2006-04-12

いただいたご本『いま生きているという冒険』

naoki.jpg伏見が近年出会った人物の中でピカイチに印象深かったのが、この本の著者の石川直樹さんである。

編集者のお宅での食事会で言葉を交わすまでは、寡聞にして彼のことを知らなかったのだが、なんというか、その青年は、言葉少なに目の前に座っているだけで異様な、幻惑的なオーラを出しまくっていた。一見ただの線の細い若者なのだけど(中村俊輔をイケメンにした感じ?)、伏見の妖怪アンテナにビンビンくるものがあるのだ! 「どーせタイプだったんでしょ?」とあなたは思うかもしれないが、股間どころか全身の細胞がざわめくような何かを感じさせた。そんじょそこらの有名人ならフーンてな感じの伏見が、こんなに動揺するなんていったい何奴……

後で編集者に聞いてみると、彼は、まだ二十代半ばにも関わらず冒険家として写真家として著名で、文化人のファンも山ほどいる注目の方ということであった。なるほどねえ…と感心したのだが、この本を読んだら、そりゃ妖怪光線だって出るわな(竹下登)とまさに納得。だって北極から南極からチョモランマから洋上からお空の上まで、地球上のありとあらゆるところを探検して、ギリギリの自然に挑戦して生きている男だったのだから。北極では数メートルの距離でシロクマと見つめ合ったこともあるという彼は、もはや人間でない何者かなのかもしれない。

そして、表現者としての彼がとらえる写真が、これまたスゴイ。観ているだけで、そんじょそこらの脱法ドラッグよりも飛んじゃいます(←比喩が悪すぎ)。

●石川直樹『いま生きているという冒険』(理論社/よりみちパン!セ) 1400円+税