デジタル/シゴト/技術

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[第1章●机と椅子と机の上の環境]
2… 測ればわかる
[2003.08.14登録]

石田豊
ishida@pot.co.jp

デジタル/シゴト/技術、なんて大上段に振りかぶったタイトルを冠しているものの、書き手の私は、大組織の構成員としての仕事というものにはほとんど関心がない。ま、勝手にやってちょうだい、という感じ。と言うより、そもそもそういう組織の方々は私くんだりの言うことなんか聞きゃしないだろう。

私が念頭においているのは、自営業であったり、小さな企業のメンバーであったり、または昼間は大組織の一員であるのだが「ホントの仕事はアフター5、自分の根拠地に戻ってからだ」と考えている人たちである。

小企業、ありていにいえば零細企業。私自身がお付き合いが深い会社はそういうところが多い。メンバーは10名そこそこ。事務所といいながらも、じつは入居時には「保証金」ではなく2コ2コの礼金・敷金を払ったというマンションタイプ。

こういう小部隊なら、理不尽なしがらみもなく、自分たちが快適に作業ができるような空間を創出できるだろうと思う。しかし、実際には、そうした企業でも事務機メーカーの事務デスクを使っているところが多い。なんでやねん、と思う。

零細企業では先に書いたようにマンションタイプの事務所を使っているところが多い。そういう事務所では玄関で靴を脱ぐ。つまり作業時には靴を履いていない。そもそも「靴を履いている」ことを前提にしたJIS規格そのものとは条件が違う。もしJISが平均的な体格の日本人にぴったりした高さを決めているんだとしても、靴を履かない分だけ、平均的な体格であっても高すぎるということになる。

いちど、自分にとって最適の机の高さを計測ごらんになればいかがか。

それは実にカンタンである。ありがちな事務用椅子は座面の高さを自由に設定できる。そういう椅子にしっかり深く腰掛ける(ここがポイント)。ふとももが水平でヒザが直角に曲がり、足の裏の全体がぴったりと床につくようにする。椅子の前面とヒザの内側には指が入るくらいのすき間ができているのが望ましい。

多くの人にとって、この姿勢を取ろうとすると、いつもの椅子の高さよりけっこう下げなければならないはずだ。まずこの座面の高さをしっかり体感していただきたい。座り心地は悪くないはずだ。

座面がこの位置より高い場合、太ももが椅子の座面で圧迫され続ける。坐業で足が疲れるひとつの要因だ。足が床にぴったりつかないことも疲れを増やす要素になる。

この座面にして、両腕を自然にまっすぐ下に下ろす。この時、両腕の肘の位置がキーボードの位置になる。もしあなたがノートパソコンを使っているなら、天板はこれより数センチ下にならねばならない。メジャーをつかって肘の位置を計測していただきたい。どうです? 普段使っている机と比べると、ずいぶん低い位置になったんじゃないすか。

あるオフィスで実際に6人のメンバーに椅子に腰掛けてもらってメジャーで実測してみた。ありあわせの道具と環境での測定なので、正確さにはあまり自信がないが、以下の通りだ。

あるオフィスのメンバーの実測値 (単位はすべてcm)
 身長座面肘高目高
A 男1774365117
B 男17243 69119
C 男1674360111
D 男16037.560.5109.5
E 女16340.563.5112.5
F 女14935.556.599.5


149cmから177cmまでの身長のバリエーションがあったが、どの人も座った時の肘の高さはJIS規格の70cm以下になっている。しかもキーボードの高さが4cmあると考えると、ますます変わってくる。このオフィスも“靴を脱いであがるタイプ”の事務所である。

こうして計測した机の高さをどうやって現実化するかということについては後述するが、この「理想」の高さの机を使うと、どうなるか。
私自身の体験では、肩凝りがウンとすくなくなった。長い時間坐業を続けても、腰が痛くなることも少なくなった。なかなかキモチいい。しかし、中には(なぜか男性に多い)はどうも低すぎるという人もある。私は「気のせい」「権威主義から脱却できないバカもの」と心の中では思っているのだが、違っているかもしれない。彼の「感じ」は所詮他人である私にわかるはずがない。

しかし、そういうのも、少なくとも数日間自分で体感してみるまではわからない。いちど体験されることを、心からお勧めする次第。

何も机の天板の高さを変えなくても、もしそれが高すぎるのなら、足置き台かなにかを使えばいいじゃないか、と思われる向きもあるだろう。しかし、それはどうかな。確かに足置き台を用いて作業している人(女性に多いね)はよく見かける。しかし、坐業において、作業の疲労を少なくするための最大のコツは「頻繁に姿勢を変える」ということなのだ。これはどの本を見ても書いてあるし、経験的にも首肯できる。

小さな足置き台に常時足を乗せているということ自体が、姿勢を固定的にしていることになる。じゃあ、大きな足置き台を使えば? 邪魔でしょ、そんなもん。

足置き台は緊急避難的な対策に過ぎないのである。

じゃあ、どうやってその机を実現するか。その前に大きさの側面にも少し触れておきたい。

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