2008-10-29

橋爪大三郎『冒険としての社会科学』


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● 橋爪大三郎『冒険としての社会科学 (新書MC) (Modern Classics新書 31)

★★★★★ 社会科学を志すのならたどるべき先人の軌跡

実は、伏見は、昨年からこの本の著者、橋爪大三郎氏に師事している。東工大に講演に呼ばれたのがきっかけだったのだけど。評論とかエッセイとかで書いているとアカデミズム方面で等閑視されたり、剽窃されたりということがままあるので(笑)、四十の手習いで論文執筆の技術を手に入れておくのもいいかと思って入門させてもらうことをお願いした(もう半隠居な人生なんで半ば趣味)。

んで、けっこう頻繁に橋爪先生と接することになったのだけど、会う度にすごいひとだなあと尊敬が深まる。ボタンを押すとあらゆる知識が流れ出てくるような学識、発想の豊かさはもちろん。「東工大のアイボ」「ほんとは電池で動いているのではないか」などという評判のある橋爪先生だが、外面のメタリックな印象とは違い(笑)、実のところ、熱いパッションを秘めた方なのだ。

この本はそうした橋爪氏の実存が下味になっていて、社会科学の概説書以上の何かになっている。西研さんの『実存からの冒険 (ちくま学芸文庫)』もそうだが、思想家というのは、誰もが一度は自分の問題意識の震源たどる本を書かざるをえないものなのだろう。「近代の源流をたどりマルクス主義の失効を思想的に検証しようとした格闘の記録!」と副題になるとおり、この本は全共闘世代(というか元全共闘)が青春の総決算と、近代の総決算を企図したものだ。

今回上梓された新書版を読んでも、すでに単行本版から20年の歳月が経っているというのにまったく古くなっていないのは、著者が徹底的に原理的な思考の研鑽を積んでいたからだろう。20年の風説に堪える、ブレない分析に感嘆するばかりである。そして堅固なロジックのなかにときに滲み出る切なさがとても心地いい。