって図書館や書店のように「島」の書棚をおくことは難しい。島にするためにはその間の通路を確保しなければならないからだ。

そこで夢想の対象に浮上してくるのがスライド書庫だ。このスライド書庫というのは前出のスライド本棚と根本的に発想が異なる。

壁に垂直に書棚を置き、それを何本か並べる。つまり壁から書棚が突き出しているイメージだ。おのおのの書棚はレールに乗っており、左右に動かすことができる。動かして隙間をつくり、その中に人間が入り込んで本を取り出すということになる。

6畳間というのは3.6m×2.7mの空間だ。その長辺3.6mにこのスライド書棚を設置するとする。「隙間」は少なくとも90cmくらいは必要だろう。ということは残りは2.7m。ここに30cmの本棚を並べるとすると9本入る。30cmの棚を両側から使うわけだ。つまり実質18本の本棚ということなる。

1本あたりの本棚の幅を90cmとすると、90cm幅本棚18本という大量の本棚を6畳間に設置できることになる。

ピーター・バラカンさんの自宅にはこれが設置してあった。彼の場合、収納しているのはCDであるが、その収納力は半端じゃなかった。

いいなあ、これ。これを6畳間に設置したとしても4畳分の空間は残る。つまりたった2畳のスペースに90cm幅の本棚が実質18本ですからねえ。それぞれ7段だとすると総計113.4mの本が並ぶことになり、1冊の本の平均厚みが2.6cmだとすると4,361冊の本が収納できることになる。これはオール単行本での計算であるから、もっと小さく薄い文庫や新書だともっと多くなる。

こういうの、夢想しますなあ。

しかし、問題はふたつある。

この手の商品の情報がきわめてすくないということがひとつ。もうひとつが床の耐加重だ。

いま試みに1冊の本を書棚から抜き出し測ってみたところ350gあった。その厚みは2cmだ。だとするとこのスライド書庫全体の(本だけの)重さは1984.5kg。書庫の床面積は隙間部分を含めても3.6m×0.9mであるから3.24平米。平米あたり615kgの重量がかかることになる。

建築基準法では一般的な住宅の床の耐加重は平米180kgであるそうだから、これはその基準を大きく上回っている。それに書庫の重さがプラスされるわけだからなあ。

ピアノは(いまちょっとぐぐってでてきたひとつだけを例に言うのだが)150×61cmの設置面積で200kg。平米あたり219kgである。この書庫を導入するということはピアノを3つ積み上げることと同じってことになる。

これはちょっとシンドイかなあ。

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平井 渉さんより
ご意見いただきました

[2005-05-14]

おおっ!同士!

石田豊さん、はじめまして。
私は、岡山在住の平井と申します。今日は日直なるもので、出勤しているのですが、スライド書庫で検索しましたところ、このHPに辿りついた次第です。
昔から読書は好きでした。ただ、読み終わった本を捨てるということがなかなかできないのです。本当なら十年以上も前に買って、読み終わった本やもう一生の間、開くこともないような本も、どうしても捨てるに忍びない。「ひょっとしたら読むんじゃないのか」それこそ、10年位前に話題となったマーフィーの法則ではありませんが、「必要でない時はしょっちゅう目にするが、いざ必要となったらどこを探しても見つからない」てなことになるんじゃないのか?
さらに、古本屋さんで長年探し求めた本と出会ったときのあのうれしさ。一冊一冊をながめて「おおっ!これは、○○書店で見つけたやつ」
などと感慨深く、余韻にひたるなどすればなおさら、本の保存を考えてしまいます。
私の場合、一度、本を実家に大量に送り、段ボールに入れてわざわざ「捨てるな」と大書しておいたのに家族にすてられた経験があるのでなおさらであります。
ブックマンに代表されるスライド書棚。いいですよね。もう、何年も前から「あの3重のやつほしい!」と思いつつ、二の足を踏んでいるのはその値段。「あの金額で何冊本が買えるかな?」と思うとなかなか踏ん切りが付かない毎日。「なんでスチール製のスライド書棚がないんだ」と一人憤っています。(なんでも、スチール製は強度の点で問題があるとか・・・)
それで、最初に申しましたとおり、「あっ。もしかしたらスライド書庫なんかあるんかな」と検索して石田さんのHPに辿りつきました。
今、私は、ホームセンターで特価販売していた、木製の高さ180僂らいのでっかい本棚を使ってます。ご指摘のとおり、奥行きが30僂呂△襪里如∩宛綟鷭鼎砲靴董後ろの本は、痛んだビデオテープを下敷きにして何の本があるのか分かるようにしています。
昔、何かで読んだのですが、高名な評論家先生はマンション住まいで、本の保管をどうしているか。実は、書庫用にもう一部屋借りておられるとのこと。うらやましなぁー。とつくづく思います。
スチール製のスライド書棚が一日も早く、開発されることを祈りつつ。
平井 拝

平井 渉さんより
ご意見いただきました

[2005-05-14]

おおっ!同士!

石田豊さん、はじめまして。
私は、岡山在住の平井と申します。今日は日直なるもので、出勤しているのですが、スライド書庫で検索しましたところ、このHPに辿りついた次第です。
昔から読書は好きでした。ただ、読み終わった本を捨てるということがなかなかできないのです。本当なら十年以上も前に買って、読み終わった本やもう一生の間、開くこともないような本も、どうしても捨てるに忍びない。「ひょっとしたら読むんじゃないのか」それこそ、10年位前に話題となったマーフィーの法則ではありませんが、「必要でない時はしょっちゅう目にするが、いざ必要となったらどこを探しても見つからない」てなことになるんじゃないのか?
さらに、古本屋さんで長年探し求めた本と出会ったときのあのうれしさ。一冊一冊をながめて「おおっ!これは、○○書店で見つけたやつ」
などと感慨深く、余韻にひたるなどすればなおさら、本の保存を考えてしまいます。
私の場合、一度、本を実家に大量に送り、段ボールに入れてわざわざ「捨てるな」と大書しておいたのに家族にすてられた経験があるのでなおさらであります。
ブックマンに代表されるスライド書棚。いいですよね。もう、何年も前から「あの3重のやつほしい!」と思いつつ、二の足を踏んでいるのはその値段。「あの金額で何冊本が買えるかな?」と思うとなかなか踏ん切りが付かない毎日。「なんでスチール製のスライド書棚がないんだ」と一人憤っています。(なんでも、スチール製は強度の点で問題があるとか・・・)
それで、最初に申しましたとおり、「あっ。もしかしたらスライド書庫なんかあるんかな」と検索して石田さんのHPに辿りつきました。
今、私は、ホームセンターで特価販売していた、木製の高さ180僂らいのでっかい本棚を使ってます。ご指摘のとおり、奥行きが30僂呂△襪里如∩宛綟鷭鼎砲靴董後ろの本は、痛んだビデオテープを下敷きにして何の本があるのか分かるようにしています。
昔、何かで読んだのですが、高名な評論家先生はマンション住まいで、本の保管をどうしているか。実は、書庫用にもう一部屋借りておられるとのこと。うらやましなぁー。とつくづく思います。
スチール製のスライド書棚が一日も早く、開発されることを祈りつつ。
平井 拝

おすすめ書庫は?さんより
ご意見いただきました

[2005-05-24]

スライド書庫購入 悩んでいます。

記事の中での求められている書庫は
下記のようなものではないでしょうか?

三列収納書庫
http://www.hokuto-net.co.jp/goods/library/la.html

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